第162回通常国会

2005年7月20日 郵政民営化に関する特別委員会



(1)「見直し」とは名ばかりの修正案・総理答弁
(2)論議を国会から切り離して内閣の好き放題にする見直し機関
(3)反対派を釣るための見せかけだけの「見直し」
(4)2年前に発足し改善してきた公社を潰すことこそ非現実的
(5)民営化されれば公的サービスは守れない


○又市征治君
 社民党の又市です。
 総理が十三日の本会議答弁で、民営化法案第十九条の修正案の意味について、経営形態の在り方を含めた郵政民営化に関する事項全般について見直しを行う、こういうふうに述べられました。これについて、翌十四日の読売新聞は、政府筋の言葉として、いったん四分社化したものを数年後に変更することは現実的な選択肢ではないと、冷ややかだと、報道しております。
 この政府筋がだれであるか、竹中さんであるかどうか知りませんが、私は政治的見解を異にしますけれども、この政府筋の言う理屈はある意味で理解ができます。
 そこで、まず竹中大臣にお伺いをいたしますけれども、あなたがおっしゃってきた、あくまでも民営化の方向での見直しであるという答弁に対して、総理の経営形態の在り方を含めて見直しを行うというこの新たな答弁というのは同じことなのか違うのか、その点をお聞きいたします。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 小泉総理は、先日、十三日の本会議におきまして、これは、郵政民営化は国民の利便の向上及び経済の活性化を図るために行われるものであると、民営化委員会は、こうした目的に照らして、経営形態の在り方を含めた郵政民営化に関する事項全般について何らかの問題が生じているようなときには、問題点についても見直しを行うこととなると考えられる、なお、当然のことながら、民営化委員会における総合的な見直しは、郵政民営化法に定められた理念、方向に即して行われることが想定されます、そのように答弁をされていると承知をしております。
 これは、従来から私が、まず、民営化委員会における総合的な見直しは、郵政民営化法に定められた理念、方向に即して行われものである、そのように私、申し上げている。また一方で、郵政民営化は国民の利便の向上及び経済の活性化を図ることを目的とするものであり、仮にその目的に照らして郵政民営化に関する事項全般について何らかの問題が生じているようなときには、民営化委員会は問題点についても見直しをする、行うこととなる、私、そう述べてきておりますが、そう述べてきたことと変わりはございません。
 郵政民営化委員会による見直しが郵政民営化法に定められた理念、方向に即して行われることになるという、この従来の考え方のとおりであると思っております。

○又市征治君
 ところが、この政府筋は、総理の十三日の答弁を現実的な選択ではないということで反対をしているわけですね。つまり、この人は、総理の経営形態の在り方を含めて見直すという答弁は、四分社化を数年後に変更することが含まれるととらえて危機感を抱いたからこう言ったんだろうと思います。まあ、見直すと言えばこれが世間一般の解釈ですからね。
 なぜ総理が、じゃ新答弁をしたのか。衆議院での答弁と採決を反省をして、総理は丁寧に誠実に答弁をすると、こうおっしゃる。また、自民党は、総理答弁案をチェックまでして、総理に低姿勢に終始するよう工作をされたようでありまして、今朝からもそのことが追及されました。そうでもしなければ、世論も自民党内も収まりが付かないからだろうと思います。
 ところが、これは丁寧とか安心させるとかという心理作戦の次元ではなくて、具体的な政策の大きな違いに結果することはあなたが一番御存じのはずでありまして、もう一度伺いますけれども、総理の経営形態の在り方を含めて見直すという参議院での総理の新たな答弁と、あなたが七月一日に衆議院でこの修正案について、民営化そのものの見直しは想定されていないとの答弁に矛盾は全くないということですね。その点、簡単にお答えください。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 従来から、これは民営化委員会による郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証の対象には郵政民営化についての事項全般が含まれるというふうにこれは私も説明をさせていただいております。これは、「検証」を「見直し」とすることによって民営化委員会の意見を申し述べる対象が拡大していると解することができるわけでございまして、そのような趣旨で修正が行われたものというふうにこれは理解をしております。
 総理は、このような修正の趣旨を踏まえまして、郵政民営化の進捗状況についての総合的な見直しの対象に経営形態の在り方も含まれることを例示的に述べたものであるというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、郵政民営化委員会による見直しが郵政民営化法に定められた理念、方向に即して行われることとなるという点については、従来の考え方と変わるものではございません。

