第162回通常国会

2005年4月7日 総務委員会



(1)プリペイド式携帯電話への規制強化と販売戦略
(2)セールスポイントとなった「匿名性」


○又市征治君
 社民党の又市です。
 我が党もこの法案の共同提案者でありますから、当然賛成でございますが、その上で、二、三確認の質問をいたしておきたいと思います。
 まず、提案者の皆さん方の御努力に心から敬意を表しておきたいと思います。
 そこで、まず携帯電話各社がプリペイド式についてこれまでどういう経営方針で来て、どのくらい収益の手段にしているのか。販売実績は携帯電話四社の間で大きな差があるわけですね。すなわち、プリペイド式の実数では、ボーダフォンが百六十万件で全国のプリペイド携帯の五九%を占めている。第二位がツーカーですけれども、ツーカーは自社の契約総数のうち二割に当たる七十万件をプリペイドが占めてきているわけで、依存度はツーカーが一番高いですね。

 そこで、総務省にお伺いをするんですが、四社の間のこのような大きな差はそれぞれの営業政策の違いでしょうけれども、各社これまでプリペイド方式についてどのような販売戦略の違いで現在こういう数の差に至ったというふうに見ておいでになるのか。簡単に言えば過去の営業方針だろうと思いますが、その点の特色を述べてください。

○政府参考人(有冨寛一郎君=総務省総合通信基盤局長)
 今の携帯電話事業者は、NTTドコモ、KDDI、ボーダフォン、ツーカーと四社あるわけでございますけれども、このプリペイド式携帯電話をどういう営業方針で対応しているかについては、必ずしもつまびらかに承知しているわけではございません。
 ただ、その結果で判断をいたします限り、今先生言われましたけれども、NTTドコモの携帯電話に占めるプリペイド携帯電話の数、シェアは非常に低うございます。逆に、ツーカーあるいはボーダフォンの比率が高いということでございますが、ボーダフォンのような会社の場合は、これは世界的な業務運営を見ていますと、ヨーロッパではプリペイドの比率が高いということで、相当この点については力を入れて販売しているのではないかというふうに思います。
 ただ、これまでの営業方針とこれからの営業方針を比較してみましても、ドコモの場合は、これからこのプリペイド携帯電話につきましては契約数の減少がある、余り力を入れて営業していない。したがって、こういった問題があるということも踏まえて、この三月三十一日には新規受付を終了すると、今後のサービスの終了も含めて検討すると、こういうような対応を取っておりますし、逆にボーダフォンのようなものは、先ほど申しましたように、非常にウエートを高く営業してきているということで、今後も引き続き積極的に営業したいというような取組をしているというふうに承知をしております。

○又市征治君
 今御紹介あったように、もうちょっと文面見てみますと、例えば昨年十一月のボーダフォン社のお知らせを見ますと、プリペイド式を一層売り込む文面になっています。いわく、気軽に便利に利用できるプリペイド式の需要は大きく増加しており、世界全体の携帯電話の五〇%以上がプリペイドです、当社、つまりボーダフォンは、日本のお客様に対して海外と同じような多様性と選択肢を提供します云々と、こうなっているわけですね。
 そして、現にこの会社が日本のプリペイドの六割を売っていることはさっき私、指摘したとおりでありますけれども、そうしますと、こういう営業政策を取られたのでは、せっかく今回のような立法化をしても焼け石に水にならないかという、こういう懸念がないのかどうか。もちろんのこと、相当数の抑制効果があることは先ほど来から答弁がございますけれども、その点を総務省はどのように考えていますか。

○政府参考人(有冨寛一郎君)
 先ほど先生御指摘のような、プリペイド式の携帯電話について積極的に営業したいという、引き続き積極的に営業したいという事業者でございますけれども、今回、こういった犯罪に使われているという、犯罪の利用に利用されているということについて、この対応を誤ればプリペイド式の携帯電話サービスの存続にもかかわるというような観点で、非常に強い危機意識を持っております。
 ですから、私どもとしましては、この事業者に対して、法案に対する取組ということについて確認をしてみたわけでありますけれども、今のような非常に強い危機感を持っているということで、この法案の策定をされた経緯、それから立法の趣旨、こういったことを踏まえてしっかり取り組んでいきたいというふうに意向を公式に表明しておりますので、我々としては、その事業者の取組を注視をしたいというふうに考えております。

