第162回通常国会

2005年7月26日 郵政民営化に関する特別委員会



(1)47都道府県議会と98%の市町村議会が「反対」「慎重」の郵政民営化
(2)都道府県議会の反対決議を「全国民の意見ではない」と無視した小泉首相
(3)地方の意見の切り捨てへの怒りの声


○又市征治君
 社民党の又市でございます。
 今日は、何かとお忙しい中、国会までお出掛けいただきまして感謝を申し上げたいと思います。
 先ほどからお伺いしておりますと、やはりこの郵便局ネットワーク、つまり公的サービスは維持してほしい、大変そこのところが不安だということが一様におっしゃっておるわけでございますけれども、そこで順次お伺いをしてまいりたいと思いますが、今度の政府の郵政民営化法案に、四十七都道府県、そして九八%の市町村議会が、反対若しくは慎重だ、やれと、こういうことで決議を上げておいでになる。自治体側がこうした決議を上げて政府に意見を出された理由は先ほど来述べられておるわけですけれども、私が今日の最後でございますので、もし漏れている点、もう少しここのところは言い足りないなという点や、あるいは特に強調しておきたいと、こうお思いの点を順次御発言いただければと思います。

○参考人(谷本正憲君=石川県知事)
 繰り返しになるわけでありますけれども、やはりこの郵便局のネットワークが、裏を返せば非常に住民の生活の中にもう定着をしているということなんだろうと思います。これが民営化されることによって、なくなるとか、ずたずたになるということがあれば、これは大変なことになると、住民サービスの低下につながると、やっぱりこんな危機感が私はあるんではないかと思いますし、そんな思いがやっぱり議会の方にも上がってきた。だから、まあ石川県の場合は反対ということではありませんけれども、慎重に是非これは議論をしてほしいと、私はこんな意見書に、これは全会一致でそういう意見書になったんだろうというふうに思います。

○参考人(末永美喜君=長崎県議会議長)
 長崎県の場合、表題が郵政事業の民営化に反対する意見書となっております。このことは、お互い我々自由民主党の県議団あるいは民主系の皆さん一緒になって話をしたことであり、そしてそのことが国会で一顧だにされないということには非常な憤りを私は感じております。
 私事ですけれども、一月に、私、県連の幹事長をしておりまして、各県に対して法案の説明をちゃんとしてくれと、そのことによっていわゆる自民党の各県の幹事長も賛成になる人もおるか分からぬということを言ったんですけれども、昨日、幹事長会議を開いております、どういう内容だったか分かりませんけれども、以来開かれませんでした。
 同時に、国会の先生方の審議の御様子が新聞等で報道されていますけれども、そのことについても新聞で知る限りですから、私たちもこれが本当にどうなのかなということもあります。
 どうぞ、そういうことで、私は慎重な審議でもって、そして国民の納得のいく、で、両院協議会というのもあるはずなんですから、こんなこと、幅ったいこと言っちゃ怒られますけれども、参議院と衆議院の意見が違ったら両院協議会というものあるはずなんですから、そういうところも大いに活用しながら、今年一杯、先ほども言いました、今年一杯かけてでもいい法案、いい法案と思ってたら、いい法案作りに邁進してほしいと私は思う毎日です。

○参考人(渡部英一君=猪苗代町議会議員)
 猪苗代で意見書の陳述を提出したときは、十分な議論をされなかったというのも一つでありますし、情報が不足していたというのも否めない事実であります。
 その中で、確かにまあ多数決ということでありまして、意見多数の採決であったわけですが、まあその中には民営化賛成という意見もあったわけでありまして、まあ議論が少し、あるいは情報が足りなかったところでの意見書の提出だったのかなというふうに今考えております。

