第168回臨時国会

2007年12月6日 総務委員会



(1)郵政三事業の公共性の再評価と株式売却凍結法案に賛成
(2)簡易局切捨て、四社間の断絶、非常勤多用で士気が低下
(3)郵便拠点が遠くなり非常勤が増えたことで増加した誤配
(4)郵便事業会社と郵便局会社の熾烈な年賀はがき販売競争
(5)メルパルクの譲渡先は雇用が確保される企業に限るべき
(6)上場前に相対取引で株式を売却しないよう改めて確約を
(7)総額三三八兆円の郵政三事業に食い込みを図る巨大資本
(8)郵政事業が投資ファンドのえじきとなれば大変な損失だ
(9)民営化後も政府の出資会社である以上、人事に厳格さを
(10)新会社の社長や役員等が複数の会社の役員ポストを兼職


○又市征治君
 社民党の又市です。
 まずは、国民共有の財産である郵政三事業のユニバーサルサービスを守り高めていこうという立場でこの法案を提出をいただいた発議者の皆さんに、心から敬意を表したいと思います。
 さて、この法案は、小泉政権によってやみくもに進められてまいりました郵政民営化の制度設計を抜本的に見直すきっかけとして、郵政三事業の公共性を再評価しながら、当面、三会社の株式の売却を別に定める日まで停止する、こういうことの趣旨でありまして、私どもとしては全面的に賛成でございます。

 株式の売却停止は、現在起きている民営化による国民生活への大きな弊害を食い止めるためにも大変必要なことだと、こんなふうに思います。
 現に私、この委員会で、十一月一日のこの決算問題で指摘を幾つかいたしましたけれども、営利主義的な経営の下で、簡易郵便局の一時閉鎖という名の実質切捨てであるとか、四会社間の無駄な間仕切りによる心理的な断絶であるとか、年賀はがきなどの販売競争など、職員の労働意欲は著しく低下をしている、こういう状況。その結果として、退職者が予想を上回る状況で進んでいたり、あるいは今も出ましたが、ゆうメイトなど非常勤職員を多用して低賃金で不安定な労働条件を課すというこういう状態が起こっている、こういう状況なのであります。
 こうした実情が利用者、国民へのサービス低下をもたらさないはずがないわけでありまして、様々な批判や抗議の声が起こってきていることも御承知のとおりであり、提案者側も当然こうした声をお聞きだと思いますが、その具体的な例など若干御紹介いただきたいと思いますが、せっかく提案者ですから、近藤議員にお聞きをしたいと思います。

○委員以外の議員(近藤正道君)
 御質問いただきましてありがとうございました。
 お答えを申し上げたいと思います。
 利用者、国民へのサービス低下についてでございますけれども、例えば、せっかくでありますんで、私の地元、新潟県のことについて御紹介をいたしますが、中山間地を中心にいたしまして、平成十八年の九月から半年間で五十五の集配郵便局が無集配化され、窓口業務だけになりました。平成十七年度から三年間に三十八の簡易郵便局が廃止をされ、あるいは一時閉鎖されてしまいました。二十六台のATMが撤去されてしまいました。そして、集配郵便局における土日の窓口業務、夜間窓口が閉鎖をされてしまいました。新潟県議会では、このことについて二度にわたって、とにかく国民の利便を確保してもらいたい、そういう意見書を国会あるいは政府に対して行っております。
 また、郵政民営化により生じた問題点といたしまして郵便物の誤配とか遅配の増加が挙げられておりますが、その原因は、やはり集配局の再編成が行われたことによりまして郵便拠点が遠のいた、これがやっぱり大きな要因でありますし、同時に、今ほども議論がありました、職員が非常勤化したこと、これも指摘をされているわけでございます。
 また、内容証明郵便でございますけれども、認証ミスが民営化初日である十月一日から二十二日間で合計三万七千件に及んでいるというふうに公表されております。これも、郵政民営化に伴う取扱いの変更によって職員への負担が増大したことが一つの原因になっているというふうに思っております。
 そのほか、民営化の当初におきまして、システムの不備から顧客に対応することができないままとなってしまいましたし、また、そのために職員が長時間にわたって残業を余儀なくされたと、こういうケースなどがあります。
 その他、いろんなものが今指摘をされておりまして、この民営化に伴う問題点、非常に深刻の度を深めております。可及的速やかにこの見直しを行うことが必要であると、私はそういうふうに考えております。
 以上でございます。

