第162回通常国会

2005年8月3日 郵政民営化に関する特別委員会



(1)民営化の先取りによる強引な下請け泣かせ
(2)今も未解決の国鉄民営化時の解雇問題
(3)大臣答弁の信頼性を自ら否定した政府
(4)「民営化はバラ色」のような政府広報は誇大宣伝
(5)郵便局ネットワークは三事業一体だからこそ維持できる


○又市征治君
 社民党の又市です。
 今日は金融関係の集中審議ということでありますが、若干前回積み残した問題、二問ばかりお伺いをしておきたいと思います。
 一つは、郵政公社の側にお聞きをいたしますけれども、郵便物の逓送輸送、すなわち郵便局間の輸送などは元は郵便局自身が行っていたわけですね。それが公社化によってリストラで外部委託をされて、例えばバス会社が路線バスに載せて運ぶということなどあったんですけれども、受ける郵便物が多くなってそのバス会社が逓送部門を新設して、トラックを導入した会社がありますね。このうち、郵便専用車を使っているのが百十七社あるようですけれども、この間、競争入札の導入及び運賃引下げ要請によって、十五年、十六年の二か年で公社は二百十二億円削減した、こういうふうに言われています。ところが、現場に聞きますと、決して入札導入の成果だけではなくて、この入札が嫌なら三〇%引き下げろ、引下げに応じろ、こういう形で強引な下請泣かせがやられている、こういう話も聞くわけです。
 正に私は、そういう意味で営利企業、民営化の先取りやられているんじゃないのかと、こう思うんですが、こういう下請泣かせでコストダウンだけを図っていてこの輸送の品質、つまり郵便ですから信書の秘密や安全が守られるのか、また従業員も生活に不安を持っているわけですが、この点について、郵政公社の心構えについてまずお伺いします。

○参考人(岡田克行君=日本郵政公社理事)
 お答え申し上げます。
 郵便局相互間の郵便物運送につきましては、委託契約により実施しているものでございますけれども、その運送コストの削減、それから手続の透明性を確保するため、競争入札を基本として市場価格を見いだしております。
 とりわけ、郵便運送の委託費の七割を占めておりますトラック運送につきましては、公社化後に、先生ただいま御指摘のとおり、競争入札をこれ段階的に実は導入しておりまして、そこで得られました競争入札の効果を他の路線にも反映するという形で運賃の引下げを行ってまいりました。これによりまして、郵便物の運送の価格は市場価格の水準に至っているものではないかというふうに、こう認識しております。
 運送の品質についてでございますけれども、運送委託契約書におきまして安全それから正確、迅速な運送を確保しておりまして、あわせて、今後も安定した業務運行のため、各運送事業者の業務の執行状況、経営の状況について、郵政公社として注視してまいりたいと考えております。

○又市征治君
 私が言っている趣旨は十分お分かりの上でのお答えだと思いますが、本当にこうした業者泣かせや、それでも郵政公社としての使命といいますかね、そういったことの信書の秘密や安全、ここらのところがおろそかにされることがないように御留意いただきたいということをまず申し上げておきます。

 もう一つ、大変お忙しいのに厚生労働大臣においでいただきました。雇用問題であります。
 郵政民営化に伴って、雇用に十分に配慮すると。こういうことで、昨日も実は山下委員の質問に対して総理も答弁をされているわけであります。しかし、昨日の山下委員の話、また私もダブるわけですが、国鉄のときに、一人たりとも路頭に迷わせませんと、こう言って当時の中曽根元総理が言明をされたのに、現実は一千四十七名の解雇者を出したわけですね。
 そこで大臣にお伺いをするんですが、あなたもこの郵政民営化後について何度か答弁をされてまいりましたけれども、まず民営化の犠牲になった悪しき先例、この国鉄労働者の一千四十七名の解雇問題が解決されないままでは、郵政職員だれ一人まともに、十分に配慮するんだと言われても、民営化されていくならばリストラやられるとみんな思い込んでいる。当然ですよ。
 そのときに、少なくともILOの度重なる勧告を受けて、そういう意味では、早急に関係者の協議を詰めて政治的、人道的に解決を図れと、こう言っているわけですね、ILOは。このことについてもろに解決されないでおいて、さあ、十分に配慮すると言われてもだれも信じない。
 この点について、まず先に、この国鉄問題についてはどのように解決を図るおつもりなのか、どうされていくつもりなのか、明確な御答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(尾辻秀久君=厚生労働大臣)
 ただいまの件でございますけれども、政府といたしましては、長年の経緯がある話でございまして、その間に万般の対策を講じているところでございます。そうした経緯がございますので、今何か新しい措置を講じるべきと言われましても、それは大変難しいというふうに考えております。
 ただ、ILOの話もございますので、厚生労働省といたしましては、関係者の動向を見守りながら、国土交通省とも連携して事態の推移を注視してまいりたいと存じております。

