第162回通常国会

2005年3月29日 総務委員会



(1)地方の自立は税源移譲によって実現する
(2)1400超の自治体での職員の給与削減の実態
(3)ゆがめられる地方公務員の給与決定原則
(4)賃下げによる地方経済への深刻な影響


○又市征治君
 まず、交付税制度について中期的な観点の問題をお伺いをしたいと思います。
 政府が交付税を計画的に切り下げてきたわけですが、いわゆる折半ルールによる財源不足額の半額、すなわち国の一般会計繰り出し分を減らしたいというのが本音だったんだろうと、こう思うんですね。しかし、そのために需要額を削るというのは本末転倒でありますし、もう自治体は限界に来ている、悲鳴を上げている、こういう状況にあります。地方税への税源移譲によって自主財源比率を高めるべきであって、交付税に頼る市町村を減らすのはあくまでもその結果でなければならぬと、こう思います。財源自立のための税源移譲はこれからが本番でしょうが、補助金削減の見返りが本筋であってはならないと思います。
 麻生大臣は、最近、人口三分の一ぐらいの市町村が交付税の不交付団体になるのが理想だというふうに御発言をされていますが、仮に全国で人口の三分の一まで大きな市から順番に取っていくと、財政力指数などでどの辺まで含まれることになるのか、これをお伺いしたいと思います。

○政府参考人(瀧野欣彌君=総務省自治財政局長)
 平成十六年度の財政力指数で高い順から見てみますと、大体二百四十八市町村程度で総人口の三分の一となりますが、その場合の財政力指数で見ますと、おおむね〇・九以上という団体がこの対象かなというふうに考えておるところでございます。

○又市征治君
 この数値は初めて出されたんですな。これには浜松、厚木、富士、茅ケ崎など中核市だとか特例市、こういったものが該当するようですね。こうした試算というのは、もうどんどん公開すればいいと思うんですね、私は。ただし、財政力指数という物差しは何段階も加工した数字でありますから、これを使えば税源移譲が小規模で済むからにすぎないという面もあるわけで、この点は気を付けなきゃならぬと思います。私は、もっと大胆かつ明快に、人口の大きさも加味して税源移譲して、税源自立させればいいんではないのか、こう思います。これらの市は税源となる大企業の事業所や高額所得者が多く存在するわけですから十分可能なんだろうと、こう思います。
 そこで、大臣にお伺いをいたしますけれども、税源移譲で地方税が増えて、不要になった分の交付税は、今のように国が召し上げるなどということではなくて、所要総額を維持した上で課税対象の少ない弱小市町村に厚く配分すべきであって、これこそが基本的な交付税制度のありよう、あるいはまた改革ということなんだろうと、こう思います。需要額を削り込む手法で無理に不交付団体に転換をさせ交付税総額を浮かせるというのは正に邪道でありまして、正道、つまり自立のための税源移譲を徹底をすべきではないか、このように思いますが、ここは大臣と認識が違わないんじゃないかと思いますが、改めて御見解をお伺いします。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 基本的には全く異論のないところで、不交付団体を増やすことだけを目的として行っているものではございません。

○又市征治君
 需要額を削るのは大臣のもちろん真意ではないし、自立は税源移譲によっていくべきだ、こういうお考え、これは共通認識なんだろうと、こう思います。
 そこで、次に、交付税需要額の算定の一要因、一要素でもあります地方公務員の給与について若干お伺いをしておきたいと思います。
 今、全国の自治体と自治体労働者は、賃金決定などについて大変苦渋の選択をしている、こういう実情にあります。いわゆる労使自主決定によって賃金カットが一千四百団体、額にして一千四百億円あるというふうに聞いているわけですが、最近の実情等について把握されておるとすればお示しをいただきたいと思います。

○政府参考人(須田和博君=総務省自治行政局公務員部長)
 御指摘の独自の給与削減措置の実態でございますけれども、平成十六年四月一日現在で、全国で千四百五団体、年額千四百六億円の独自の給与削減等を行っているところでございます。
 このうち、人事委員会の勧告対象となっております一般職の職員の給料につきまして独自に削減している団体は、都道府県で二十一団体、政令指定都市で四団体に上がっているところでございます。

