第161回臨時国会

2004年11月2日 総務委員会



(1)労働基本権制約の代償としての人事院の役割
(2)公務員制度改革を進めるなら労働組合の理解を得よ
(3)ILO勧告・国際労働基準を守らない日本
(4)国鉄労働組合の救済に手を尽くせ
(5)地方自治をないがしろにする地方交付税削減を止めよ


○又市征治君
 社民党の又市です。
 まず初めに、人事院にお伺いをいたしたいと思います。
 去る十月二十二日の衆議院総務委員会において我が党の横光議員が、わざわざ人事院の役割について、人事院が労働基本権制約の代償として、第三者機関としてやるべきことを見誤っているんではないかと尋ねたのに対して人事院総裁は、国民の御意見、納得性を得る、あるいは説明責任を果たすということが、代償機関の発揮ということよりは上位の規範ではないかと答えておられるわけですけれども、これは極めて問題のある答弁、こう言わざるを得ません。
 なぜなら、国家公務員法第三条の第二項では、人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の、勧告などなどをつかさどると、こうあるわけですね。それを根拠に公平中立の立場で調査をやり、勧告を出されている。もし別の規範でやるというんならば人事院というのは要らなくなる、こういうことだろうと思うんです。
 人事院の存在意義は、何といっても公務員労働者に対する労働基本権制約の代償機関であるわけでありますが、さきの答弁、そのことを否定されたように私は聞こえてしようがない。大変我が党でも問題にしています。何か公務員法とは別の規範に従うような答弁は、私は、極めて不適切であり、撤回をいただきたいと、こう思いますが、総裁から明快な答弁を願います。

○政府特別補佐人(佐藤壮郎君=人事院総裁)
 人事院の基本的使命として労働基本権制約の代償機能があると、しかもそれは大変重要な機能であるということは、私も大変よく理解しているつもりでございます。また、適切にその機能を発揮するということは人事院に与えられた大変大きな責務であるということは、常日ごろ私も胸に刻んでいるところでございます。
 十月二十二日の答弁で、国民の納得性を得ること、あるいは国民に説明責任を果たすことが上位の規範であるというふうにお答えいたしましたのは、私の念頭に憲法、特に第十五条の理念があったわけでございまして、その理念に基づけば、国民に理解を求める、主権者たる国民に理解を求めるということは大変重要であるということを申し上げたかったわけでございます。
 今先生御指摘のように、もしその表現が誤解を生むということでございましたら、私の不明の致すところでございまして、是非お許しをいただきたいというふうに思います。また、私の真意は今申し上げたとおりでございますので、御理解を賜れば幸いでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも、憲法に保障された労働基本権というものが公務員は制限されている、その代償機能が人事院にゆだねられているということをしっかり受け止めまして、与えられた使命を適切に果たしていく、また誠実に果たしていくということを申し添えさせていただきたいというふうに思います。

○又市征治君
 よく分からないんですが、不適切だったというお考えですね、そこは。そこのところ、はっきりしてください。

○政府特別補佐人(佐藤壮郎君)
 もし私の十月二十二日の答弁の表現が誤解を与えるということであれば、私の不明の致すところでございますので、おわびをしたいというふうに思います。

○又市征治君
 まあ、不適切だという、誤解を与えているというお話でありますから、実質的に撤回をなさったものだというふうに受け止めますが、いずれにしましても、総裁が替わることによってその機能が勝手に解釈変えられたら困るんですね。
 国家公務員法第三条は続けて第三項で、「人事院の決定及び処分は、人事院によつてのみ審査される。」、こういうふうに定めているわけでありまして、それほど人事院というのは独立性、中立性を保障され、また要求をされる機関であるということを総裁は当然十分に認識されているんだろうけれども、そういう立場からいうとそんな答え出てくるわけがないんでありまして、国民の納得性とか理解というのは、国会という場にあなた方が勧告なさって、国会が論議するのがその場所なんですよ。そこ、誤解のないようにしてもらわぬと、単なる一政府の機関になっていってしまう、そういうことではないと思うので、そのことを是非申し上げておきたいと思います。