○又市征治君
 プリペイドの台数は増えるでしょうけれども、業者の責任で本人確認をさせていくと、これがうまくいかなければそれの存立そのものが危うくなると、こういう思いでいるというふうに言われていますが、しかし匿名性を求める人は、そのすべてが犯罪のためではないけれども、これまでも譲渡、転売がきっかけになって、あるいはそれを偽装して本人確認逃れをやってきている人がいるわけでありまして、そこへ匿名性をセールスポイントに利潤追求でプリペイドを増やしてきた企業が本当にやっぱり本人確認に費用を掛けて徹底してくれるか、こういうやっぱり不安があるわけですね。

 したがって、そういう脱法行為がないように、今はそうした大変会社としては危機感を持っているというふうに答弁ですけれども、更にそのことを徹底を図っていく、いろんな工夫をしていくということが大事だと思います。特に、やっぱりこうしたある程度公益のといいますか、こういう会社は自社の商品に対する社会的責任というものをもっともっとやっぱり自覚をしてもらう、そういったことが大事なんだろうと思います。
 その点でもう一度確認の意味で、各社が登録の義務化に本当に取り組むのか、特にプリペイドの依存度の高いこの二社の動向について、今現在知り得るところ、もう一度改めてお聞きをしたいと思います。

○政府参考人(有冨寛一郎君)
 もう今までのこの問題意識というような中で、本人確認というようなことをしっかりやろう、それから具体的に何をやるかということについても事業者間で整理をして十一月に対策を取りまとめたというような過程がございます。
 その内容につきましては、御案内かと思いますけれども、過去に販売したもの及び譲渡、転売等をされたものを含むすべてのプリペイド式携帯電話について契約者情報の届出義務を課して、携帯電話事業者がすべての契約者を確認・登録制度に約款を変える、あるいは変更後、契約者情報の届出がないこと等によって契約者の確認ができない場合には利用停止を行うというようなことでございますが、既に一部の事業者についてはこの確認作業が始まっておりますし、この四月末までには全事業者がこれを行うというようなことでございます。また、既に昨年十二月からでございますが、前倒し的に自治体からの要請に基づきまして、契約者の本人確認及び確認できなかった者に対する利用停止というものも実施をしておりまして、合計で二十七回線利用停止になっているということでございます。
 私どもも今先生の御懸念、十分意識をしておりますので、施行後一年以内の見直し規定もございます。したがって、本当にこの法案の趣旨あるいは具体的な手続がきちんとされているか、これは定期的に開催しております連絡会等を通じて実態の把握に努めたい、そしてもし改善の余地があるとすればそれはきちんと指導もしていきたい、このように考えております。