○又市征治君
 どうもありがとうございました。
 つまり、新潟県内の状況をお調べいただいて御報告いただいたんですが、これはもう全国的に起こっておる問題でありまして、法案審議に私も参加をしてまいりましたけれども、その当時、小泉総理や竹中担当大臣は、郵便局はなくさない、サービスのダウンは行わない、労働条件もダウンさせないと言ってきたけれども、今現実にこういう事態になっているということでありますから、なおのこと、だからこそ提案者側がこういうこの法案を出された、こういうことだろうと思います。

 さてそこで、そのこととも関連しながら若干、本題に入る前に、さきの十一月一日の委員会の審議で西川社長幾つかお答えになっている点で、私は補充的に二点お伺いを先にしたいと思うんです。
 十二月十五日から年賀はがきの受付が全国で開始をされます。先日の委員会で、私が年賀はがきの販売について郵便事業会社と郵便局会社の無用な争奪戦をただしたのに対して、西川さんは、郵便事業会社と郵便局会社を競争させるというようなことはないと、フロントラインは競争をあおられているというふうに受け取る向きがある、何か他人事のような答弁をされているわけですけれども、あなたは分社化の弊害である両会社間のこの年賀はがきの激しい販売競争、それによる現場の職員の被害を全く把握されていないんじゃないのかと、私は当時そう思いました。
 特定局で二十万枚から三十万枚というノルマ、それに耐え切れずに資金繰りのためにチケットショップに八掛けや九掛けで卸していくということが起こり得る。それがやがて四十五円というような値崩れになって出回ることが懸念をされるわけです。
 こうした現場の実態をやっぱり理解できなくては、これは私は困ると思う。分社化した以上、両会社の間の調整というのは不可能です、これ。みんなお互いに競争するんですから。だとすれば、こうしたものを断ち切るために、いや、競争させることはないんだと、こうおっしゃるならば、持ち株会社の西川社長の責任でこの年賀はがきの争奪戦などというこの調整を行うべきじゃありませんか、どうですか。

○参考人(西川善文君=日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)
 お答えをいたします。
 私もここ数週間、郵便局を訪問いたしました。大体その地域のリーダーとなっている郵便局でございますが、訪問いたしまして、郵便事業会社との関係、そして郵便局における販売の実態というものをお聞きし、そして見てまいりました。
 その中で、やはり幾つか問題がございまして、この問題を早急に解決してスムーズな販売活動ができるようにということで郵便事業会社それから郵便局会社に徹底をいたしたところでございます。

○又市征治君
 前回申し上げましたけれども、片やの会社は海外旅行までプレミア付けるなんていう、こんなばかな話やっていたら駄目ですよ。しっかりとそれは取り組んでいただきたい。

 二つ目に、前回、メルパルクの例を挙げて関連会社職員の雇用確保を求めました。メルパルクは五年以内の譲渡又は廃止が義務付けられているわけですけれども、その際、職員の雇用の確保に最も配慮しなきゃならぬということは当然のことであります。
 増田総務大臣も、前回、雇用の問題ということについては当然配慮していただけるものと思っているし、会社にそのような期待をしているというふうに述べられた。しかし、西川社長は、言葉のあやかもしれませんが、雇用について一定の配慮をしなければならないが、相手、つまり譲渡先もあるので、雇用を保障するということを言える状況ではないが、交渉に当たって雇用継続を条件の一つとして入れると。まるで雇用の確保は譲渡先次第だとも取れる、こういう答弁、極めてあいまいであります。
 したがって、十一月二十二日、当委員会で改めて決議をしておりますけれども、ここでもきちっと、「メルパルクなどの廃止又は譲渡に際しても、雇用に十分配慮すること。」、これはくぎを刺しました。ここでメルパルクその他の譲渡に当たっては生首は切らないということをしっかりと約束いただくと同時に、希望する全職員の雇用の確保を第一に考えて、職員を雇用する企業にしか譲渡しないということを明確に約束いただきたい。これは簡潔にお答えください。

