第179回臨時国会

2011年11月17日 総務委員会



■一般質疑
(1)電子システムへの不正侵入が相次いでいる。セキュリティーの限界を認識し、個人情報の扱いは慎重にすべきだ。
(2)個人データを税と社会保障の共通番号制によって「地公情報機構」に集中することや、自治体が共同でITをクラウドという雑居ビル型の外注先に出すのは、侵入も増えるし、個人情報は危険にさらされる。政府は自治体と住民に対して責任を持てるのか。
(3)NHKの中期政策で料金の値下げが提案されている。私は記録物などの公共的オンデマンドの無料化を提案した。値下げに代わる還元策も検討したか。
(4)日本郵政の中間決算は、郵便事業は赤字だが、ゆうちょなどが黒字のために連結で黒字となった。この結果からも三事業の一体性と国民へのユニバーサルサービスは不可欠だ。
(5)アメリカ通商代表部はTPPに関連して、郵政事業、特に金融サービスの規制緩和が重要な交渉課題だとしている。これは郵政三事業の一体性を壊して郵便事業まで危機に陥らせる要求だ。


○又市征治君 社民党の又市です。
 大きく分けて、今日は三問ぐらいお願いしたいと思います。
 まず、政府機関や企業などの電子システムへの不正侵入が相次いで発覚をしています。参議院議員会館の各事務所もパソコン二十九台が十数万回のアクセスを受けて文書が最低十件は流出をしてメールも読まれた。衆議院では全ての議員のパスワードが読み取られたと、こういうふうに伝えられている。もちろんこれは犯罪だし防護も重要なんですけれども、インターネットのセキュリティーの限界をやっぱりしっかり認識をして、個人情報の扱いというものを慎重を期さなきゃならぬと思うんです。特に政府であるとか自治体は、権力を持って収集をした個人の情報を危険にさらすようなことは、つまり言い換えれば、不必要な取得や蓄積や転送というのは厳に戒めるべきだろう、このように思います。
 ところが、政府は、今度の消費増税に併せて社会保障と税の共通番号制度をやろうというわけで、通常国会にその提案をされようとしていますね。
 この番号制度は、個人の所得、病歴あるいは社会保障の受給その他の個人情報を国家が管理することによって社会保障支出を減らす手段として使われかねない
、こういうふうに批判をされているわけですが、そこで川端大臣にお伺いしますけれども、少なくともこの医療、病歴情報であるとか家族構成あるいは生活保護などの福祉の受給、また図書館の利用歴であるとか団体所属などの思想、信条にかかわる情報というのは、これは政府や自治体が国民のために特に保護すべき個人情報だというふうに、これは御確認いただけますね。

○国務大臣(川端達夫君) 個人情報の保護は国の責任としては極めて大事な問題であることは御指摘のとおりでありまして、そういう意味では、保有個人情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の保有個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないとの法律で決めてあります。
 同時に、各自治体によってもそれに準じた条例で取り扱っていただくことになっていますが、そういう部分では、国が保有する個人情報全てを対象にしておりますので、今御指摘の部分の、医療、介護の個人情報、図書館の利用履歴の個人情報を特別に取扱いをしているわけではなくて、全て同じレベルでちゃんとしろということでございます。

○又市征治君 住民基本台帳システムの際に、私たちは、この委員会がというふうに言った方がいいんでしょうけれども、大変多く警告が出た、危惧がされた。個人情報の保護がこの共通番号制によって一挙に崩壊するおそれがあるのではないか、こういう心配があります。漏えいや侵入は今後も止まらないのではないのか、これ以上個人の情報の名寄せや他の自治体、あるいは国、団体間のやり取りを広げれば、ますます人権侵害のリスクが増える、そういうことが危惧をされる、この点だけは強く申し上げておきたいと思います。
 その上で、総務省は早くも共通番号制の実施機関として、今国会に地方公共団体情報機構法案を提出しようと準備されているわけですね。住基の個人四情報と病歴、所得などの情報が一か所にそうなれば集められるということになるんでしょう。
 もう一つ、総務省は、自治体クラウドと呼んで複数の自治体の電子システムを一か所の外部サーバーに運用委託しろと、こう誘導をされていますね。安上がりになるというのが理屈なんでしょうけれども、実はこれは経費の面でも眉唾だと。むしろ、売手側の、業者の側の話そのまんまで、過去の反省がないのではないのか、私はそう思う。
 今日はこの問題についてはおきますけれども、問題はセキュリティーの面ではどうなのかということですよ。
 本来、一自治体内の門外不出の個人データを共通番号制によって情報機構に集中をするとか、あるいはクラウドという丸投げ、雑居ビル型の外注先に出して、そのどちらも、その分侵入者のチャンスも増えるし、個人情報は危険にさらされるのではないのか。
 総務大臣、そこで、自治体と住民に対して本当に責任を持てるのかどうか、そこのところどうお考えですか。

