第162回通常国会

2005年4月4日 決算委員会



(1)住民無視で強行された青森県での自治体の合併
(2)合併特例債の利権絡みで逮捕された3名の町議
(3)自治体が1千になれば24兆円にも上る特例債
(4)特例債の償還財源は交付税と別に手当てを
(5)赤字三セクの衣替え・新たな利権づくりの指定管理者制度
(6)赤字・含み損を増大させた土地政策の大失敗


○又市征治君
 今日は合併特例債と地方の三セク問題についてお伺いをしていきたいと思っています。
 総務省が、かねと太鼓というべきか、あめとむちで督励をして合併を進めてきたわけですが、地域社会あちこちで問題が起きています。
 先月、私も調査に行きました青森県浪岡町では、四月一日で合併がもうできてしまったわけですから、もう前ということに言うべきですが、古村前町長が最後のあいさつで、分町運動で捲土重来を期すと、こう宣言をしているわけですね。それも道理なわけで、浪岡町はこれまで合併推進の町長がリコールをされて、そして反対の古村町長が当選をして、合併利権絡みで町会議員が三人逮捕される、その後に住民投票が実現をして、その八割、六千八百人が合併に反対という、こういう経過をたどって、逮捕者が更に一、二名出れば町議会も合併を白紙にするという状況まで来ていて四月一日を迎えてしまったと、こういう状況になっているわけですね。
 そこで、リコール成立とこの合併反対の古村町長の当選にもかかわらず、前町長の決定を盾にこの合併手続を、県にもちょっと瑕疵があると思って私は申し入れてきたんですが、と同時にこれやっぱり総務省も知りながら放置をして、手続が進んでいるからというわけでこれは告示してしまったということなんですが、こうした住民の極めて深刻な亀裂、こういう状況が起こっているわけですが、この点を今現在どう見ておられるのか、担当からお聞きしたいと思います。

○政府参考人(荒木慶司君=総務大臣官房総括審議官)
 青森県の青森市、浪岡町の合併の件でございますが、ただいま委員から御指摘ございましたように、この合併につきましては昨年の十二月二十六日に青森市、浪岡町両議会で合併関連議案が可決なりました。その後、十月二十七日に青森県知事への申請書が出されまして、十二月十六日に知事によります廃置分合の処分が行われたものでございます。これを受けまして、明けまして一月十八日に廃置分合の官報告示を行ったところでございます。
 これにつきましては、今御指摘ありましたように、推進派の町長に対する解職のリコール請求がありまして、それが成立して失職するというような動き、あるいはその後合併反対派の町長が当選する、さらに、現在では分町の運動を行うようなことを言明されると、そういった動きがあることは私どもも承知をしております。
 この合併につきましては、先ほど申しましたように、官報告示等も行ったわけでございますが、市、町の議会で議決が行われた上で、県知事において適切な処分も行われておりますので、この一連の手続は法に基づいて有効にこれは行われております。
 しかしながら、その後の前後のそういった動き、異例のケースでございますが、法的に合併の効力は有効にこれは発生しておりますので、私ども総務省としましては、現時点では今後の動きを注意深く見守っていくということを申し上げざるを得ない状況でございます。

○又市征治君
 まあ卑近な例で言えば、婚約はしてみたけれども付き合ってみたらやっぱり嫌になったと、だからやめたいと、こう言っているんだけれども、もう略奪結婚みたいな話になっているわけね、これ。そういう事例なんですよ。そういうのがちょっとあちこちで起こっている。
 だから、こういうのを法的に全部進んでいるんだからいいんだということじゃなくて、だからこういうときに、もっと言うならば、県なんかがちゃんと中に入って少し調整をするなりという努力が必要だと思う。そのことを総務省としても状況を把握しておって、何回も私も問い合わせたんだからあなた方も知っているわけだが、放置されているというところに私は問題だと言っているわけです。
 そこで、この合併強行の陰に合併特例債、今の例で言うと二百十二億円の上限枠がある。対等合併だからと、片一方二十九万の青森市と片一方二万一千人の浪岡町、それぞれ百億ずつだと、こう言っているわけですね。浪岡町、これを百億円を事業に割り当てるという、こういう予定で、だからえさ、金でもう随分釣ったという、こういう格好で随分と問題になっているわけです、このことについて言えば。
 で、新分庁舎の取得を含めたこういう利権があるということがあって逮捕者まで出ているんじゃないのかということでまた問題になっているわけですけれども、合併賛成側には何でも支援をするという、こういう仕組みになっているところにむしろ問題なわけですね。今、私申し上げたこの二百十二億円の合併特例債、総枠。そしてこの新分庁舎、これが大変問題なんですが、十四億円の特例債が約束されているというふうに今聞いているんですが、この点確認できますか。

