第168回臨時国会

2007年12月12日 総務委員会



(1)衆議院での法案修正で大きな改善があった放送法改正案
(2)経営委員会と執行部はチェック・アンド・バランス関係
(3)ガバナンスの名による経営委員会の独裁では許されない
(4)NHK改革とは政治介入に対しての自主性の立て直しだ
(5)会長の独裁を止めるための経営委員会が別の独裁の種に
(6)視聴者の立場からNHKの会長を推薦するキャンペーン
(7)言論・報道機関の長として自主自律の姿勢を貫ける人を
(8)執行部・経営委員会・監査委員会は三者鼎立が望ましい
(9)NHKは要請放送に対して応諾しなければならないのか
(10)要請放送でも放送の自由や編集の自由は尊重されるべき


○又市征治君
 社民党の又市です。
 今回、放送法の改正の当初の政府案というのは誠にひどい内容でございましたが、衆議院段階においての修正協議でより大きく改善されたことは関係者に努力を多としたいと思いますが、なお疑念のある点について、今日は質問したいと思います。NHKと民放の両方で多様なテーマが含まれますけれども、今日はまずNHKの関係を伺ってまいりたい、総務大臣の見解なり認識をお伺いをしてまいりたいと、こう思っています。

 さて、NHKのこのガバナンスとは何なのかということをまずお聞きしたいと思うんですが、確かに、金銭的不祥事であるとか、前の会長の独裁的な運営であるとかというのはありました。しかし、このことを悪用して、この為政者が自分に直結した人を経営委員に任命をしたり、その経営委員が公共放送の機関であるこのNHKの経営計画から番組編成に至るまで執行部を幅広く支配、コントロールするというのがガバナンスであってはならぬわけでありますね、これ。

 だけれども、例えば十月九日の委員会で古森委員長は、どちらも対等であるということではないんだと、ガバナンスの根幹だと、こう言って、新しい某経営委員がそれを受けて、経営委員会が最高機関であることに異存はないですねと、こういう格好でえらい暴言を吐いておられるわけですが、つまり、おれたちが上なんだと、ガバナーだぞと、つまり支配者だぞと、こう言わんばかりのこういう経営委員会の発言ですね。
 これに対して執行部側のある理事はきちんと反論をして、執行の役割と議決の役割と、そこを踏まえるということだと思いますと、経営委員会があらゆる事項について自ら企画して自ら決めるということではないと思いますと、こう正論を述べられております。また別の理事も、経営委員会自らが企画立案なさった場合にどなたがいいか悪いかと判断なさるんでしょうかと、経営委員会側の矛盾を突いた発言もなさっている。

 つまり、経営委員会と執行部はチェック・アンド・バランスの関係にあるべきであって、ガバナンスの名による経営委員会の独裁であってはならぬと、こういうことだと思うんですが、この点について、当然総務大臣もそうだと思っておられると思いますが、改めて認識をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(増田寛也君)
 経営委員会とそれから執行部の役割というのは、それぞれもちろんこの放送法の中でも異なる役割が決められております。それから、今回の改正法案で、よりそこの役割の分担というのを明確化を行ったところであります。したがいまして、両者というのはそれぞれ異なる機能を担いつつ、平たく言いますと、両者が適度な緊張関係をやはり持つということと、それからやはり緊密に連携をする、このことによって、これ、NHK、公共放送なものですから、そういう関係でそれぞれの役割を全うすると、こういう考え方に立っているというふうに思います。
 したがいまして、何か一方がどっちかを支配するというよりも、それぞれの異なる役割をうまく機能を発揮することによってそうした適正な、全体としての適正な業務運営につながっていくものと、このように考えているところでございます。

○又市征治君
 私は、むしろNHK改革というのは、あのETV、慰安婦報道改編事件で見られた外部からの圧力、圧力がなかったとかあったとかといろいろとありましたが、それに対するNHKの報道の主体性に乏しかった姿勢、これをやっぱり立て直すことだというふうに思うんですね。

