第159回通常国会

2004年5月19日 決算委員会



(1)政策目的で赤字を出すなら監視の厳しい一般会計に
(2)やり取り・重複など複雑化した特別会計を整理せよ
(3)地域住民対策費をつけ過ぎて「不用費」が出ている電源開発特別会計
(4)資金という名の「裏ポケット」を乱造するな


○又市征治君
 社民党の又市です。
 しつこく、しつこく特別会計についてお伺いをしてまいります。
 一年前、当委員会で私、検査院などに、十三年度決算ベースで産業投資会計についてただしました。
 実は、検査院は、その前の十三年度検査報告で特別会計について全面的に分析をし、発表をされたわけですね。その中身は、今日の財政審議会特会小委員会報告であるとか、そしてまた、財務省の改革案へとつながるような特別会計の様々な問題点を明らかにされておったと、こう思います。その言わば最大の指摘の一つでもある産投特会の出資金の毀損について検査院はどのように指摘をされてきたのか、その要点をもう一度お話しください。

○説明員(石野秀世君=会計検査院事務総局第一局長)
 今お話しの十三年度決算検査報告におきまして、産業投資特別会計について、その現状がどうなっているかということを個別の決算ということで掲記したところでございます。
 その中で、産業投資勘定が出資している投資先の各勘定別の財務状況につきまして、通常BS(バランスシート)、民間BSに基づいて純資産資本比率、産投出資金の欠損金相当額等を算出し、比較検討を行ったということでございます。
 この中の通常BSといいますのは、毎年度、特殊法人等の設置法等の規定により作成しているものでございまして、その作成に当たっての会計処理というのは、昭和六十二年に制定された特殊法人等会計処理基準によることとされております。また、民間BSといいますのは、企業会計原則等に従って作成することとなりました行政コスト計算書の添付書類の一つでございまして、これも作成指針により作成された民間企業仮定貸借対照表のことでございます。これは国民の将来の負担や内在的な損失等を含めて当該特殊法人等の業務運営に係る国民負担を明確にするというために作成されたものと承知しております。
 この民間BSに基づきます十三年度末の産投出資金の欠損金相当額につきましては、その合計で六千百九十五億円、そのうち最も金額の大きいものは基盤技術研究促進センターでの二千六百八十四億円となっているという旨を記述したところでございます。

○又市征治君
 この次の二〇〇二年度において、そういう検査院報告は政府に反映をされ、あるいは産投勘定は改善されたかどうか。
 そこで、今回、私は、前年度の検査院報告と同じ様式で一覧表を作ってみました。これは、お配り、行っていますか。
 産投勘定の出資先が三十五もありますから字が大変小さくならざるを得なくて見にくいんでお許しいただきたいと思いますが、欠損額の大きな順に並べてみました。
 一番は今出ました基盤技術研究促進センターで、欠損額は民間BSベースで二千七百四億円。この団体は、二〇〇三年三月、法律で解散をさせてしまったわけですね。欠損額の大半はそれで消えてしまったんですけれども、一部を継承したのが、この表でいいますと十九番、経済産業省の新エネルギー・産業技術総合開発機構と十五番の総務省の通信・放送機構、ここに一部継承されている。しかし、この二つの機構も、ごらんになったとおり既に欠損を出しているわけです。例えば通信・放送機構は三つの勘定を合わせて百九十三億円、欄外に書いておりますけれども、であります。
 私は、このことは昨年から、禁治産者が自分より大きな赤字を出しているつぶれた団体を吸収するなんてあり得ぬのじゃないのかと、こう指摘をしてきたんですけれども、そこで検査院にもう一つ伺いたいんですが、あのときの検査報告から一年たったごらんの表で、産投特会の出資金ばらまき体質というのは改革されたと言えるのかどうか、あるいは現在までを含めて検査院がいろいろと重ねて警告を発してきた案件が現時点でどの程度改善をされたというふうに検査院としては評価をされているのか、その点をお伺いします。

○説明員(石野秀世君)
 先ほど申し上げましたように、十三年度の状況ということについてはかなり中身に入りまして分析を行ったところでございますが、十四年度について十三年度同様の分析を行ったということまではいたしておりません。
 したがいまして、仮に、この中にあります、資本金に対する純資産額の比率であります純資産資本比率というものについて見ますと、若干、端数処理の方法によって若干の変動はあり得ようかと思いますが、十四年度の比率が十三年度を下回っているというものが全三十五勘定中二十四勘定ということでございまして、出資先の多くで今言いました純資産資本比率が低下している状況というものは見受けられております。

