第162回通常国会

2005年3月31日 総務委員会(2)



(1)敗戦までの映像記録の活用を
(2)市民との対話を一方的にキャンセルしたNHK
(3)国民に広がる「政治権力に弱い」NHK像
(4)公共放送として国民の信頼回復を


○又市征治君
 社民党の又市です。午前中に引き続きお伺いをいたします。
 さきの特集番組カット事件のもとになった近代以降敗戦までの日本と朝鮮との関係、今で言うならば韓国、朝鮮人を日本がどう扱ってきたか。国民の知識の空白部分になっていまして、特に若い人たちにはほとんど知らされていないというのが現実だろうと思います。それを映像で大量に、恐らく唯一と言ってもいいくらい所有しているのはNHKアーカイブですから、NHKは積極的にこれらを国民に提供していく責務があるんだろうと私は思います。

 例えば、日韓併合あるいは公民化政策と創氏改名、関東大震災下の朝鮮人虐殺問題、あるいは敗戦まで続いた大量の強制連行やら強制労働について、NHKは今年度、今年、今日で終わりますけれども、どのように番組で紹介をされてきたか、お伺いをしておきたいと思います。

○参考人(出田幸彦君)
 NHKといたしましても、これまで朝鮮半島、日韓関係につきまして、そういう歴史的な側面、それから多角的な視点で考える番組というものを様々に放送してきております。
 例えば、これは既に三年前ぐらいになりますが、NHKスペシャルで「日韓 新しい歩みが始まった」というのを放送いたしました。これは日本と韓国の若者たちが、韓国にあります……

○又市征治君
 いや、番組名です、中身じゃない。

○参考人(出田幸彦君=日本放送協会理事)
 はい。
 そういう意味では、両国間の歴史を学びながら新しい関係を築こうという番組でございました。
 それから、昨年の夏にはNHKスペシャルで同じく「遺された声」というのを放送いたしまして、今、又市議員がおっしゃったような創氏改名ですとか、あるいは日本による同化政策とか、あるいは鉱山への強制連行といった歴史的な事実についてもお伝えしております。
 それにつきましてはNHKが蓄積しております資料映像なども活用しておりますし、基本的にはやはり朝鮮半島と日本との歴史的なかかわりということにつきましてお互いの相互理解に役立つ番組、これを多角的な視点でこれからも放送していきたいというふうに考えております。

○又市征治君
 お答えありませんでしたが、聞きましたら去年は四回、はい、四回ぐらいですかね、やったということのようです。非常に少ないわけですね。
 日本人が若者に、残念ながら語り継いでいないわけですけれども、中国や韓国、朝鮮人の皆さんは忘れていないわけでありまして、だからこそこの竹島問題だけ取り上げてみましても、あれほど親日的と言われる盧武鉉韓国大統領も含めて、小泉外交のつまずきも相まっているんだろうと思いますけれども、日本批判が再燃をしてくる、こういう時期が、事実があります。つまり、歴史認識が共有されていない、こういう事実は現実にあるわけですね。
 したがって、そういう意味でNHKは、今おっしゃったような、そういう中身を、もっと歴史を分かりやすく映像で紹介をしていっていただくように更に努力を、これは要請を申し上げておきたいと、こう思っています。

 ところで、NHK京都放送局の問題についてお伺いをしますが、三月十四日の予定で、説明会あるいは要望を聞く会というものを開くということで各種の市民団体といったん合意をしていた。ところが、三月七日になって一方的にこれを取り消した、NHK側が取り消した。当日、放送局のビルにかなりの人数が集まってきたけれども、守衛さんが阻止をして、最後はシャッターまで下ろしてしまったと、こういう事件がありました。同様なことは福岡などでも起こっているというふうに聞いています。
 マスコミの取材禁止など十項目の条件を付けて、その上でもなおやると言ったんだけれども、最後は、ビラをまいたからけしからぬなどという、こんな理由で市民との対話をキャンセルした、こういうふうに私は聞いているわけですが、これはNHKの、この局の独自の判断だったのかNHK本社の指示によるものだったのか、また今現在、こういうことがあって、それでも正しかったというふうに御判断なさっているのか、この点をお伺いします。

