第162回通常国会

2005年3月1日 決算委員会



(1)癒着・利権化・浪費の電算システムを見直せ
(2)国民年金保険料の納付率低下の要因
(3)企業サイドからの厚生年金の空洞化


○又市征治君
 社民党の又市です。
 今日は社会保険庁の情報システムについて多くの委員から御指摘がありました。
 そもそも、電算システムは、開発やメンテナンス、また更新のたびに何百億という金が動くわけでありまして、今ほども指摘がありましたように、NTTの問題で言うならば約八百億と言われていますが、実際は、今、私、資料を配らせていただいていますが、NTTだけではなくて、この社会保険の関係だけで五件でしょうか、五件、一千百億という金が動いているわけですね。こういう格好で業者との癒着であるとかあるいは特定業者の縄張り化というのが生じる、かねがねこんなことが言われてきたわけです。
 社会保険庁以外の、先ほどからずっとありましたから、今日は私は全般的なことで言いますけれども、社会保険庁以外の行政部門にも大変このことは多く見られるという状態です。

 特許庁の例は既に知られておりますけれども、契約は社会保険庁と全く同様で、データ通信業務を介してNTTデータ一社に握られていたわけで、解約するならいわゆる残債二百七十七億円を耳をそろえて返せという正にサラ金まがいの言い分であったわけで、それでやっと昨年四月に特許庁は解約をしたわけですね。
 その他の例は私は今日は省略をいたしますけれども、政府は十億円以上のもの、三十六の大規模システム、年額三千九百億円余りについて刷新可能性調査というのをやっているわけで、今お配りした資料、これは十億円以上のものだけですよね。ほとんどの全省庁にわたって巨額で長期にわたる随意契約であるとか不必要な契約も結ばれているという状況です。相手は言ってみれば一握りのいわゆるITゼネコンというふうに言った方がいいのかもしれませんが。

 そこで、総務省は電子政府を進めてきた側でありますから、こうした長期間の随意契約、また一方的に不利な、解約もできない契約であるとか、利用効率そのものがはっきりしない無駄遣いのITシステムについて横断的に監視する責任がありますね。
 そこで、一体どういうふうにこのことについて見直し問題などというのは指導なさっていくつもりなのか、考え方なのか、もう一度改めて明確に示していただきたいと思います。

○政府参考人(藤井昭夫君=総務省行政管理局長)
 今委員から御指摘のあったように、レガシーシステムについてはいろいろな問題があるということで、現在、電子政府構築計画というものを推進しているところですが、その中で、レガシーのみならず、その主要な七十七分野のシステムについて、全体、まず民間の専門家も交えた刷新可能性調査というのをやっていただいて、その上でその最適化計画というものを作って、それの計画に沿って是正していただくということを推進しているというところでございます。
 特に、レガシーシステムの問題点というか、改善を要する点ということについては先ほどの、若干重複するんですが、固有の問題としてはやっぱりメーンフレーム、汎用機のオープンシステム化とか、あるいは先ほど来も御指摘ございましたようなデータ通信サービス契約そのものの問題がございますようですので、それの見直しをしていただくとか、あるいは基本的には随意契約から競争契約へ移行していただくとか、そういうようなことの改善を図っていきたいと考えております。

○又市征治君
 これ以外にも、今ここに数字で出ているのは十億円以上のものだけですよね。したがって、各省の直接発注でなくて外郭団体からの発注ということでこの表に載っていないものもありますし、十億円以下のものもある。
 例えば、総務省の例でいうならば、住民基本台帳システムなどというのもあるわけであって、同様な無駄あるいは利権化があるんじゃないかと、こう言われているわけです。
 当面、損を覚悟で解約をするとか、あるいはそういう意味で改善をした特許庁のような例もあるわけですし、ほかのところでもやり始めたということがあるわけで、総務省は全省庁にやっぱり改革を促していく、この努力をしっかりやってもらいたいし、外郭団体についてもきちっとやっぱり目を配るべきであろうと、私はそう思います。
 ただし、先ほども局長、話があったように、レガシーというのは旧式だとか遺物だとか、こういう意味で使っているわけだそうですが、単に古いシステムだから変えるというだけだとすれば、これはまたまたIT企業の言いなりになって新規投資をさせられるだけになってしまうわけですから、これはIT絡みの癒着と浪費は社会保険庁だけじゃない、全体的にそういうことがあるという立場でしっかりとこれについて取組を進めていただくように、このことについてはこれはもう注文だけ申し上げておきたいと思います。

