第162回通常国会

2005年7月19日 郵政民営化に関する特別委員会



(1)郵政の公社化は「民営化の一里塚」などではない
(2)山崎氏自身が語っていた「将来も民営化しない」という結論
(3)高齢者世帯の目となり足となっている現在の郵便局のサービス
(4)民営化で消える、非営利の地域福祉・地域貢献業務


○又市征治君
 社民党の又市です。
 今日は大変お忙しい中、山崎修正案提案者においでいただきましたので、若干お伺いをしたいと思います。
 政府原案はあなた方の四項目の修正が施されましたけれども、これは政府原案とどのように違うのか。条文はもちろん私、分かっていますから、つまり国民の郵便及び郵貯、簡保、すなわちユニバーサルな小口金融サービスを受ける権利を守る観点から、政府案の民営化の問題点に歯止めを掛けたのかどうか。それとも、実質は変わりなくて、単に国民を安心させるための字句修正だったのか、この点についてどのように御見解をお持ちですか。

○衆議院議員(山崎拓君=郵政民営化関連法案修正案提案者)
 お答えいたします。
 修正部分の説明の際に申し上げましたとおり、明治以来の大改革でございますから、制度設計に当たって種々の不安感を払拭したいと、そのように考えておりまして、原案でなお不信感の払拭という見地からすると足らざると思われる点について修正を加えたものでございます。

○又市征治君
 いや、余り意味が分からないんですが。
 小泉さんは、不安感をなくする修正であって中身は全く変わっていないんですと、こう小泉さんおっしゃっている。この間の参議院の本会議でも、国民の不安感や懸念の払拭にこの修正が役立つものであると考えていると。
 つまり、中身は変わっていないと、こういうふうに言っているわけで、残念ながら、この修正はなさったけれども本質的な問題ではないと、こういうふうに答えているわけですが、今の点、この点についてはどうなんですか。

○衆議院議員(山崎拓君)
 何回かその点について私が答弁したんでございますが、その都度よく分からぬと言われまして困っておるんでございますが。
 それは、私はこの修正にかかわりましたんで経過をちょっと申し上げますが、小泉総理は提出原案について非常にこだわりがあると申しますか、これを最上のものとして国会に提出をされたわけでございます。したがいまして、修正については最後まで反対の立場でございました。そこで、私はどうしてもこの法案を国会で成立させたいという強い希望を持っておりますので、したがって、より多くの賛成者を得るために、あるいは反対者を少なくするために修正した方がよろしいと、そのように考えましたわけでございます。したがって、総理には国会の権能としてこれを修正するということを申し上げまして、公明党とも相談いたしまして修正案を提出いたしましたわけでございます。

○又市征治君
 中身がほとんどないということは、これはまあ同僚議員らも追及されていますし、今後の、後の論議でもその点については明確にしてまいりたいと思いますが。
 ところで、山崎先生は先月十二日のNHKの番組で、中央省庁改革基本法第三十三条一項第六号で郵政公社の設立に伴って民営化等の見直しは行わないとしたこの点については、郵政公社後のことを縛ったものではない、当時、民営化の一里塚として郵政公社をつくるという理解になった、こういうふうに述べられましたですね。これは間違いありませんね。

 こうおっしゃったのは、もうあなた自身は、この改革基本法制定当時、自民党の政調会長でありましたから、当然、政府や連立与党と密接な連携があって、その中でこの三十三条の規定というのは当時から民営化の一里塚として取りあえず郵政公社にする、こういう合意だった、こういうことなわけですね。

 だとすれば、これは政府のどういう場面でどのように具体的に合意だったのか。この点について、とりわけ今日も朝から三十三条問題依然としてまだ論議がありますから、この点を整理する意味から、是非、正に当時の生き証人でありますから、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

○衆議院議員(山崎拓君)
 当時は自社さ政権でございまして、先生の方の党とも十分御相談して進めたことを記憶いたしております。確かに、私は与党の中で自民党の政調会長といたしまして三党の政調会議にしばしば出席いたしておりましたので、その間の経緯よく存じております。
 平成八年に橋本内閣になりまして、橋本内閣は六つの構造改革を掲げておりましたが、そのうちの一つが行政改革でございまして、根本的な行政改革をやりたいということを橋本総理は志向されましたわけでございます。その一つといたしまして、中央省庁の再編の中で郵政の民営化ということも実は掲げられました。熱心に郵政民営化をお説きになりましたのでございまして、小泉総理が初代のように皆さん思っておられますが、橋本総理自身も郵政民営化をいったん志されたわけでございます。

