第190回通常国会 |
2016年5月9日 決算委員会 |
||||
■平成26年度決算他2件 准総括質疑 ■昭和19年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算及び昭和20年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算 @会計検査院が、2012年4月から2015年1月までの間に、日本スポーツ振興センター(JSC)が締結した338の契約事務等が会計規則等に基づいて行われていたかを検査した結果、47契約、約50億円の契約については、JSCの契約担当者の記名押印が契約締結日から1か月から9か月後に行われ、その47契約のうち3分の1強、18契約、約4億円については契約履行期間経過後、つまり業務が終わってからようやく担当者による記名押印が行われていたとのことだ。こうした不適正な契約手続が行われてきた理由と、再発防止策はどうなっているのか。 AJSCは、既に会計検査院から2011年、12年度の決算報告においても、スポーツ振興投票、TOTOの業務に関する契約について、会計規則等に基づく契約事務を行うこと、その適正性、透明性を確保するように是正改善の措置を求められている。このような指摘が行われていたにもかかわらず、同じことが繰り返されている。こうした不適正な手続きが繰り返されてきたことについて、所管大臣である文科大臣の見解は。 B昨年9月に文科省は、JSCの平成26年度における業務の実績に関する評価をDとしている。このD評価というのは、13年度の評価制度開始以降、全省庁が所管する独法の中で初めての低い評価だ。どのように業務の廃止を含めた抜本的な改善を図っているのか、その具体的な成果は何か。 C新国立競技場の建設計画、経費問題で各組織が右往左往し、その責任の所在もはっきりしていない。一応建設計画がまとまったようだが、3月になり聖火台の設置場所がなかったことが表面化している。この競技場の建設予算は一体どのように節約されたのか、予算の調達計画はどうなっているのか。 D突然問題になった聖火台建設問題や神宮球場の借り上げ問題等、オリンピック・パラリンピックに向けた工程表は存在し、計画的に実施されているのか。大会に向けた開催準備状況はどのように進捗しているのか。現時点での課題や今後課題になるであろう問題は何か。 E150を超える各国首脳が参加した国連持続可能な開発サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が現在の開発問題における世界的な到達点だが、日本も賛成し積極的に役割を担おうとしているが、それとは別に国益の確保を主張するというのは違和感を覚える。この点、どのように国民に説明するのか。 F開発協力大綱の基本方針で非軍事的協力による平和と繁栄への貢献をうたいながら、実施上の原則において軍又は軍籍を有する者への支援は排除していない。しかし、支援国内における軍事転用について、有効なチェック、歯止めの手段がないのではないか。 G昨年の第3回開発資金会議で採択されたアディスアベバ行動目標や、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において、ODAの数値目標が国民総所得、GNIの0.7%と設定されたが、実現に向けた工程表の作成はどうなっているのか。 |
||||
○又市征治君 社民党の又市です。 最初に、新国立競技場の設計業務等に係る不適正な契約手続について、日本スポーツ振興センター、JSCに質問をしたいと思います。 会計検査院の報告によりますと、2012年4月から2015年1月までの間にJSCが締結した338の契約事務等が会計規則等に基づいて行われていたかを検査した結果、先ほど荒木委員からもありましたけれども、47契約、約50億円の契約については、JSCの契約担当者の記名押印が契約締結日から1か月から9か月後に行われていたということが判明し、その47契約のうち3分の1強、18契約、約4億円については契約履行期間経過後、つまり業務が終わってからようやく担当者による記名押印が行われていたということであります。 この報告を受けて大東理事長は、業務遂行を優先する意識、風土があったなどと他人事のように述べられておるわけですが、改めてお聞きをしますけれども、こうした不適正な契約手続が行われてきた理由と、再発防止策はどうされているのか、お聞きをいたします。 ○参考人(大東和美君) お答えいたします。 