○又市征治君
 是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、少し法案からそれるんですが、同じ詐欺の問題で、電子的な詐欺という点で最近問題になっている犯罪にキャッシュカードを偽造する、あるいは暗証番号を盗んでお金を引き出すという手口があります。
 ちょっと金融庁においでいただいていますが、初め銀行側はこの種の事案に対して、うちの責任ではないといって弁償に応じなかった。最近少しずつ改めているようですけれども、被害の状況、最近まとめた対策、そして銀行の態度について、金融庁、どのように承知をされているか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(鈴木勝康君=金融庁総務企画局審議官)
 最初に、偽造キャッシュカードによる被害の件数、金額につきまして申し上げさせていただきたいと思いますけれども、全国銀行協会、全国信金協会等が傘下の金融機関に対して実施していますこの被害に関するアンケート、これを三年程度を推移申し上げますと、例えば平成十四年度四件で一千四百万円、十五年度が九十五件で二億八千三百万円、平成十六年は四月から十二月のところまでの数字が把握されていますが、三百二十六件で八億五千八百万円と急増しているところでございます。こうした中で、金融庁といたしましても、この偽造キャッシュカード犯罪の被害の急増にかんがみまして、様々な対策あるいは要請を行っております。
 こうした中で、犯罪防止策につきまして、今御指摘ございましたけれども、各金融機関においてどういうことが対策として講じられているかということでございますけれども、これについてはATMの利用限度額の引下げですとか、ICカード化ですとか、それから生体認証の導入等の動きが出てきておりますし、先般、全国銀行協会が偽造キャッシュカード対策に関する申合せを行った、一月でございますが、行いまして、この問題について全国銀行協会及び金融機関において更なる取組の強化が図られるということでございます。
 そして、その補償の在り方につきまして、三月二十二日に行われました全銀協の会長の記者会見において、全国銀行協会としてカード規定試案の改定を含めまして見直しを行うと、その旨の表明がなされたものと承知しております。御存じだと思います。
 具体的に申し上げると、偽造キャッシュカードの被害については預金者に責任がない限り原則金融機関が補償すること、それから預金者に責任がある事例についてはあらかじめ明示すること、ルールの透明性、公平性を確保すること、それから三番目として、預金者に責任があるということの立証責任は金融機関が負うことが見直しのポイントとなる旨の表明がなされたと承知しております。
 金融庁としましては、こういったこの表明に沿って預金者の責めに帰すべき事由がない場合において被害の補償がなされる方向で検討がなされていることは望ましいと考えておりますし、全銀協及び各金融機関において一層の前向きな対応が速やかになされることを期待しておるわけでございます。
 もう一点でございますけれども、我が監督局内におきまして、こういった偽造キャッシュカードの被害への補償の在り方ですとか被害発生後の対応の在り方、こういったことをめぐりまして専門家から成るスタディグループを開催させていただきまして、鋭意既に七回の議論、行われております。
 その中で、早急に補償の在り方を中心に中間取りまとめがなされました。三月三十一日に公表されたわけでございますけれども、これによりまして、具体的には、補償の在り方の基本的なルールとして、偽造キャッシュカードが使用されたことによる損害は原則として金融機関が負担すること、それから、ただし、預金者の責めに帰すべき重大な理由が、事由がある場合には預金者が負担すると、そして、預金者の帰責事由については金融機関が立証責任を負うと、が望ましいということでしているものと承知しておるわけでございます。

○又市征治君
 おとといも、院内でこうした被害者の会の訴えがありました。参加された被害者の体験談をお聞きしますと、銀行が責任を負うまいとする姿勢の強いことが随分と強調されているわけで改めて驚くわけですけれども、極端に言えば、本当はあんたが引き出したんだろうと、こういう格好で被害者がまるで狂言詐欺をしていると言わんばかりのそうした姿勢があちこちで多い、そのために被害者の方がますます怒るという、こういう状況、トラブルが起きているというのが実態であります。私も聞いて、そのお怒りになるのはもうもっともだと、こう思います。
 そういう意味で、今お話があったように、この三月、それぞれこの改善に向けての努力はされていることには承知をそれなりにしておりますけれども、やはり金融庁も、銀行の利益擁護だけでなくて、本当に預金者、消費者の保護を更に徹底をするように、内部のそういう努力も今お話がありましたけれども、更に引き続きその点の努力を重ねて今申し上げておきたいと思いますが、何か付け加えてその点についてお答えすることございますか。

○政府参考人(鈴木勝康君)
 我々の金融行政は、やはりこの間の、昨年発表しました金融改革プログラムでも、利用者利便に立った金融行政というのがこれから非常に大事だと思っております。
 今の点について申し上げますと、金融庁としましては、こういった中間報告、取りまとめですね、中間取りまとめを踏まえまして、預金被害者への補償の在り方について実効性のある更なる対策を検討しまして逐次実施に移していくとともに、犯罪防止策などにつきましても、こういった同スタディグループの検討結果に基づいた更なる偽造キャッシュカード対策を講じて、しっかり対応してまいりたいと考えております。

○又市征治君
 終わります。