○又市征治君
 大臣、今、私、前段に申し上げましたように、そしてまた尾辻大臣自身が大変人権問題やあるいは人道問題に非常に鋭い感覚の持ち主でございますから、まして、これ時効問題がもう間もなく来るんですね、国鉄問題は、十分御承知だと思いますが。そういう点を含めて、これは本題でございませんが、精力的に取り組んでいただいて、ただ単に今すぐというのは難しいなんて言ったら、もう時効が来てしまうと。それは、それこそ、全く今のこの郵政公社の問題でも民営化に対する雇用の不安そのものは一つも解消されないということになりますから、是非その点について、それこそあなたの言葉をかりるならば、万般の努力をお願いしたい。そういうことを是非よろしくお願いいたします。話は、いや、返事は要りません。是非御努力いただきたいと思います。

 そこで、本題に入りますけれども、まず前回の宿題でありまして、小規模郵便局の赤字、黒字の見込みについてですけれども、正に金融ユニバーサルサービスに直接影響する問題です。
 先日、竹中大臣がこれ答弁していただけなかったんでありますけれども、昨日、事務方からメモが届きました。簡単に言うとこういう回答なわけですね。
 三つあります。
 まず、郵便局における金融サービス提供については云々とあって、移行後もしっかりと提供される、こう書いてあります。二つ目に、私は個々の小規模、特に過疎地の無集配特定局について聞いたわけですけどね、回答は会社一本でしか答えられておりませんで、郵便局会社は多様な業務を展開することでとあるわけですが、これは例のコンビニなどなどのことでしょうけれども、収益力を強化し経営を成り立たせる、これが二つ目の答えですね。そして三つ目には、郵便局別の収支については、民営化後の郵便局別の予測は更に困難であるため、試算は行っていないとおっしゃっているわけで、事実上ゼロ回答でございまして。
 そういうわけですから、改めて竹中大臣に一つ一つお伺いをしてまいりますけれども、まずここで言っている金融サービスの提供というのが、金融ユニバーサルサービスとは書かれておりませんけれども、同じだろうという私は認識するんですが、同じか違うのかというのが一つ。つまり、すべての局において郵貯、簡保を始めとする庶民の日常生活のための口座の出し入れ等ができるのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 金融のサービスについてはユニバーサルサービス義務を法律で課すということはこれはしておりません。これは、金融の性格、国の信用、関与を排除しなければいけないという性格を考慮して、そのような義務付けはしておりませんが、一方で、今郵政が果たしておられる金融サービス、特に地方の金融サービスが大変重要であるということを重く受け止めまして、実効性のある仕組みをつくらせていただいたつもりでございます。
 もうその詳細は以前も申し上げたので申し上げませんが、結果的に私たちはそれによって、今正に委員はすべての局でとおっしゃいましたが、今でもすべての局でやっているわけではございません。しかし、今行われているものにつきましては、これはみなし免許で、出すときの条件として、正に速やかに円滑に移行しなきゃいけないわけでございます。切れ目なくサービスを続けることでございますので、そういう委託、一括した委託契約が結ばれるでございましょうし、実態的にしっかりとしたサービスが行われる制度にしたというつもりでおります。
 また、これについては、衆議院における修正におきまして、郵便局会社が営むことができる業務のうち、この銀行業及び生命保険業の代理店業務、これは具体的に法律上明記するという修正もしていただきました。また、これは今日も議論になりました三年ごとの見直しでありますけども、その見直しの中には、これは政府、与党合意を踏まえまして局の設置がきちっと行われているか、そしてそこで金融のサービスがしっかり行われているかということもそのレビューの対象に含める、しっかりと見直しをするということにしておりますので、そうした点も含めまして実効性のある対応が取られているというふうに思っております。