委員御指摘の会計検査院による指摘は、昨年1月に行われた会計実地検査において、新国立競技場整備事業を含めJSCの業務に係る平成24年度から平成26年度の契約について検査が行われ、契約期間の開始後に契約書を作成していたなど、不適正な契約手続について指摘されましたところであります。 今回の不適正な契約手続が行われた理由といたしましては、規則等を遵守して適正な会計処理を行うことについての意識の徹底等が欠けていたということ、また、契約事務等の会計手続におけるチェック体制などに不備があったということを認識しております。 今回の事案が生じたことはJSCとして大変重く受け止めており、役職員に対し文書による注意を行うとともに、契約手続の進捗管理の徹底、出納担当部署や内部監査部署等による内部牽制体制の強化、役職員に対する意識の啓発等の改善を行っております。また、外部有識者で構成する運営点検会議を新たに設置し、法人全体のガバナンスを点検し、必要な助言をいただいているところであります。 今後このようなことが発生しないよう、経営の改善に向けてスピード感を持って取り組んでまいります。 ○又市征治君 要するに、組織として当たり前の事務処理がなされていなかった、コンプライアンスが全く軽視されていたということを今理事長おっしゃったと思うんですが、実はこのJSCは、会計検査院から2011年、12年度の決算報告においても、スポーツ振興投票、TOTOの業務に関する契約合計102件、約336億円について、会計規則等に基づく契約事務を行うこと、その適正性、透明性を確保するように是正改善の措置を求められていたわけですね。報告では、是正改善を必要とする事態、発生原因、求められる是正改善の措置等が具体的に記されております。 このような指摘が既に行われていたにもかかわらず、先ほど理事長からあったように、そのようなことが、また同じことが繰り返されている。こうした不適正な手続が繰り返されてきたことについて、所管大臣として文科大臣からの見解を伺いたいと思います。 ○国務大臣(馳浩君) JSCに対しては、平成23年度決算検査報告において、スポーツ振興投票等業務に係る契約について是正改善を図る必要がある旨の処置要求があり、翌24年度決算検査報告において所要の改善がされた旨が報告されたところであります。また、26年度決算検査報告においては、契約に係る業務が会計規則等に違反していて不当と指摘されており、このように繰り返し会計検査院からの指摘を受けたことは誠に遺憾であり、大変重大な問題であると受け止めております。 こういった指摘を踏まえたJSCの改善策については今ほど大東理事長から答弁があったとおりでありますけれども、文科省としても、会計手続におけるチェック体制が万全であるか、規則を遵守する意識の徹底が図られているかといった観点から再発防止策が徹底されるように、折に触れて指導してまいりたいと思います。 ○又市征治君 昨年9月に文科省は、JSCの平成26年度における業務の実績に関する評価を公表していますね。 総合評価はD、一番悪いやつですね。総合評価はDで、全体として、中期計画における所期の目標を下回っており、業務の廃止を含めた抜本的な改善を求める、こういうふうになっているわけです。単なる抜本的改善ではなくて、業務の廃止を含めたという大変厳しい評価をされているわけで、ちなみに、このD評価というのは、13年度の評価制度開始以降、全省庁が所管する独法の中で初めての低い評価と、こういうことになっているわけです。 ところが、文科省の評価の中では、責任の所在については、今大臣もおっしゃったとおり、非常に甘い。多くの関係者がそれぞれの立場において真摯にその仕事に取り組んでいる、こんなふうに評価もしているわけですね。評価対象が多少違うのかもしれませんが、検査院の報告を読みますととてもそのようには言えませんし、大変甘い事務方の判断ではないのかと、こう言わざるを得ません。 そこで伺いますが、文科省、JSC双方にお尋ねしますけれども、どのように業務の廃止を含めた抜本的な改善を図っているのか、その具体的な成果というのはどういうふうになっているのか、お答えください。 ○参考人(大東和美君) 今御指摘がありました平成26年度の独立行政法人の業務実績評価において総合評価で最低のD評価となったことは、従前の新国立競技場の整備事業について、昨年9月の新国立競技場整備計画検証委員会の報告で、JSCにおける問題点として、国家的プロジェクトを既存の組織で対応してしまったプロジェクト推進体制の問題、また、国民理解の醸成ができなかった情報発信の問題等の指摘を踏まえ、文部科学大臣が抜本的な改善を要すると判断されたことによるものと認識しております。 