第162回通常国会

2005年8月4日 郵政民営化に関する特別委員会



(1)民営で問題が生じても公社には戻さないという矛盾
(2)利益のため金融市場は見るが国民は無視する民営化法案
(3)国民の意見を反映する保障のない民営化委員会
(4)政府従属ではなく、せめて地域ごとの経営審議機関の設置を
(5)公的サービス維持のためにも持株のあり方も見直すべき


○又市征治君
 社民党の又市です。
 今日で私はもう八回目の質問になるわけでありますが、いろいろと聞いても疑問だらけ、分からない、懸念はますます深まると、こういうことでありまして、まず初めに、民営化委員会の問題についてもう少しお聞きをしてまいりたいと思います。

 民営化法案の第十八条にこの民営化委員会は規定されておりますが、移行期の全事業について実質的に大変大きな権限を与えられておりますね。十九条の「検証」という項目については、これは与党修正案で「見直し」になったわけですけれども、その範囲については与党修正案が出てきた経緯及び参議院冒頭、十三日の総理答弁から解して、経営形態を含めること、かつ、一方通行の点検ではなくて両方向を含んだ見直しという条文に変えたことからしても、問題点が生じたときは公社形態への復帰も含めてこの民営化委員会の議題とすべきことはもう明らかだと私は思うんですが、そうした理解でよろしいのかどうか。だとすれば、この委員会の名称も、これ一方通行の民営化委員会ではなくて、例えば郵政事業見直し委員会とかという名称にすべきではないかと思いますが、その点をまずお聞きします。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 民営化委員会については、以前、又市委員にも御説明させていただきましたとおり、これは、郵政民営化がその経営の自由度の拡大するということを目指す、一方で民間とのイコールフッティングが重要である、その両面のバランスを取る、そのためにその有識者の中立的、専門的意見を踏まえなければいけないということで、郵政民営化を推進するための機関である推進本部の下に置かれるものでございます。
 幾つかの重要な役割を担うわけでございますけれども、この郵政民営化はあくまで国民の利便の向上及び経済の活性を図るために行われる。この民営化委員会による三年ごとの総合的な見直しは、経営形態の在り方を含め、郵政民営化に関するすべての事項を対象とするものでございまして、民営化委員会が郵政民営化の進捗に関して、この民営化の目的に照らして問題が生じていると判断したときは、この郵政民営化法に定められた理念、方向に即して、問題点について見直しを行うことに相なります。
 三年ごとの見直しはやるわけですが、それだけにとどまらず、この委員会は主務大臣が新規業務の認可を行う、認可等を行う際に意見を述べるという役割もございます。正に、郵政民営化の実施プロセスにおいて様々な役割を果たすものでございまして、このような役割を担う組織の名称として郵政民営化委員会というのはふさわしいものであると思っております。

○又市征治君
 つまり、公社形態への復帰などは含むんじゃなくて、あくまでも民営化のための委員会だと、こういうことですね。
 そこで、この十九条をもう少し見てまいりますが、所掌事務がいささか偏っているんではないかというふうに思います。三年ごとに、承継会社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ云々と、こうございますね。一番目が経営状況であるというのはこれは分かりますけれども、なぜ二番目に国際金融市場が来るか理解ができない。
 ここは、私は国民・利用者の立場に立って、例えばこの郵便、貯金、あるいは保険におけるユニバーサルサービスの確保状況とか、郵便局の設置状況とかというのが掲げるべきではないのかと、このように思うわけですが、竹中大臣の昨日の答弁お聞きしておりますと、法案には書かれていないが、政府と与党の合意事項で郵便局の設置状況、基金の使用など、重要事項が委員会の意見表明内容に含まれると、こうおっしゃっておりますね、昨日は。
 だとすれば、こうした問題をなぜ条文に入れないのか。はっきり言って、やっぱり条文手直しされるべきじゃありませんか。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 今十九条の第一項を御紹介、委員、してくださったわけでございます。確かに、これは三年ごとに、承継会社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会情勢云々というふうに書いております。
 この国際金融市場の動向という言葉が入りましたのは、これは民有民営を銀行、保険、目指すわけでございますけれども、この委員会でも議論をしていただいておりますその金融コングロマリットの世界的な動向等、やはり何が民有民営かと、これは民有民営を実質的に実現したときには、いろんな意味での規制を外すという百五条の決定、これは銀行、百三十四条の決定、保険会社、これあるわけでございます。そういう観点から、これは基本方針を議論する段階でも、この国際金融、まあ金融市場の常識といいますか、そういう動向を照らして、そのいろんなことを判断していかなければいけないのではないかという御意見が強く出されたわけでございます。そこで、この国際金融市場の動向その他のという言葉が入っているというふうに是非御理解を賜りたいと思います。
 それで、もう一点、今御指摘をくださいましたのは、これは政府、与党の合意で、この金融サービス、金融・保険サービスの提供状況でありますとか、設置基準に基づく郵便局の設置状況及び基金の活用等、そういうことを含むということを確認しているわけでございますけれども、これは正にその第一項に掲げて、の一号に掲げております総合的な見直し、これは総合的ですから、まあある意味ではすべてが入っているわけでございまして、それをまあ一々例示はしなかったということでございます。
 又市委員が御紹介してくださいました政府、与党合意を踏まえて、正に総合的な見直しを行いますので、今申し上げた設置状況とか金融の状況とかというのは、これはもうしっかりと見直していただくことになります。