○又市征治君
 そこで、大臣にお伺いをするわけですが、今の検査院の指摘も含めて、遅々としてやはりこの改善がどうも進んでいない、こんな感じを受けてしようがないんですね。検査院の特集の後、財政審の特別会計小委員会報告もあったわけですけれども、その後どうも財務省に、手に戻ってからむしろ改革の規模やペースが落ちたんではないのかという感を私はぬぐえないんですよ。
 そこで、お伺いをしていくわけですが、一つは、先日、私への大臣の答弁で、投資の三分の一は回収しているからいいんだと、こういうふうにおっしゃった。端的に言うとそういうことなんですね。
 じゃ、BSで見た出資金の状況はどうか。この表の下の方を見ていただきたいんですが、BSが赤字になっていないのは三十五の勘定のうち下の方の七つだけなんですね。七つだけ。うち四つは銀行や金庫ですから、これはお金を貸して返ってくるのが正常な経営ですから当然のことなんですね。これが投資という言葉の文字どおりの姿かもしれません、銀行なんかに貸すというのは。あとの大多数、一番から二十八番までがむしろみんな欠損です。結局、産投勘定は大多数の赤字団体を主たる相手にして回収されない投資を毎年重ねているという、こういう構図になっているんじゃありませんか。この点、どういうふうにお考えですか。

○国務大臣(谷垣禎一君=財務大臣)
 委員が大変精密な資料を作っていただきまして、確かにこの資料の中にもございますように、三十五機関勘定の中の六機関、これは国庫納付配当が行われている。四四%というふうにこの前も申し上げましたけれども、それはそうなんですが、あと二十九機関は、機関勘定についてはそうなっていないと。
 誠に私は残念なことだと思っておりますが、これも出資回収不能ということではないと思うんです。将来のリターンを期待し得ることだろうと思っておりまして、ただ御指摘のように、産投機関のこの大半が収益を上げていないということが事実でございますから、各機関各省庁に対しまして、前回も御答弁を申し上げましたけれども、出資の実行であるとか決算であるとか、いろんな機会をとらえまして、モニタリングも行っておりますし、政策目的に沿った運営が行われるように要請しているという言葉の意味は、要するにこれは元々リターンが期待できないようなものにはこの資金は使えない、だけれども一般の民間に行わせるにはちょっとリスクが多くてきついなという、言わばかなり難しいところをねらっている制度であることも、委員がここのところを心配しておられるということは私もよく分かります。
 ただ、要するに政策目的に沿った運営をするようにというのは、やっぱりリターンというものを出すような運営をしてくれということは今までもこれは機会をとらえて要請をしてまいりました。
 それから、追加出資につきましても、収益性といった観点から、これまで以上に厳格な精査を行うようにしておりまして、十六年度予算につきましては、研究開発法人につきましても出資総額を縮減するというようなこと、あるいは外部有識者で事業評価体制というものを強化してもらうというようなことを工夫いたしまして、収益性の向上を何とか図りたいと考えているわけでございます。

○又市征治君
 もう一つ、大臣に伺いますけれども、今も出ましたが、政策目的なら赤字でもやむを得ないという、こういう言葉の意味についてですけれども。
 大臣のこの発言は、一般会計について言っているなら私はよく分かります。いずれにしても、福祉だとかあるいは道路だとか河川だとか、こんなのは直接リターンのない支出をこれは国民全体の税負担で行うのが一般会計なわけですから、そういう意味では分かります。ただ、ただし、それだけに国民の厳しい監視の目にさらされているというのがまた一般会計でもあると、こういうことだと思いますね。本当に正しい政策目的があり、赤字というか、リターンのないのを覚悟なら、元手になっている財源も含めて一般会計に戻して行えばいいんじゃないのかと、これは私はその点一貫して申し上げてまいりました。
 そこで、またこの産投から出資の法人三十五勘定の中にも一般会計から重複して補助金などの支出を受けているところもたくさんあるんじゃないですか、これ。あるいは、別の特別会計からも重複して出ている。例えば、新エネルギー機構へは、この表のほかに経済産業省が電源特会から補助金で四百七十二億円、これは今年度予算ですけれども、四百七十二億円、今年度予算で出しているわけですよ。
 まず、こうした、もうあっちへ行ったりこっちへ行ったり、また一般会計からも入れたりと、こういうことについてはもっと整理合理化を私はすべきじゃないのか。ここら辺のところを、せんだっても大臣も、やっぱりもっと厳しく特別会計全体をやっぱり見直して、切り込んでいくところは切り込んでいく、整理合理化をやっぱりしなきゃいかぬところはしていく、こういう答弁なさっているわけですが、今申し上げたこういう点で、産投からもう出資している三十五勘定の中でこういう重複など、こんなことやら、あるいは一般会計から出してきているとか、こんなのはもうちょっとやっぱり整理合理化すべきじゃありませんか。その点、どういうお考えですか。