○又市征治君
 つまり、「検証」を「見直し」としたこの修正案でも何も変わらないということですね。

 ところで、この見直しを行うのは政府でも国会でもなくて、今お話しになった郵政民営委員会、これは総理が任命をする有識者会議ということなんでしょうけれども、これは極めて重要な作業をする委員会になりますね。
 このメンバーは当然、国会同意人事になるんでしょうし、国会にも報告をして審議することも当然予定されておりますね。その点、確認しておきたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 これは国会同意人事ではございません。国会への報告に関しましては、三年ごとのレビュー、さらには、その資本状況、財務状況を含むところの承継計画、それについても意見を民営化委員会で述べますが、そうしたものについては国会報告をすることが法律で規定をされております。

○又市征治君
 いや、大変驚きましたね。本当にこれが、こんな重大な国民の資産を扱っていくという、これだけ論議しているものが国会同意人事でもない。そういう意味では、国会で論議するわけでもない、全くもう内閣のやりたい放題と、こんなことになってしまうじゃありませんか。これは大変問題だという指摘しなきゃなりません。是非改めていただきたい。

 そこで、修正案の提案者である柳澤議員にお聞きをしたいと思います。朝から大変御苦労さまです。
 今の竹中大臣の答弁では、原案の変更はないと、民営化は動かさないということでありますが、あなた方の修正の真意、つまり経営形態の在り方を含めて見直すというのは、四分社化の時点にまでさかのぼって見直し、経営形態を公社に戻すことも含めることだったんではないかというふうに私は思ったんですが、それは違うのかどうか。
 私は、この十三日の総理の新答弁というのは、あなた方が提案をし、可決をしたこの衆議院修正案に従って、つまり参議院でより多くの議員を説得するのが目的で、新たな見解として政府が出してきたものだというふうに思ったわけですけれども、今おっしゃった、竹中さんがおっしゃったのは、それほどの意味はなかった、全く中身は変わってないんだと、こういうことなわけですが、この点はどういう御理解ですか、そういうことですか。

○衆議院議員(柳澤伯夫君=郵政民営化関連法案修正案提出者)
 先生、「総合的な検証」が「総合的な見直し」になったという修正過程、御存じのとおり、総合的なというのは国会修正ではなくて、国会に法案を提出するに当たって、政府・与党で調整した結果、総合的なという言葉を入れました。
 それはなぜ入れたかといいますと、これは自民党、公明党が強く、要するに郵便局の設置状況をちゃんとその検証の対象にしてくれということが一つ。それから、金融のユニバーサルサービスの提供状況をしっかりと検証の対象にしてくれと、この注文を言わば総合的なという言葉で表現しよう、こういうことでございました。それが今度は検証が見直しに変わるというのが国会修正であったわけですが、したがってそれは範囲の問題ではなくて、言わば深さというか、実際、改善案まで提示するというようなことを意味するんだというのを私は答弁をさせていただいたわけでございます。
 いずれにせよ、しかしその後また総理の答弁がこの件についてございましたので、それは私が論評する限りではないと思いますけれども、今、竹中大臣の御答弁をわきで聞いておりましたところ、ああ、そういうことに総理の真意がなるのかということで、私どもも、大変一歩前進というか、そういう感じで受け止めたというのが率直なところでございます。

○又市征治君
 とすれば、とにかく今は自民党内を含めて反対を押さえ込むことが当面の最重要課題であって、したがって総理答弁は、反対の議員も再結集するために、むしろあなた方が総理を説得して、取りあえずここは大幅な見直しをほのめかした、言い方を換えれば、正に「毛針」だということになるんではないのかという受け止め方が一般的ですよ、これは。それでも反対の声が収まりそうにないので、片山さんが改めて見直し議連の結成というもう一つの実は「毛針」を提唱されたことが、そういう意味ではよく理解ができるわけであります。まあこれ以上この問題はやりません。

