第168回臨時国会

2007年11月26日 本会議



(1)参議院で重視する決算審査の結果を生かした予算編成を
(2)国民の願いは福祉・雇用・労働条件など暮らしの改善だ
(3)逆進性の強い消費税引上げや福祉削減は行うべきでない
(4)増税よりも依然巨額な特別会計の余剰資金を活用すべき
(5)格差是正のために派遣労働の見直しや最低賃金引上げを
(6)地方の格差は国が地方交付税を5兆円も削減したためだ
(7)米軍再編の日本側負担3兆円の利権に絡む元防衛庁長官
(8)利権絡みの財務大臣に予算編成を任せられるのかとの声

○又市征治君
 社民党の又市です。
 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、二〇〇六年度決算審査の開始に当たり、福田総理に財政運営の基本姿勢を伺います。
 まず、参議院は五年前から、全会派一致して決算審査の充実に努め、その結果を翌年度予算に反映するため、政府に対して措置要求や警告決議などを発してまいりました。改めて総理に、決算審査を重く受け止め、翌年度の政策に生かす決意を伺いたいと思います。

 さて、今、政府に対する国民の最大の願いは、格差社会が広がった現実を直視をし、切り下げられた福祉、医療など公共サービスや非正規雇用の急増などで低下をした賃金、労働条件を回復し、国民の暮らし向きを改善することであります。そのためには、史上空前の増収増益を五期にわたって続ける企業に対して、政府が収益にふさわしい適正な税負担や賃上げなどの社会的責任を求めるべきであって、間違っても逆進性の強い消費税を引き上げたり、福祉、公共サービスの削減策などは取るべきではありません。総理の見解を伺います。

 決算の具体問題に入ります。
 消費税率引上げが盛んに喧伝されていますが、国民のために今すぐ活用できる財源は、増税ではなく、政府財政の中にあります。すなわち、我が党が決算審議の中で一貫して提案をしてきた特別会計の余剰資金の活用であります。小泉改革は国民生活に多くの改悪をもたらしましたが、一つ評価できる点は、この特別会計の活用に初めて手を付け、五か年で二十兆円を一般会計などへ繰り出すと決めたことであります。
 しかし、今回の決算でも積立金や剰余金は、外国為替特別会計で約二十兆円、財政融資資金特別会計で約二十一兆円、電源開発及び石油特別会計で四千五百億円など、依然巨額であります。これを、国民には何の犠牲も伴わずに国民生活の改善に活用が可能であり、福田内閣として、この特別会計の余剰資金の活用について新たな目標を設定するよう求めます。総理、いかがでしょうか。

 私たち社民党がなくせ格差と叫び続けて数年、ようやく政府も認めるようになりました。福田総理は、総理就任直前のインタビューで、規制改革の経済合理主義的な部分が強くなり、正規職員を非正規職員にするなど企業本位の雇用関係をつくった、その結果、賃金が下がったと反省の弁を述べられております。正に今、全勤労者の三分の一に当たる一千七百万人が非正規労働者であり、年収二百万円未満の勤労者が一千万人を超える異常ぶりであります。これでは健全な社会の持続的発展を期すことはできません。
 総理自身がそこまで認識されているのですから、憲法二十七条の勤労の権利を保障する立場から、抜け穴の方が大きくなった派遣労働制度の規制や、生活保護基準にも満たない年収二百万円未満の世帯をなくすために最低賃金を時給千円に引き上げることなど、格差是正策を提示をすべきではありませんか。見解を伺います。

 さらに、格差是正の具体策を幾つか伺います。
 いわゆる今日、限界集落が七千八百に及び、加えて郵政民営化が日常の金融窓口も奪い、新聞も届かない地域を生んでいます。また、地方の医療格差は産科や小児科、高齢者などに深刻です。
 こうした地方格差に対処すべき地方交付税は五兆円も削減され、地方の小さな自治体では義務教育すら隣の市に依存しようかと言い出す状況であります。大都市でも就学援助を受ける児童が四割という教育格差が生まれています。これらは憲法二十五条の生存権や二十六条の教育権の空文化を表しています。総理は、これら格差の是正にどのような方針で臨まれるおつもりか、見解を伺います。

 さて、総理は先週、各党の党首らを招かれ、給油新法の成立に協力を等々と要請をされました。しかし一方で、在日米軍の再編が進められ、日本側負担は約三兆円、グアム移転だけで七千億円と言われ、その建設利権にも守屋前次官や元防衛庁長官の名が絡んでいると報道をされています。
 そして今、あなたの下で来年度予算編成に当たる額賀財務大臣は、山田洋行や宮崎氏、日米軍需産業、守屋氏との深い関係、いわゆる疑惑が各委員会で指摘をされています。来年度予算ではグアム移転やミサイル防衛を始め五兆円近い防衛予算の査定を始めとして一般会計、特別会計合わせて約四百数十兆円が査定されるわけですから、だから新聞の社説でも額賀財務相、予算編成を任せられるかと書かれる事態であります。
 こうした財務大臣と予算編成をめぐる国民の疑念に総理としてどうおこたえになるのか、明確にすべきではありませんか。