○国務大臣(川端達夫君) 最近、今一番冒頭お触れになりました衆参両院の情報漏えい、サイバー攻撃事案、それから自治体が所管する部分のクラウドにおいてもトラブルが発生したというふうなことでいいますと、やはり非常に最近のサイバー攻撃の部分でいうと深刻な事態があることは事実でありまして、総務省としても、個別の案件を含めてその原因追及と、解明と対策を含めて、各業者も含め、自治体も含め、我々も含めていろんな角度から検討を行い、対応を取っているところでございますが、今回の今言われました番号付番も含めて、いろんな情報が集まるという部分のメリットと同時にそのリスクは最大限深刻に考えて対応していかなければならないというふうに認識をいたしております。

○又市征治君 そうしますと、今おっしゃったように慎重を期していかにゃいかぬと、こういうことなんだけれども、だけれども、今私が申し上げたような、この危険性をはらんだ自治体間の個人情報接続というものを余り議論もなしに情報機構を設立する法案を出すというのは粗雑にすぎませんか、これ。番号制共々、もっとじっくり自治体レベルで議論をする時間を取るべきだ、そのことを今日は苦言を含めて問題提起しておきたいと思います。
 時間がありませんから次に移ります。
 今日はNHKにもおいでいただいていますが、せんだって中期計画、決定されたわけですね。これ、報道によりますと、ある委員によると、何かバナナのたたき売りみたいに数字いじりに終始した、こういうふうに伝わっています。私はそういう次元でなくて、NHKの公共性らしさのために、別の還元策というのはなかったかと、あの割引の問題ですよ。なかったかと、こういうことを問いたい。
 例えば、私自身も前回のこの場での質問の中でオンデマンドに触れて、記録物などの公共的なオンデマンドは無料化して一般会計で補填してはどうか、こういうことを実は提言をしたというか、申し上げました。これらは執行部なりあるいは経営委員会で、値下げに代わるこういう還元策、私の申し上げたことも一つでしょうけれども、そういう還元策は選択肢として議論されたのかどうか、お伺いします。

○参考人(石田研一君) お答えします。
 現在の経営計画の中で、平成二十四年度から受信料収入の一〇%の還元をするということが明記されております。
 それで、今回経営計画を議論するときに、平成二十年十月に今の経営計画を決めたときからどのような事情が変わったかと。あそこで一〇%還元で、当時の会長、それから経営委員長が一〇%還元は一〇%値下げだと国会でも答弁をしていることを重く受け止めて検討いたしました。
 それで、二十年十月以降に当時の計画を作ったときから変わった点でいいますと、一つはリーマン・ショック以降、生活保護者などが増えまして、受信料収入が計画どおりなかなか増えなかったと。それから、今年三月に東日本の大震災があったということが、二つ大きな事情の違いだったということで、還元策としては値下げと、もう一つは東日本大震災によってどうしても緊急に行わなければいけない公共放送機能の強化ということを還元の策に充てるということで議論して、経営委員会にはそのような執行部としての考えをお示しして、先月の二十五日に議決をいただいたということです。
 先生が今御指摘いただいたNODの在り方についても、もちろん中期計画を検討する中で議論いたしました。それで、ただ、NODを無料でするということについては、そうした場合には非常にNODに接触する方が増えて、いろんな設備投資とか、それから経費がかなりの額が掛かるんではないかとか、それから受信料収入を支払っていない方にそのNODで自由に接触させるということがいいのかというようなことの議論もありまして、今回はNODを無料化するというようなことについては見送るということです。
 NODについては、現在収入が増えていまして、NHKとしては、基本的には今の制度の仕組みで平成二十五年度に単年度で黒字を目指したいというのが基本的な考えでございます。