これらを受け、JSCとしては、新国立競技場の整備に当たり、事業全体を統括するプロジェクトマネジャーの新設、そして専門的知識を有する広報担当者の設置を行うなど、体制の強化を図っております。また、新国立競技場の整備に向けた体制強化に加え、法人の内部体制を充実強化するため、外部有識者で構成する運営点検会議を新たに設置し、法人全体のガバナンスを点検し、必要な助言をいただいているところであります。 今後も、経営の改善を進め、文部科学大臣から示された中期目標を達成できるようしっかりと取り組んでまいります。 ○国務大臣(馳浩君) これまでのJSCの行ったことに関しては、本当に大変な問題であり、重大なことであるという意識は私も持っております。 今ほど大東理事長からお示しをしたとおりでありますが、下村前文部科学大臣からもJSCに対して業務の改善を指示しております。私としても、下村前大臣から引き継いだ改善状況を踏まえた上で、今後とも、やはり常に大東理事長とも緊密に連携を取りながら、改革が着実に行われているかどうかを折に触れてチェックをする必要があると思っています。 先般、4月中でありますが、抜き打ちで視察にも行ってまいりました。職員も、プロパーの職員ばかりではなく出向の職員等もおるものでありますから、やはり組織としてちょっと一体感に欠けるのかなという印象も持ったところでありますが、そういう様々な課題も踏まえながら、やっぱり折に触れてチェックをし、大東理事長やまた役員の諸君に、きちんとやっているかどうかの確認を口頭だけではなく内部のことも含めて報告をさせていきたいと思います。 ○又市征治君 昨年9月に文科省が、第三者委員会によって新国立競技場整備計画の検証が行われたわけですけれども、その内容でも、今回の混乱の原因が完全に明らかになったとはどうも言い難いのではないのか、そういう印象を強く持っています。文科省、JSCがそれぞれ責任転嫁することなく、いま一度やっぱり真摯に検討いただくように、是非馳大臣にも御努力をいただきたい、そのことを強く申し上げたいと思います。 そこで、この新国立競技場の建設計画、経費問題で各組織が右往左往し、その責任の所在もはっきりしていないわけですが、一応建設計画がまとまったということのようですけれども、3月になってまた聖火台の設置場所がなかったという問題が新たに表面化してまいりました。具体的にはこの競技場の建設予算は一体どのように節約されたのか、また、その予算の調達計画について、これは少し説明をしていただきたいと思います。 また、今月になって神宮球場を、オリンピック・パラリンピックの準備や運営に必要との理由で7か月間借り上げる計画を組織委員会が突如発表して、多くの人が奇異に感じ、球場側からは難色も示されたというふうに報道されています。突然問題になった聖火台建設問題や神宮球場の借り上げ問題といい、果たして本当にオリンピック・パラリンピックに向けた工程表はしっかり存在し計画的に実施されているのか、甚だ疑問に思えてしようがないわけです。 そこで、遠藤担当大臣にお聞きをいたしますが、大会に向けた開催準備状況はどのように進捗しているのか、現時点での課題や今後課題になるであろう意識されている問題について御説明をいただきたいと思います。 ○国務大臣(遠藤利明君) お答えいたします。 まず、新国立競技場の建築に要する費用がどのように改善されたかという御質問でありますが、新国立競技場の従前計画においては工事費の上限が設けられておりませんでしたので、工事費は2651億円に上ることになりました。しかし、昨年、安倍総理の下で白紙撤回の後、昨年8月に策定した整備計画においては、従前計画の反省に鑑み、工事費の上限を1550億円と設定をいたしました。さらに、今年1月にJSCと事業者との間で締結された事業協定においては建設費は約1490億円とされたところでありまして、建設コストは大きく改善されたものと考えております。 また、整備費用の財源につきましては、昨年12月の関係閣僚会議において、東京都知事も出席の上で、分担対象経費、およそ1581億円でありますが、を国の負担、スポーツ振興くじの特定金額、東京都の負担、それぞれ2対1対1の割合で負担する財源スキームを決定しており、財源についても明確化されております。 また、過日の神宮の話がございました。多分、これからいろんな、交渉事ですから、ここをお貸しくださいとなれば組織委員会としてはできるだけ余裕を見てお願いをする、しかし、実際それを貸していただける方からすればできるだけ自分たちのやりやすい形でと、交渉事はずっと続いていくんだと思います。