 前会長の独裁を規制する意図から経営委員会の強化をということが叫ばれて、私たちもこの経営委員会というものの強化というのは支持をしましたけれども、しかし、実際には前首相によるNHKとの取引関係者の経営委員への任命、しかも事実上の委員長任命になってきたことは、委員の皆さんも御案内のとおり、もう事前にそんなことは報道されたということでありました。そして、その委員長の行動というのが理事者の更に上に君臨する権力者を目指していると、こう評されるところまで来ている。こういう状況が実際のところですよ。これでは独裁者の代わりに別の独裁者を連れてきたということになりはしないか、こういう格好で多くの人が、識者が経営委員会の強化によって理事者を規制するという選択が失敗だったと、こういう指摘まで出されてきている。こういう状況にあるわけです。

 ですから、NHKのガバナンスというのは、理事者、つまり執行部が経営委員会に従属するべきだとか、ましてや政府、総務省に従う責任とかではなくて、究極は視聴者・国民に対する責任であると、こういうふうに思うんですが、この点は今ほどの御答弁とほぼ同じニュアンスだと思いますが、改めてお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(増田寛也君)
 やはりNHKは公共放送と、こういう重要な役割を担っておりますので、委員今御指摘のとおり、国民・視聴者に対してきちんと責任を持つことのできる体制、これをNHKとして構築していくことが重要だと私は思っておりますし、またそうしたための今回の法案の改正というふうに考えているところでございます。

○又市征治君
 そこで、NHKの自主性の問題に強い関心を抱く大学教授であるとかジャーナリストらのグループは、来年一月に現在の橋本会長が任期満了を迎えられるわけですが、この改選に当たって、視聴者の立場から勝手に推薦をしようと、この会長人選をね、というキャンペーンを始められています。といっても、全く、何か野党的に突拍子もない人選というわけではないようでありまして、既にマスコミに出ておりますけれども、十日に発表されたところによれば、会長候補として現NHKの副会長の永井多惠子さんと元共同通信でジャーナリストの原寿雄さんを推薦すると、こういうふうに発表されて、これはもう報道されていますね、だから名前も申し上げましたが、そしてNHKの経営委員会に申入れをされたというふうに聞いています。
 この勝手連は推薦理由として、言論、報道機関の長として自主自律の姿勢を貫き、職務に専念できる人物だ、このお二人はそういう人物だという説明をなさっています。そして、政治介入の余地を残す今までのような密室での選出は見直すべきだ、こんなふうに述べられているわけです。
 NHKのガバナンスが究極は今申し上げましたように視聴者・国民に対する責任であることを考えれば、このように会長候補の推薦という運動が有識者の間から出てきたのは人事の透明化につながる一つのすばらしいアイデアではないか、こういうふうに私は思います。
 この件について、総務大臣は視聴者が会長推薦に参加するというこういう提案についてどのようにお受け止めになりますか。

○国務大臣(増田寛也君)
 今の点でございますが、NHKの会長につきましては、先生御案内のとおり、放送法の二十七条の規定で、これは経営委員会が任命ということになってございます。もちろん、経営委員会の方でそうした法の趣旨を踏まえて適切に判断される事項だろうというふうに私は思っておりまして、なお、総務大臣の立場でございますので、こうしたことについて個別に私の方から申し上げるわけにはいかないと、こういうことで是非御理解いただきたいと思います。

○又市征治君
 有識者の貴重な提言ですから、むしろそういうことをどう工夫しながら政府の側が任命をしていくかというのは、そういうところをどう、そういう意見なんかも取り入れていくかということなどもこれは場合によれば一考されるべきじゃないか、そんなふうに思います。
 そこで、これダブって、さっきからの質問、今日は何人からも出ているんですが、どうももう一つ納得できない、この監査委員の問題です。
 監査委員の一名は常勤で現行の監事と同じだと、こうおっしゃる。しかも、一番不思議なのは、経営委員が監査委員を兼任し、しかも常勤になることを排除していないという答弁をなさっているわけですが、これは今はやりの委員会設置会社のまね事を経営委員会という古い幹に接ぎ木したために起こった設計ミスじゃないのか、私はこんなふうに思えてしようがないんですね。ここは制度上、この評議機関たる経営委員会と監査をする監査委員会の両者をやっぱり完全に分離すべきじゃないのか、そして、執行部とこの三つの関係は人的に重複をしない、三者鼎立が最も望ましいことではないのか、こんなふうに私は思っているんですが、大臣、この点はどうなんですか。