○副大臣(石井啓一君=財務副大臣)
 お答えをいたします。
 先ほども大臣答弁いたしましたように、産投会計で出資いたします場合は、民間だけで十分にリスクが取れない場合、ただリターンは期待できると、こういうことでございますけれども、他方、補助金で関与をいたします場合は、当該事業の収益性のいかんにかかわらず、反対給付を求めることなく資金を交付するということで、両者の性格は基本的に異なっているということかと存じまして、どちらか一方に整理するというのはなかなか難しいかなというふうに考えます。
 ただ、この産投出資の機関で補助金を受けていると。これは当該機関の収益性を補完しつつ政策誘導を行うという趣旨かと存じますので、産投出資と補助金と両方受けているということについて、合理性はあるというふうに考えております。

○又市征治君
 言っている意味、もうちょっとしっかりいただきたいと思うんですが、前回、五月の十日ですけれども、大臣は、特別会計も含めて徹底した歳出合理化をしないと財政の持続性が達成できない、十六年度もやったけれども更に引き続いてこれはやっていく、こういう答弁や、あるいは各特会の性格をよく見ながら徹底的な切り込みを行っていきたいと、こんな答弁なさっているわけですね。
 こうした、今までなかなかこの決算でも特別会計というのは余りやられてこなかったということは、これは前の大臣も言いまして、ここらのところは、だから、もっともっと財政厳しい状況の中でやっていくべきだということで私はこれ取り上げているわけですけれども、今申し上げたように、是非、ここらのところは整理合理化やるべきものはもう徹底的に見直して切り込んでもらいたい、このことをまずしっかりお願いをしておきたいと、こう思います。

 そこで、次に移りますが、財政の原則はやはり何といっても単一会計であり、透明性の観点からも一般会計に集中するのが望ましいと。これは昨年四月の財政審特別会計小委員会でも出されている発言ですね。産業投資と銘打った特別会計で、政策目的と称して特定の財源をやっぱり費用対効果の評価もしないでどんどん注ぎ込む、聖域化の隠れみのになってしまっているという、こういう指摘がやっぱりあるわけです、専門家の中からも。私も、その点申し上げてまいりました。だから、塩川さんおっしゃったように、いわゆる「離れですき焼き」状態だと、こう言われていることの意味なんだと思いますね。
 政策目的という名で、特別会計による歳出を固定化あるいは既得権益化する、またそれを安易にするための特定の国家財政の囲い込みを、まずは隗より始めよで、私は、財務省所管の産投特別会計から率先してここらを見直しをやるべきじゃないか、こう申し上げているわけですが、この点について、大臣、いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 又市委員がこの問題に大変熱心に取り組まれているのは、私は心から敬意を表したいと思っておりますが、先ほど、私が政策目的だったら赤になっても仕方がないと言っているというのはちょっと誤解をされておりますので。
 私は、確かにこの制度は、委員が御心配になっているように、収益を上げろ、ただリスクはあるんだぞ、一般じゃやれないぞという、かなり難しいところをねらっている、なかなかその意味では難しい制度だということは私、認めておりまして、それだけに、委員のおっしゃるように、やっぱり費用対効果とか、おっしゃるような、何というんでしょうか、投下した資本が十分その効果を上げているかとかいうようなところはやっぱりきちっと見ていかないと、政策目的だから、難しいところをねらっているんだから、うまくいかなくてもいいんだなんという発想になったら、この制度は私はいかぬと。その点では、委員と全く共通の認識に立っているつもりでございます。
 ただ、もう、まず隗より始めろで、これやめろという御指摘でございますけれども、これは繰り返し申し上げておりますが、やはりある事業の目的によっては独立で、一つの特別会計にした方がいい場合というのは、これは私はあると思うんです。特に、出資の性格であるとか、それから財源の特定性であるとか、それから出資の管理といった点を踏まえますと、これは一般会計と区別して経理する合理性が私はあるんじゃないかと思います。
 それで、社会資本整備勘定に関しましては、無利子貸付事業のこれは原資であるNTTの株式売却収入、これは結局、国民共有の貴重な財産であるわけですが、最終的には国民共有の負債である国債の償還に充当する、国債整理基金特別会計に繰り戻す必要があるわけでございまして、こういった意味で、この会計は一般の公共事業予算などとは原資の性格がやっぱり異なるところが、私は、明確にありますので、区分経理する必然性があるのじゃないかというふうに思っております。
 ただ、繰り返しになりますが、難しいところをねらっておりますだけに、委員の御心配の視点というのを私たちも十分一緒になって厳しく見ていかなきゃならぬだろうと思います。

