第168回臨時国会

2007年12月25日 総務委員会


(1)行政書士の代理業務の拡大について他の士業との調整は
(2)日本行政書士連合会の自治権確立を求める行政書士の声
(3)行政書士が国民の権利を守れるように自治権の法定化を
(4)自主的に法令遵守を徹底し国民の信頼にこたえる努力を


○又市征治君
 社民党の又市です。
 本改正案の主眼であります行政書士の代理業務の拡大には賛成をしながら、幾つか確認の意味で質問を総務省と発議者の皆さんにお願いしたいと思います。
 まず、この拡大について、これまで司法書士会や日弁連から慎重であるとか反対であるという意見が出されておりました。例えば、司法書士会からは、手続の代理権がない段階で一足飛びに重大な権利に直接かかわる聴聞、弁明の代理権を持つことは、他の士業の専門特化された手続代理業務権を前提とした制度に比べ、整合性が取れず、国の法制度や資格制度の根幹を揺るがすという、こういう意見がありました。また、日弁連からは、聴聞、弁明の手続は私人と行政庁の利害が対立する法的手続で、聴聞、弁明の結果確定された事実を前提として処分が行われ、国民の権利義務にかかわる法律問題を常に含むのだから弁護士法第七十二条に該当する、こういう意見も、反対意見もあったわけであります。
 これに対して他の士業とどういう調整を行って今回の改正に至ったというふうに認識されているのか、この点は総務省の方からお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(岡本保君=総務省自治行政局長)
 今回の改正に当たりましては、今委員御指摘のような、日弁連を始めいろいろな団体から御意見があったというふうに承知をいたしております。
 そういう中で、各団体と日本行政書士会連合会との中でいろいろな意見交換が行われたというふうに承知をいたしておりますし、またそういうものの状況の中で、発議者の方々等によりますいろいろな意見交換、調整の御努力があって今回の改正法に結び付いたというふうに理解をいたしているところでございます。

○又市征治君
 ところで、発議者の方にお伺いをしてまいりますが、今回の改正について、日本行政書士会連合会の「月刊日本行政」二〇〇七年四月号、今年の四月号ですけれども、ここでは聴聞、弁明の代理業務を確認的に追記するんだと、こう書かれております。
 しかし、本来、総務省は、行政手続上は行政書士が聴聞の代理を行うことの制限はないと、こう説明していたやに聞いてきたつもりでありますが、確認的に追記ならばわざわざ法改正することもないのか、こういうふうにも思えるわけですが、これはそういう意味で、確認の意味で改正の意味を発議者の方からお伺いをしたいと思います。

○衆議院議員(石田真敏君)
 非独占業務として規定するのであれば意味はないのではないかということでございますが、従来、不利益処分について争わないこととしている場合などにおきましては、その高い専門性を持つ行政書士にこうした手続の代理を依頼をしまして行政庁に対する説明等を行ってもらいたいとのニーズがあったところでございます。
 一方、聴聞又は弁明の機会の付与等の手続につきましては、法制上、行政書士が代理することができるのか否かについて、必ずしも明確ではないとの思いを抱いている依頼者もおられたところでございまして、今回の改正法の規定に基づきまして、依頼者は安心して行政書士さんに依頼することができるようになる、そういう意味で国民の利便性に資すると考えているところでございます。

○又市征治君
 私のところにも行政書士の皆さんの中から、日弁連のように日本行政書士連合会の自治権を確立すべきだ、それが専門性を高め、行政書士制度の充実強化を図っていくためにも必要だという声が届けられてまいりました。
 例えば、「月刊日本行政」二〇〇六年、昨年の十二月号ですが、これによりますと、行政書士会の自治権の確保が法定化されることを望むという、こういう記述がありまして、今おっしゃったようなことだろうと思います。それは、今後の課題として行政書士が行政手続や行政不服審査で国民の代理をする、つまり国民の権利、利益を守っていくためにも必要だということだろうと思うんです。
 行政書士会の行政からの独立性、自治権強化を図ることについて、発議者はどのようにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。

○衆議院議員(原口一博君)
 又市先生にお答えいたします。
 先生がおっしゃるとおりだと思います。今般の改正は、紛争性がない、すなわち法律上の権利義務について争いや疑義が具体的に顕在化していない範囲において、聴聞又は弁明の機会の付与等の手続に係る行為について代理することを行政書士の先生方が非独占業務として弁護士法第七十二条に抵触しない範囲で行うことができる旨を規定するもので、具体的には、依頼者である不利益処分の名あて人が不利益処分について争わないこととしている場合など紛争性のない聴聞等において行政書士が代理人として業務を行うことができるものであって、行政機関等との対立関係を前提とするものではございません。
 しかし、先生が御指摘のように、やはり国民の権利義務にかかわるところ、そこに向かう適正な手続のデュープロセスと申しますか、しっかりとした強化をすること、行政書士会自らが独立し、その自治を、今も発揮をしていただいているという認識でございますが、更にそこを強化していくことが大切であると提案者として考えているところでございます。