○政府参考人(荒木慶司君)
 合併特例債につきましては、御案内のとおり、合併をしました新しい市町村におきまして、市町村建設計画に基づきまして住民の生活基盤の整備でありますとか、あるいは合併に伴って新たに必要になります施設の整備等、またその中では、今お話にもございました庁舎等の整備にも充当できるものでございます。これは、そういった財政支援をすることによって合併が円滑に進むようにということで特別の財政特例措置を講じているものでございますが、今、新青森市の例でございますが、この市の場合ですと、特例債につきましては、増加人口の面あるいは合併した市町村の数等、これに基づきまして限度額が算定されますが、ちょっと詳細は私も確認しておりませんが、地元で算定されているそれは、今の二百億というのは、それに基づくものであろうかと思います。
 また、お話ございました庁舎の整備についての件でございますが、これにつきましては、現在、合併特例債を活用するか否かを含めて検討をされているというように聞いております。また、したがいまして、その事業費についても現時点で詳細は未定でございますが、この合併前の段階で、合併推進債の段階で検討されている時点では、約十四億円程度の事業費で検討がされていたというふうに承知しております。

○又市征治君
 この合併特例債は交付税総額の先食いであるので、また、合併しない市町村を差別する点で交付税制度に反するんではないかということで私はずっとこれに反対をしてまいりました。最近、鳥取県の片山知事も同じような主張をなさっておりますし、かなり自治体関係者の中でそういう主張をなさる方もおいでになります。
 そこで、ちょっと具体的な数値をお聞きをいたしますが、三月末で適用団体を締め切ったわけですから、この適用団体数、そして発行見込額は幾らになるのか、準備段階の合併推進債も併せてまず一つは示してもらいたい。
 二つ目に、この特例債は今後十年間使える仕組みになっているわけでして、十年後の残高はおおよそ何兆円ぐらいだというふうに見込んでおられるのか、これが二つ目。
 そして三つ目に、その償還額の七〇%が償還時には必要な交付税需要額になるわけですけれども、例えば十年後、二十年後、三十年後の額は交付税上幾らぐらい見込んでいるのか、この点についてお伺いします。

○政府参考人(荒木慶司君)
 合併特例債に関しまして三点ほど御質問ございましたが、まず第一点目の許可実績等でございますが、お話にございました合併推進債でございますが、これにつきましては、平成十四年度及び十五年度におきまして約千四百五十億円となっております。また、合併特例債につきましては、平成十一年度から十五年度までの間に三十団体で約九百六十億円となっております。
 また、今後の合併特例債の発行見込みでございます。各団体が発行できます特例債につきましては、先ほど申しましたように発行上限額が定められておりますが、最近の地方財政の厳しい状況もございまして、これはまだ私ども詳細には確認はしてございませんが、ヒアリング等行っておりませんが、いろいろ聞いておりますところでは、やはり財政状況から見て、できるだけこれを抑制的に発行するようなことで考えている団体も多いようでございます。
 また、箱物の整備等につきましては、当然、自後の維持管理費等の負担もありますので、私どももこれについてはできるだけ慎重に対応していただくように申し上げてきていますが、各団体においても、その点につきましては将来のこともいろいろ考えて慎重な御判断をいただいているように承知しております。
 こういったような状況を踏まえまして、来年三月三十一日時点で千八百二十二市町村になるという見込みでございますが、それを前提に、大まかでございますが、発行上限の七、八割程度、これもかなり幅のある推計しかできませんが、これで見積もってみますと、発行総額はおおよそ十年間で九兆円から十兆円程度になるものというふうに推測をしております。
 その発行額につきまして、将来の交付税の措置等が行われる公債負担の額がどうなるかということでございますが、今申しました額につきましては、これが今後十年間で発行されるわけでございまして、その発行時期とか発行額が年度ごとにどうなるか、これは正直まだデータ等全く把握できてございません。また、仮にそれができましても、銀行などの民間の金融機関等から資金を調達するものもございますので、利率あるいは借換え等を行うようなケースもございますので、償還期間等、様々な条件が、なかなかこれ、つかみ難いところもございますので、正直申しまして、トータルで十年間で九兆から十兆という大まかな推計はできるところでありますが、後年度の公債負担額を年度ごとに割って推計するというのはなかなか難しいというのが正直なところでございます。

