第162回通常国会

2005年6月16日 総務委員会



(1)国民の意見を募集しながら公表しなかった省庁
(2)官庁は個人や小団体の意見も取り入れる努力を
(3)行政指導は命令ではないことの周知を
(4)法務省は、矯正・入管の面で人権を守る努力を


○又市征治君
 社民党の又市です。
 今回の(行政手続法の一部)改正に賛成をいたしますが、この法律は、現状では、政省令、処分などの行政立法に対して一般の国民の権利を守るためというよりは、まだまだ事業者へのサービスないし苦情対策に限られているように見受けられる、そういう面があります。一般国民の権利確立にもっと役立つように改善を求めながら質問をいたします。
 なお、今日はえらい欲張ってたくさんの答弁者をお願いしたんですが、是非、簡潔明瞭にひとつ答弁をお願いを冒頭しておきたいと思います。

 まず、パブコメ(パブリックコメント)を募集したにもかかわらず、その結果を公表しないまま行政手続を終えてしまったというケースが幾つかあります。
 昨年十二月に総務省が発表した行政手続法に関する報告書によると、平成十四年度で十七件、うち十三件が国土交通省だったわけですが、なぜこのような結果になったのか、またその改善策はどういうふうに取られたのか、伺いたいと思います。

○政府参考人(和泉洋人君=国土交通大臣官房審議官)
 御指摘のとおり、十七件のうち十三件が国土交通省関係の、特に建築基準法の関係のものでございました。
 事情でございますが、平成十四年度が建築基準法の大幅な改正に伴う経過措置の最終年度に当たるとともに、シックハウス規制の導入やハートビル法、省エネ法の改正等が同時に行われ、詳細な技術基準の整備作業が集中したことが原因であると思っておりますが、事情はともあれ、こういったことが生じたことは誠に遺憾と認識しております。
 御指摘の十三件のうち、四件については意見がなく、二件については既にホームページで公表の手続を終えておりますが、残りについても速やかに公表を行いたいと考えております。
 今後、このようなことのないようにしっかりと努めてまいりたいと、こう考えております。

○又市征治君
 次に、自動車リサイクル法は一般消費者も関心が非常に強い問題でもあります。これに関するパブコメは、募集期間をたった十一日しか取らなかったわけですが、意見は五十三件も寄せられた、しかし全く未公表です。経済産業省及び環境省に今後の対策についてお伺いをします。

○政府参考人(塚本修君=経済産業省製造産業局次長)
 今先生御指摘のように、自動車リサイクル法の政省令の策定に当たりましては、国民の多様な御意見を伺うべく、審議会等で十分な審議会を行うとともに四回のパブリックコメントを実施してきたところでございます。しかしながら、そのうち一件だけ、一回のパブリックコメントの結果が未公表になっておりました。これは、担当者がやっぱりパブリックコメントの手続に十分熟知していなかったということで、公表を行ったということでございまして、今後こういう事態が生ずることのないように、既に省内全職員に対しましてパブリックコメント手続を遵守するよう周知徹底したところでございます。
 今後とも引き続き、政策立案に当たりましては国民の皆様の御意見の反映に努めてまいりたいと、かように考えている次第でございます。

○政府参考人(寺田達志君=環境大臣官房審議官)
 事実関係につきましては、ただいま共管の経済産業省の方から御答弁のあったとおりでございます。
 環境省といたしましても、今後このような事態が二度と起こらないようにということで、省内全部につきまして法令担当の官房総務課の方から通知をし、注意しているところでございます。誠に申し訳ないことだと思っております。

○又市征治君
 これの応募者を見ますと、この後の三回を含めて、延べ四百二十件中三百十件が事業者や自治体ではなくて個人やNPOであったそうですが、一般国民の関心の高さが分かりますね。それだけに、結果を国民にきちっと返すべきだ、こういうことだと思います。
 ところで、一般人の応募という点では、パブコメの募集期間の問題がそういう点では問題になるんだろうと思うんです。同じ総務省の調査では、全五百六件のうち二百十七件、四三%が二十八日未満であった。中でも期間の短かった比率が高いのは金融庁で九三%、財務省八八%、文部科学省で八三%、こういうふうに公表されています。
 これでは意見を出せない人もいるということから、今回、法文化して三十日以上と厳格にされたんだと思うんですが、改正後、これをどのように守っていこうとされるのか、代表して財務省からお答えをいただきたいと思います。

