第190回通常国会 |
2016年4月13日 決算委員会 |
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■平成26年決算他2件 省庁別審査:総務省、警察庁及び消費者庁 @NHKが2007年に会計検査院から指摘を受けたことを是正していたら、今回の関連会社の不祥事は起こらなかった。検査院の報告をどのように受けとめ、活かしてきたのか。 ANHKは、関連団体の利益剰余金やNHKとの取引を、どのように変えるつもりなのか。 B関連団体の不祥事の続発の要因を、どのように分析しているのか。再発防止に向けてゼロからの見直しというが、その中身は何か。 C不祥事が繰返されているので、国民の信頼を取り戻すために、関連会社における事業運営やNHK本体による指導監督について体系的に調査をする。それを基にして改善策を検討して、事業運営の透明度を高めていくことが重要なので、会計検査院に検査要請を行うべきだ。 Dマイナンバーの通知カード、未達で市町村に残されているものは、どの程度あるのか。 E東日本大震災の被災者の皆さんには、どの程度、届けられたのか。 Fどうしても届けられない市民への対応は、どうするのか。 Gマイナンバーカードの発行状況は。 Hマイナンバー制度関連の犯罪件数、被害額、相談件数は、どのくらいあるのか。類似犯は今後続くと考えるか、根絶できると考えているのか。 Iマイナンバーカード発行システムの不具合による被害状況、システム機構にどのような指導を行い、機構はどのような対応をしているのか。 J今回のような不具合が起きると情報漏えいへの危惧が高まるが、それはないと大臣は保証できるのか。 |
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○又市征治君 社民党の又市です。 まず、NHKの不祥事について取り上げたいと思います。これについては総務委員会でも質疑を行ってまいりましたが、今日は関連団体の不祥事とNHK本体との関連で質疑を行いたいと思います。 この決算委員会は、10年前、2004年度の政府決算承認の際に、NHKが不祥事により国民の信頼を失墜させたことに鑑み、政府に対して、綱紀粛正、内部監査の充実により再発防止に向けた取組の強化等を警告決議で強く求めたところであります。同時に、会計検査院に対してNHKの不祥事と関連団体の余剰金について検査を求め、会計検査院は翌2007年9月に報告を提出し、子会社等には協会の財政に寄与させること、関連団体に対して過剰な利益を与えないこと等々が指摘されました。 そこで、NHKに伺うんですが、この会計検査院の報告をどのように受け止めて今日まで生かしてきたのか、伺いたいと思います。 ○参考人(籾井勝人君) お答えいたします。 参議院決算委員会の検査要請を受けました平成19年の会計検査院報告で、今委員がおっしゃいました等々の御指摘をいただきました。これを踏まえまして、NHKとしましては、平成21年度に実施した配当から配当性向を見直し、20%から35%に引き上げたほか、特例配当を実施してまいりました。ただ、平成24年からは特例配当を要請しておりません。この結果、平成18年度以降27年度までの10年間でNHKの子会社から受け取る配当金は230億円となりました。NHKの財政にも貢献しており、視聴者の皆様の期待に応える放送サービスの充実に活用されております。 今後、NHKグループ経営改革の取組の一環として剰余金の還元の在り方について積極的に検討しております。ちなみに、28年度予算には、通常配当に加え特例配当も合わせて59億円の配当を予定いたしております。 ○又市征治君 会計検査院の指摘を着実に行っておれば、今回のようなことは起きなかったんだと思うんですね。 検査院報告が出されて9年になります。今年もこの予算案の承認に当たっては衆参両院で附帯決議が付けられて、不祥事の再発防止やコンプライアンスの徹底等が求められました。昨日、NHKの理事、大幅な異動が行われたようでありますけれども、籾井会長、あなた自身の責任も極めて重く問われているということを厳しく申し上げておきたいと思います。 そこで次に、今回の一連の不祥事や子会社による土地購入問題で関連団体とNHK本体との関係に注目が集まっています。特に、本委員会の警告決議や会計検査院の報告で指摘された利益剰余金は、検査院報告によると2005年度末現在では886億円余でしたが、最近の報道によると、14年度末の子会社13社の利益剰余金は916億円余と増大しているわけですね。