 当時の郵政大臣は自見庄三郎君でございまして、私、政調会長でございました。小里貞利さんが総務長官で、そういった顔ぶれでこの問題に取組をさせていただきまして、結果といたしましてこのようなことになりました。郵政事業庁を挟みまして郵政公社に移行するということになりましたが、これは橋本政権下においてそういう決定が行われたわけでございますので、次の内閣以降を縛るものではなかったと考えております。

○又市征治君
 まあ、公共放送を通して、国民に当時の民営化の一里塚として郵政公社をつくる理解になったというふうにおっしゃったわけですから、この点ちょっとしつこくお聞きをするんですが、実は本当はそうじゃなかったんじゃないですか。最近になって、民営化を進めるのに三十三条一項第六号のこの規定というのは大変邪魔だから、何とか解釈をし直そうという考え方に変わったんじゃありませんか。

 というのは、この基本法成立当時、その直後ですよ、あなたは自民党の政調会長として、国営三事業一体の結論、身分は国家公務員の結論、将来においても民営化は行わないという結論を導き出すことができた、また、将来の郵政事業の在り方については国営が不可欠だ、現在と正反対のことを公言されているわけですね。

 これ、どこで言われたか。まあ、たくさんごあいさつに行かれますから、覚えておいでにならないかもしれませんから申し上げますと、九八年六月十八日、全郵政の九州の大会で発言をなさっているわけで、私ここに実は議事録を取り寄せて持っております。一体、これどちらの発言が本当なんですか。二つに一つですよ。当時、六月の八日で多分このときは国会が終わっているわけですよ。直後に行って、こういうふうにおっしゃっている。まだずらずらとたくさんあるんですよ。たくさん、二枚にわたって議事録がございますから。

 だとすると、当時から郵政の組合で民営化の本音を隠して、うそを言って、労働組合を安心させるためにお話しになった中身なんですか。
 この点、もう一度お答えください。

○衆議院議員(山崎拓君)
 定かに記憶はいたしておりませんが、先生がそういう記録をお持ちでございますとすれば、そう言ったんではないかと思いますし、当時においてはうそ偽りのない心情を申し上げたと思っております。

 全逓の会合に行っても、伊藤筆頭理事がいらっしゃいますが、同様のあいさつを多分したんじゃないかと、そのように思うわけでございますが、それは、橋本政権下におきまして郵政民営化、いったん志したけれども、衆議の下で郵政公社、国営に移行するという措置をとりましたわけで、当時、小泉現総理は厚生大臣の立場で、この問題に直接関与する立場ではなかったんでございますが、閣議等におきましていろいろと発言をなさっておったことを私、ちょっと橋本総理からお聞きいたしまして、小泉総理が、郵政公社への移行が郵政民営化の一里塚であるという認識を当時から持っておられたということを承知いたしております。

○又市征治君
 つまり、当時発言したことの方が正しいんだろうというお話ですよね。それを裏付ける中身が幾つかあります。
 今ほどもお話ございましたが、当時、我が党は自民党と閣外協力をしていまして、当時、そういう意味ではあなたと緊密な連携を取っておった我が党の及川政審会長は、その回顧録、ここに持ってまいりましたが、この回顧録の中でも、今、私が全郵政の大会であなたがおっしゃったこととほぼ同じことを述べているわけですね。つまり、この九七年十一月二十二日、与党行政改革協議会と政府との最終合意で、郵政三事業の結論として、五年後、新たな公社に移行させる、その大前提は国営事業であること、二つ、身分は公務員であること、三つ、再び民営化の論議は提起しないことの結論だったと、そういうふうにこの中に明確に書いております。あるいは、その確認のときに、加藤自民党幹事長、新型の公社は民営化しない、これで打ち止めということで考えたい、自民党の総務会で述べられている。
 こういう中身もあるわけですから、今あなたがおっしゃいましたように、これは、むしろこのときは完全に民営化はしないんだと、将来ともにやらないんだということを明確に確認をしているわけです。