○大臣政務官(段本幸男君=財務大臣政務官)
 パブリックコメントにつきましては、委員御指摘のように、十四年度、財務省の方は八七・五%、大変高い数字で、遺憾だと思っております。
 これは、言い訳させていただければ、施行期日が決まっていて、その間に関係者の意見を聴き、また公布、周知、準備期間を取る、こんなふうな中でどうしてもそういうふうな格好になったんだと思いますが、しかしこれをやはり改善していくことが大事ということで、その後、財務省の方でもこれに努めておりまして、ちなみに十五年度は七七%、十六年度は二五%に改善している、これが当然、法の施行後きちっと守れるように我々もやっていきたいというふうに考えております。

○又市征治君
 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、総務大臣にお伺いしますが、官庁の情報から遠い個人やあるいは小規模な市民団体というのは、やっぱり期間が短いとどうしても応募の権利が実際には行使できない、大規模な業界団体だけの声になってしまいがちと、こういう傾向がやっぱりあると思うんですね。
 掛ける案は最終案でなくてもよいし、選択肢を示すのでもよいというふうにされているのですから、各省は例外規定を濫用せずに、三十日の十分、前から意見公募というのは私はやっぱり開始をすべきではないかと、こう思うんですけれども。
 今回のこの三十日以上という改正を、先ほどからありましたように、幾つか不十分な点あります、どのようにそういう意味ではしっかり守ってもらおうとされていくのか、それがまず第一点と、もう一つは、大規模あるいは重要な問題については、やはり五十日とか六十日といった、より十分な公募期間を設けるように各省庁に、むしろ総務省、総務大臣としては呼び掛けていかれるべきではないかという意見もあるんですが、この点についてはどうお考えですか。

○国務大臣(麻生太郎君=法務大臣)
 先ほど藤本先生のところからの御質問のときにお答えを申し上げたと存じますが、三十日以上ということにしておりますので、三十日以上を超える、まあ六十日になるということを妨げるものでは全くないということは、もう法文を読んでいただければそのとおりになっておると思っております。
 一般的に申し上げて、これ、物によりますけれども、えらく複雑なものやら分量の多いものやら一杯ありますので、検討に時間が掛かるということなどありますので、これはもう相当の、相応の時間を掛けるのが望ましいというふうに考えております。ただ、内容がいろいろありますので、形式的に一律に六十日と、全部六十日ということで決めちゃうのはいかがなものかということを思っておりますので、各省庁に対しては、案件を見ながらそれに合うようなものを、適当な時間というものがどの程度かというのはなかなか私どもの分かる範疇ではありませんので、やっぱり意見の募集期間の確保というものは十分に取るようにということは私どもの方から各省に申し伝えねばならぬと思っております。

○又市征治君
 是非、そういう意味で、三十日以上といったら三十日にしてしまうという傾向がやっぱり役所の中にありますから、やっぱり以上が付いていることの意味、あるいは大規模な問題であるとか重要問題というのは今大臣がお答えいただいたような立場でまた努力もお願いをしていきたいと、こう思います。
 次に、行政側の恣意的な扱いだとして悪名が高いんですけれども、行政指導について。

 この法律で、行政指導は命令ではないので、その旨を明示し、要求があれば書面で交付しなければならないというふうに定められております。
 ところが、総務省の調査によると、事業者側がそのことを知らずに行政指導に従っていたとか、あるいは行政側との関係が悪くなっては困ると思って書面を要求できなかったという例が多数報告されている。
 商工会議所であるとか中小企業団体であるとか行政書士会などから、書面交付を請求すれば不利益な扱いをされるんでないか、こういうことがあって、不安感があって実はしなかったと、こういうのが幾つも総務省の調べで出てきているわけですね。また、この行政側の方にも、行政指導を行いながら、その係官が、担当者が書面交付制度を知らないという、こんなことも国の機関では三件、自治体で十二件ありましたという報告がなされている。これらに対して、二つのことを申し上げましたが、これらに対してどのように改善策取られるおつもりですか。