○又市征治君
 今お聞きした数字は去年の四月、一年前ですな、一年前の数字なわけで、この一年でまた更に進んでいるわけですね。そういう意味で、最高が一〇%ぐらいから最低で一%カット、あるいはそれ以外にも昇給延伸措置、こういったことなど大変御苦労をいただいているわけでありますけれども、ただ、こういう問題が進んでいっていいのかという問題は疑問があります。
 地域経済に与えるマイナス影響というものもかなり大きいということがあるわけでありまして、我々はこういう論議をする場合にこういう問題点も見ておかなきゃいけないと、こう思うわけでありまして、例えば秋田県では、仮に全公務員の賃金を五%削減をした場合、波及効果で県内のGDPが五十四億七千万円減る、そして民間最終消費支出は九十七億五千万円減る、さらに経営者の景気判断が悪化をして雇用が五百人減る、そういう試算を、地元の秋田大学の助教授が試算をして公表しています。
 これはそれぞれ我々も、国会議員も自分の地元、人口規模や、秋田県と比較をしてみればどういうことになっていくのかということはあると思うんですけれども、そこで、県の職員の賃金というのは、本来、地方人事委員会の勧告で決まるわけでありますが、しかしあえてそれを下げる内容をこのように苦渋の労使合意で決めて議会も了承をしている、こういう実態が出てきているわけですけれども、その上になお国会等で政治家がもっと下げろとバッシングをするなどということは、これは逆に言うと、地方公務員の給与決定原則そのものも今ゆがめられているわけで、それにまだ更に上乗せしてたたくと、こういう格好になるわけで、たまらぬという自治体側の指摘などがあるわけですが、この点について総務省、どのようにお考えですか。

○国務大臣(麻生太郎君)
 御指摘のとおり、既にラスパイレス指数という指数を取るようになり始めて、初めて昨年は一〇〇を切って九七・九ということになって、初めて一〇〇を切ったことになっておりますし、既に全地方団体の九〇%以上のところの団体が国より低い水準になっております、団体数で。そういった状況でありますので、この給与の削減処置というのは、これはやっぱり財政状況が厳しいという意味によってのこれは時限的な処置と、基本的にはそう考えておかなきゃいかぬものなんじゃないのかと、私どもはそう思っております。
 いろんな意味で、引き締める意味でいろんな、これは多分それなりの経営をしておられる首長さん方のお考えなんだと思いますが。ただ、御存じのように、これは国家公務員に準じるという規則が基本でありますので、そういう意味におきましては、人事院において国家公務員のことに関しまして今いろいろ検討をされておって、これは八月ごろには民間の給与実態に即したものに見直しの検討が今されておるというのが実態でございまして、私どもは、総務省としてはこのような実態を踏まえまして、地方公務員の給与の在り方に対する研究会というのを私ども設置を既にしておりまして、今後の在り方につきましては、いろいろ民間企業との格差の取り方等々、いろいろ意見の出ているところでございますので、勉強会をスタートさせておりますが、基本的には今おっしゃられたとおりだと思っております。

○又市征治君
 中には、今大臣がおっしゃったラスパイレス指数で比較をしたら、国家公務員と比べて八〇%、七〇%になるというところあるわけですよ。
 これ私、前から言っているんだけれども、今も大臣がおっしゃったように、少なくとも国家公務員に準ずるということで幾らかの差はそれはあるんですけれども、これは余りにもひどい。こういう状況について、少なくとも高いところは下げろ下げろ下げろという指導は一生懸命なさるけれども、こうしたところについて余りにもひどいじゃないか。地域経済にも及ぼしている影響、こういった問題含めて、やはりしっかりとここらのところも、温かみのある指導というのか、もうちょっとやるべきだというのを前から指摘をしてきました。そういうのはもう全く総務省はやらぬわけですね。もうちょっとその点は見ておかないといけない。制度そのものもぶっ壊している、こういう状況があるわけですから、その点は、答弁要りませんが、御指摘を申し上げておきたい、こう思います。