○参考人(田中覚君=三重県議会議長)
 あえてもう一度強く申し上げたいと思います。
 地方議会でございますから、先ほども触れましたように、私たちは統治される側、税金を払う、支払う側から頑張れということでそれぞれ議席をお与えをいただき、地方議会でございますから、余り、三重県議会の場合は政党色よりも議会が一枚岩になりましょう、議会は統治される側の代表だから、なるべく政党間の論理、こんなことを排除して、県民の代表として頑張りましょう。片や、県民の代表の知事と十分に政策議論いたしましょうということを申し上げております。
 その私たち県民の代表が、全会一致で、文書も全部各会派間で十分にこうすり合わし、合意を得てできたのが意見書でございますから、是非ともその意見書が国に届いたときには、ああ、税金を払う人たちの思いがここにこもっているんだな、それぞれ四十七都道府県の思いが集まってきたんだな、このように御理解をいただきたいと思いますから、東京だけの論理とか、若しくは神奈川も含めて関東の論理で地方を測っていただきたくないということをあえて申し上げたいと思いますし、もう一度、私の地元の、私は市民でもあり県民でもあるんですが、その市民の伊賀市は郵政民営反対に関する意見書、きちっと反対ということを明言しておるということもある中で、県議会は慎重審議を求めておりますけれども、私は片や伊賀市民としては反対を、私たちの代表の市会議員は反対を求めておるということも十分に御審議をいただきたいと思います。

○又市征治君
 ありがとうございました。
 そこで、先ほども出ておりますし、末永さんからも御指摘がございましたけれども、この十五日の参議院のこの場所での審議で、小泉総理は、私は都道府県議会の反対決議があるから、これが全国民の意見であるというふうにとらえる必要はないと、こういうふうに議会決議が住民の声と乖離していると言わんばかりの発言をされたわけでありますけれども、正に地方自治をも否定をするようなとんでもない発言だと、こう思いますけれども、これについて皆さんからの率直な感想、御意見を、これ知事さんを除いて議会人の皆さんからお聞きをしたいと思います。

○参考人(末永美喜君)
 いろいろな情報不足でそういう発言なさったか分かりませんけれども、その場に私自身が現実におりませんけれども、いませんでしたけれども、非常に遺憾であると私は思いますし、同時に、その背景をよく精査していただいた上での発言とすれば、これはゆゆしき問題だと思う。ただし、その後御訂正なさっております。ただ、人間の習性としては、一番最初に言ったことが本音じゃないかなと私は個人的に思っております。

○参考人(渡部英一君)
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、採決の際にはやはり情報不足だったということもありますし、全員がではなくて多数だったということに関しては、賛成の方もいれば反対の方もいたということを言いたかったのかなというふうに私なりに解釈しております。

○参考人(田中覚君)
 この小泉総理大臣の発言に対して、全国議長会でも随分とその議論がございました。
 三重県議会としましても、先ほど申しましたように、私たちが県民の代表として三重県の将来を議論している中で、このような小泉総理大臣の発言は、三重県議会を否定したり、またその三重県にお住まいの県民の方々を否定したりしているんだろう、このように思います。

 特に、私たちはやっぱり地方議会の議員としましても自覚なり責任を持って地域の、地域づくりをしていかなくてはならないと思っておりますから、そういうことを国では、ああ、地方は地方、ああもう大したことないと、このように見られているというのは本当につらいところでございます。

○又市征治君
 ありがとうございました。
 そこで、今日、長崎の末永さんの方から日本郵政公社九州支社長崎県本部の資料をお持ちいただいているんですが、このことでお伺いをしたいと思いますが、特に二ページの真ん中のこの点についてお伺いをしたいと思いますが、その前置きとして、御承知のとおり、既に同僚議員からも話がございますように、このたびの郵政民営化法案というのは、三事業一体の郵政公社を郵便事業会社、郵便貯金銀行、そして郵便保険会社及び郵便局会社、つまり窓口会社、こう四つにばらばらにして収益優先の一〇〇%民間会社にするということですね。三事業一体だから、三事業一体だからこそ今日二万四千七百というネットワークが実は築かれてきたということなのであって、これ四つにばらばらにしますと、こういうことになれば、当然のこととしてこれは縮小あるいは廃止されてくるところが出てくる、当たり前なことであります。まして民間、完全なる収益優先の民間会社ということになるわけですから。
 そうしますと、この長崎で出されておる二ページの枠囲い、ちょうど真ん中の枠囲いになりますけれども、今こうした現在の郵便局が三事業一体だからこそこうした地域貢献事業、こういうことがやられていると、こう思っているわけですが、このようなことを、ここに書かれているようなことがもうほとんどできていかなくなるんではないか、このように私たちは思いますから、こういう観点からも反対をいたしておりますけれども、皆さん方それぞれの立場から見て、この点についてどのような御感想をお持ちになるか、お聞きをしておきたいと思います。

