第163回特別国会

2005年10月18日 総務委員会



(1)総選挙中の小泉首相のデマ宣伝
(2)格差拡大への不満を、公務員攻撃でそらそうとする政府
(3)日本の公務員数はフランスの3分の1、米英の半分以下
(4)公務員制度改革は天下りや官製談合など利権構造の是正が先
(5)逆に大綱路線で大臣お手盛りによる天下り温存を図った政府
(6)従業員の賃金を下げるために人勧を敵視する企業経営者


○又市征治君
 社民党の又市です。
 提案をされております郵便法の一部改正(万国郵便条約に基づき、郵便に関する料金を表す印影の偽造等の処罰に関する規定の整備のための法改正)については賛成であることだけ表明をして、大臣所信についての質疑をさせていただきたいと思います。
 そこで、小泉総理はさきの総選挙で、郵政職員二十六万人を非公務員にしなけりゃ重税国家になると、大変なデマ宣伝に等しい、こうした宣伝をなさった。
 昔、ナチスの宣伝大臣ゲッベルスというのは、うそも百遍言えば本当になるという、しきりに言ったんですが、それみたいな話なんです。
 そこで、大臣にお伺いを改めてしておきますが、公務員の実態一番よく御存じなわけですから。郵政職員の給与原資が一体何であるのか、税金は一銭も投入されていない、前にもそういう御答弁があったと思いますが、その点を改めてお伺いすると同時に、こうした総理自ら国民にデマ宣伝なさるようなことに対して正確にこの事情をお伝えになってきたのかどうか、改めてお聞きしておきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 郵政省の職員、いや郵政省じゃない、郵政公社職員二十六万二千人、ゆうメイト十一万八千人だと思いますが、その人たちの給与が、直接税金で賄われず、いわゆる官営事業であります郵便の売上げの中から賄われておるということは事実であります。また、その点に関しても、間違った認識を総理が持っているとはとても思えませんし、御自分で担当の大臣もしておられましたので、よくお分かりのところだと存じます。

○又市征治君
 まあ、知った上でそういう宣伝をしたということでしょうね。
 そこで、今度は、郵政民営化の次は公務員だと、こういう格好にねらいが定められているようでありまして、今日、小泉政権のリストラ政策の下で社会の格差がかつてなく拡大をしてきている。国民の中に大変な、そういう意味では不満や不平が渦巻いているという実態。そこに、この公務員攻撃で正にそうした不満をそらそう、こういうことにあるように思えてなりません。
 本当は、正にこうした社会的な格差が拡大をしておるから、公的サービスによってセーフティーネットを確保、拡大をするということこそが今、社会的には求められるんだと思うんですね。

 ところで、総務省は欧米先進国の公務員数の比較資料を出しておられますね。地方公務員を含めた日本の公務員数は人口千人当たり三十五・一人だと。フランスの約三分の一、米国やイギリスの半分以下と、こういう数字が発表されておりますけれども。
 そこで、総務大臣にお伺いしますが、それでも日本の公務員の数が多いんだという、こういう見方を政府全体としてはしているということですか。

○国務大臣(麻生太郎君)
 基本的には、この数字は何回となく経済財政諮問会議で出させていただいた数字でありまして、事実でありますし、一般の国民の中でも、えっという感じの数字だと思いますけれどもね。日本の場合は、特に自衛隊員、海外でいえば軍人の絶対数がこれに比較しても少ない形になっていますんで、その分を引きましてほかと計算してみても、やはり日本の場合はいわゆる税金で飯を食っているという感じの方は少ないということになろうかと存じます。
 ただ、いろんな意味で、これは感情論として、国民から見ました場合に、人口が多分、今年十月一日、国勢調査をさせていただきましたが、まず今年、来年をピークに人口が減るという中にあって公務員は増えるというのはなかなか難しい、感情論としては。やっぱり減るという方向であり、またその方向で、いわゆる、何という、町村合併等々も行政コストを下げる一環として行われておりますので、いろんな意味で、国民の意識としては非常にまだ公務員というのは非常に多いもんだと。これは国会議員の数を含めてそう思われていると思うとかないかぬと、私どもはそういう覚悟でもって臨まなきゃいかぬものなんだと、私自身はそう思っております。