 その中心にあなたはおいでになったわけでありまして、そういう点では、政府は最近になって三十三条一項六号については、これは公社化までのことを想定しているものであって公社後の在り方を拘束するものではないというふうに強弁されていますけれども、法解釈論ではなくて、今の段階で法解釈論ではなくて、当時、政治的にどのように議論をして判断をしたかということがこの規定の理解の大変重要なところなんですね。そうでしょう。したがって、今回の民営化法案というのは、この改革基本法に違反をする疑いが非常に濃厚だから、それで今朝からも論議になっているわけです。

 そこで、委員長、こういう格好でちょっと、山崎議員は、私は、NHKで、国民にそういう格好で大変な、そういう意味ではだますごとき発言をなさったことについては、極めて遺憾だということをこの場で申し上げさせていただきますが、是非、基本法のこの条項の当時の政治的判断を正確に把握しませんと、この論議全然、いつまでも続く、こういうことですから、当時の橋本総理、あるいは加藤自民党幹事長、及び我が党の及川一夫氏に本委員会に出席いただくように理事会で協議をいただくようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。

○委員長(陣内孝雄君)
 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。

○又市征治君
 それでは次に、少し具体論の中身で生田総裁にお伺いをしてまいります。
 私の出身地であります富山県を含めて全国では、山間部では文字どおり、まあ地元では親しみを込めて郵便屋さん、郵便外務員のことをそう言いますが、都会の繁栄から取り残されてひっそりと暮らしている高齢者の方々の目となり足となる大変な重要な役割を果たしています。
 例えば、郵便配達員がひまわりサービスでそうした家を訪れると、高齢者の方から、いや今月は年金が下りてきているはずだけれども、町まで行くのはこの年でつらいから、郵便屋さん、下ろしてきてくれぬかと、こんな格好で頼まれることがしばしばだということだそうです。

 そこで、生田総裁、今述べたような郵便外務員によるひまわりサービス全般、すなわち高齢者世帯への声掛けや安否確認、ちょっとした用件の伝達など、どのように行っているか。私はここにおたくの資料を持っていますから分かりますが、国民の皆さんにお分かりいただく意味で総裁から簡単に御紹介いただきたいと思います。

○参考人(生田正治君=日本郵政公社総裁)
 お答え申し上げます。
 まず、年金サービスの方からお答えいたしますけれども、平成三年から、社会貢献の一環といたしまして、高齢、病弱などのために郵便局に出向いて年金を受け取ることが不自由な方たちに、受給者の方に年金や恩給を支払期ごとに御自宅にお届けするサービスを行っております。
 具体的には、郵便局へ出向いて年金などを受け取ることが困難であったり、かつ家族などによる代理受領ができない状況にある方々には、御希望いただいた方を対象とするわけでありますけれども、ここに持ってまいりましたけれども、こういう年金配達申込書というのがありまして、これは郵便局長に出していただくわけですが、これを出していただいたらお届けすると、こういうことでございまして、十七年三月末現在の利用者数は二千五百五十人でございます。なぜかこれ、十二年ごろは四千六百二十九人もいらっしゃったのが、だんだん減ってきている理由は何かなと、私自身ちょっとよく分からないんですが、今のところ二千五百人です。

 それから、ひまわりサービスでございますが、これは平成九年八月から全国の過疎地域を対象に実施しております。平成十七年三月末日現在で、全国で百九十四市町村、二百九十七郵便局で実施いたしております。
 具体的には、郵便局外務職員が七十歳以上の独り暮らしの高齢者や高齢者夫婦世帯に対しまして、郵便物の配達で立ち寄る際に励ましのお声を掛ける、小中学生からの励ましのメッセージをお届けする、生活用品の注文はがきを取り集めまして注文品の配達のお手伝いをする、郵便物の集荷サービスも行うというようなことを地方自治体とも打ち合わせてやらせていただいております。

