第162回通常国会

2005年8月5日 郵政民営化に関する特別委員会



(1)ユニバーサルサービス維持は三事業一体だからこそ
(2)地域貢献事業ができたのは国営だからこそ
(3)郵政公社ジリ貧論は、民営化ありきの世論操作だ
(4)郵便局の公的サービスは国民に対する半永久的な義務だ
(5)過疎地の郵便局の維持を言うが、法的な担保はない
(6)空手形の答弁ではなく法案修正で過疎地の局の維持を
(7)郵政に限らず小泉改革は、国民生活をぶっ壊す冷酷なものだ
(8)法案を廃案にするか、もしくは潔く退陣を


○又市征治君
 社民党の又市です。
 私は今日で九回目の質問になりますから、さんざん問題点についてはただしてまいりましたから、今日は幾つかの確認の質問だけにさせていただきたいと思いますが、その前に、総理、是非、どうもあなたが出ておいでになると議場がとげとげしくなって駄目ですね、これ。ちょっとやっぱり質問者に対して丁寧にお答えいただかないと、自民党からばっかりそういうふうに注文されているわけで、もうちょっと質問されたことに正確にお答えいただきたい、まず注文を申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)何言っている、そんなこと言ってないよ。

 そもそも、この郵便、郵貯、簡保の三事業が一体で行われてきたからこそ郵便局が全国で二万四千七百まで広がった。あるいは過疎地や離島に至るまで庶民の小口金融であるとか郵便のユニバーサルサービスが提供されてきた。そしてまた、国営であるからこそ、三事業以外の、高齢者宅への声掛けであるとか年金の配達であるとかなどなど、地域貢献事業も行われてきたと思いますね。
 これから特に人口減少が進み、高齢社会が進んでいく、こういう中で、こうした郵便局サービスというのは正に社会政策としても私は不可欠だろうと、こう思います。
 だから、この郵政公社を営利目的の四つの民間会社にばらばらにして、また庶民の三百四十兆円の資産をリスクマネー化をしていくということになるであろうから、したがって私たちはこれについてはもう断固反対だ、同時に、この郵政公社の経営の自由度を高めていく、こういう改革をしていくべきだ、こういう立場でこれまでこの審議に参加をしてまいりました。
 そこで、総理にまずお聞きをしてまいりますが、今日もおいでいただいていますが、七月十九日の日に私はあなたの盟友の山崎拓さんに質疑をいたしました。山崎さんが、九八年当時、自民党の政調会長として、この郵政問題については、国営三事業一体、身分は国家公務員、将来においても民営化を行わないという結論を導き出すことができた、将来の郵政事業の在り方については国営が不可欠だ、こういうふうに発言をなさっているけれども、今年六月のNHKの番組で、当時、民営化の一里塚として郵政公社をつくるという理解になった、こうおっしゃっているけれども、どちらが本当なんですか、こうお聞きをしたところ、山崎さんは記憶を取り戻しになって、そういう意味では当時においてはうそ偽りのない心情を申し上げたと思う、こうお答えになられた。さらに、当時の橋本総理以下みんなそうだったが、厚生大臣の小泉氏だけが民営化の一里塚という認識だった、こういう旨のお答えをいただきました。これは議事録を見ていただければお分かりのとおり。
 そこで、総理、あなたの信念かどうかはともかくとして、当時、政府としては将来においても民営化を行わないという結論だった、これが歴史的な事実だった、私はそんなふうに理解するのが筋だ、こう思います。
 したがって、いろいろと議論はあったけれども、民営化はやめて国営の公社でいこう、これが九八年当時のコンセンサスであり、同時にこれが中央省庁等改革基本法三十三条一項第六号のできてきた由来である、こういうことだったと思うんですね。
 だからこそ、あなたは二年前にこの郵政公社を発足させるために国会に公社法を提出をなさって、そして公社に四年を一期とする中期経営計画を企画、実施、点検させる、こういうことを定めたわけでしょう。つまり、少なくとも今後数回にわたる期間、継続することを想定したからこういうことを提案されたんだと思う。
 ところが、ここへ来てにわかに、どうも公社はジリ貧だ、こういう格好で民営化法案を出されてきているわけですが、構造的予測である、もし、ジリ貧論があったのならば、むしろ二年前に公社そのものを発足させるべきではなかったんでないのか、こう言わざるを得ません。ジリ貧論はむしろ民営化先にありきから出てきたもう世論操作だとしか私はもう言いようがない。
 このように、将来とも民営化しないという政府、与党の合意を無視をされたり、また三事業を四つにばらばらにする内容だから、あなたがあの手この手で脅したりすかしたりしても、自民党内でさえ、この法案は余りにもひどいということでいまだにまとまらないんじゃありませんか。