○参考人(出田幸彦君)
 市民団体の皆様からの申入れに対しましては、京都放送局としても誠実に対応をしてまいりましたというふうに私も聞いております。特に、NHKの回答文書のようなものをただ文書だけでお渡しするんではなくて、やはり今回は、非常に個人名で署名をされた方も多かったものですから、そういう申入れを行った方々お一人ずつにもきちっとNHKの考え方、回答を直接お伝えしたいということで、そういう回答をお伝えする場というものを設定をいたしました。そういう意味では、NHKとしてもできるだけ努力をしてきたつもりであります。
 ただ、こういったNHK側の回答といいますか考え方を先方の方にお伝えをして、その場で、特にスペースの関係で大体百人程度というふうにもお願いを申し上げました。そういうことで了解をいただいて進んでいたというふうに我々考えております。
 ただ、その後、市民団体の方々が、ビラですとかあるいは新聞記事あるいはホームページなどで、今回の申入れの方々とは別に、更に言わば不特定多数の方々の参加者を募集するというふうな形を取られたものですから、これにつきましては、当初のお約束といいますか、NHK側からお答えを伝えるという、そういう環境が変わってしまったということで、我々も大変残念なことでございますけれども、今回はやむなく中止というふうになっております。

○又市征治君
 もっと、改革だ、再生だと言うんならば、こういう方々ともっと粘り強く協議を重ねて何とかこの会合を実施するというのが、私は、新生を言うならば、NHKの信頼回復を図る姿勢だったと思うんですね。
 これでは、皆様のNHKだとか、そんなこと猫なで声で幾ら言ってみたって、これはやっぱり私は信頼は取り戻せない。そんな、わずか来たって人数元々決まっているんだから、百人しか入れなければ百人で切ればいいわけであって、やればいいわけですよ。そういうことが大変問題だと。本来ならここ見解聞きたいところですが、時間ありませんから、これはそのことを強く申し上げておきたいと思います。
 それから、さっきの特番カットの問題で、国民の少なくない層から、どうもNHKの経営陣というのは政治権力の圧力に弱いんだと、こういう印象が持たれているわけですよね。これは政治に限らず、例のラグビー事件の中継の問題にとりましても、直前に経営トップから中止しろ。いや、また放映しろ。大変もう現場は混乱をしている、こういうふうにお聞きをいたしました。

 NHKの職員と思われる方が、今月号の雑誌「世界」で提案をされておりますけれども、この際、経営陣は経営に専念をして、予算の説明なども国民にオープンにしておやりになればいい。他の、他方で、現場は編集権を確立をして番組の中身で国民に訴え、評価を上げればいいんではないか、この種の意見を述べられています。私は、これストレートに全部そのまますぐにやればいいというふうに考えるわけではありませんけれども、しかし、これは傾聴すべき意見ではないのか、こう思います。
 このような内部の意見など、どのように生かしていこうとされるのか。そういう意味では、番組審議会を改編するなどして、編集にもっと自律性を持たせることを含めて改革をやっていくお考えはあるのかどうか、この点についてもう少し内部の意見の、吸い上げての改革の方向性について少し考え方をお伺いしたいと思います。

○参考人(橋本元一君=日本放送協会会長)
 NHKの中、これから役職員一丸となって進めていくためには、やはり現場の協力というのが不可欠でございます。
 私、これまで着任してからも現場のミーティング等に入っていろいろ意見を聞き、またいろいろ改革の提案等も探っております。そういう中で、やはりいろいろ現場の活性化ということは大事だと思っております。その意味では、これからそういう現場の提案等もできるだけ尊重した形でいろいろ取り組んでまいりたいと思います。
 やはり、この編集権そのもので申し上げれば、やはりこれはNHK放送事業者ということで、その最高責任者である、放送事業体の責任者である私が最高的な編集権者というふうなことになりますが、実効的に私のこの編集にかかわる権限は放送総局長、できるだけ現場寄りのところに寄せて事業を運営してまいりたいと思います。

○又市征治君
 いろいろと今日は朝からずっとやってまいりましたが、災い転じてやっぱり福となすくらいの決意とそのための具体的なやっぱり方策をもっと国民に見えるように、そして、幾つか起こってきている事象に対してやっぱり誠心誠意を持って対処をしながら、そういう意味で国民の信頼を取り戻して、公共放送としてのこの使命、今の危機的状況というものを早急に乗り切っていただくように強く求めて、私は今日終わりたいと思います。