○又市征治君
 時間がなくなってまいりましたが、電源開発特会についてちょっと申し上げます。
 言うまでもなく、さんざん指摘されてきているんですが、巨額の不用額で、二〇〇一年度で二千六百億円、二〇〇二年度決算で一千三百五十七億円、検査院、財政審、行革推進本部などが口をそろえてこれは指摘をされてきました。
 なぜこれほどの不用額が生じるのか。原発の乱造計画について反省をせずに、地域住民に金をばらまけば建設が進むだろうという、こんな発想でこの特会にあり余るほどの地域住民対策費を付けたからと、こんなことだと思います。今、原発は大きな転換点に来ているんだろうと思いますが、ところが、役所はこれを反省しないで、逆に法改正でこの過去の不用額を資金というふうに名付けて、裏へしまい込んでしまっているわけですね。
 検査院に伺いますけれども、このような対応は検査院の指摘事項に正しくこたえるものと言えるかどうか、端的にお答えください。

○説明員(円谷智彦君=会計検査院事務総局第五局長)
 先生今お話しのように、平成十三年度の検査報告におきまして、電源開発促進対策特別会計の電源立地勘定において大変剰余金が多額に上っているということで、その発生要因を分析し、その剰余金の減少策などについて検討するよう検査報告に掲記したわけでございますが、その後、今お話しのように同特別会計におきまして周辺地域整備資金が設置されたということは本院も承知しておりまして、まだこれは設置されたばっかりでございますので、今後、この資金につきましても、その設置目的に沿って適正かつ適切に運営されているか、こういった点に着目しながら、引き続き検査をしてまいりたいというふうに考えております。

○又市征治君
 時間が来てしまいましたが、最後に要望だけ申し上げておきます。
 こうした、これ大臣にですが、こうした資金といった裏ポケットの乱造については、これも先日しました初回の議事録にありますけれども、ある委員が、基金、資金と特別会計の関係はどうなのかと、特別会計の裏側の資金においてより大きな規模の金が動いていると、こういう批判をされているんですね。
 各種の基金、資金は今どうなっているのか、これを合わせた国家財政及び各事業の実態をやっぱりむしろ公表をしてもらいたいと、こう思っています。また、特別会計の反省からも、今後、基金、資金と称する裏金を乱造しないように、この点についてもやはりしっかりとした指導性を発揮いただきたい。この点を申し上げて、答弁いただく時間なくなってしまいましたが、もし一言あればお願いしたいと思います。

○副大臣(石井啓一君)
 資金、積立金につきましては、各特別会計の目的や性格で様々なものがございます。例えば各種の保険事業につきましては、年度ごとに生じます保険の保険料収入額と給付額、このミスマッチを年度を越えて調整するということがございますし、また、一定の事業を行うに当たりまして、その事業の円滑な遂行のために資金を設置しているものもございます。
 ただ、財政審の昨年の提言におきましても、積立金等の保有高が一定の合理的な限度を超えている特別会計について、国全体の財政資金の効率化の観点も踏まえ、見直しを図る必要があると、こういうふうに指摘をいただいておりますので、そのような考えに沿った見直しを進めていきたいというふうに考えております。

○又市征治君
 終わります。