○又市征治君
 だけども、これは地方財政計画に乗っけていくわけですからね。と同時に、もう三月で締め切ったわけでしょう。早くやっぱり推計出さないと、これは無責任になるわけですよ。
 私、二〇〇三年、二年前の三月に総務委員会でこの点についてただしまして、当時、一市町村平均二百四十一億円の合併特例債の上限だったんですね。したがって、もう一千自治体ぐらいに合併がもし進んだとした場合にということで、私なりきに全体で二十四兆円ぐらいになるんじゃないのか、一年分の交付税所要額は一兆六千八百億ぐらいにならないかということでお示しをしたら、皆さん方は否定もしないし肯定もしない、まあ、という話だったわけ。で、こういう試算はやっぱりしっかり出していただいて、早く示していただきたい、このことは是非要請をしておきます。
 そこで、これ大事な問題なんですが、これは大臣にお伺いをしたいんですが、そのときの、二年前の質問のときに、この償還財源を地方財政計画に適切に計上いたします、こういうことでありまして、じゃこれは政府が別途手当てをすることに間違いないのかどうか、それとも交付税総額から天引きして実質交付税が減っていくのかどうか、この点、大変重要な問題ですから、大臣からお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 二年前の話で、大臣やってないんですけれども、そこのところだけはちょっとあらかじめお断りした上で、対応いたします。今後とも対応いたします。

○又市征治君
 これはおかしげな話で、総務省が、大臣がそのときにやっておいでにならないのはいいけれども、総務省として一体全体、この特例債などのこの手当てを一体全体政府は別途やるのか、交付税から天引きしていくのか、この方針固まってないんですか。

○政府参考人(瀧野欣彌君=総務省自治財政局長)
 先ほども御答弁を申し上げましたように、今後、合併特例債について十年間で九兆から十兆円の発行が見込まれると、こういうことでございます。したがいまして、そういったものが十年間利用できるわけでございますので、一年にならしますと、一兆円、九千億から一兆円前後が発行されるという見通しになるわけでございますが、それぞれの起債につきまして二十年間の償還ということが標準的には想定されるわけでございます。したがいまして、そういうふうに考えてまいりますと、現在、地方財政計画上公債費は十三兆円を超えるようなオーダーで積み上がってございます。一方、この合併特例債を利用することによりまして、既存の通常債が見直されるということも別途あるわけでございます。通常の起債でやろうと思っていた事業が合併特例債に振り替わっていくということもあるわけでございます。
 したがいまして、我々といたしましては、御指摘の点にお答えいたしますと、きちんとこの合併特例債の償還費につきましては地財計画の中に計上していくと、ほかの必要な経費ももちろん計上していくと。その中で、財源の不足、あるいは足りるかということをきちんと対応していきたい。その中で、きちんと、今申し上げましたとおり、公債費全体として十三兆を超えるオーダーがございますので、全体の中で対応できるものというふうに考えておるということでございます。

○又市征治君
 念押しをしておきますが、いずれにしても、交付税そのものを減らしていくなどというこんなばかな話にならないように、しっかりとそれは対応いただくように、まあ大臣は手を振っていますから、ないということを確認をしておきたいと思いますが、そういう努力をしっかりと対処いただくようにしておきたいと思います。

 時間の関係で次に移らしていただきますが、自治体のこの第三セクターの膨大な負債や破綻の状態という問題が随分と出てきています。
 三月発表の総務省の調査で、自治体からの出資額とその比率、二つ目にこの貸付残高、三つ目に損失補償付債務は幾らになっているか、この点、まず事務的にお伺いします。

○政府参考人(瀧野欣彌君)
 三セクあるいは地方公社というものについてのお尋ねでございます。
 私どもの方では、三セクというものにつきまして、地方団体の出資割合が二五%以上の商法なり民法の法人、あるいは出資割合が二五%未満でございましても貸付金なり損失補償といった財政的支援を受けている法人、それと地方三公社と、こういったものを対象にしているわけでございます。
 こういったものを対象として見ました場合、地方公共団体の出資額の総額は三兆二千百三十二億円、それから経営状況調査の対象であります三セク等への貸付金残高は四兆九千七百八十四億円、それから損失補償契約なり債務保証契約に係ります債務残高は十兆四千二百三十億円、こういう数字になってございます。

○又市征治君
 つまり、自治体の表の借金の一割増しに相当するわけですね。
 指定管理者制度だとか民間委託など、これまでの自治法の改悪の結果、赤字三セクの衣替えであるとか三セクを舞台にした新たな利権づくりがされているわけで、そういう例があるんですね。
 例えば、島根県の旧益田市などでは一般事業まで三セクに委託をして、それに使うために倒産寸前だった三セクに億単位の債務保証を付けているという例があります。