 そうすると、そこで質問なんですが、ここはもう改革基本法の規定と公社法に従って郵政公社を尊重して三事業一体で存続をさせるということが、ここで決断をすることが大局的な判断としては大事でないかと思うが、あなたはそういう考えは全くないと思いますが、改めてもう一度聞いておきます。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 国営でなければ今の郵便局のサービスは展開できない、国家公務員が経営しないと今の郵便局のサービスは展開できないという考えと私とは根本的に違っていると思うんです。私は、今の郵便局は民間の経営者に任せても十分可能である、国家公務員がやらなくても民間人に任せた方がより良いサービスが展開できるという考えであります。これは又市さんとは根本的に違うでしょうね。
 それと山崎拓さん、当時、政調会長の話を出されました。確かに山崎政調会長のみならず、当時の自民党の三役も含めて幹部ほとんどは民営化に反対でした。今でも、ほとんど反対とは言わないけれども、多数は賛成に変わったけれども、私が総裁選挙に出たときに自民党を変えると言ったのはそこなんです。
 この国営でなくても民間にできる実に大きな改革、郵政事業だけはどうして民間にしちゃいけないのか、これだけをどうして国営で維持しなきゃならないということを理解できなかったから、私は、自民党を変える、この典型的なものが郵政民営化だと。郵政民営化に賛成させる、自民党を、それが自民党を変えるという趣旨なんです。だから、これを変えないんだったらぶっ壊すと当時言ったんです。
 その基本的な考えに、私は今でも変わっていないんです。今、自民党は変わりつつあるんだ。自民党を変えるんです。その大きな政策の、基本的政策は郵政事業民営化に賛成するかどうかなんです。(発言する者あり)

○又市征治君
 全くこういう格好で、だから私、冒頭に御注意申し上げた。何か自分の演説の場だと心得違いなさっている。質問にちゃんと正確に答えてくださいと、こう申し上げているんですよ。

 そこで、大変この委員会で初めからずっと問題になってきて今日も論議になっているわけですが、少なくともこの委員会でも大変問題だったし、更に参考人質疑、公聴会の公述人の多くから出されたように、郵便局は、本業である郵便、そして郵貯、簡保のユニバーサルサービスはもとより、本業以外の公的サービス機関としても地域住民の圧倒的な信頼と期待が高い、このことはもう明らかになってきました。これが国民に対する半永久的な正にむしろ国家の義務だと、こういうことももうはっきりしたんだろうと思うんです。

 そこで、あなたが地方議会の意見書は国民の意見とは違うんじゃないかと、こういうむしろ暴言に近い発言をなさった。しかし、それはむしろ、その後のこの委員会審議やあるいは公聴会などでもむしろ否定をされたんだと思うんですね。そこを反省なさったかどうかは知りませんが、あなたはこの二日の片山自民党幹事長の質問に対する答弁で、過疎地等の郵便局での金融サービスについては提供するように努力を続けていく、こういうふうに答弁なさっていますね。
 しかし、これは何ら法的な担保がないわけでありまして、今日も出ておりますけれども、大体、大臣の答弁はそのときの政治信条を述べたものだと、こう言い出したのは政府の方なんですから、答弁は空手形ですよと逆保証したようなものでありますから。
 そこで、総理、まだ遅くはないわけですから、今日は最後の締めくくり総括をやっておる。あなたの方から、ここはひとつ国民の疑念にこたえるために、答弁ではなくて法案の修正をもって、郵貯、簡保についても郵便事業と同等に必須義務にする、こういうふうになさったらどうですか。その点を明確にお答えください。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 先ほど細田官房長官が答弁されたように、これは、法律に義務付ける点と、義務付けなくても必要なサービスは提供させるために政治があるのではないかという話を極めて適切に私は答弁されたと思うんであります。この義務付ける部分と、義務付けなくてもどうしてもこのサービスは必要だと、機能は必要だというときには、地域の住民の方々、その声を政治に反映させようとする地方の議会の方々あるいは市町村長の方々、それを受けた国会議員の皆さんが行政に働き掛けて必要なサービスを展開する、そこに大事な政治的役割があると思うんであります。
 そういう点を考えるのが政治でも重要でありますから、義務付けなきゃ全部できないとは限りません。現に、民間の企業は義務付けなくてもいろんな商品やサービスを展開しているというのは、先ほど私が何回も答弁しているとおりであります。義務付けなきゃできないというよりも、義務付けなくても義務付けた以上のサービス展開をしてくれるのが民間企業の多くの例だということを言っているのも、様々な事例を見れば明らかであります。
 私は、政治家というものは、法律になくても、法律で義務付けなくても、地域の声をよく聞いて、そして行政に働き掛けるというのは政治家の重要な役割の私は一つだと思いますから、そういう点につきましては、私は各地域から選出されている国会議員がそういう住民の声をよく受け止めて国会の場で審議されれば、行政は必要性というものをよく考えて対応すべき問題であると思っております。