 次いで、先ほど来同僚議員からも出ていましたが、公務員制度の問題について二点ばかりお伺いをしておきたいと思います。
 そういう意味では、公務員制度、あっちへ行ったりこっちへ行ったりという格好に右往左往しているという状況があるわけですが、いろいろと軌道修正された結果、当面残された課題二つのうち一つは、今も出ましたけれども、新たな評価制度だとなっているようですけれども、評価制度の導入に当たっては当事者たる公務員労働組合の納得を得ることがもう当然不可欠、これは麻生大臣も先ほど来、そのことをおっしゃっているわけですけれども、麻生大臣は民間の経験を踏まえておっしゃっていますが、民間企業の場合は、そういった評価制度だとか人事考課制度を導入したり、あるいは改定しようとする場合は、労働組合とやっぱり徹底して交渉し、あるいは協議を行って実施に移していく、こういうことだろうと思います。
 公務においても新たな評価制度の導入に当たってはこれは当たり前のことであって、評価基準を始め制度設計については十分に公務員労組と協議することが必要だと思うんです。これはもう麻生大臣からも答えが出てしまっているんですが、だけれども、どうもこれがなかなかうまくいっていない。この点、何度も私も取り上げてきたんですが、これ、担当している内閣府の考え方は、行革担当の方はどういう考え方ですか。

○大臣政務官(江渡聡徳君=内閣府大臣政務官)
 お答えさせていただきたいと思います。
 今回の新しい評価制度というのは、もう委員も御承知のとおりだと思うわけでございますけれども、職員の能力、実績を的確に把握することによりまして......

○又市征治君
 制度説明はいいんです。制度説明はいいです。

○大臣政務官(江渡聡徳君)
 はい。

○又市征治君
 制度説明は要りませんから、話合いはどうなっているんだと。

○大臣政務官(江渡聡徳君)
 はい。ですから、この新しい評価制度というのを本当に有効に機能させていくためには、やはり職員の理解と納得性を高めていくというのがこれが何としても重要なことだと私も思っているところでございます。ですからこそ、職員団体とは引き続き幅広く意見交換を行っていく必要があると考えているところでございます。

○又市征治君
 どうも聞いているとなかなかそこがうまくいっていない。そういうふうに四角四面にお答えになるんだけれども、実際はどうも管理運営事項だとか、そういう話で話がうまく進んでいっていない、こういうのを聞くわけで、今ほどお話しになったように、あるいは先ほど麻生大臣からお答えのあったように、これは重要な勤務条件でありますから、しっかりとそういう点では労働組合側と話合いをして、その理解と納得の上にやっていきませんと、この公務員制度改革なんてすっ飛んでしまう、このことを改めて申し上げておきたいと思います。

 あわせて、今度は大臣、先ほどの延長になりますけれども、例の大綱路線というのは各省も大変反発があって、そして労働組合との話合いも進んでいないわけですね。話合いが進まない実務上の要因というのは当局の内部で中身の検討が進んでいないこともある、こういうことであります。組合側から聞いてみますと、能力等級制度だけ見ても、基本的な質問を組合が再三行ったにもかかわらず、まともな回答が全く寄せられていない、こういうことなんですね。実に不誠実な対応だろうと思うんです。で、先ほどのような答弁に実際はなっている。そんな答弁でしっかりやられているのならば、もうとっくの昔に進んでいるはずだ。
 日ごろから公務員制度に大変関心をお持ちになり、また公務員全般についての責任を持っておられる総務大臣、今のこの政府の進み具合、公務員制度改革大綱というものはそういう格好で軌道修正を一応されてきたんですけれども、一向に進んでいかないこの状況も含めて、どのように認識をなさっているのか、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 今言われましたとおり、これは法制化に向けていろんな形で検討が進められているんだとは思うんですが、又市先生、これはしょせん、こちら側におります役人なんて労働組合との団体交渉なんかやったことない、あるのいないんだもん。それがいきなり、おい、やれと言われて、それはなかなか、又市先生の顔なんか見てびびっちゃって、何も外へ、外へ進まぬわけですよ。だから、なかなかそんな簡単には、これは僕はそう思いますね。組合って聞いただけでぱっと下がる人っていうのは一杯いらっしゃいますから、何となく私のように組合といったら親しみを込めて行けるなんていうのは、それはかなり特殊訓練を受けたか、よほどそういった経験がないとなかなかそんな簡単には、鬼の全逓と言われた全逓と、今JPUとか名前変えてぱっと変わったから雰囲気が良くなったかといえばそんな簡単には変わらないんですけれども、でも一応JPの方たちと話をするなどというのはなかなか、結構度胸が要るんだと思いますよ。
 だから、そういった意味では僕は、この種の話はいろいろ、今方向としていろいろな努力はなされているんでしょうけれども、ちょっと時間が掛かるだろうなというのは正直なところではあります、私ども見てて。何回か付き合ったことありますので、なかなか、机挟んでなかなかしゃべりにくいからちょっとという、お互いに親しみを持って話し合えるところまで行くのになかなか、民間上がりだとともかくも、お役人さんしか経験ない方がいきなり組合と言われても、組合って聞いただけでなかなか難しいところあるのかなという感じはしますので、今いろいろ、この二年、二年ぐらいのところかな、いろいろ結構あちらこちらでやっておられる話は聞いていますけれども、なかなかこうと、いくところがいま一つかなという感情、気持ちは分かるんだけど、これは又市先生、感情問題もあるから、なかなかそんな簡単にはいかないんじゃないかなという感じは私の見た範疇です。
 だから、いずれにしても、これはいろいろ組合のレベルとの、いろんなレベルにおいて、組合長と人事課長というんじゃなくて、いろんなレベルでの意見交流をやらぬといかぬところなんだと思っておりますので、これはそれこそ内閣官房をいろいろ中心に、江渡先生いろいろ努力しておられるんだと思いますけれども、やっぱりそこらのところはかなりな努力が要るだろうなという感じが率直な実感です。