 そこで、私が今日お聞きしたいのは実はこのことではなくて、分社化すると決めたことを数年後に変更することは現実的選択ではないという、さっき申し上げた政府筋のこのコメントについてなわけですけれども、竹中さんも、そういう意味では、こんなことは現実的選択ではないというふうに思われるかどうか、今大々的に国会にかけている民営化法案を数年後にすっかり変えてしまうことは現実的な選択ではないというふうにお思いかどうか、その点をお伺いします。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 ちょっと、読売新聞の報道についてはちょっと私、承知をしておりませんですけれども、これは、私たちは現時点では政府の案がベストだというふうに思っているところでございます。しかし、これは、将来これにつきましてはどういうことになるかということについては、これは幅広くいろいろな立場で御議論をいただくべき問題であろうというふうに思っております。現時点では、私どもは政府の案がベストだと思って出させていただいております。

○又市征治君
 今の案がベストであると、だから現実的選択ではないということなんですが、だけれども、あなた方自身が、それこそわずか二年前に発足した郵政公社を今つぶそうとしているわけであって、極めて現実的でないことをやっておいでになる。
 郵政の現場は、正に公社に移行して、新しい総裁の下で三事業一体のユニバーサルサービスや、昨日、私が指摘をいたしました公的な地域福祉サービス、様々なものを、言ってみれば「公的な」ということを昨日も申し上げたんですけれども、こういうのを守りながら必死に経営努力をされているわけですね。
 その第一次の中期経営計画の四年間すらたたないうちに、しかもここ二年間で郵便事業も黒字に転換してきているのに、あなた方は今回、正にこれをすっかり変えてしまうこと、つまり現行の公社法とは全く別の法案を出してきた。
 正に、これこそ現実的選択ではないんではないですか、これ。そう思われませんか。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 今回の法案に関しましては、これは郵政を取り巻く環境が極めて激変していると。郵便物の取扱高、さらには郵貯の残高、簡保の契約高、さらには国際物流の世界でも、世界のインテグレーターが寡占状況にある中で、アジアでは非常に大きな成長市場があって、そこにまた国際的なインテグレーターが参入しようとしている。そういう中で、やはり将来を見越して、やはり今民営化に踏み切る必要があるというふうに判断をいたしまして、今回の法案を提出をさせていただいております。
 また、やはり民営化には大変時間が掛かるという点も重要であろうかと思います。そのような一つの政策上の判断でございますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。

○又市征治君
 まあ理解は全くできないわけですが。
 そこで、生田総裁にお伺いをしたいと思います。
 本当に大変な改革の努力をなさっておって、ずっと連日、国会に引っ張られて、大変なことだと思うんですが。あなたは昨日も、公社のままでいくのか民営化するかは高度な政治的御判断だ、つまり御自身の立場では何も言えないと、こういうふうにおっしゃっておりますね。また、四年間、健全で良い公社をつくるのが私たちの使命だともおっしゃっておられます。
 これは、公社のままでいくことも選択肢としてあり得るんだ、こういう意味も生田総裁のこの言葉の中には含んでいるというふうに理解してよろしいですか。

○参考人(生田正治君=日本郵政公社総裁)
 お答えいたします。
 現在、公社は、先生おっしゃった任期四年の後半の二年に入っておりまして、今の公社法の枠組みと社会的規範の枠内でまだ改善の余地が多分にありますので、営業力のパワーアップとか購買の適正化、生産性向上、目一杯努力している最中でありまして、使命をきっちり果たしていきたいと、こう思っております。
 郵政事業だけ見ると過去よりもかなり改善してきているんですが、市場で比較すると利益率等におきまして大変競争力を欠くと、こういうことはもう既にお話ししてきたところであります。
 このようなことから、これまでの答弁で、今のままで中長期に郵政事業の経営の健全性を維持しつつ国民の重要な生活インフラとしてのパブリックな役割もきちんと果たしていくためには、事業が健全でないといけませんから、適正に経営の自由度を付与していただいて、段階的にでも民間に準じた利益を上げるような形にしないといけないんじゃないか、こういうことを申し上げたわけであります。
 具体的には、経営の自由度を付与していただく方法としまして、公社のままでいくが現在の公社法は改正していただきまして経営の自由度をかなり大きく認めていただく、あるいは、民業圧迫などの世論でこれが難しいとすれば、良い民営化をやっていただくという二つの選択肢になるんではないでしょうかと、どちらとするかは高度の政治的御判断でお考えいただきたいと、こう申し上げたわけで、公社のままでというのもあるわけでありますけれども、ただし健全な事業体を長期に維持するためにはそれの改正というものが不可欠じゃないかと私は思っております。