○又市征治君
 この点は、昨日の総理が、片山自民党幹事長に対する答弁でも、提供されるよう努力を続けていきたい、こういう答弁だったと思いますが、極めてあいまいですね。今大臣がおっしゃったように、義務付けはしてないと、こういうわけでして。
 私、こんなふうに言われますと、衆議院でこの審議が始まったときに、大臣の答弁は、そのときの政治家の政治的信条を述べたものにすぎないんじゃないのかと、こう言って、大臣がそうおっしゃって物議を醸した。つまり、大臣の答弁というのは信用しなくていいんですよ、こうあなた方の方がもうおっしゃったことを意味するわけですね。
 だから、総理答弁であろうと、あるいはいろんな見直しだとかなんとかいろいろとやってまいりますよと、こうおっしゃっても、法律本文に提供するこの義務を明記されない限り、単にリップサービスであって信用できない、こう申し上げざるを私は得ないわけでありまして、この点だけ指摘をしておきたいと思います。
 そこで二つ目に、過疎地でコンビニ等を展開してもうかる局は少ないという批判はさんざんこの委員会で出てまいりました。無集配特定局約一万五千五百局、あるいはあなた方が赤字になるだろうと、こうおっしゃっておる二千の局のうち、このコンビニ等の新たな業務は無理だろうという局というのは一体幾つぐらいあるわけですか。

○政府参考人(中城吉郎君=内閣官房内閣審議官)
 お答え申し上げます。
 郵便局会社というのは、どのような新規業務に進出するかというのはすぐれて経営判断にかかわる問題でございますけれども、郵便局会社というのは、それぞれの経営資源の特性を生かして、物品販売業など様々な事業分野において地域のニーズに応じた様々な新規事業を展開するという潜在力を持っているというふうには認識しているところでございます。
 私どもの準備室が作成した採算性に関する試算では、郵便局という拠点を利用した新規事業の可能性の一つとして、物品販売とか住宅リフォームとか、そういったものの仲介といったものについて試算しておりまして、こうしたものについては販売額二億円という規模を想定したこともございます。ただ、これらの事業につきましては、集客と販売スペースの確保が見込まれる普通局千三百局を対象に試算したものでございます。
 お尋ねの、小規模な郵便局において普通局並みのそうした規模の物品販売というものは可能では、なかなか難しいというふうに思っておりますけれども、各郵便局というのは、小規模な郵便局も含めて、会社の経営判断や郵便局の現場での創意工夫を生かして、例えばレターセットのような文具の販売とか、より小規模な形式での物品販売、それからその他地域のニーズに応じた様々な商品サービスの提供というものを行っていくということは可能性があるというふうに考えております。

○又市征治君
 要するに、何か長々とおしゃべりになったけれども、私が聞いたのは、二千局のうち、こういう業務が無理だろうという局はどのぐらいですかと。何にも答えになっていないじゃないですか。つまり、簡単には出せないということでしょう。だから、正に空理空論だ、バラ色だけ広報で振りまいている、こうみんな指摘しているんじゃないですか。
 先に進みますが、郵便局会社一本として経営が成り立つと、こうおっしゃるわけで、それなら、将来ともに個別の郵便局の赤字、黒字は問わない。つまり、コンビニ等がやれなくても赤字の局だからといってその局をつぶすことは考えていない、ネットワーク全体が価値なんだから、それでは個別の局の収支評価はしない、そういう約束だというふうに考えていいんですか。これは大臣からお答えください。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 まず、局の設置に関しては、これは収支の問題というよりは、これは法律で設置を義務付けているわけです。あまねく全国で利用できることを旨として、これは法律で義務付ける。そして、省令、省令も広い意味での法律でございますから、過疎地については、現に存する、法施行の際、現に存するネットワークを維持することを旨とすると。そしてさらには、利用者の利便とかそういったことも含めた設置基準をその省令でしっかりと書くわけでございますから、それに基づいて維持がなされるということでございます。
 結果的に、今お尋ねになりましたのは、そこは法律でしっかりと設置するわけですけれども、その際のネットワークの価値がどのように維持されるのか、あるのかという、そういう点でございますけれども、これはそのような形で設置されておる、設置基準に基づいて設置されたものに関しては、これは他に類を見ないようなネットワーク価値を持っているわけでございます。そして、このネットワーク価値を活用する形で郵便貯金銀行ですね、そして保険会社等々がそのネットワーク価値を更に活用する。そして、そうしたことを、ネットワーク価値を活用することによって実際に郵便局会社にもそれなりの手数料といいますか、収支が保証されるであろうということを私たちは骨格経営試算で確認をしているわけでございます。
 もちろん、これは、その中でしっかりとした経営努力はしていただかなければいけませんですけれども、そのネットワーク価値をより高めるような形での運営をお願いしたいというふうに思っております。