○又市征治君
 大変大事な視点を大臣から出していただいたと思います。やはり正確に国民に事情をやっぱり知ってもらうということが大事なわけで、だからこそ一番冒頭に私は、そういう政府、総理自らデマ宣伝するような話はやめてもらわにゃいかぬ、国民の中に逆の意味で不信だけが起こってくると、こう申し上げているわけであります。
 公務員の数だけの問題でいうならば、それこそ国家公務員の中で自衛隊が六割を占めるという、こんな格好になっているわけで、頭数だけ問題なんじゃない、さっき大臣もおっしゃいましたけれども、仕事はどんどん一方で増やしながら、片一方で一割減らせ、二割減らせという、こういうやり方があってはならない。
 そして、少なくとも良質な公務サービスというものをどう確保していくのかということがますます、今大臣からありましたように、少子高齢化、高齢化だけがどんどん進んでいく、人口は減っていく、こういう時代にあって極めてこの公務サービスの中身が問われてくる、こういうことなんだろうと思うんです。

 そこで、公務員制度改革を言うならば、まず人件費だとか、あるいはこの人数の問題以前に、これは何度も問題になってきているんですが、高級官僚の天下り問題であるとか渡り鳥の問題、あるいは幾らか改善されたとはいいながら、まだまだ高額の退職金の問題であるとか、天下りした先の特殊法人や独立行政法人における無駄な事業であるとか、官製談合、こういったものを、利権にメスを入れるということが非常に大事だと。一般公務員の問題とは全く別に、ここらのところはまず大前提にやらなきゃならぬと、こう思うんです。
 ところが、政府は逆に、公務員制度改革大綱路線で、天下りを温存して各省大臣によるお手盛りを制度化する方針を出していた。しかし、その後大変厳しい批判を受けたわけですが。
 そこで、行革事務局に伺いますが、この行革大綱路線というのは、これは引っ込めたというふうに考えてよろしいですね。

○政府参考人(上田紘士君=内閣官房内閣審議官 兼行政改革推進事務局公務員制度等改革推進室長)
 退職公務員の再就職問題につきましては、様々な方面から強い批判がございます。これに対応して、政府でどうやったらいいかということをいろいろ取り組んでおりまして、例えばこの一年間で申しますと、昨年の十二月の行革の方針の中で、退職年齢の、早期退職をできるだけ少なくをするということに引き続き取り組みましょうということをやっております。それから、これは営利企業ではございませんけれども、国と密接な関係を有するいろんな公益法人等の役員に就任する場合には、これを内閣に報告をしてもらうと、こういう制度をこの四月から始めております。
 こういった取組もやりながらでございますが、既に昨年でございますが、これは国会の与党でございますが、いわゆる再就職の問題については、行政とそれを支える公務員への信頼を確保するために、内閣が国家公務員の再就職を一元的に管理すべきという申入れを受けているところでございます。こうした状況も踏まえて、公務員制度改革を今後詰めていく中で検討してまいりたいというふうに考えております。

○又市征治君
 与党内からもこれは随分と批判があったんですよ。そういう意味で、こうした天下りの問題というのは今年の三月にも総理が決算委員会で、まるで次官がそのまま自分のところの特殊法人に天下りするなんということは一切やめますという問題などを答えているわけで、ちょっとあなたの今の答弁、納得がいかないんですが、先に進みます。
 この問題では、特に中島前人事院総裁のときに随分と人事院側ともやり取りをいたしました。その際、中島さんは、国民のやっぱり天下り批判、これに正面からこたえなけりゃ公務員制度改革とは言えない。具体的には、役所から公社公団への再就職も国民の批判の対象であるから、これを何とかしなけりゃならぬということを繰り返し、人事院という立場から、公務員制度を守っていく立場からおっしゃっておったわけでありますが、その後、道路公団の官製談合が公正取引委員会に告発をされるという大変な事態が起こった。国民の怒りは非常に高まって、こうした特権官僚に対する批判が随分と高まってきているわけですね。
 こうした局面を受けて、天下りの規制強化の問題について、これは総務大臣はどのようにお考えになっているか、この点の見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)
 特殊法人等々のいわゆる天下りにつきましては、今お話がありました、あれは中日本でしたっけ、高速道路株式会社の話だったと、あれです、記憶しますけれども、特殊会社につきましては、国家公務員法の百三条というのによりまして、あそこは営利企業ということに扱われておりますんで、これはいわゆるこの法律の規制の対象となっているところであります。そういった意味では、昔はもう全く問題なかったところだったんでしょうが、きちんとした対応が出てきたということだと思いますんで、大分この種のことに関してはきちんとした対応が取られるという方向になりつつあると、私どもはそう思っております。
 ただ、私どもは、一番懸念いたしますのは、こういったようなものを、天下りをしないといって定年ぎりぎりまで全員雇うということになりますと、よほど人事院辺りと給与の計算をしないとコストはえらい高いものになるということは、元経営者としてはそっちの方が気になるところでありまして、天下った方が国の歳出全体としては安くなるという話やら、いろんなことを考えないと、これは又市先生、これはどっちが高いかよく計算したことありませんから、こんなたくさんの数計算した人おりませんので、実質問題分かりませんですよ。
 だから、そういった意味では、一概に駄目と言った結果、全員六十何歳までいられた場合のコストというのはえらいことになりゃせぬかなという感じだけはするんです。したがって、それはどこか全然別のいわゆる給与体系というものなりなんなりを考えるということにしませんと、簡単におまえ駄目と言った後、ずっと年金もらえるまでの間どうやってつなぐかという話は、かなりな難しい問題を抱えているということも頭に入れておかないといかぬところなのではないかという感じがいたしますんで、基本的によくいわゆる天下りというものに関しましては御批判のあるところでもありますし、事実、批判になってもしようがないような事実も幾つも起きてはおりますけれども、傍ら、今申し上げた点も考えて対応せねばならぬ問題だと、基本的にはそう思っております。

