第164回通常国会

2005年3月22日 総務委員会



(1)恩給欠格者とされる短期兵役者の要求などが未解決
(2)恩給でシベリア抑留加算よりも高加算率のものが7種類
(3)自分の意に反して中国に放置された残留孤児
(4)支援金16万円を一度渡してお仕舞いの残留孤児支援
(5)国が放置してきた人々への支援をもっと厚くせよ


○又市征治君
 社民党の又市です。
 おととい、二十日の午後、自民党の本部で恩給欠格者に対する説明会が開かれたと、こう聞いています。それは誠にいいことなんであって、当然総務省も何かお手伝いで行って説明でもしているのかなと思ってさっき聞いたら、全然だれも行ってませんと、こういう話なんで、いかがなものかと、こう思いましたが。この席に出席を事前にされる人にちょっとお会いをしたんですが、例えば、あと三か月軍歴が不足をして恩給がもらえないという男性が参加をされておったわけですね。その方は、中にはごまかしてもらっているやつもいるんだけどねと、こう悔しがってそういう話をされている人だったんですが。
 まず初めに、こうした欠格者の対策は今後何かやる予定があるのかどうか、その点を端的にお伺いします。

○政府参考人(戸谷好秀君=総務省人事・恩給局長)
 人事・恩給局の、恩給法の所管部局といたしましては特に予定はございません。

○又市征治君
 恩給欠格者とされてきたのは短期兵役者、そのほかに様々な戦争被害者の要求が今も未解決だということで随分声が上がっています。中でも大規模なのがシベリア抑留者でしたけれども、政府は一九八四年、昭和五十九年の懇談会報告、この中で、抑留加算を設けたから解決済みだというふうに言ってきたわけですね、あなた方は。抑留者の加算率は二倍ということになっているわけですが、しかし、シベリアより率の高い加算は少なくとも七種類あるというふうに私は理解をしますけれども、この三倍と四倍の例、これ簡単に列挙して説明してください。

○政府参考人(戸谷好秀君)
 一月につき三月以内ということで、二月又は三月あるのは、戦地戦務加算というもの、戦争又は事変に際し、職務をもって戦務に服したとき、それから航空基地戦務加算というようなものもございます。あるいは、北方地域につきまして、昭和二十年八月九日以後、北朝鮮、満州、樺太において戦務に服したときの加算と、このようなものが幾つかございます。

○又市征治君
 その方々はそれぞれ違う御苦労がもちろんのことあったんでしょうけれども、そういう点でいうと、抑留者が特に大きく加算をされたわけではないということですよね。そういうことになりますね。
 ところで、抑留と似て、これは今吉川さんからも話がありましたが、自分の意思に反して外国に放置をされてきた。私はせんだっての予算委員会でも、中国残留孤児という名前が大体これ間違いじゃないか、本人の意思全くないのにもうほうり出されてきた、放置孤児ぐらいのことになるんだと思うんですが、幼少で意思能力も全くないまま数十年大陸に放置をされてきたわけですね。この点、抑留者と似ているわけですけれども、もちろんこの人々に恩給があるわけではもちろんありません。歴代政府は、これは国民の戦争損害の一部だから補償できないと、こう言ってきたわけですね。本当にひどい話で、今ほども話がありました。
 では、角度を変えて、せめて政府が比較的近年になって認めた抑留加算の理念というものをこの残留孤児に類推適用した場合はどうなるのか、その点についてお考えを聞かせてください。

○政府参考人(大槻勝啓君=厚生労働大臣官房審議官)
 今の議員の方から恩給制度の海外抑留加算を引き合いに出されまして、同じような考え方で残留孤児対策ができないかというような趣旨のお尋ねではなかったかと思います。
 ただ、この恩給制度における海外抑留加算と、恩給制度自体が国と公務員との関係に基づきまして使用者として支給する制度でございますし、一方、残留孤児につきましては、今次の大戦に起因する混乱等によりまして残留を余儀なくされたと、そういった特別な事情にかんがみまして、帰国支援、そしてまた各種の自立支援策を講じてきたところでございます。
 両制度についてその趣旨、目的等々から見ますと、なかなか、これを引き合いに出しましてその趣旨を生かせないかという御指摘ですけれども、残念ながらちょっとそこは難しいのではないかと思っております。