○又市征治君
 公務員制度全体をつかさどる大臣ですから、大所高所から目配りもいただき、また助言もしてもらって、私は、今大臣そんなふうに、何か労働組合はおっかないみたいにおっしゃるけど、私はそうじゃないと思いますね。私なんかは逆にえらいおとなしいなと、こう思うんですが、いずれにしてもやっぱり話をまともに、やっぱり回答を求められたら回答しなけりゃ話が進むわけないんであって、で同時に、私はもう一つ認識の問題があると思うんです。

 したがって、そこで少しその認識の問題についてこの後お伺いしたいんですが、これは少し、所管でいうと厚生労働省になるんでしょうか。
 この十二月に、日本で初めてですけれども、宮崎で国際自由労連の世界大会が開かれますよね。これ、多分かなり大規模なものになるんですが、総理大臣も出席をして歓迎スピーチをなされるだろうし、また当然......(発言する者あり)いや、ILOじゃない、国際自由労連、国際自由労連の大会なんです。当然その国際自由労連の責任者ともお会いになることだと思います。そこで当然、公務員労働者に労働基本権を与えよという二度にわたるILO勧告に基づいて一体全体日本政府はどのように対処をしているのか、このことについて問われるし、また総理もそこでスピーチをなさる場合に当然そのことに触れざるを得ない、こういうことになるんだろうと私は推測をしているわけです。
 さっきからも出ていますけれども、内藤さんからも出ましたが、OECD二十八か国の中で韓国も労働基本権の付与、これは変わりました。そうすると、この二十八か国先進国の中で日本だけが結局は公務員の労働基本権を何も認めていない、こういう格好になるわけで、ILO問題を所管する厚生労働省としてはこういう国際情勢についてどういうふうに認識をなさっておるのか。これ以上私は勧告を、ILOの勧告を受入れに躊躇すべき時期はもう過ぎてしまっている、こう思うんですが、その点についての考え方をお聞かせ願いたい。

○政府参考人(長谷川真一君=厚生労働大臣官房総括審議官)
 御質問の国際自由労連の世界大会でございますが、本年十二月に宮崎県で開催されると聞いております。こうした大会が、我が国においてはもちろん、アジアにおいては初めて開催されるということで、大変意義深いものだというふうに考えております。
 公務員に、公務員に対する労働基本権の付与の問題でございますが、これはまず、国内において政府と関係者が真剣な話合いを行うことが重要であるというふうに認識をしておりまして、厚生労働省としても、現在、関係行政機関、労働組合の間で協議が行われているものと承知しているわけであります。
 なお、OECD諸国の公務員制度、まあそれぞれ様々でございまして、日本だけが公務員に労働基本権を付与していないわけではない、それぞれの国の事情、それぞれ違いますけれども、そういうことではないというふうに認識はしております。
 いずれにいたしましても、ILOから公務員制度改革に関する勧告が出ておるわけでございまして、このILOの直近の勧告の中では、公務員制度改革を進めるに当たっては労働組合側と交渉協議を行うよう求められているところでございまして、先ほども申しましたように、国内において政府と関係者が真剣な話合いを行うことが重要と認識しております。

○又市征治君
 この機を逃さずに、政府全体としてやっぱりきっぱりと国際労働基準に倣っていくと。私も二年前ILOへ行ってまいりまして、調査へ行ってきましたけれども、OECDの中で国際労働基準を守らない日本、こういう格好で、むしろ労働側もそのことをOECDの場で言っていくと、こう言われているわけですね。やはり、きちっと労働基本権を国際労働基準に倣って認めていくということを、少なくともその方向で労使協議に入ることをやはり宣言するように強く求めておきたいと思います。