また、関連団体の売上高、事業収入の58%はNHK本体からのものだ、こういう報道もあります。 籾井会長、そこで伺いますが、関連団体の利益剰余金の扱い、今も230億円余という話がありましたけれども、この利益剰余金の扱いやNHK本体との取引、これはどういうふうに変えていくつもりなんですか。 ○参考人(籾井勝人君) お答えいたします。 会計検査院の御指摘にありますように、財務上の余力をそれぞれの会社ごとにしっかりと検証した上で、まずは積極的に配当をしていくこと、これを含めまして、NHKの財政、それから視聴者の皆様に対する放送サービスの充実に貢献するような施策を検討、実施していきたいというふうに考えております。 ○又市征治君 コンプライアンスの徹底なんというのは当たり前のことでありまして、先般、総務委員会での質疑で私は、ここ数年、NHKの予算案の承認に当たって不祥事の再発防止が附帯決議で繰り返し求められている、あるいはまた、NHKは内部監査あるいは外部委員による調査委員会の調査にもかかわらず不祥事を発見できなかった、さらには、改革案が次々に出されたけれども全くその実を上げていないということなどについて指摘をいたしました。 改めて伺いますが、NHKは関連団体の不祥事続発の要因をどのように分析をしているのか、そして、再発防止に向けてゼロからの見直しというふうにおっしゃるけれども、その中身はどういうことか、簡潔にお答えください。 ○参考人(籾井勝人君) NHKの関連企業に対するいわゆるコンプライアンスあるいは内部統制のルールというものはきっちりと存在しているわけでございますが、不祥事が起こった理由としましては、これがきっちりと守られなかったということが最大の原因であります。 我々としましては、NHK本体におきましてもそういうルールをきっちりと守るように、今最大限の努力をしております。 ○又市征治君 NHKは国民からの受信料で賄われているわけですから、したがって国会でもこういうふうに論議をするわけですけれども。 不祥事が繰り返されている状況ですから、NHKがやっぱり国民の信頼を得るための一つの方策として、関連会社における事業運営やNHK本体による指導監督について体系的に調査をする、それを基にして改善策を検討して、事業運営の透明度を高めていくことが重要なのではないかと思うんです。 そのために、本委員会として、NHKの関連団体における事業運営、NHKとの関係について会計検査院に検査要請をすべきだというふうに考えますが、委員長、この点についてよろしくお取り計らいいただきたいと思います。 ○委員長(小泉昭男君) 後刻理事会で協議いたします。 ○又市征治君 次に、マイナンバー制度の問題点について伺いたいと思います。 高市大臣は記者会見で、簡易書留で郵送された通知カードは約5876万通で、未交付分が約218万件、3.7%というふうに発表されました。そして、市町村が4月以降も引き続き返戻された通知カードを保管するように要請されたようですけれども、現在どの程度市町村で保管をされているのか。 大臣は、当初の返戻率は10%ぐらい見込んでおったと、それが3.7%まで減少したというのは良かったというふうな感想をお持ちだったようですけれども、そもそも総務省は返戻率をどの程度だというふうに見積もっていたのか。大臣は、特に東日本大震災の被災者の皆さんに届いていないのではないかというふうに危惧されておったようですけれども、実際、避難者と思われる方々が多いのかどうか。 そして、市区町村で引き続き保管すれば当面は問題ないわけですけれども、私たちはこれは反対なんですが、総務省は、最終的には自分の番号を知らないと日常生活に支障を来すほどに活用範囲を広げる、こういう考え方で来ていたわけですから、どうしても届かない市民への対応はどうするつもりなのか。 また、マイナンバーカードの発行状況は現在どうなっているのか。以上4点のことをお聞きをします。簡潔にお答えください。 ○国務大臣(高市早苗君) まず、全国では3月31日時点で約5885万通の通知カードが簡易書留により郵送されています。市区町村における窓口での交付や再送などを通じて、未交付となっているのは約211万件、約3.6%でございます。被災3県の被災地域について申し上げますと、約204万通の通知カードが郵送されまして、未交付となっているのが約5.7万件でございます。約2.8%でございます。先ほどおっしゃった返戻率の見積りというのは、これはちょっと発送する時点では正確に予測はできないものであると思います。 