○参考人(西川善文君)
 メルパルク並びにかんぽの宿の譲渡に際しましては、雇用の確保と雇用の維持ということを前提に処分の話を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○又市征治君
 しっかりと雇用確保をやっていくというお約束をいただいたというふうに受け止めます。

 そこで、本題に戻ってまいりますが、引き続き西川社長にお伺いをいたします。
 まず、今回の株式処分の停止法案の提案理由で、発議者の皆さんが、三年目の上場を目指すこととされているものの、法律上はいつでも可能であり、できるだけ早く処分を凍結すべきでありますというふうに述べられております。それは、先ほど来答弁があるんですけれども、どうも郵政会社の側は、三年後の上場を待たずに、それ以前に相対取引で適当な買手に売ってしまおうと考えているんではないかという、こういううわさが流れているからであります。

 そこで、改めて、先ほどは総務大臣も上場前の売却は適切じゃないというふうにおっしゃった。社長もそういうことは考えていないとおっしゃっているわけですが、もう一度改めて、上場前の売却はないということを確約もう一度いただきたいと思います。

○参考人(西川善文君)
 お答えいたします。
 上場を予定しております各社につきまして、上場前の売却はございません。お約束いたします。

○又市征治君
 是非、そういう立場で取り組んでいただきたいと思います。
 さて、郵政三事業は総資産三百三十八兆円の日本最大の金融保険機関でもありまして、内外の複数の巨大資本が食い込みを虎視たんたんとねらっているということは明らかであります。
 しかし、郵貯、簡保の資金は、もう言うまでもないことですが、国内の零細な庶民の貯蓄でありまして、その使い道としましても、国債や地方債や中小企業金融の原資として、また全国津々浦々で庶民の決済機関として大きな公益的金融サービスを行ってまいりましたし行っている。また、郵便事業は、従来は郵貯、簡保と兼業することによってユニバーサルサービスとして無理なく資金的に支えられてきたということなんだろうと思うんです。
 この郵政三事業が株式として無原則にもしこれが開放されていくとすれば、利潤追求一本やりの投資ファンドなどのえじきとなることは想像を絶する国民的、経済上の損失になるんではないかと、このように懸念をいたしますけれども、西川社長はこのことについてどのようにお考えか、見解を承りたい。

○参考人(西川善文君)
 お答えをいたします。
 郵便貯金銀行並びにかんぽ生命保険、この両者ともに全国に、津々浦々に張り巡らされました郵便局ネットワーク、これを窓口として使い続けるというビジネスモデルで臨んでおるわけでございまして、それ以外にはやり方がございません。したがって、株式の上場に際しましても、投資家に対する説明に際してそのことは明確に申し上げた上で御検討をいただくということにいたしたいと思っております。
 この窓口として、役割を果たしておる郵便局ネットワーク、これなしにはゆうちょ銀行、それからかんぽ生命保険の業務はあり得ないということでございます。

○又市征治君
 ところで、ここに郵政各会社の人事の二通りの名簿があります。七月二十七日に内定されて公表された文書と九月二十八日に十月一日付けの発表されたものがありますけれども、ゆうちょ銀行の人事で、七月にあった社外取締役筆頭の桂東大教授の名前がこの十月一日のものについては唯一消えているわけですね。この消された理由は、この教授が高木ゆうちょ銀行社長の息子さんの恩師ゆえにという縁故人事があったからだというふうにこれはマスコミでも二紙ぐらいが報じているわけでありますが、それはそのとおりなのかどうか、まず一つ。
 それと、この社外取締役、また四社各社の社外取締役の年俸はどの程度なのかお聞かせをいただきたいと思います。