○又市征治君
 いろいろと御答弁ございましたが、私はこういう条文になっているのは単なる一例ということではなくて、この条文というよりも、さかのぼれば法案全体の構造が、承継五会社をバランス良く見ていくというんではなくて、発想がやっぱり銀行、保険会社の三百四十兆円の資産運用のことばかりに目が行っているからではないのかと、こう言わざるを得ません。国際金融市場でどうやってもうけていこうかということの発想になって、むしろ国民へのユニバーサルサービスが二の次にされている感をどうも否めないわけであります。

 時間の関係で次に進みますが、この民営化委員会の人選の問題、これ、前回も私、お聞きしたんですが、法案では総理の任命になっておりまして、メンバーについても国民の意見を反映した構成となることが担保されてない、こう言わざるを得ません。

 これまでの竹中大臣の御答弁でいけば、商法など会社関係法規の専門家であるとか、金融界であるとか、企業経営者などを予定をされているようでありますけれども、しかし参考人や公聴会での意見でも明らかになりましたように、郵便だけではなく貯金や保険の金融についてもユニバーサルサービスを保障する必要があるわけでありますから、この点は二日の総理答弁で、法案の修正にはなっておりませんけれども、新たに確認をされたと思います。

 したがって、この委員会は、中央での閉ざされた狭い企業経営論議にとどまらないように、貯金や保険の関係者などを含めた多様な意見が反映されるような委員の人選にされるべきではないのか。この点も含めて、民営委員会の五人なんて話も大体、どだいこれは全く国民の声なんて反映できる代物でもありませんし、また、当然これは、前回申し上げたように、国会の同意人事にするのは当たり前ではないかと思うんですが、改めてお聞きをいたします。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 民営化委員会の人選、役割について、ちょっと非常に今たくさんの、今三点ぐらいの御質問をいただいたと思います。
 ちょっとその前に、先ほど、一点申し添えたいのは、政府、与党合意でこの郵便局の設置状況等々を検証すると、確認するといいますけれども、これは必ず、この三年ごとには必ずやるということを合意しているわけでございますので、必要があればやるということではなくて、必ずやると、その点、是非申し添えたいと思います。
 それで、まず人選でございますけれども、これは、民営化委員会については優れた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命すると。この郵政民営化委員会の役回りを踏まえて、中立的、専門的な知見を述べられるような適切な人物が任命されることになるというふうに考えております。
 そこで、二点目として、例えばユニバーサルサービスの確保状況、そしてそうした地域の住民の声のようなものが見直しに反映されるようなそういう仕組みが必要なのではないか、これ、都道府県ないしは地域ブロック別の審議会のようなものかなというふうに思いますけれども、そういう御指摘があったかと思います。これ、郵政民営化は三年ごとの見直しが重要な役割でございますけれども、それに加えて、主務大臣が新規業務の認可等を行う際に意見を述べる等の役割もこれ担っております。そうした役割を踏まえますと、やっぱり一つの合議制の審議機関とするのがこれは望ましいであろうと、これは適当であろうというふうに思います。
 なお、その郵政民営化委員会が意見を集約するに当たりましては、各委員はこの判断に当たって勘案すべき様々な事情、その中には地域住民の声を始め、国民各層の様々な意見が含まれることになると考えます。そうしたことを考慮しながら、有識者としての専門的な知見を生かして意見を述べることになるわけでございます。
 その意味では、これ、委員会が必要と認めるならば、地域住民の声を直接聴取する機会を設けたり、意見の集約に当たって参考にそしてする等の対応が決してこれは妨げられているわけではありません。したがって、あえて言えば分科会のようなものが必要であるということであれば、そういう対応も可能であり、そうしたことを含めて必要な対応がなされていくというふうに考えております。
 最後に、三点目として、これは国会同意を義務付けるべきではないかという御指摘でございますけれども、これまで審議会等の委員の任命について国会同意人事としておりますのは三つぐらいの類型があろうかと思いますが、第一には政治や社会の基盤に関する事項を扱うもの、例で言いますと衆議院議員選挙区の区画定の審議会のようなものですね。第二に、不服申立て審議など国民の権利義務に直接影響を及ぼすもので、これは労働保険審査会、個人情報、この公開、個人に関する審査会等々があります。さらには、立入検査権を有するもの、これは証券取引等監視委員会等々が典型ですが、そういうふうに非常に特例的な場合に限られているというふうに承知をしております。
 民営化という施策の実施状況の監視という同様の役割を担っているものとしては、道路関係四公団民営化推進委員会ございますけれども……