 ところで、今日は社会保険庁等ということになっていますから、社会保険庁の問題に私もそのまま行くんですが、年金問題、続いて行きたいと思いますが、国民年金の空洞化を招いた最大の要因は、身近な市町村で行っておった社会保険関係の事務を平成十四年度から国一元化をして住民から遠ざけたことにある。このことは、実は昨年の三月、私、坂口前大臣に御質問をいたしました。坂口大臣の答弁。地方でおやりいただいておった方が非常に丁寧で効率的であったことだけは間違いがありません。今、国でやっているわけでありますが、地方の何分の一かの勢力になってしまうわけですと。こういうふうに、事実そのことをお認めになっている。
 そこで、効率の低下の問題について、今日は大臣がおられませんから、次回のためにちょっと数字だけお伺いをしておきますが、端的に、これは運営部長ですか、お答えいただきたい。三点お聞きをします。

 一つは、国の事務の窓口がそれまで三千三百か所、つまり自治体に委託していたわけですから、そこから先ほど話があった三百十二か所に減ったと。また、市町村の担当者、約一万二千人と言われた人々、これが関係がなくなった。専任徴収員二千人もいなくなった。このことに間違いないのかどうか。これが一つ。
 二つ目に、そのことが原因して、二〇〇二年度末、平成十四年度の国民年金の納付率は、一元化しない前年度よりも八・一%も下がって六二・八%、過去最低に下がったというふうに思いますが、その点、間違いがないかどうか。
 三つ目に、市町村等への交付金支出額を見ますと、約四百三十億円そういう意味では減らしたわけですけれども、それで、じゃ効率的になったかというと、実は未納額の方がべらぼうに増えた。けた違いに大きいわけですね。十三年度から十五年度の二年度間で未納二年以上の人の増加数は百十六万人ということになりますから、単純計算で未納額の増加は交付金の支出減の約四・五倍、一千八百億円、こういう数字として上がってくるわけですが、この点についても間違いないかどうか。
 以上について確認してください。

○政府参考人(青柳親房君=社会保険庁運営部長)
 順次お答え申し上げます。
 まず、国民年金保険料の国への一元化に伴いまして、三千三百市町村で一万二千人の体制になっていたものが三百十二の事務所に減ってしまったのではないかという点についての数字でございますが、確認をいたしますが、市町村において、平成十三年度においては保険料収納のために正規の職員が七千三百人、これに合わせて専任の徴収員という形で非常勤の職員が二千五百名おりました。これが十四年度に国に移管された時点で、それを代替するために国民年金推進員という形での非常勤の職員を配置することにいたしましたが、これが平成十四年度の段階で千八百五十八名、平成十七年度予算段階におきましても三千百八名にとどまっておるということ、これが第一点目でございます。

 第二点目。その結果として、平成十四年度の国民年金の納付率が六二・八%と対前年度比で八・一ポイントも下がったのではないかということでございますが、この点につきましては、この八・一ポイント下がったことの要因としては私ども三つぐらい事情があるというふうに考えております。
 その一点目は、平成十三年度には免除という形で行う手続は言わば各市町村ごとにそれぞれの御判断で免除者というものを決めておったと。しかしながら、十四年度に国の仕事に一元化されたことから、この免除基準を全国一律の基準に合わせざるを得なくなったと。この結果、十三年度には免除であった者が十四年度で納付対象になったと。この方々の納付率が低いということによる影響が約四ポイント分、全体の五〇%相当あるだろうと考えています。
 また、この納付率の低下は、実はこのときに初めて生じたものではなく、その数年前から傾向的に、段階的にトレンドとしてあったものでございますので、この平成九年から十三年の過去五年間のトレンドがそのまま継続したとすれば、約二ポイント下がったであろうということで、全体の二五%の影響がこれによるものではないかと考えております。
 最後に、その他、前年度と比較して大きく変化した事項として、お話のございました収納事務の市町村から国への移管、とりわけ民間の納付組織を利用できなくなったというようなことに伴うものが残りの約二ポイント相当分、全体の二五%程度の原因になっておるのではないかと考えております。