○又市征治君
 それは、自由度をもっと高めていくということについて、元々、郵政公社が出発するときに、自由度を高める、自立性を高めるということは元々書いてあったわけですよ。だから、そういう意味では、そういう点での改正を含めて郵政公社のままでいくということも当然選択肢としてあるということだと思います。
 そこで、もう一つ総裁にお尋ねしておきますが、昨日、私が指摘したふれあい郵便あるいはひまわりサービスであるとか、地域のライフラインを守るいわゆる公的なサービス、役割、こういったものは昨日、随分と申し上げました。収益最優先の民間業者が現在の郵便局に幾つかの仕事を丸投げしている。これは収益が合わないからそういう現実が起こっているわけですけれども、そういう状況なども勘案したときに、営利目的の四つの会社に分割をされて、その一部である郵便事業会社になっても、そういう意味ではそうした公的なサービス、今国民が非常に大事にしている、大変喜んでいる、公社になってみんな何も不安、批判なんて聞かない、こういういろんなサービスというものは維持継続できるというふうに、あなた自身は現場もいろいろと見ておいでになっておられるわけですけれども、継続維持ができるというふうに思っておられるか、懸念はないのか、率直なお答えをいただきたいと思います。

○参考人(生田正治君)
 今先生のおっしゃったコストのかさむところ、他の業者が郵便に丸投げしているという、私もうわさとか週刊誌で読むんですけれども、実態的には、実はどこから受け取ってもすべてお客様と、こういう視点に立っていますので、実態は把握しておりませんが、うわさでは私も承知しております。
 で、四分社化してできるのかできないのかと。これは逃げるわけじゃありませんけれども、新しい経営陣が考えることではありますけれども、私は、公社には地域社会との共生とか貢献とか、いろんな長年引き継いできておる理念がありますから、その精神というものはやはり新しい経営陣が継承するだろうと期待を込めて思っておりますし、それを持続していくような努力をしてくれるだろうと思っております。
 いずれにしましても、具体的には新しい経営陣にゆだねざるを得ないと考えております。

○又市征治君
 非常に残念ですな。少なくとも、少なくとも郵政公社の職員が必死になって、毎日、汗水流して、それでひまわりサービスや様々な福祉的なサービスまでやっているわけですよ。
 大変きつい中で、収益を上げろと、二年間黒字上げるためにみんな大変な思いをしながらやってきたわけですよ。にもかかわらず、あなた、後の人に期待をします、そういう話では、それは大変職員に対しても失礼ですよ。
本当の意味で、総裁としてそこの点は全くお受けするわけにいかない。

 そこで、最後にいたしますが、昨日、山崎議員の答弁によりますと、九七年、八年の当時から政府は心にもない改革基本法を出していたということに昨日の話を聞きますとなるわけですね。そして、小泉総理もまた、存続させるつもりもない公社法を出して国会と郵政職員、あるいはまた当時この郵政公社の総裁候補だった生田さんをも含めて、現在の公社全体をだましてきた、こういうふうになるわけです。そして、総理の本院における経営形態を含めて見直すという新答弁、つまり公社の維持の可能性があるかのごとき答弁も、竹中大臣によれば、民営化そのものの見直しはない、その可能性はないんだということははっきりいたしました。
 そのことを確認をして、今日はこれで終わりたいと思います。