○又市征治君
 もう分かりましたよ。もういいです。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 これも同意人事とはされていないところでございますので、そういう例に倣って今回のような措置にさせていただいております。

○又市征治君
 ここのところも全然修正する意思がないということであると、何か必要に応じてとか妨げるものでないとかという話を私は言っているんじゃなくて、やっぱり郵貯、簡保のユニバーサルサービスに関する住民の声、やっぱり届かないじゃないか、こう申し上げているわけでありまして、言わば委員会の審議、とりわけ参考人の意見陳述であるとか地方公聴会で繰り返し指摘されたこの法案の最大の弱点は、この案が中央政府の一部だけで発案されて、本当に全国津々浦々における郵便局の、三事業一体のユニバーサルサービスに精通している地方の郵政三事業の現場であるとか、あるいは広く住民生活の様々な場面にわたって三事業及び現に行われているひまわりサービスなど、第四、第五の郵便局サービスの実情、それに大きく期待している地方住民であるとか、あるいは議会や首長さん方の声が全く無視してでき上がっているという、こういう成り立ちにあるわけですね。だからこのことを申し上げているわけです。

 前に総理は、都道府県議会や町村議会などの圧倒的な反対であるとか、慎重な検討をと求める意見書について、それが住民の声とは思わないという傲岸不遜な態度を表明された、後から若干修正されたけれども。大体、この種のものは初めに言ったことが本音なんですね。
 そういう意味で、その後の国民の声は、むしろ総理の態度こそ国民の声を無視していることを如実に証明していると思うんです、今、あのいろんな、様々な世論調査などを見ましてもね。

 そこで、次に公社に伺いますが、小さな局ほど収支の赤字によって民営化後は将来つぶされるおそれが強いと、ここはみんな心配をしているわけですね。昨日も私、このことを追及しました。
 郵便局別の損益計算を出されておるわけで、今年三月に十五年度の実績出されていますね。資料を私の方から配付させていただきましたが、これを紹介をしていただきたいと思います。
 全体損益方式と収支相償方式とかというのがあるようですけれども、ややこしいんで、全体損益方式の方が分かりやすいと思いますから、特に十年後以降の郵貯・簡保業務の受託契約に際して存亡の問われる無集配特定局について、これを簡単に御説明いただきたいと思います。

○参考人(山下泉君)
 ただいまお尋ねのございました全体損益方式ベースでの無集配特定局の事業別に見た黒字局、赤字局の状況でございますけれども、お手元の資料、一枚目でございますが、Vの3、この一番右側、表の一番右の下のところに無集配特定局の数字が書いてあります。小さい字で恐縮でございますが、上から二番目の箱が郵便事業になっておりまして、黒字局が二百九十局、赤字局が一万五千百十三局、貯金事業では黒字局が一万四千七百七十七局、赤字局が六百二十六局、保険事業では黒字局が八千四百九十局、赤字局が六千九百十三局となっております。黒字局の割合で見ますと、郵便事業では二%、貯金事業では九六%、保険事業では五五%と、そういう結果になっております。