○参考人(谷本正憲君)
 先ほどもお答えをしましたけれども、やはりこの郵便局のネットワーク、やっぱり津々浦々にこれが張り巡らされている。そのことについて我々自治体も最近やっぱり気が付いたということですね。毎日やっぱり郵便配達をしておられる、地域の事情を非常によく知っておられる、御存じだと。こういうものをやはり自治体の行政サービスの中にやっぱり生かしていかなきゃいけないという、そんなところからこういうネットワークが、お互いの取組がやっぱり進んできたということなんで、私はそういう取組はこれからも大事にしていかなきゃいけないということだと思います。
 そういう意味では、こういうネットワークは是非やっぱり維持をしていただきたいなと、こんな思いが率直にしております。

○参考人(末永美喜君)
 私も谷本参考人と一緒ですけれども、仮に民間会社になったときにこういうことをやって、局員というんですか、どういう名前になるか、社員の皆さんが、おお、よくやってきたなと言う経営者はいないんじゃないかと思います。もうちょっと貯金を取ってこいよ、保険を勧誘してこいよという経営者がほとんどじゃないかなと思いますので、こういう仕事はなくなると思います。

○参考人(渡部英一君)
 やはり、基本的なネットワークの重視というのは否めない、それを堅持していただきたいということでありますが、やはり、例えば国鉄が民営化になって、あるいは電電公社がなって確かに、不便になったんでしょうか。私は、そういう観点からすると、大きな政府から小さな政府にするということに関しては一日も早く、効率性ということだけではなしに、このネットワークの重視というものを堅持しながらやっていかなくてはいけないというふうに思っております。

○参考人(田中覚君)
 私は、郵便局が地域で果たしていただいている役割というのは重いものがあるんだろうと思います。
 例えば、建設会社で、その建設会社が行っていただいた公共工事の評価の中に地域の貢献度というのがありまして、地域の貢献度をした会社がプラス点、しなかったらマイナス点ということなんです。純粋な民間会社ですと、そのように地域の貢献度まで数字で測って、それで経営審査の点数に反映されるということ。したがって、自分のところの営業成績のために、次の入札のために地域の貢献を無理やりやるという姿勢と、今郵便局が担っていただいている地域の貢献度というのは全く違うものがあって、これこそ、地域で信頼された公共性のある社会的な位置付けのある郵便局でしかできないものだ、私はこのように思います。