 そこでお伺いしますが、地方の三セクの役員中、自治体のOB及び現職は何人、何%ぐらいあるか、お聞きします。

○政府参考人(瀧野欣彌君)
 三セク等の役員の中での地方公共団体職員OBなり現職の数はどのぐらいかというお尋ねでございます。
 平成十六年三月末の数字でございますが、第三セクターなどの役員十二万三千人中、地方団体の退職者が約七千人、それから地方公共団体職員からの出向者は約二万九千人というふうになってございます。

○又市征治君
 かなりの人数になっているんですが。そこで、総務省の調査でも、三セクの廃止、あるいは法的な整理、出資の引揚げが八五件、有名な宮崎のシーガイア始め、額が非常に大きいですね。
 最近の事件では、東京都のファッションタウンとタイム二十四、大阪の三つの三セクの債務超過と整理の状況が載っていますが、これについて総務省で把握されておる状況をお聞かせください。

○政府参考人(瀧野欣彌君)
 三セクにつきましては、基本的には地方公共団体を含みます出資者の自主的、主体的な判断によって設置され、それぞれの責任で運営されるということでございます。したがいまして、第三セクターの法的整理の状況につきましては、我々、年一度の調査で事後的な把握はしておるわけでございまして、例えば十五年度におきますと二十六法人が法的整理の申立て等の手続に入ったということは把握しておりますけれども、その後の進捗状況なり、あるいは詳しい内容までは把握しているわけではございません。
 御指摘の第三セクターにつきまして、個別の問題につきましては、それぞれ地方団体の資料提供は受けてはおりますけれども、それ以上ではないということでございます。

○又市征治君
 それは総務省、おかしいですよ。東西の二大自治体の巨額の隠れ借金の話ですよ、これ。それ、資料提供はちょっといただいていますけれどもよく分かりませんという、そんなことで済みませんよ。大阪市は、外部の委員会をつくって、昨年の十月の報告書で見ますと、バブル後の経営陣、市長に経営責任がある、こういう報告書を出しているわけですよ。東京都の二つの三セクは民事再生を申請をして、累積損失四百三十四億円というふうに発表しているわけでしょう。それ、総務省、知りませんでは済みませんよ。
 ところで、この報告書の中で土地開発公社の赤字や含み損が大きいわけですけれども、これには国の政策が非常に大きく影響してきた、この事実は否めません。特に、バブル崩壊後も景気支えのために土地開発公社等に土地を買い続けさせる、そして、先行取得事業債、それの裏打ちをする交付税まで付けてきたわけですよ。総務省がこれ一生懸命、当時の自治省が推進していたわけですね。この方針を転換したのがやっと二〇〇〇年の四月であって、そのときに建設省と自治省共同通達で、手のひらを返したように、用途不明確な土地取得は厳に慎むべきだと、こんなことを言い出した。
 大阪市の報告で書かれたことは国にも全く当てはまるわけです。特に、九〇年代初頭のこのバブル崩壊後も、今申し上げたように、自治体に土地を先行取得と称して買い続けさせた、こういう状況、これは口ぬぐって済むわけにいかぬのですよ。総務省として、これ、どのように総括が上がっているのか、これを最後にお聞きをして、今日の質問を終わりたいと思います。しっかり答えてください。

○政府参考人(荒木慶司君)
 ただいま委員から御指摘がございましたように、バブルの崩壊後の土地開発公社の土地の取得につきましては、これは当時の総合経済対策の一環でございましたが、土地の有効活用を促進し、本格的な景気回復と安定した持続的経済成長への移行を確保するために、地方公共団体における用地の先行取得の積極的促進を図ることとされたところでございます。そのために、今お話ございましたように、所要の交付税措置等も講じたところでございます。
 一方、平成十二年度以降におきましては、土地開発公社の保有土地の縮減などを通じまして土地開発公社の経営健全化対策を講じているわけでございますが、これは地方公共団体の財政状況が厳しい中で、まあ地方公共団体の分身とも言うべき土地開発公社のそれ以上の悪化を避ける、させるような状況を回避するために行っているものでございます。
 地方公共団体が土地開発公社の保有土地の縮減に努めている結果、公社の土地の取得総額につきましては平成三年をピークに減少しまして、また土地の保有総額につきましても平成八年をピークとして減少しているところでございます。
 総務省としましては、それぞれの時期に経済状況などに応じて必要な対策を行ってきたところでございます。