第162回通常国会

2005年2月10日 決算委員会



(1)会計検査院による支出の検査
(2)検査結果の予算編成への反映


○又市征治君
 冒頭、指名いただきましてありがとうございます。社民党の又市です。
 両参考人に感謝を申し上げたいと思います。
 時間が短く限られておりますので、片山参考人にお伺いをしたいと思います。
 アメリカ、イギリス、ドイツの会計検査院を比較されておられる論文、「調査と情報」四百三十四号ですか、興味深く読みました。その中で、ドイツの検査院の助言活動に絞ってお伺いをしたいと思います。
 片山さん、この中に書かれておる中で、脚注で、ドイツは我が国会計検査院制度の言わば母国である、日本国憲法第九十条は明治憲法第七十二条を継承したもので、プロイセン憲法第百四条と非常によく似ている、とありますね。これは戦前だけのことなのか、一九六九年の改正によって、事後検査だけではなくて事前検査にも改正されていますけど、それと関係があるのかどうか。もっと言えば、日本国憲法第九十条の下でも、この六九年改正のような事後検査だけではなくて事前検査が可能だというふうに思っておいでになるのかどうか、ここのところが一つ。
 もう一つは、この助言活動の大きな問題として、政府の大きなプロジェクトや調達案件というふうに言われているんですが、日本でいえば、この大型なプロジェクトということでいいますと、すぐ思い付くのは新幹線であるとか、あるいは高速道路であるとか、さらには都市再生という名の再開発、あるいは今大変大きな問題になっています、ミサイル防衛システムであるとかなどなど、こういうのが思い付くわけですが、ドイツではどういう案件が事前検査に供されてきているのか、また、その結果、予算編成段階や執行段階で大きく修正をされた、そういう事例などというのは、いろんなことあるのかどうか、そういう点少し、具体的にあったら教えていただきたいと、こう思います。二点です。

○参考人(片山信子君=国立国会図書館参事)
 まず、前段の憲法の規定についてなんでございますが、大日本帝国憲法の規定が一八五〇年のプロイセン憲法に非常に似ているんでございますが、その六九年の基本法改正以前の条文はプロイセン憲法に似ているんですけれども、六九年で大きく変わりまして、言葉の上で「決算並びに予算の執行及び経済運営の経済性及び秩序の正しさを検査する。」という言葉に変わりまして、「予算の執行及び経済運営」という言葉が憲法上に入っているんですね。今、日本の憲法にはそういった規定はございませんので、いわゆるドイツの助言活動のようなものはちょっとできないと、憲法上、私は思います。
 後段の方の、具体的な助言活動を通じてどういうプロジェクトが実際に会計検査院の活動の結果やめたかとか、そういった具体的な事実については、申し訳ないんですけれども、この場ではちょっと分かりません。

○説明員(真島審一君=会計検査院事務総局事務総長官房総括審議官)
 まず第一点、私どもの検査というのについて、事後検査というふうに通常言われておりますけれども、院法上は常時検査ができるということになっていますので、例えば契約を終わった段階であれば支出を待たずに検査できますし、現に検査をしておるということです。
 それから、事前検査と今おっしゃいましたけれども、いわゆる一般的な執行前の検査というのはほとんどの主要国では行われていない。それはそれなりに理由がありまして、やはり監査人というのは意思決定に離れたところにいないと監査ができないと。人によってはクリーンハンドの原則と称しておりますけれども、そういうことから、一般的に言えば契約前の検査というのはなかなかしにくいというふうに言われています。
 ドイツの場合にどういうことが行われているかと申しますと、具体例をお伺いしたことがあるんですけれども、新しい軍用機を調達する場合に、あるいは新しい建物を建築する場合に助言を求められることがあると。ただ、助言を求められてから結果を報告するまで二、三週間のものもありますけれども二、三年掛かるものもあるということで、実際、その予算に対してどういう影響を持っているかというのはちょっと分かりかねるところではあります。
 ただ、一般的に申し上げまして、事前検査というのは、例えば新しく国が興ったときによく事前検査の制度を取り入れている例はあるんですが、ほとんどの場合機能しないといいますか、弊害が多くて取りやめているというのが世界的な経験と言えようかと思います。
 ただ、予算への反映といいますか、そういう面では、私ども、例えば主計局の方と検査結果を事務的に打合せをしたりして、それなりに予算に反映されるように努めているという努力は積み重ねております。