 そこで、今日は忙しい中、人事院からもお見えいただいて、幾つか御確認いただきたい点があります。
 民間では、このところの長期不況の中で、猛烈なリストラ、合理化がやられて、労働者の首切りはもとよりですが、労働者の賃金が切り下げられてくる、こういう結果として社会の二極分解が起こっている。これはもう国会の中で、あちこちで随分と指摘をされていますし、私も指摘してまいりました。
 つまり、パート、臨時、アルバイト、派遣社員、契約社員などと称するいわゆる非典型労働者という数が物すごい勢いで増えている、こういう状況ですね。これはもう小泉構造改革の下で物すごい勢いで増えている、この事実はもう明確であります。一方では、二極分解の反対側、上層の部分の企業でいうならば、例えば一番よく取り上げられるトヨタ自動車などの自動車産業や銀行等の一時金に見られるように、大企業の正社員では年間総額では大きく回復をしてきている、こういう状況も今日出てきています。
 人事院の民間賃金実態調査というものもこうした部分も当然正しく反映をすべきなんだろうと思いますが、そこで、人事院はこれまでどういう規模の企業、どういう社員というものを調査をしてきているのか、改めて確認の意味でお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(山野岳義君=人事院事務総局給与局長)
 現行の民間給与実態調査でございますが、全産業の従業員から、個人業種、家族従業者、それから企業の役員、それからまた国、地方公共団体、農林業等の従事者を除いた中で、企業規模百人以上、事業所規模五十人以上の事業所に勤務する正社員を対象として実施しているところでございます。

○又市征治君
 済みません、大体どのぐらいの労働者の数を調べているんですか。

○政府参考人(山野岳義君)
 全体の事業所の中から、今申し上げました事業所の中から抽出いたしました約八千の事業所を調べておりまして、調査いたします従業員数にいたしますと約三十六万人でございます。

○又市征治君
 人事院は日本最大の、かつ最も精密な調査機関だと、こう別名言われるわけですが、そういう点で、労働基本権を制約された公務員労働者の賃金であるとか労働条件というのはその調査結果を無条件的に適用する、こういう仕組みになっているわけでありますが、そういう点でいえば、今御指摘されたように、こうした事業所あるいは規模数、こういったものをしっかりとやっぱり調査をいただいていかないと、本当の意味でこれだけの規模の公務員の参考にする意味がないんだろうと思います。
 そこで、総裁に改めて確認をいたしますけれども、今年の民間賃金実態調査は従来どおりの企業規模で、かつ正社員についてきちっと調査を行われるのかどうか、その点について改めてお伺いをします。

○政府特別補佐人(佐藤壮郎君=人事院総裁)
 ただいま局長がお答えした企業規模と事業所の規模でございますけれども、これは昭和三十九年に採用されて以来、いわゆる会社組織の民間企業に勤務する正社員の過半数をカバーしているということで関係方面に定着している数字ではないかというふうに思っております。
 ただ、過去には、景気が良かった時代には、人材確保の面からもうちょっと企業規模を上げたらどうかとかいう御議論もあったやに聞いておりますし、昨今のように景気が悪くなると、もっと小さい企業まで調べろという御意見もございます。
 ただ、この企業規模というのは、私ども民間調査の際の最も基本となる基準でございますので、時々の景気の状況によってこれを頻繁に変えるというのは私ども適当ではないというふうに思っております。したがいまして、今年の調査に関しても従来どおりの企業規模と事業所規模で調査をしていきたいと思っております。
 それから、いわゆる非正規職員を調査するかどうかという問題でございますけれども、現段階では、私はやはり常勤の国家公務員の比較対照になるものとしては正社員が適切ではないかというふうに思っております。
 ただ、今御指摘のように、民間企業では非正規社員の割合が非常に増えているようでございますし、またいろんな、非正規職員にしてもいろいろな勤務形態があるやに聞いておりますので、今年の民間企業調査の際にその実態について調査をして、その上で改めて関係方面の御意見を聞いてまいりたいというふうに思っております。

○又市征治君
 昨年と同じ企業規模、常勤の労働者の実態を調べると、三十九万人に及ぶこういう状況を調べて反映するということですから、しっかりおやりいただきたいと思います。
 最近、自治体の使用者側から見ましても、大変頭が痛いと、こういうことがよく聞こえてきます。これからポスト団塊の世代で人口が減少に入って、人材確保問題というのが大変大きな問題になってくる、こう言っているわけですね。ただでさえ給与格差で人材が首都圏や都市部へ逃げがちなのに、とにかく公務員の賃金下げろ下げろの大合唱がある。
 こういう格好の中で、先ほど申し上げたように、自治体、使用者側にとってみても、そこに働く職員の側にしても、本来ならば、人事院勧告あるいは人事委員会勧告に基づいてやられるべきものがそういう形でかなり大幅に削り込みをやっている、こういう格好になっていくわけで、こういう格好の中で、やはり今後の中でいうならば、そういう雰囲気がどんどんつくられてくると、地方への、先ほど秋田県の例を申し上げたけれども、地方経済への影響、さらには地方の企業全体の人材確保を危うくするものだ、こういう実は指摘がなされてきている。
 こういうことについてもやはり考えていくべきだということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。