○又市征治君
 今御説明のとおり、大きくは郵便単独では赤字の局が大多数、こういうことですね。貯金・保険業務でカバーして黒字を出しているという、こういう数値になっているわけです。民営化された郵貯銀行などとの契約では大変不利になる、こういうふうに思われるわけでありまして、この後、本当はあなたにこのもう一枚の十三のブロック、支社別に述べてほしいと、こう思ったんですが、大臣随分とさっき長々やられたものだから質問時間なくなりましたんで、私の方で簡単に言いますと二枚目、お配りした資料の二枚目ですが、簡単に言えば三大都市圏、ここだけは利益が出ているわけで、あとは全部赤字と、こういう格好ですよね。
 そうしてまいりますと、あと大臣にお伺いしたいわけですが、金融を含むユニバーサルサービスの確保というのは、法案が可決あるいは否決、その他どうなっても今後長期にわたって続く重要な課題ですよね。これは住民にとって必要だ、同時に経営にとっても三事業一体でなければ存立が危ぶまれる、こういうふうに私は思うわけです。経済効率だけでは無理で、社会政策としての手当てが不可欠だということがお分かりいただけるんだろうと思いますね。先ほど申し上げたように、三大都市圏以外はみんな赤字、こういうことなんですから。しかし、中央政府に附属するこの民営化委員会ではこうした実情は結局、無視されていく、民営化どうするかばっかりの話ですから。

 そこで、これとは別に、もっと丁寧に、都道府県あるいは地方ごとに地域住民で構成をする、さっき大臣もちょろっとおっしゃいましたが、この経営審議機関を置いて、それぞれの地域における継承各会社の経営の重要事項、例えば郵便局の配置であるとか、あるいは郵貯、簡保会社との契約関係であるとか、それらが縮小され、ユニバーサルサービスが失われないかどうかとか、こういうことについて審議をしていく、そしてそれを義務付けていくべきではないかというふうに私は思いますが、この点も法律に補強されるべきじゃないんですか。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 今改めて補強すべきというのは、民営化委員会に関してということで委員はおっしゃっているんだと思います。
 先ほど申し上げましたように、民営化委員会は三年ごとのレビューのほかに、一つの事業について、一つの新たな事業についてのこともありますので、やっぱりこれは意思決定機関は一つでなければいけないというふうに私は思います。
 しかし、委員おっしゃるように、その実態を把握していただくことはこれは大変重要でありますから、そこはもう実態を把握するためには当然しっかりやるべきことをやっていただかなけりゃいけないわけで、先ほど申し上げましたような地域別の分科会のようなものをつくっていただくというのは、私は必要に応じて当然に議論に、俎上に上ってくるものであるというふうに思っております。
 もう一つ、地域の状況に関しては、これ地域貢献計画に関して地域の有識者の意見を聞くということを、これは聞くということを義務付けておりますので、そういった意味での声の吸収というのはこれは法律の中でもできる仕組みになっております。

○又市征治君
 時間が参りましたから、最後にいたします。
 質問ではなくて意見を述べておきたいと思いますが、持ち株会社の郵貯、保険両会社の株式処分については、与党修正案によって非常に間接的な分かりにくい条文を定めて、民営化後の買戻しが不可能ではないという形になったようであります。
 しかしながら、この郵貯、簡保の金融サービスについては、地方住民などの立場から、ユニバーサルサービス制が不可欠であるという意見が民営化賛成の方々からも出されておることは御承知のとおりです。そのために、政府あるいは持ち株会社、若しくはその子会社である郵便二社が郵貯、簡保両会社の株式を引き続き有効に影響力を与え得る比率で保有することが不可欠だというのも大方の意見だというふうに私は聞いてまいりました。
 そもそも、修正で再取得を可能にしたのならば、最初から持ち株の維持を許すべきであって、いったん売却後に、再取得は実際のマーケットに売られてしまった後では不可能ではないか、こういう論議も全く私は正しいと思います。
 JRやNTTの株を政府が保有している例もあるという意見に対して、金融機関は特別に政府との関係断絶が必要だと大臣が盛んにおっしゃるわけですが、大手銀行への、じゃ、巨額の公的資金の注入であるとかあるいは都市銀行東京の例からも、これは反論され尽くして何ら説得力がないんじゃないですか。
 諸外国の例を見ましても、旧郵便貯金系の銀行に対して、引き続き不便、不満にこたえて、新たに政府出資の銀行を設立してまでユニバーサルサービスというものを確保していますね。
 したがって、民営化後の期限後においても、最低、役員の任免など重要議決にかかわる三分の一以上の保有を義務付けるべきではないか、このことを強く申し上げて、今日の質問は終わりたいと思います。