 以上、二〇〇六年度決算審査の皮切りの代表質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)

   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(福田康夫君)
 又市議員にお答えを申し上げます。
 決算審議を翌年度の政策に生かす決意についてのお尋ねがございました。
 政府としては、従来より、決算にかかわる国会での審議や警告決議などの指摘内容を予算に的確に反映させることとしてきているところであります。行政に対する国民の信頼を取り戻すためには、政府における無駄を徹底して排除するよう取り組んでいく必要があります。このため、先般、各閣僚に対して、国会での審議内容を踏まえた改革に自ら率先して取り組み、二十年度予算に的確に反映させるよう指示したところでございます。
 今後とも、予算の質の向上に向けて、参議院における決算審議の内容を参考にさせていただきながら、政府一丸となって取り組んでまいります。

 格差が広がった現実を直視し、政府の財政政策を見直すべきではないかとのお尋ねがございました。
 構造改革を進める中で、格差と言われる様々な問題が生じております。自立と共生を基本に、老いも若きも、大企業も中小企業も、そして都市も地方も、自助努力を基本としながらも、お互いに尊重し合い、支え、助け合うことが必要であるとの考えの下、一つ一つきちんと処方せんを講じていくことに全力を注いでいるところであります。

 財政運営につきましては、歳出改革に徹底して取り組んでまいりますが、必要な歳出までもが削られ、国民生活に影響が生じる事態は避けなければなりません。このため、国民生活に密接にかかわる社会保障などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わない等の方針に沿って、社会保障制度及びそれを支える税制改革等の在り方について今後とも議論を重ねてまいります。

 特別会計の剰余金等の活用についてお尋ねがございました。
 政府としては、行革推進法における特別会計の剰余金の縮減等により、平成二十二年度までの五年間で総額二十兆円程度を財政健全化に役立てることを目標としております。
 平成十九年度予算においても、特別会計に関する法律に基づき、七つの特別会計から合計一・八兆円の一般会計への繰入れを行うこととしており、平成十八年度予算における十三・八兆円と合わせて合計十五・六兆円の活用を実施したところであります。
 今後とも、政府としては、行革推進法や特別会計に関する法律に定められた方針に沿って、毎年度の予算編成において最大限財政健全化に活用するため、剰余金等を厳格に精査してまいりたいと考えております。

 労働の格差是正のための具体策の指示についてお尋ねがございました。
 構造改革を進める中で、労働分野も含め格差と言われる様々な問題が発生しており、こうした事態から目をそらさず、一つ一つきちんとした処方せんを講じていくことが重要であります。私は、十一月二日の閣僚懇談会において、働く人を大切にする雇用という観点も含め、消費者、生活者の視点に立って、安心で質の高い暮らしに向けて行政の総点検を行うよう各閣僚に指示したところであります。

 御指摘の労働者派遣制度については、本年九月から具体的な見直しの検討を開始したほか、最低賃金については、現在御審議いただいている最低賃金法改正法案の早期成立を図り、その趣旨に沿って適切に引き上げるなど、働く人たちの労働条件の改善に向け努力してまいります。

 また、地方の格差是正の方針の指示についてもお尋ねがございました。
 地方の格差の問題についても、先ほど申し上げましたような認識の下で、いわゆる限界集落についてはしっかりと目配りしながら、地域の実情、住民の意向を踏まえ、各省が連携しながらきめ細かな対策を講じていく必要があると考えております。
 産科、小児科を中心とした医師不足の問題については、本年五月の緊急医師確保対策を受け、対策の具体化を進めることとしております。
 義務教育については、地域の財政力や保護者の所得による格差を生じさせないよう、公教育の再生に取り組んでまいります。
 地方税財政については、地方間の税収の偏りの是正に取り組むとともに、地方交付税を含め、所要額を確保してまいります。
 地方の格差の是正のためには、自立と共生の考え方の下、個々の地域の活性化を図ることが不可欠であり、十月に地域再生などの実施体制を統合し、地域活性化統合本部を立ち上げ、現在、地方再生のための総合的な戦略を取りまとめております。その際、地域の創意工夫や発想を後押しすることを中核に据えて、政府を挙げて積極的な取組を進めてまいります。

 財務大臣の件についてお尋ねがございました。
 額賀財務大臣は、指摘のあった件につきまして、これまで記者会見や委員会等において、調査を行った上で丁寧に説明されているものと考えております。
 いずれにせよ、平成二十年度予算は、歳出全般にわたる見直しをこれまで以上に徹底的に行いつつ、めり張りを付けて国民の安全、安心に必要な歳出は確保するという困難な課題を伴うものであり、額賀財務大臣に引き続き平成二十年度予算編成に全力を挙げて取り組んでもらいたいと考えております。
 以上であります。(拍手)