とにかくお届けをしなきゃいけないということで、各市町村には、通知カードを確実に受け取っていただけるように、転送可能な普通郵便によって転送先の住民の方に通知カードの受取について連絡をしていただいたり、あと、被災地ですけれども、居所登録された避難先への通知カードの送付が可能であるという旨、定期的な避難者向けの広報ルートを活用して周知したり、居所登録制度の周知ですとか避難元市町村が被災住宅に出向いて居所登録を支援したり、様々な取組を要請してまいりました。 それで、今後なんですけれども、マイナンバーカードの発行枚数でしたっけ、済みません。ごめんなさい、ちょっと一旦そこまでで…… ○又市征治君 3番目。どうしても届かない市町村への対応どうするんでしょうか。 ○国務大臣(高市早苗君) 失礼いたしました。 届かない市町村への対応なんですけれども、これも保管期間について先般通知を出しまして、本来でしたら年度内、昨年度中をということで保管をお願いしておりました。 被災地については、もちろんできるだけ避難先が判明してお届けできるまでお願いしますということでしたが、その他の地域につきましては昨年度末ぐらいを目途にということだったんですが、やはり新年度が始まりましてマイナンバーの提出、提示を求められる機会が増えると思いましたので、各市区町村には、御面倒をお掛けしますけれども、できるだけ長く保管していただくということも含めて検討していただくようにという要請をいたしております。 ○又市征治君 市町村でずっと保管しておれという話じゃ困るんで、届かないわけで。そういう意味で、どのくらいが個人に届くのか届かないのかというのがどうもはっきりしない。やはり、全て国民に届くようにする具体策がちょっとおぼつかないな、この後混乱が起きるんじゃないのかという心配を、私が心配してもしようがないんだが、そういうことが出てくると思うんですね。対策をしっかりやっていただきたい、こう思います。 マイナンバー制度が始動して以来、当初より警戒されていたマイナンバー制度関連の犯罪も起きているようであります。犯罪の中身は基本的には詐欺ということのようですけれども、これまでの犯罪件数、被害額、相談件数はどのくらいなのか。警察として、いわゆる振り込め詐欺が後を絶たないようにこのマイナンバー制度を悪用した犯罪は今後も続くと思うかどうか。そして、このような犯罪は根絶できると警察の方は見ているのかどうか。警察庁の方にお聞きをします。 ○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。 マイナンバー制度に関連した不審な電話等があったとして全国の都道府県警察に寄せられた相談の件数についてでございますが、通知カードの送付が開始をされました昨年の10月5日から本年4月11日までの集計で449件を把握しているところでございます。 また、マイナンバー制度に便乗した詐欺による金銭等の被害といたしましては9件を把握しておりまして、その被害額の合計は約5200万円ということになっております。 マイナンバー制度に関連した不審電話等の件数につきましては、最近は以前と比べて減少する傾向が見られますけれども、依然として十分な警戒が必要であるというふうに認識をしております。 被害根絶のためには国民への広報啓発が重要でありまして、警察庁では、ウエブサイトにおいて警察が把握した実際の被害や不審電話等に関する相談の事例ですとか注意のポイントを掲載するなどして、被害防止のための広報啓発を行うとともに、関係省庁にも提供して連携して注意喚起を図っておりますし、都道府県警察におきましても、街頭キャンペーンですとかポスター、チラシ、防犯メール等、様々な機会や手法によって注意喚起を行ってきているところでございます。 ○又市征治君 海外では、システムが違うのかもしれませんが、マイナンバーに関わる様々な犯罪が多発しているようでありますから、この十分な啓発活動を是非しっかりとやっていただきたい。 NHKで、私はだまされないなんて、しょっちゅうやっているけれども、それでもしょっちゅう振り込め詐欺がやられている。こういう状況があるわけでありますから、そういう意味で、今お聞きをすると、詐欺として届けられたのは9件ということのようですけれども、449件もそういう意味での相談が掛かってきている。こういうことが起こり得るわけですから、是非他省庁とも連携を取りながら啓発をしっかりとやっていただくように要請をしておきたいと思います。 そこで、このシステムの不具合の問題について伺っておきたいと思います。 2月22日、地方公共団体情報システム機構は、その2月22日当日に起きたシステム障害について公表をしました。