○又市征治君
 次に、私たちは、この今の公社をやはり維持をしながら、そしてもちろんのこと、公社の中だって幾つか改革をしていくことはあるだろうと。今、第一期の中期経営計画の二年目が終わったところでございますから、四年間の実績をしっかり見ながら、この間に、郵政公社に移って郵便事業まで黒字になってきた、三事業とも黒字だと、こういうことにもなっているわけですから、そういう点で、こうした今の郵貯、簡保に集まってくる資金、今現在三百四十兆円、巨額の資金ですけれども、これは政府保証を維持しながら、もっと私は地域金融、すなわち中小企業とかNPOとか、なりわいを起こすという意味の起業、こういうものの資金、あるいは地域マネーシステムの試みであるとか、地域経済に還元していくということが、この郵貯、簡保に集まってくる資金を、そういうことが非常に大事ではないか、私たちはそう思っております。
 ところが、今、小泉首相や竹中大臣が言っているのは、郵貯・簡保資金にたまった三百四十兆の資金を民間に流すんだと、こう言っているわけですが、実態は、一方でますます国債を増発せざるを得ない、こういう状況になって、この資金の半分は郵貯、簡保に頼っているわけですね。郵貯・簡保資金がむしろその半分を国債買っている、こういう状況にあるわけですから、極めて矛盾したことを言っているんだろうと、こう思います。
 ですから、むしろ本音は、郵貯資金やあるいは保険会社を民営化をしてアメリカ系の投資顧問会社に資金が流れるようにするということもねらいの大きな一つだろうと、こう見ているわけですが、そうなれば庶民のとらの子であるこの資産のリスクというのは非常に大きくなる。そうでなくても収益優先の民間会社になれば、今皆さん方がおっしゃっていただいたように、一体全体これはどういう役割を果たすか。あの大銀行がやった悪名高き貸し渋りや貸しはがし、そして中小企業泣かせの巨大金融機関ができるだけ、こういうことになりはせぬか、決して地域の活性化だとか地域貢献には生かされないんじゃないか、こんなふうに思うわけですが、これはもう時間がなくなってまいりまして、お二方ぐらいからしかお聞きできないと思うんですが、できれば谷本さんと末永さんの方からお聞きをしたいと思います。

○参考人(谷本正憲君)
 何度もお答えしていますが、この郵政民営化というのが採算重視にばかり走ってしまうということになれば、私はこれは本末転倒だというふうに思います。やはり、住民のサービス向上につながるというやっぱり側面がなければいけないというふうに思います。
 ですから、今先生がおっしゃったような方向に仮に行くとすればこれは大変な私は問題をはらんでいるというふうに思いますし、やっぱり地域で集めた資金を地域に還元するというのが私は一つのやり方ではないのかなと、こんな思いがしております。
 ただ、この行政改革というのは、我々も現場でやっていますけど、難しいのは、今我々も、県の出先機関が九か所ありますけど、これを再編しようとしています。ただ、もうこれ昭和三十年代にできた九か所なんですよね。もう四十年以上たっています。道路事情物すごく良くなりました。本当は九か所も要らないんですけれども、やっぱりこれを、九か所を一挙に五か所にするということになるとこれはなかなか問題が起きてくるということで、我々は、目標は高く持ちながら、まずは九か所のうち五か所を基本的な事務所にして、あとの四か所はそのまた出先にするというような形で一歩一歩着実に進めていくと。そんなことも必要ではないかなという、そんな思いがしますが。

○参考人(末永美喜君)
 谷本参考人と全く大体同じですけれども、ただ長崎県は、谷本知事さんのところは陸路でつながれていますけれども、私のところはほとんど海で隔たれていますから、その辺のハンディキャップというのは非常に大きいと思います。
 同時に、先生がおっしゃるような方向に仮に行くとすれば、日本国民は悲しみ、アメリカのインベストメントは喜ぶというような結果にならないように御尽力をお願いしたいと思います。

○又市征治君
 済みません、もうちょっと時間がございますので、田中参考人、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

○参考人(田中覚君)
 私も全く谷本参考人、末永参考人と一緒の考えでございます。
 どうか、納税者であるとか地域住民であるとか、国民お一人お一人の立場での御議論をいただけませんか。その方々にとって一番いいサービスとは何なんだろう。それで、その金融の問題であるとか様々な問題もそこで知恵を出し、日本流のそのサステーナブルというんですか、持続可能なシステムの構築というのが大事ではないか。アメリカ・スタンダードなりグローバルスタンダードというよりも日本的なスタンダード、持続可能な仕組みづくりを是非ともお願いしたいと思います。

○又市征治君
 ありがとうございました。
 今、田中さんから是非そこに視点を置いてというお話ございましたが、私たちはそういうつもりで一生懸命やっているわけですが、どうもそうではないのが小泉総理と竹中さんじゃないかと、こういうふうに思っているわけでありまして、是非力を合わせてこんなものをぶっつぶしたいと、こう思っていますんで、よろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。