○又市征治君
 もう一度聞きますが、つまり、法律で郵便局を維持することを義務付けていますよということですね。そして、全国津々浦々のネットワークがこの会社のビジネスモデルだ、最大の、これが最大のメリットだと、こうおっしゃるわけで、とすると、赤字局をつぶすような個別局の収支評価は必要ないわけですよね。そこのところをもう一度。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 いや、赤字局をつぶすといいますか、これは法律で設置することをもう既に義務付けているわけでございますから、その中で、それを活用して更にしっかりと銀行においても保険においてもビジネスをしていただく、このネットワーク価値を更に維持し、高めるような形でのビジネスをお願いするということでございます。我々の骨格経営試算では、そういうことも含めて、しっかりと成り立つということを確認しているわけです。先ほど又市委員はどのぐらいの局でコンビニができないのかというお尋ねがございましたが、我々、コンビニがそんなにたくさんでできるとは思っておりません。だから、普通局千三百でやっているわけです。
 ただ、ドイツ等々の例で見ますと、ドイツの場合は郵便局のうち七割の店が何らかの形で物販販売を行っているというような、これは公社、先方のドイチェ・ポストが発表しているものではございませんが、様々な情報から我々はそのように理解をしております。
 したがって、まあ七割程度は何らかの物品販売、先ほど審議官がレターセット等々、いろんなものがあるだろうと。三千の種類を置くようなそういうコンビニをイメージせずとも、その地域にふさわしい、過疎地なら過疎地にふさわしい物販販売の在り方というのはあるわけでございますから、そういうことをしっかりと考えていっていただくということでございます。(発言する者あり)

○又市征治君
 今横から出ていますけれども、私も言いたいんですが、やっぱりそうすると本当に政府広報そのものが誇大宣伝じゃありませんか、大臣。あなた自身がやられた、ね、まるですべての、紙芝居までこさえられて、あちこち全国どこへでも、みんなできるような宣伝を振りまいた誇大宣伝、こう申し上げざるを得ないわけです。

 で、先に進みますけれども、大臣、そこでこの一兆円の基金、まあ二兆円まで積み増そうと、こうおっしゃっているわけですが、この額は一体どこから出てきたんでしょうか。つまり、株の売却益三・九兆円の方から出されたのか、それとも今問題にしているこの赤字局約二千だと、こうおっしゃっているわけですが、これに掛けるところの六百万円、平均六百万円、それに利回り一・八%を見たという御説明なんですが、この方から出されてきたのか。この一兆円の根拠をもう一度お聞かせください。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 この社会・地域貢献基金の一兆円という額については、過疎地域等におけます金融サービス等の提供及びこの社会福祉の増進に寄与する第三種・第四種郵便物の提供のために最大限必要となる額として見積もった百八十億円、これもう内訳、今申し上げませんが、その百八十億円を基金の運用益によって賄えるように設定したと、これが基本的な考え方でございます。
 運用益によって賄うということでございますけれども、過去の利回り等を参照して、これは堅めの保守的な試算でありますが、一・八%の利回り、現実にはもう少し高くなる可能性、私はあると思っておりますが、それに基づいてこの一兆円という金額を算定を、この額を運用益によって確保するためには堅めに見積もることによって基金の規模は一兆円が必要であると、そのように考えたわけでございます。

○又市征治君
 まあ、終わりにいたしますが、時間参りましたから。
 そこまで出しているなら当然、モデル試算として、小規模局で郵便事業の収支が幾ら、貯金と保険の受託手数料が幾ら、不足分として基金から受け取る額が幾らと出せるはずじゃないですか。バラ色の部分だけは出して都合の悪い試算は隠しているしか私は思えないわけですよ。まるで大本営発表と同じように思える。
 私は、なぜ小規模局の金融サービスを問題にするかといえば、やはり三事業は一体だからこそお金や人員の融通を含めて経営していけるわけであって、過疎地で貯金や保険の額が少ない局について、郵便局会社が幾ら望んでも、民営化した銀行、保険会社はやっぱり委託手数料契約の対象から外していく、将来的には、そうなるでしょう。現在、二万四千七百の局は国営だから存在するのであって、民営化になればネットワーク価値よりも収益性が優先されて、これリストラされることはもう必定だと私は思うんです。
 だから、銀行や農協や信金がこの十年間で約二〇%も支店を撤退をさせてきている、こういう現実があるじゃありませんか。
 郵便局だけ法律で維持しようとしても、銀行や簡保が民営会社となって金融ユニバーサルサービスを切り捨てたら、郵便局会社の縮小経営というのは当然のことだろうと思うんですね。ネットワーク価値で存続というのは全く私はすり替えだと言わざるを得ないと思うんです。
 その意味で、郵政三事業はやっぱり一体であって、それに適合した経営形態としては公社で経営の自由度を拡大していくことしかあり得ないんではないか。このことを改めて強調して、今日の質問を終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。