○又市征治君
 だから参考人質疑やここの委員会の審議や様々出ている声を、だからお聞きしてくださいと、こう言っているのに、それもいろんな難癖を付けて、随分と理屈は多いと思いますけれども、結局、国民が心配をして維持を求めている、この金融サービスや社会貢献事業というのはリストラでやっぱりなくなっていくんじゃないか。だからこの懸念を、おそれを払拭してもらいたいと、こう言っているわけですが、つまりは結局、何一つ解消されない。いや、むしろリストラでやられていってだんだんなくなっていく、こういうことがむしろこの答弁の中で裏で透けて見える、こう申し上げざるを得ません。

 そこで、総理、郵政に限らず、あなたが進めてこられた一連の改革ですけれども、雇用、年金、医療、介護、金融、税制、どれを取っても、長い間不況に苦しんできた国民の経済的、社会的なダメージという傷口に塩をすり込むような、冷酷なものだったと言わざるを得ません。

 この結果、小泉政権が続いている間に、完全失業者は常時三百万人、不安定な身分の非正規労働者は一千五百万人を超えて膨れ上がり、自殺者は中高年を中心に毎年三万人を記録し続ける、こういう状況です。勤労世帯の収入は六年連続で低下をさせ、特に生活保護基準以下と言われる年収二百万円以下の世帯を一七%、六軒に一軒、こういう格好で拡大をさせてきました。郵政も、郵貯、簡保に集まった庶民の生活資金三百四十兆円をむしろリスクマネーゲームの荒波にさらして、過疎地域の住民や金融弱者の最後のよりどころを奪うところに、これらと共通した私は本質があるように見えてしようがありません。

 あなたが公約どおり自民党をぶっ壊したかどうか、そこら辺のことは関知しませんけれども、国民生活をぶっ壊してきたことだけははっきりしているんじゃないでしょうか。

 加えて、アメリカの言いなりになってイラクへ派兵を強行したり、憲法九条を投げ捨てて、日本をいつか来た道に引き込んでアジアの孤児にしてしまうような外交の無策ぶりに至っては、もはや何をかいわんや、こう言わざるを得ません。

 そして、今、郵政に執着して、国民から遊離した今回の権力的な政治手法、つまり参議院で否決されたら法案を可決した衆議院を解散する、つまり四百八十人の衆議院の方を首にします、こんな格好で立法府の議員を恫喝したり、成立すればしたで、政界の奇跡をおれは起こしたと、こう胸を張るようなあなたの強権独裁政治姿勢に対して、今、与野党問わずに、国会議員の多くが不信と怒りを持っているわけですよ。
 あなたは、自分で織田信長になぞらえてあちこちでお話しになっているようですけれども、織田信長は、自ら本能寺にガソリンをまいて火を付けるぞと脅すような、こんなばかなことをやったわけではありません。これは織田信長さんに対するそういう意味では大変失礼な話ではないかと思います。
 ですから、時間が来ましたからもうやめますけれども、答弁は要りません。議案の成否を超えて、今、自民党内からさえ信を失ったあなたが今なすべきことは、法案を廃案にしてもう一遍考え直してみるということか、若しくは、成否にかかわらず、あなたは潔く退陣をなさることをお勧めを申し上げて、私の今日の質問を終わりたいと思います。