第161回臨時国会

2004年11月26日 本会議



(1)弱者救済・経世済民に立ち返ることが政治の役割
(2)年金財源捻出に特別会計にメスを入れよ
(3)5千億円見直したと言う一方で、8兆2千億も増額
(4)国債償還ではなく公共事業に回した株売却益10兆円
(5)特別会計改革で3〜7兆円の捻出が可能
(6)イラクに駐留する自衛隊は期限内に撤退させるべき

○又市征治君
 参議院改革の一環として、決算審査の重視と予算への反映の努力が進められてまいりました。しかし、問題は、その努力が政府によって国民生活に役立つように改革されているかということであります。
 そこで、私は、社会民主党・護憲連合を代表して、小泉総理に質問をいたします。

 小泉政権三年七か月の苛烈な構造改革の下で景気は低迷を続け、昨今、景気回復の声もはや中折れ状態とこう言われて、中小企業やあるいは勤労者は依然立ち直れない、そういう状態が続いています。
 例えば、完全失業者は常時三百万人を超え、非正規雇用が一千五百万人にも膨れ上がり、過労死や疾病者が増大をし、年三万四千人の自殺者が出ています。勤労世帯の収入は六年連続で低下し、自己破産も年二十三万件に上り、生活保護基準以下と言われる年収二百万円以下の世帯が一七%にも拡大しています。他方で、年収二千五百万円以上の高額所得層が増え、社会は二極分解しています。
 そこで、総理に伺います。
 弱肉強食は資本主義経済の本質であるからこそ、今、弱者救済、経世済民に立ち返ることが政治の役割、為政者の本分ではありませんか。まず、総理の哲学を伺いたいと思います。

 次に、こうして格差の拡大、競争社会が進み、現在と将来の生活に不安を訴える人の割合がかつてなく拡大している中で、今、国民の最大の関心事はやはり年金問題です。信頼を取り戻すには、税方式を強めるしかありません。その財源を何に求めるか。
 国民から遠いところで、政府が専断執行している特別会計にまずメスを入れるべきで、これは二〇〇二年度決算に対する参議院の全会一致の要請決議にも盛り込まれているところであります。政府は今年度五千億円見直したと言いますが、他方で八兆二千億円の増があり、特別会計の肥大化批判にはこたえていません。
 総理は、特別会計の見直しを度々約束をされていますが、来年度具体的にどう見直されるのか、お得意の数値目標など交えてお示しいただきたいと思います。

 第三に、私は、産業投資特別会計について繰り返し批判をしてまいりました。一昨日、二十四日の毎日新聞社説が全面的にこれを取り上げています。NTT株の売却益十兆円は、本来、国債の償還に使うべきであるのに、財政当局はこれを公共事業の融資に使い回してきました。
 総理、政策の誤りとして財政審報告も事実上の廃止を求めたこの産業投資特会について、なぜ温存を許しているんですか。明確にお答えいただきたいと思います。

 また、道路、空港などの五つの公共事業特別会計は手付かずであります。事業ごとに特別会計で囲い込む聖域化が国民の目をくらまし、無駄な公共事業の肥大化や巨額の繰越しを許してきたわけです。道路特定財源の使途を環境保全に転用するといった改善も含めて、透明化すべきだろうと思います。

 公共事業特会や電源開発特会の繰越しや不用額の縮減、そして前述の特会からの投資の廃止を合わせれば、年額三兆ないし七兆円を年金財源等に捻出することは可能だろうと思います。これは、国民福祉と財政改革を直結し、分裂した社会の再統合につなぐ本当の改革であり、国民各層がこぞって歓迎するだろうと思います。総理にこの発想はないかどうか、お伺いをしたいと思います。

 最後に、二〇〇三年度は、小泉政権がイラクに土足で踏み込んだ年としても記憶されました。四月に米軍がフセイン政権を武力で転覆し、日本政府は、七月にイラク特措法を強行成立をさせ、十二月に自衛隊派遣の基本計画を策定、二〇〇四年一月から派遣を開始し、現在まで継続しています。
 しかし、「自衛隊のいるところは非戦闘地域」などという、能天気な言葉遊びどころか、イラク全土が戦闘地域というのが世界の常識であります。
 また、医療、公共事業、水といった自衛隊派遣の目的は既に達成されたり、ほかの主体による方が合理的であることも明らかになっています。
 特措法に照らしても、十二月十四日の期限に撤退をさせるべきです。それとも、自衛隊員や一般国民をこれ以上犠牲にしなければ撤退させないおつもりでしょうか。総理の勇気ある決断を求めます。
 以上、二〇〇三年度決算審査の皮切りの代表質問といたします。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 又市議員にお答えいたします。
 政治の役割についてでございますが、最も大事なことは、自ら助ける精神、自ら律する精神、国民のやる気、これをいかに引き出すような環境を整えるかが政治で最も大事なことだと思います。そして、自ら足らざるところをお互いが支え合う、そして国が、必要な、支え合うような制度、環境を作っていく、これが政治として最も大事な役割だと認識しております。

 特別会計の見直しの考え方、特別会計の不用、繰越し等についてのお尋ねでございますが、昨年来、すべての特別会計を対象として事務事業等の見直しを徹底的に進め、十六年度予算においては単純に合計すれば五千億円以上の見直しを行いました。さらに、今月十九日には、財政制度等審議会において、NTT株式売却収入を活用した無利子融資制度は原則廃止し、償還終了時に産業投資特別会計の社会資本整備勘定を廃止するべき等、個々の特別会計の実態に即した提言がなされました。

 今後、平成十七年度の予算編成において、産業投資特別会計についてこの提言を踏まえた対応を行うとともに、各担当大臣に不用、繰越しの発生要因なども含めた各特別会計の性格に応じて中期的な抑制の目標等を作らせ、一般会計からの繰入れも抑制するなど、温存を許すことなく一層徹底した見直しを行ってまいります。

 自衛隊をイラクから撤退させるべきだというお尋ねでございますが、私は、アラウィ首相、ハッサーニ・ムサンナ県知事やサマーワ在住の方々から直接お話を伺い、自衛隊による人道復興支援の活動が現地でも高い評価を受けており、引き続き駐留することへの期待が大きいと認識しております。

 また、サマーワ周辺については、現時点で非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えていないものの、この地域を含めてイラク全土について邦人退避勧告が出されていることからも分かるとおり、現在のイラクは、民間人による本格的な支援活動ができるような状況にはないと認識しております。

 派遣期間が終了する本年十二月十四日以降、イラクにおける自衛隊の活動をどうするかについては、国会における議論、その時点における国民世論の動向にも配意しつつ、イラク復興の状況、現地治安情勢等を総合的に検討して適切に判断してまいりたいと考えます。