○政府参考人(小笠原倫明君=総務省情報通信政策局長)
 監査委員会の制度設計についてのお尋ねでございます。
 確かに、こうした制度につきまして様々な御意見といいますか、あろうかと思います。ただ今回、私ども政府の考え方としてこのような制度を提案しておりますのは、先ほど来ちょっと御説明もしておりますけれども、経営委員としての業務執行を通じて得た知見を監査に生かすことができるというメリットに着目してこうした監査委員を経営委員会の委員から選ぶというような制度で御提案しているものでございます。
 権限上から申しますと、その監査委員会の権限それから経営委員会の権限は分離されております。そして、監査委員会と経営委員会の関係でございますけれども、監査委員会の監査権限というのは協会の役員も対象とします。それと同時に、経営委員会の監督というのは監査委員も対象となります。したがいまして、そういう意味からしますと相互チェック機能も働くわけでございまして、こうした点を相関して一層のガバナンスの強化が図られるものと期待しているところでございます。

○又市征治君
 さっきも申し上げましたけれども、正に評議機関たる経営委員会、評議機関たる経営委員会、それと監査をする側、これ下手にまごつくと、さっきから申し上げてきた、一々一々この評議機関たる経営委員会の側から逐一にわたって口を出すという格好になってくると評議機関たる格好が成り立たない、こういう要素が出てくる側面があるわけでありまして、私はこれはどうも納得し難い、こういう問題があります。

 それから、時間残っているんですが、NHKの関係だけで今日はもう終わりたいと思いますが、最後にお聞きしますが、三十三条のこの命令放送が要請放送に変わるわけですけれども、この要請にNHKは応諾する以外の選択肢もあるかどうかということも大変これ重大な問題があります。
 四日の衆議院で、公明党の桝屋委員が編集の自由はどこまでも尊重されなければならぬと、こう、その後云々と質問されているわけですが、修正提案者の山口議員は、それで三十三条第二項、つまり大臣は協会の編集の自由に配慮すべきだということを入れたということで、山口議員はその際、やはり応諾の努力義務もあるけれども、より編集の自由というものを侵さないようにということで第二項を入れた、御心配なさることはないと、こういうふうに山口さん、答えているわけですよね。
 つまり、応諾の努力義務だけならば今のこの修正をした意味は何もないわけでありまして、命令放送のときと何も変わらないということになってしまうわけですが、つまりあくまでも、要請放送といえどもあくまでも放送の自由、編集の自由が尊重されるという、このことが修正の意味だろうと、こう思うんですが、ここのところは総務大臣もそういうふうに明確にお受け止めになっているのかどうか、ここのところは非常に重要な問題ですから、どうぞ。

○国務大臣(増田寛也君=総務大臣)
 お答え申し上げますが、今般の改正案で応諾というのは、今お話ございましたとおり、努力義務というふうにいたしたわけでございまして、その結果としてNHKが要請に応じないということもこれは制度上はあり得ると、こういうふうに思っております。
 ただ、そういうことは制度上あり得るんですが、実際上は公共放送としてのNHKの性格というものがございますので、我々、これは期待ということになりますが、NHKが引き続きこれまでと同様に要請に応じていただくと、御指摘のないような事態が生じないということは期待はしてございます。これは期待ということで申し上げるわけでございますが、制度上はNHKが要請に応じないということもあり得ると、こういうふうに考えております。

○又市征治君
 つまり、やはり放送の自由、編集の自由というのは何としても侵されてはならないと。したがって、政府側が時としてそれは要請はするかもしらぬけれども、あくまでもそれはNHKの側の主体的な判断によってなされるべきものと、こういうことの意味でこの第二項が入ったと、こういうことだというふうに、もう一度、よろしいですか。

○国務大臣(増田寛也君)
 修正の趣旨を踏まえて私どもこれを運用していくということでございますので、放送の自由という、自主自律ということはもう最大限尊重していくものでございます。

○又市征治君
 NHKの分、ここまでですから、時間が早いですが、終わります。