 もう一つ、この関係で、同じくILOから指摘されている国鉄労働組合の救済問題について政府側はどういうふうに考えられているのか、この点についてもお伺いしたい。

○政府参考人(梅田春実君=国土交通省鉄道局長)
 本件につきましては、政府といたしましては、大分昔のことでございますが、昭和六十年に雇用対策本部を設けまして、関係各界、産業界等に採用の依頼を強力に推進いたしました。また、国鉄の改革後におきましても、再就職促進法等に基づきまして、三年間にわたりましてJR各社等に対し追加採用の実施を要請するなど、万全の雇用対策を実施してきたところでございます。また、平成十二年には、当時の与党でございました自民党、公明党、保守党の三党と社民党との間で人道的観点から政治解決を図ろうとしたいわゆる四党合意というのがございまして、その枠組みの中で、与党の要請によりまして、政府といたしましても二年半にわたりましてJR各社あるいは関係労働組合など関係者との調整を図る、できることはすべてやってきたという認識を持っております。
 したがいまして、現状におきましては、政府が主体となって何か新しい措置を考える、講ずるということは極めて難しゅうございます。当面は関係者の動向を見ながら事態の推移を注視してまいりたいというふうに考えております。

○又市征治君
 この民営化問題のときに中曽根さんが何と言ったのか、あなた方十分知っているわけでしょう。少なくとも一人たりとも路頭に迷わせないと、こう言ったんですよ。
 現実に千四十七名という人々がどこにも就職できないで路頭に迷わされたじゃないですか。そのことをどうするかが問われているときに、全部手を尽くしましたと。冗談じゃありませんよ。だから、今ILOにそのことが訴えられて、二回にもわたって人道的問題から政治的にやっぱり解決を図るように、関係者の話合いをするように言われているときに、何もありませんという話がどこにありますか。そういう感覚が問題だと言っているんですよ、今ILOの場でも日本の政府の対応について。そういうふうに言われているんですよ。
 ここではまあそれ以上議論をする場がありません、時間がありませんから、やはりこのILO勧告に基づいて速やかにやっぱりこたえるように、そのことを精一杯努力するように、今日のこの場では強く求めておきたいと思います。

 時間がありませんので、最後に総務大臣に、改めてこれまた念押しみたいな話になりますが、地方財政問題です。
 今年度の地方自治体の予算編成というのはまあ惨たんたるものだったというのは、先ほど自民党の森元さんからも話が出たんですけれども、理由はただ一つ、総務省が密室の決定によって一兆円を超える大規模な地方交付税の削減を抜き打ち的に決められた。こういう態度では、総務省は何のためにあるんだ、やみ討ちだと、こう自治体から抗議が殺到したのは、まあ私はけだし当然だと思う。春になって総務省はこれを反省されたのか、交付税は向こう二年間総額を維持すると軌道修正されたわけですが、遅かりし由良之助みたいなものですけれども。歴代大臣は地方交付税を守るんだと、こう言いながら、現実にはそうなっていない、こういう面がある。
 先ほども出ましたけれども、今回も、七兆円から八兆円の過大計上があるという財務大臣の主張を受けて、四日前の二十九日、財政制度審議会では、またまた交付税の総額抑制を建議に盛り込む見通しだと、こんなふうに報道されている。
 こういう状況に対して、大臣はこれを守っていくためにどういう決意で臨まれるのか。本当に地方自治をないがしろにするような、このような政府内部の、一部まあ財務省側がそういう中身なんでしょうけれども、これに毅然とした対処を願いたいと、こう思うんですが、その決意のほどをお伺いしておきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)
 先ほども御答弁申し上げましたように、この七兆円とか八兆円とかいう話が急に四、五日前出てきたと思いますけれども、この数字は昨年のマイナス一二%の約倍ということになりますんで、これは極めて非現実的で、三十兆の国債は直ちにやめろみたいな話ですから、それはとてもではない、現実的な話ではないと、基本的にはそう思っております。
 少なくとも、今回の三兆円の話に至りますまでのときには、少なくともいわゆる補助金を地方税に振り替えたときにおきます、各地方公共団体におきます財政力の弱いところにおきます差が出ます分につきましては、交付税をもってこれを充てるというのを前提に、平成十七年度の概算要求におきましても、まあ種々の前提を置いてのいわゆる機械的に積算したものではありますけれども、基本的には一般財源総額というものを前年度同額程度ということで概算要求には既に提出をいたしておりますんで、私どもといたしましては、地方からの出されたこの補助金の削減案というものを真摯に受け止めるというのであれば、それに対応すべきなのは当然だと思っております。
○又市征治君 終わります。