○政府参考人(藤井昭夫君=総務省行政管理局長)
 これも繰り返し御答弁申し上げているところでございますが、制度は、せっかくつくっても、やっぱりまず存在を知られて内容を知られなければ全く意味がないわけでございまして、とりわけこの制度については若干地味なこともありましてなかなか知られてないところはあるんですが、それにつきましても、あるいは私どもとしては、行政機関側それから事業者側、これに対しては積極的にPR、普及を努めていきたいと考えております。

○又市征治君
 そこで、最後の質問になりますが、この法律の第三条で適用除外がありますけれども、その八号で刑務所、拘置所、留置場等において、収容の目的を達成するためにする処分及び行政指導は除外と、こうされているわけです。
 しかしながら、悪名高き名古屋刑務所の事件に見られるように、巨大な密室と言える刑務所などの中では懲戒や指導等々を名目にして人権無視の懲罰行為が行われてきた、これが大変問題になったわけです。
 また、法第三条の十号では、外国人の出入国、難民認定等についてもこの行政手続法の適用除外とされております。このため関係者は、本人、家族、あるいは弁護士などを含めて、強制退去処分とか難民認定の却下などのたびごとにその理由や期間の問題で人権上の不利益を受けている、大変大きく問題になっています。
 最近の刑事施設法や入管法で幾らかは改善を、あったように思いますけれども、やっぱり人の身体の自由を縛る、権力による密室の行為だからこそ、法務省は行政手続法の精神を踏まえて、本人の訴えや処分理由の明示、あるいは文書による開示をより徹底すべきではないか、このように考えますけれども、その点の改善策についてお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(横田尤孝君=法務省矯正局長)
 お答え申し上げます。
 刑務所等におきましては、規律及び秩序の維持のために被収容者に対して懲罰を科するなどの不利益処分を科することが、科すことができるものとする必要がございますが、こうした不利益処分を科す場合に、行刑、行政運営における公正の確保の観点から一定の手続を保障する必要があるということは御指摘のとおりだと考えております。
 そのため、委員御案内と思いますが、今国会で、いわゆる監獄法の改正と言われておりますけれども、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律というものが成立いたしました。その中では、例えば懲罰を科すに当たりましては書面で懲罰の原因となる事実の要旨を通知し、三名以上の職員に対する弁解の機会を付与しなければならないといたしますとともに、懲罰の執行に当たりましては懲罰の内容及び原因として認定した事実の要旨を告知することとするなどいたしまして、刑務所等における処分等の特殊性を踏まえ、一定の手続保障を図っているところでございます。
 以上でございます。

○政府参考人(三浦正晴君=法務省入国管理局長)
 お答え申し上げます。
 外国人の出入国に関する処分等につきましては、一般国民に対する通常の処分等を対象とする行政手続法を適用することは同法の意図するところではないということから、同法はこれらの手続の適用を除外しているものと承知しておるところでございますけれども、これらの外国人の出入国等に関する処分などにつきましては、在留資格を取り消す場合の聴聞の手続など入管法で独自の手続が定められておりますし、中には特別審理官におけます口頭審理について処分の相手方に対して証人尋問を認めるというようなことでございますとか、行政手続法よりも厳格な手続が定められているものもございます。
 また、入管法で規定されていない手続につきましても、例えば標準処理期間を設定いたしましたり、不許可処分の理由を付記したりするなど公正の確保と透明性の向上を図っておるところでございまして、行政処分を受ける方の利益を保護するため適正な運用に努めているところでございます。

○又市征治君
 私も申し上げたのは、これを除外したからけしからぬと言っているんじゃなくて、こうした行政手続の精神を踏まえていろいろと努力をしてほしいと、こう申し上げているわけです。
 先般も、我が党の福島党首が質問をいたしましたけれども、入管で現実に日本人の配偶者がいるのに何か月もずっとそれが拘置されたままというのはたくさんあるというのがこの間明らかになりました。
 そういう意味で法務省は、私は、法務省が一番法を守らなきゃいかぬ、権利を守らにゃいかぬのに、一番人権感覚がない、こういう実は批判を受けているということについて、もっとやっぱり謙虚にそこらの努力をしてほしい。たまたまこれは行政手続法の問題で絡めて申し上げましたけれども、そのことの努力を更に求めて、今日の質問は終わりたいと思います。