○又市征治君
 今おっしゃった問題についてはちょっと見解を異にいたしまして、県庁や、あるいはここの東京都でもそうですけれども、みんな基本的にはやはり定年まで働くということが原則になっているわけですね。天下りの問題でいうならば、それは大変な莫大な、むしろそこで給与をもらうというシステムになっているのが多い、これはもう今までの中で明らかになっている。今日はそれ以上突っ込みません。また改めて大臣と議論させていただきたいと思います。
 次に、最近、企業経営者の側から公務員攻撃が非常に強まっている。企業の賃金をもっと下げたい、それには公務員と人事院勧告が邪魔だと言わんばかり、こういう感じがしてならぬのですね。

 そこで、人事院の民間賃金調査についてお伺いをいたしますが、企業規模で百人以上、事業所規模で五十人以上の常勤社員の実態調査というのは、公務職場の規模と比べてもむしろ少ないくらい、こういう感じがしないわけじゃありませんが、あわせて労働基本権の代償措置と、こういうこともありますから、これは当然のことだと思うんですね。これを何だろうと下げろというのは、むしろこの論理からいって、これはとんでもないおかしな話ということで、人事院はそういう立場を取ってないということを、お取りだろうと思います。
 またもう一方で、嘱託や派遣や契約社員といった身分不安定な低賃金で働かされている非正社員を含めて比較しろと、こういう話がまた出てきている。これはもっと言うならば、低賃金の方に合わせなさい、平均化しなさい、こういう意図なわけであって、これも今ほど申し上げた論理に反していくということだと思うんですが。
 したがって、人事院はこれらの圧力に屈することではなくて、先ほども出ましたが、一九六五年以来、もう四十年にわたる、長年にわたって積み上げられてきた確立したこの比較制度、このことをしっかりとやっぱり踏まえて、むしろこれを国民、勤労者のスタンダードとして示していくような、こういう姿勢こそが求められているんだろうと、そう思います。そうでなければ、むしろこの労働基本権の代償措置としての人事院の機能あるいはそうした代償措置、そのことが壊されてしまう、こういうふうに思いますが、この点について人事院総裁のしっかりとした御答弁をいただいておきたいと思います。

○政府特別補佐人(佐藤壮郎君=人事院総裁)
 先ほど藤本委員の御質問にもお答えいたしましたけれども、確かに四十年前の企業規模を含めた官民比較方法というのは、その基本部分については四十年間変えていないわけでございます。その間に、民間企業の在り方あるいは雇用の多様化等々、いろいろ周辺状況の変化がございますので、この時点で企業規模を含めた官民比較方法の在り方の妥当性について検証をするというのは、人事院勧告制度に対して国民の信頼を得るためにもやはり私は必要な作業だというふうに思います。
 ただ、その見直しの作業あるいは検証の作業というのは決して公務員給与を下げるために行うわけではございませんし、当然のことながら非正規社員を入れるというふうなことは毛頭私どもの頭の中にはないということはここで明確にしておきたいというふうに思います。

○又市征治君
 時間が参りましたから、残りは給与法の段階でまた改めて議論させていただきたいと思います。