○又市征治君
 懇談会報告が出されて、あの時点ではいったん見直しといいますか、これがやられたわけですよね。それから数えてもう二十一年がたっています。戦後補償の考え方もだんだんと変わってきている。そういう意味では、例えばドイツにおいてもアメリカにおいても韓国においても、世界的にもこの戦争の個人補償を認めていく、こういう流れですよね。
 私は、この間も予算委員会でお聞きをして、本当にまず、その人々の生活をまず第一義に考える、今置かれているこの状況をどう考えるのかという立場でお聞きをして、そういう点ではあの拉致被害者の皆さん、当然これは他の国が平時においていきなり体を拉致していったわけですから、だけれどもその人々と比べて、じゃ、この残留孤児の人々とどう違うのか、なぜせめてそのぐらいの人間的な扱いができないのかと、こうただしているんですが、厚生労働省の考え方、本当に古いというか、常に後れて、あのハンセン病の問題でもずるずるずるずる後れている、こんな格好で来ているんじゃありませんか。
 中国残留孤児についても、帰国時にたった一回限りの十六万円の支援費だけ払って、それでまるで全部終わったようなこんな扱いというのはないんじゃないか。だから、そういう意味での加算的な対策を講じるべきじゃないか、こうお聞きしているんですが、そこ本当に改めて検討する考え全くありませんか。

○政府参考人(大槻勝啓君)
 帰国されました中国残留邦人の方々に対しましては、厚生労働省としましては、これまで関係省庁、地方自治体等と連携いたしまして、いわゆる帰国者支援法に基づきまして日本語教育なりあるいは就労支援あるいは国民年金の特例措置といった措置を講じてきたところでございます。
 また、帰国直後におきましては、中国帰国者定着促進センター、これは入所方式で六か月間、缶詰状態にいたしまして、ここで基礎的な日本語指導、生活習慣指導、就職相談、就職指導等々行いつつ、衣食住について支援をしておるところでございます。その後、定着地、定住地に赴かれるわけでございますが、そこにおきましても、公営住宅への優先入居を図りますとともに、中国帰国者自立研修センター、これは通所方式でございますけれども、八か月間通っていただきまして、日本語、生活相談、就労相談、就職相談といった各般の指導、援助をいたしておるところでございます。
 また、自立指導員という専門の、専属の指導員を付けて指導をいたしておりますし、自立支援通訳といった者も派遣をいたしまして、日常生活に不便がないようにいたしておるところでございます。この自立支援通訳につきましては、来年度予算におきましては、介護、医療サービスを受ける場合につきまして期間制限を外すというような拡充策を講じておるところでございます。
 また、こういったセンターを出られた後につきましても継続的な支援が必要だということで、中国帰国者支援・交流センターを設置いたしまして、就労に結び付くような日本語習得支援、あるいは高齢化の中で引きこもり等にならないように、そういったことを防止するための地域との交流事業等、各般の施策を進めておるところでございます。
 そういった意味では、特別の対策を取っているというふうに考えております。

○又市征治君
 そんなことは全部聞いた上で言っているんですよ。本当に、さっき吉川さんから出たように、そこで、養父母に、本当は鬼畜、日本人の子供だと言われていじめ抜かれて、そしてようやく祖国へ帰ってきたと思ったら言葉の壁がある。そして、向こうで育ててくれた親たちは高齢で、そこで倒れた、だから見舞いに行った、それでそのときに生活保護費まで切られてしまう。こういう状況について聞いているのに、あなた、全然そんな制度なんか何も聞いてやしていない。
 そこで、麻生大臣、政治家として逆にお聞きをしますが、私は少しそうした問題意識は麻生大臣もお持ちなんだと思うんです。ここらのところ本当にこのままでいいのかどうか、少し政府部内で本当に御検討いただく、そういう余地はないのかどうか。それは、もうそういう点で政治家としての御意見をちょっと承って、終わりたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 これは戦争という状況で、特にこの種の話は北支、北支という意味はお分かりだと思いますが、北支で起きておる話が圧倒的に多いという状況は、ほかの地域とは全く状況が違っていると。じゃ、何で北支だけに集中しているのかという意味も又市先生の御年齢ならお分かりのところだと思っておりますんで、そういった意味では、この種の不幸な話というのは、これはほかにも戦争というようなものにいたしますと枚挙にいとまがないほどいろいろ、個別にはいろいろほかにも出てくるところなんだと存じますけれども。
 今申し上げましたように、甚だ不幸な状況になったという状況を考えて、これはそれなりに政府としていろいろやってきているんだと思いますけれども、今言われたように、その二か月なら二か月、三か月なら三か月の間の生活保護をということになりますと、これは法律としては日本国内のという前提になっておりますから、これは役人に幾ら言われてもなかなか役所としてはできないところだと思いますんで議員立法、議員立法なさるか何かいろいろな手口を考えられるということが大切なんであって、この場で厚生労働省、幾ら言われてもなかなか難しいし、ましてや所管外の大臣に聞かれても何ともしようがないということなんだと存じますんで、この点につきましては、これはかつて台湾でも似たようなことが、ほかにも例があります。台湾というのは、台湾政府のやった法理、方法というのもありますんで知らないわけではありませんけれども、そういった意味ではいろんなことが考えられるというのは大事なことだとは存じます。