○又市征治君
 今、総裁から紹介いただきましたが、一か所ちょっと間違いがあると思うんですが、郵便配達で立ち寄ったときじゃないんですね。郵便配達の途中にある高齢者宅を回っているんですね。そういう意味では、これ大変な重要な役割をしているんですよ。
 そこで竹中大臣に伺いますけれども、民営化をして四分社ばらばらになった後は、今紹介したような貯金の引き出しサービスであるとかこのような、言ってみれば配達の途中の高齢者宅、七十歳以上と、こう今しておりますけれども、そういうところのサービスというのは具体的にどこの会社のだれがやってくれるんでしょうか、これは。
 今は三事業一体だからこそこうしたサービスができる。民営化されて郵便配達だけの郵便事業会社になったら、別の会社である郵貯の引き出しだとか簡保の集金を郵便会社の外務員はできなくなるわけであって、つまり現在担っている地域福祉、地域貢献業務というのはできなくなるんじゃありませんか。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 年金配達サービス、そしてひまわりサービスが具体的に民営化後どのようになっていくか。民営化後、年金配達サービスでございますけれども、これをどの会社の職員が行うかということにつきましては、業務の実態と、それと分社化における職員の配置を踏まえて今後検討されることになると思います。郵便貯金銀行から業務を受託する郵便局会社の職員又は郵便の配達を行う郵便事業会社の職員が引き続き行うことになるというふうに考えられます。
 いずれにしましても、この地域住民から評判が高いこのような地域社会への貢献に資するサービスというのは、これは民間の会社になったとしてもこれは重要なことでございます。企業の社会的貢献の一環として引き続き行われると考えております。
 なお、郵便事業株式会社法案におきまして、郵便事業会社が行うひまわりサービスのような社会貢献的サービスについては社会・地域貢献基金からその実施に必要な資金を受けられることとしておりまして、確実かつ安定的な実施を確保するためのスキームについてもこれを確保しているところでございます。

○又市征治君
 地域貢献基金から金が出る、よくその話はずっと聞いてまいりましたが、現実はそんな話なんというのは現場では通用しませんね。
 もう少し具体例申し上げてまいりますと、例えば私の富山県なんかで一晩に一メートル以上の雪が積もるのは山間部随分あります。
 で、こうした朝、翌朝、新聞はどう配達されているか。実は、新聞販売店は山間部に配達する新聞をまとめて郵便局に依頼しているわけです。有料とはいえ、こういう本業以外のもうからないサービスは、一体全体、民営化、四分割されたらどうやってやっていくのか。

 もう一つの例、クロネコヤマトが宅急便を普及させて郵便局の悪いサービスを追い抜いたと、こう言われてきました。ところが、地域の実態はどうか。宅配便業者は、過疎地などで配達していたら自分のもうけにならないと判断すると、郵便局に丸投げしている例が多いんですね。
 これは中越地震の被災地の例でも明らかになりました。民間業者のサービスの実態というのは、このように過疎地を切り捨てて郵便局に押し付けて差益を食っている、それが収益優先の民業の本質だとやっぱり私は思います。

 郵便局のこのようなライフラインサービスというのは民営化後も存続できるのかどうか。
 民間会社はそれに、民間会社になったそこにこれを義務付けられることはできないじゃありませんか。そういう意味で、町村役場とともに地域福祉の担い手としてのこうした郵便局のサービスを民営化によってなくすべきじゃない、このことを強く申し上げ、今の点についての御返事をいただいて終わりたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 郵便、配達店が豪雪時には新聞を郵便局に差し出して配達してもらう例があるということを承知をしております。郵便のユニバーサルサービスを提供する日本郵政公社は、これは利用者の求めに応じまして郵便物を引き受け、あて先に届ける義務を負っております。したがって郵便、配達店が新聞を郵便物として差し出すことがあれば、郵便局は当然にこれを引き受け、あて先に届ける。こうした取扱いは、民営化によって日本郵政公社から郵便のユニバーサルサービスを引き継ぐ郵便事業会社においても何ら変わるところはございません。
 それともう一点、民間宅配便が自社で配達しない地域あての荷物を郵便局に差し出して配達してもらう例があるということについて、これは実態は公社としても必ずしも十分把握していないということでございますが、いずれにしても民営化後、郵便事業会社としましては、これは民間宅配便と同等以上に全国ネットワークを構築してサービスを提供するというビジネスモデルによります、正に全国どこでも届くという安心感が戦略上重要でございます。
 したがって、郵便はもとより、郵便から外される小包につきましても、従来と同様に全国への配達を行うものというふうに考えております。