しかし、不具合による被害は1月ぐらいから生じていた、こういうふうな報道もあるわけです。 このシステム不具合によって今日までどのような被害が生じたのか、まずその全容を一つ目に伺います。これに関して、総務省はシステム機構に対してどのような指導を行い、機構は一体全体どのような対応をしたのか、あるいはまた現在しているのか、この点を伺います。 ○政府参考人(稲山博司君) システム障害の関係でございます。 まず、1月中旬以降、地方公共団体情報システム機構、J―LISでございますが、そのカード管理システムが一時不安定な状況となりまして、多くの市区町村におきましてマイナンバーカードの交付などの業務が行えなくなった、こういった事案が計7回発生をいたしております。1月中に、1月13日から25日にかけて6回、それから2月の22日1回ということでございます。その場合に、各カード管理システムの不具合が発生した時間帯におきましては、実際にカード交付に関する業務が支障が出たと認識をいたしておりまして、住民の方々に対するカード交付ができなかったり、あるいは交付に時間を要したと、こういったことが生じたところでございます。 そうした障害に対する対応状況でございますけれども、カード管理システム、原因究明や再発防止につきまして、総務省からJ―LISに対しまして累次の要請を行ってきたところでございます。こうした要請を踏まえまして、J―LISのシステムの不具合に関する調査におきましては、中継サーバー障害の原因につきましては、サーバー内の暗号処理装置の動作に関する部分にあると、こういうふうなところまで考えられるところまで至っております。引き続き、徹底した調査を実施をしていると承知いたしております。 こうした調査結果を踏まえまして、3月4日と3月11日、これは金曜日でございますが、サービス終了後にそれぞれ改修を実施いたしまして、その後、J―LISのシステムにおきまして重大な障害は生じていないものと承知をいたしているところでございます。その間、私ども、また大臣より直接J―LISの理事長に対し要請等も行ったところでございまして、いずれにいたしましても、円滑な交付に向けましてJ―LISや関係団体と緊密な連携を取って取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○又市征治君 一部報道によると、機構は原因を明らかにすることを拒否しているというふうに伝えられました。このシステム開発、70億円で落札をされたそうですけれども、機械ですから立ち上がり期に不具合というのは付き物なのかもしれませんが、原因が分からないとか原因を明らかにしないなんというのはとんでもない話で、今、稲山さんおっしゃったのもどうもすっきりしないわけです。 そこで、私たちが危惧してきたやっぱりこのマイナンバーによる情報の流出ということが、こういう問題が起こってくると疑念が湧くわけでありまして、これ大臣にお聞きしますけれども、個人情報の漏えいというのは絶対ないんだ、大臣の方で保証できますか。その点をお答えいただきたいと思います。 ○国務大臣(高市早苗君) やはり、リスクゼロということについて断言するというのは無責任だと思います。リスクの最小化に向けて、制度面それからシステム面、両面で精いっぱいの対応をしているということでございます。 J―LISに関しまして、これ住基ネットでございますけれども、カードの管理システムを含めて、マイナンバー制度の基盤となる住基ネットとLGWANを運用していますけれども、これも専用回線の利用ですとかファイアウオールによる厳重な通信制御、それからデータを暗号化した通信ということで、セキュリティーを確保して個人情報の漏えい対策を実施してきましたから、10年以上にわたって安定的に運用することができております。 ですから、しっかり今後もセキュリティー対策については、J―LISの個人情報保護ですとかセキュリティー対策について総務省としても引き続き支援をしてまいります。 ○又市征治君 私たちは、昨年、国民、企業、団体に対する周知徹底が遅れていることから、少なくとも始動は延期すべきだと主張してきたんですが、ところが、動いたけれども本家本元でトラブルが起きた。マイナンバー制度が実に脆弱な一面ではシステムの上に成り立っているのではないのか、こういう懸念が否めないわけであります。 その点を指摘申し上げ、早急な対策、万全な対策を取るように求めて、今日のところは終わりたいと思います。 |
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