 最後に、三点目。二十四か月未納の方が平成十三年度と十五年度で比較した場合に百十六万人に増えたのではないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、先ほど申し上げました納付率の低下の影響がここに影響しているということでございまして、平成十三年度の二か月未納の場合の納付率、これのベースになる納付率はその一年前の平成十二年度の七三%と平成十三年度の七〇・九%でございましたが、平成十五年度の四百四十五万人という、二年間、二十四か月未納の方のベースになる納付率は平成十四年度の六二・八%と平成十五年度の六三・四%が背景にございます。
 この間の納付率の低下ということがこういった未納者の増大というものに影響を与えたというふうに私ども考えております。

○又市征治君
 その数字だけ言っているとそうなんだが、問題は、百十六万も減ってきて、現実に市町村に交付していた金を減らしたけれども、四・五倍も現実には今度は金が入ってこなくなっているじゃないかということを申し上げているんで、そこのところをちゃんときちっと答えてもらわにゃいかぬ。
 それから、免除基準、大きなポイントだと言うけれども、たった九十九万だけじゃないですか。そんなに四ポイントも下がるという数字にならない。そんなことはどうでもいいんですが、これはこの後の、今日はこの程度をお聞きしておいて、この後、決算委員会の中でもこれはお聞きをしてまいります。

 そこで、このほかにも問題があるわけで、例えば、さっきも出ていますけれども、例えば各県庁の中にあった年金課、保険課、こういうのが全部外へ出たわけですよね。全部一等地のビルの中に入ったわけでしょう。そういう格好で、無駄な金が、今まで要らなかったものが年間二十二億円余り出ていっている
 あるいは、市町村と協力をしてやっていたために要らなかったのに、推進員三千百名、今話があったけれども、これで七十億円の予算を組まざるを得ないと。こういう無駄な、これで九十億円余り余分に出ていっている支出もあるわけですよね。

 やはり住民の実情を本当に熟知している市町村に戻すことが、本来ならばこの国民年金の未納率を下げるという、未納率そのものを解消していくという意味で大変重要だということを今日改めて申し上げたいし、これは、村瀬長官、是非、先ほどもお話がございましたけれども、この年金のシステムというものを本当に残していくために、社会保険庁がどうなるかではないと、こういうお話もございました。本当の意味で国民が安心をしていけるそういう年金制度をつくっていくためにどういうシステムがいいのか。出直し的な改革ということも言われているわけですけれども、本当に、そうした市町村との関係、こういったことも含めて是非検討をお願いをしておきたい、これがまず第一点。

 二つ目に、国民年金納付率低下の原因もそうですけれども、社会保険も金集めだけで、地域の自治体や事業主あるいは働く労働者、年金受給者などに根差した運営になっていない、こういうことがあるんじゃないのか、だから無駄や浪費がチェックされないできた、こういうこともあるんではないか、私はそんなふうに思います。
 例えば県レベルでいいますと、保健所だって、その保健所の単位ごとに保健所運営協議会なんというのは住民と一緒につくっているわけですね、そういう格好の中でやられている。社会保険事務所という住民に近い単位をもっと活用して、その意味では地域の各層の代表の意見を定期的に聴く、そういう意味でのこの事業運営協議会的な、利用者参加の機構というものを設けて、また監視の役割も果たしてもらうようにすべきではないか、こんなふうに思うんですが、その点、この二点について。

○政府参考人(村瀬清司君=社会保険庁長官)
 市町村との関係でございますけれども、先生おっしゃるように、極めて重要な問題だというふうに考えております。ただ、一回、納付組織等も含めて市町村の要員が分散している中で、収納業務そのものを市町村に今のままで移行できるかどうか、これはやはりよく検討しなきゃいかぬ問題だろうと思います。
 当面、私どもとしましては、国保との連携をしっかり検討しまして、国保との関係と年金との関係をどうリンケージさせながら収納対策を講じていくか、ここについては新しいプログラムをつくって協力的にやっていきたいというふうに考えております。
 一方、地域との密着という観点で、先生から御指摘ありましたように、緊急対応プログラムでも御指摘しておりますように、サービス改善委員会というものを各事務局単位でつくりまして、地域の住民の皆さん、関係団体等とサービス改善という観点から一緒になって取り組む、こういう形を考えておりまして、これがうまくいけば、先ほどおっしゃいましたように、事務所単位まで拡大をして展開をしていくと。こういう形で、まず第一段階としては事務局単位でしっかりしたものをつくり上げたいと、このように考えております。