○又市征治君
 ありがとうございました。
 次に総務省に伺いますが、私たちは今述べてきたように、行政書士の皆さんが今後の業務権限の拡大を求め、これによって国民の権利行使のよき手助けとなってくれることを願うわけでありますけれども、他方で、残念ながら、現在の実情として、行政書士がそのなりわいに関して行った行為によって行政処分すなわち戒告、業務停止や業務禁止を受けたケースがあります。一九七五年度以降で五十件あるというふうに伺っています。その一つのパターンは戸籍抄本や住民票の不正取得であって、これが十件余り占めているようです。
 戸籍法や住民基本台帳法が改正を重ねてプライバシーの厳守が進む中にあっても、行政書士などの士業者は職務上の請求書という用紙を用いて特別に取得が認められている、こういうことなんですが、この地位を悪用して多数の人の戸籍、住民票を取って興信所などの職業的な第三者へ高いお金で横流しをしていたという、こういうケースだと思うんです。
 二〇〇五年に兵庫県で業務禁止となった例と、同じく、同年、二〇〇五年、東京都で八か月の業務停止になった例はどのような事件であったのか。特に私は、この問題は非常に悪質であって、どうも部落差別のための請求だったんではないかというようにお聞きしているんですが、この点について総務省から状況について把握されている点をお知らせいただきたいと思います。

○政府参考人(岡本保君)
 平成十七年の六月に兵庫県、東京都等でそれぞれ処分が行われております。
 兵庫県の事例におきましては、他人から第三者の戸籍謄本、住民票の写しの交付の請求のみを依頼され、職務上の請求に該当しないにかかわらず職務上請求書によりまして戸籍謄本等の不正な取得を全国的に行っていた、また帳簿等の保存をしていなかったというような事例であると承知をしております。これに対しまして、兵庫県知事が平成十七年六月七日、業務の禁止命令を科しております。
 また、東京都の事例におきましては、他人から第三者の戸籍謄本の交付の請求のみの依頼を受けておりましたが、職務上の請求に該当しないにもかかわりませず職務上請求書によりまして戸籍等の不正な取得を行い、書類一通につきまして五千円で販売をしていたというような事例というふうに承知をいたしております。これに対しましては、東京都知事が平成十七年六月二十一日、八か月の業務停止命令を科しております。

○又市征治君
 今お聞きのとおり、行政処分の中には、不正取得に比べれば罪は軽いと思いますけれども、無資格の補助員に業務をやらせていたとか、また補助員としての登録の義務を果たしていなかったというケースもあるようです。これは顧客に対する法律上の義務違反であると同時に、雇用主としてそこに働く人々に対する責任の問題でもあるわけです。今回の法改正で罰則の強化が行われるのもこうした違反が背景にあるんだろう、発議者の皆さんもそこをお考えいただいたんだろうと思います。

 いずれにしましても、行政書士や他の各種の士業もこういう不正を犯すことなく、法令を遵守し、国民の信頼にこたえるよう各団体、連合会において自主的に規律を高めていただくように努力もお願いしたいし、また業界の皆さんからもそのような努力をしていくんだということの強い決意も述べられているところでもございますけれども、是非とも総務省としてもそのような他の業界も含めて行政指導を強化をしていただくようにお願いをして、そういう中でやはり信頼性が高まっていく、法令がしっかり守られていく、こういうことになっていかないと何のための改正かということになるんだろうと思うんであります。
 そうした各般の努力というものも期待をしながら、最後に総務省からのそうした努力に向けての決意のほどをお伺いしておきたいと思います。

○政府参考人(岡本保君)
 お答えいたします。
 今委員正に御指摘いただきましたように、行政書士を始めといたしまして各士業がそれぞれの業務分野におきまして国民の信頼を得て、国民の利便の向上のためにそれぞれその業務を全うしていただくということが何よりも肝心なことであると考えております。そういう意味で、先ほど御報告させていただきましたような住民基本台帳等、市町村の窓口におきますいろいろな法令の遵守という日常の活動におきます正に遵守が肝心なことでございますので、そういう徹底に向け、私ども関係省庁とも連絡取りながら、そういう法令遵守の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

○又市征治君
 終わります。