○参考人(西川善文君)
 まず、東大の桂教授の件でございますが、これは高木副社長の縁故人事ということでは絶対にございません。ゆうちょ銀行の役員、社外役員に御就任をいただく方向で調整を図ってきたものでございますけれども、大学側の手続に時間を要するということから、これ以上迷惑を掛けるわけにはいかないという先生の御配慮から、桂先生御自身から辞退の申出があったものでございます。ゆうちょ銀行といたしましても、桂教授の御意思を尊重しまして就任は見合わせるということにしたものでございます。
 それから、社外取締役の年俸でございますが、これはプライバシーに係ることでございますので具体的な金額は差し控えさせていただきたいと思いますが、公社時代の理事の水準というものを踏襲した格好になっております。
 以上でございます。

○又市征治君
 公益的な郵政会社のこれがプライバシーに当たるんですか。
 委員長、これは是非、少なくとも他の均衡の問題、他の役員との均衡の問題の関係もございますから、委員会として、是非これを少なくとも委員会に提出いただくように取扱いをお願いしておきたいと思います。

○委員長(高嶋良充君)
 後刻理事会で協議させていただきます。

○又市征治君
 そこで、今縁故ではないんだと、こうおっしゃるんですが、さきの松原さんといい、この桂さんといい、私は民営化になるとこういう情実人事が横行するんではないのかという懸念をいまだに払拭できません。政府の出資会社である以上、厳格にしてもらいたい、このことは是非求めておきたいと思います。

 ところで、四社間の役員人事で兼職があります。西川社長は三つ兼職をなさっている。高木社長も一つでしたか二つでしたか兼務をなさっている。当然これは取締役報酬を辞退されるべきだろうと、こう思うんで、公務員の場合は当然ながら兼職側の、これは国家公務員法百一条によって無給になっているわけですね。西川さん御自身を含めてそうなっているのかどうなのか、そうしてもらいたいと思いますが、その点をお伺いします。

○参考人(西川善文君)
 お答えをいたします。
 まず私の方でございますが、私は郵便事業株式会社、それから郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行の社外取締役となっておりますが、三社からの報酬はゼロとなっております。
 それから、実務上兼務をしている役員につきましては、トータルとしては一社の役員をしている金額でございますが、兼務をいたしておりますので、その兼務度合いと申しますか、によりまして案分割合を設定いたしまして、当該社ごとに報酬を案分されたものを支給しておるということでございます。

○又市征治君
 まだ幾つかお伺いしたかったんですが、時間が間もなく参りますから、もう一点だけお聞きをいたしておきます。
 郵政四会社には企業から多数の人を採用されているわけですが、西川さん御出身の三井住友を始め、それら出身企業はその人の給与の差額を補てんしているというふうにお聞きをしますが、これは事実かどうか、まず一つ。
 事実とすれば、出身企業はその人に見返りの情報や行為を期待しているわけであって、郵政各事業の公益的性格に反するんではないかというふうに私は懸念をするからお聞きをするわけであります。見返りとは、言うまでもなく出身企業との契約などで便宜を図るということが入るんではないかと思うんですが、入札情報や契約に当たって、これで公正が保てるかどうかということが懸念をされますから、その点についてお伺いをしておきます。

○参考人(西川善文君)
 お答えをいたします。
 民間企業から採用した社員の給与につきましては、本人の経歴やこれまでの給与等を考慮しつつ、当社の規定に基づきましてその額を決定いたしております。したがって、お尋ねのような差額の補てんというものは全くございません。

○又市征治君
 時間が来ておるんですが、その民間会社が補てんしているかどうかをお聞きしたんです。

○参考人(西川善文君)
 民間会社からの補てんももちろんございません。

○又市征治君
 終わります。