○又市征治君 今言われなかった問題で、民放側からこれに反対論が強いというのはよく承知していますよ。
 私は、だけども、そうではなくて、NHKの公共サービスとして、その公共サービスそのものを拡大をしていくべきじゃないか、そういうことのもっと中身を検討してほしいということを、提供して何だろうと下げりゃいいという話あって、さっきの東日本大震災みたいなこと起こったり、何かしたときに、それじゃ、上げることはできるかというのは、なかなか上げることはできないわけでしょう。
 だから、そういう問題を含めて、この対象とすべき番組のジャンルであるとか、あるいは無料化の試算などを含めて、是非そういう検討結果というものも次回にはお聞きしたいと思いますから、お示しいただきたいと思います。その点だけ注文を申し上げておきます。
 最後に、郵政の問題です。
 日本郵政株式会社の中間決算が出て、郵便事業は郵便物の減少が止まらずに赤字だけれども、ゆうちょなどが黒字のために連結で黒字、こういう結果ですね。
 そこで、自見大臣にお伺いをしますが、前回も聞きましたけれども、この数字からも、やはり三事業の一体性というのは不可欠だと、こういうことだと思いますし、もちろん利用する全国津々浦々の国民にとってユニバーサルサービスは欠かせないものだと、これはもう誰もが否定する話じゃないわけです。
 それを今後とも担保するためには、株式の一般国民、あるいは利用者への開放も必要ですけれども、同時に政府の関与も私は不可欠だと。つまり、もっと言うならば、一兆二千億程度を、郵政全体として掛かるコストを三事業の中でしっかりと稼ぎ出してユニバーサルサービスを担保していく、こういう立場で改革をしようというわけでしょう。そういう意味でユニバーサルサービスを守っていくということだと、もう行き過ぎた民営化というものを正そうと、この郵政改革法を一日も早く改正をすべきなのであって、その決意を簡潔にひとつ、改めてお伺いしておきたいと思います。

○国務大臣(自見庄三郎君) 又市先生は、御存じのように、今年の八月、野田民主党代表と亀井我が党の代表との合意書の中でも、二〇〇九年九月九日に合意した三党連立合意書を尊重し、その実現のために最大限努力するというのが入っておりまして、今先生が言われたように、この郵政の行き過ぎた五分社化、この弊害がもう本当に露骨に現れておりまして、今先生、中間決算のことを言われましたけど、これも賞与を大体、年間四・三か月分を三か月に先生御存じのようにしているということで、人件費を五百九十億円実は削ることによって実際減収増益でございますが、これらのことで損益改善要因となっているわけでございます、その人件費の五百九十億、ボーナスの、賞与を削ったことが。
 そういったことを考えますと、これらの影響を加味すると、グループ全体の経常利益としては実質的に実はもう減収になっておりまして、そういったことでもういよいよこの郵政事業の経営状態が脆弱と、もう本当にだんだんだんだんなっているわけでございますけれども、もう一刻の猶予も、そろそろ猶予もないような厳しい状況になっていまして、もう是非先生が言ったように、やっぱりきちっと郵政事業が持っていた公共性と公益性、そして効率性と、民間企業でございますから、公益性と効率性を持った、きちっとそのバランスの取れた三事業一体、そしてやっぱり金融に対してもきちっとユニバーサルサービスを制度上担保できるということ、そういったことを含んだ今度の法律でございますから、しっかり、税金を投入できずにそういうことを担保できるようにしっかりやらしていただきたい。そのためには又市先生から今非常に強く言っていただきましたが、この郵政改革法案はしっかり通さしていただきたいというふうに思っております。

○又市征治君 是非しっかりやっていただきたいし、協力をしたいと思います。
 そこで最後に、先ほど民主党の行田さんが一番先におっしゃったんだが、アメリカの通商代表部はTPPに関連付けて、わざわざ郵政事業、特に金融サービスの規制緩和も引き続き重要な交渉課題だと、こう表明されているわけですね、早くも。つまり、TPPに参加するだけじゃ駄目だぞと、ゆうちょ銀行やかんぽ生命にも参入させろということなんだろうと私は思う。
 しかし、これは郵政三事業の一体性を壊して郵便事業まで危機に陥らせる要求ではないかと、こう思う。このことに対しても明確に担当大臣としてメッセージをやっぱり出してもらいたい。もう一遍明確にやってください。

○委員長(藤末健三君) 予定時間過ぎていますので、簡潔にお願いします。

○国務大臣(自見庄三郎君) いずれにいたしましても、郵政改革法案の第十二条におきまして、郵政事業は同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮するものと、基本方針としておりまして、この基本方針の下、経営の自主性、それから競争条件の公平性のバランスの取れた設計としているところでございまして、郵政改革法案はWTOを始めとする国際約束の基本的精神に反するものではないというふうに考えておりますので、その上に立って国際約束との整合性を取っていくと、そういうことでございまして、これは日本は主権国家でございますから、これを内閣できちっと閣議決定して、特に国際的な基本的なWTOの基本精神に反しないようにということを非常に気を付けて作った法律でございますから、そういった意味でも、是非、日本国政府としてはそのことをしっかり留意して、原則は原則でございますから、主権国家でございますから、そのことはしっかり、総理大臣もそういう趣旨の答弁をしておりますから、やっていきたいというふうに思っております。

○又市征治君 終わります。