○又市征治君
 次に、これは厚生労働省にお伺いしますが、国民年金の空洞化には、もう一つ、非正規労働者の増加とその未納、未加入問題も私は大変大きい要素としてある、こういうふうに思います。低賃金と身分が不安定なことがその要因ですけれども、企業の、雇い主の責任逃れ問題がこれまたあると思うんですね。
 つまり、人件費や社会保険料の事業主負担を逃れようとして、正社員を切ってパート、臨時あるいは派遣社員などというものに置き換えていく。企業サイドからの厚生年金の空洞化も進んでいる。こんなことはもう時々マスコミにも載っています。もう全部、厚生年金掛けるのやめた、国民年金に入れという事業主が出てきている、こういうのがあるわけですね。
 こうしたことを許してはならないわけであって、これは一体全体、厚生労働省としてはこの問題の対策はどのようにしようとしているのか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(青木豊君=厚生労働省労働基準局長)
 いわゆる非正規雇用と呼ばれるものには、有期契約の労働者でありますとか派遣労働者など様々な形態がございます。
 例えば有期労働契約について申し上げれば、平成十六年の一月一日から労働基準法が改正されて施行されております。その中では、労使双方から、有期契約労働者を良好な雇用形態として位置付けて、ニーズに合って、選択の幅を広げるという意味で考えていこうということで、有期労働契約の上限などを一年であったものを三年にするとか、あるいは六十歳以上の人については五年まで、雇用確保という意味合いもありますので、延ばしたりなんかしているところでございます。
 ただ、こういった方々は一方ではおりますけれども、非正規雇用へのおっしゃったような切替えだとか、そういうことで、まあ労働契約ですから、労使双方が合意をしてやっていくということが基本でありますが、その中で、それをめぐって、むしろかえって個々の労働者の方と事業主との間に紛争が発生するというようなことがございます。まあそういう場合には、私どもとしては、やはりそういう紛争をきちんと解決していくということが大切だというふうに思っていまして、紛争当事者から相談等があった場合には、都道府県の労働局にあります個別労働紛争解決制度を適切に運用しまして、簡易迅速な解決を図っていきたいというふうに考えております。

○政府参考人(渡辺芳樹君=厚生労働省年金局長)
 今回の年金改正で保険料の引上げも行われるわけでございますが、現状の保険料負担水準でありましても、経営環境等が厳しいということで月々の保険料の納付負担について御苦労されている、とりわけ中小零細の企業も多いというふうに聞いておりますし、様々な声を承知しておりますが、しかしながら、年金の保険料負担は、御指摘のように人を雇う企業、事業主としての社会的責任の重要な柱でございまして、年金制度が従業員の老後の生活を確実に保障する役割を持続的に果たしていけるよう、そういう意味でも様々な制度的な改正をしているわけですが、それらを経て従業員や国民全体の安心の確保につながっていくものだというふうに考えておりますので、企業、事業主におきましても、きちんと加入して円滑に納付していただくべきものと考えております。
 殊更に、社会保険料負担を免れるためということでの雇用の切替え等々ということでありますれば、先ほどの良好な雇用関係という論点からも問題なしとしない事例も出てくるのではないかと危惧をしております。
 また、制度そのものも、こうしたとりわけパート労働者などに関しまして、雇用あるいは業種や企業との関係で社会保険が中立的な役割を果たしていけるよう制度の在り方をどう見直していくかという点も課題であり、先般の改正におきましても、まあ女性と年金という観点も含めてでございますが、企業の具体的なありようというものも視野に置きながら、基本的には中立的な立場に立てるように被用者年金制度というものの適用について検討していく、五年を目途と、こういうような附則規定が設けられておりますので、それぞれのお立場、当事者でも反対の方もいらっしゃいますけれども、様々なお立場の方々の意見を聴きながら検討を進めてまいりたいと考えております。

○又市征治君
 もう最後にいたしますが、前回も改正されなかったんですけれども、今話ありましたように、パートなどの社会保険の適用範囲を広げて雇用労働環境をやっぱり改善するとか、社会保険をきちんと適用させて非正規を含めた労働者の将来の受給権をやっぱり守るべきだと思うんですね。で、企業の適用サボタージュにやっぱり厳しく対処していく、そういう努力を是非やって、年金そのものの空洞化をこういう立場からも防いでいく、そんな努力を是非やっていただくことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。