ですから、これから神宮球場だけではなくていろんな施設をお借りするときに、一つ一つそういうことの詰めをしっかりしていかなきゃならないと思っております。 そうした点を踏まえて、御指摘のように、大会の成功のためには、事業の進捗と効果を点検することを通じて、各般にわたる準備を効率的、効果的に実行することが重要であると認識をしております。 大会組織委員会では、大会成功に必要となる業務の洗い出し及び大会開催費の見直しについて、今年の夏頃にはIOCと調整できるよう作業を進めているところであります。国の取組につきましては、今年1月に工程表を公表しておりますし、今後とも不断の見直しに取り組むこととしております。また、今回の組織委員会の業務の洗い出し作業を踏まえて、今委員から御指摘ありましたように、大会組織委員会、東京都などとも問題意識やタイムスケジュールを共有するとともに、国民に対して積極的な情報発信に努めてまいるように努力をいたします。 ○又市征治君 オリンピック招致の段階では、掛かる費用を7000億円程度と、こう言っておったものが、昨年、森組織委員長は、2兆円は超すだろうと、こうおっしゃる。舛添都知事は3兆円は必要だというふうにおっしゃる。どんどん膨れ上がっていく場当たり的な、そんな格好。そして競技場の建設費が問題になって、今あったように、節約を幾らか図ったというけれども、そういう状況である。聖火台をどこに造るかも分かっていない。非常に国民から見てみると、お祭りだといってどんどん税金が使われていくんではないのか、こういう心配をされる。 一方では、今日もいろいろと議論になっていますけれども、社会保障関係がいろんなところで切り詰められている。こういうことに対していろいろな批判が起こるということがあると思う。きちっと計画を出して国民に分かりやすくして、そしてやはり可能な限りの節約をして行っていくというのが当たり前ではないか。国民参加による夢と希望を分かち合う大会なんだ、こういうふうにおっしゃりながら、全く裏腹なことが起こっているのではないのか、このことを指摘をし、警鐘を鳴らしておきたいと思います。 次に、ODAの問題について質問したいと思います。 私は、一昨年のODA特別委員会において、2013年度版ODA白書の巻頭言の大臣の発言ですが、「国際環境の変化としてまず挙げられるのは政治・安全保障環境の変化です。平和で豊かな国際社会を実現するため、ODAをより戦略的に展開し、自由や民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値や戦略的利益を共有する国を支援する必要があります。」との記述を取り上げて、これをODAの第一の役割にするのはいかがかと異議を唱えました。それで比較すると、今年の白書は比較的ODA本来的な意義を重視するものになっていると思うんですけれども、それでも開発協力の目的では依然として国益の確保ということが挙げられております。 後でも取り上げますが、150を超える各国首脳が参加をした国連持続可能な開発サミットで採択された持続可能な開発のための2030アジェンダが現在の開発問題における世界的な到達点だろうと思いますけれども、もちろん日本もこの文書に賛成し、積極的に役割を担おうとしているわけですが、それとは別に国益の確保を主張するというのはどうも私は違和感を感じてならない。この点、大臣はどのように国民に御説明されるのか、改めてお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(岸田文雄君) まず、グローバル化がますます深まっている今日において、国際的な感染症対策であれ、あるいはISILを始めとするテロ対策であれ、国際社会の平和や安定、さらには繁栄、こうしたものは我が国の国益と分かち難いものになっている、これが現実ではないかと思っています。 よって、御指摘のような持続的な開発のための2030アジェンダを含めこうした国際的な取組を進めていくということ、これはすなわち我が国の国益にほかならない、こういった現実があると考えます。よって、新たに制定しました開発協力大綱の中においても、開発協力の目的を国際社会の平和と安定及び繁栄の確保により一層積極的に貢献することであるとしつつ、あわせて、こうした協力を通じて国益の確保に貢献する、こういったことを明記した次第であります。 さらに、これ別の視点からいいますと、ODAあるいは政府による開発協力にしても、やはり貴重な国民の税金を使うものであります。国民の税金を使うものである以上、国民に対して、開発協力大綱等を通じて我が国自身にとってどんな意義があるのか、こういった説明をする、こういった姿勢は大事なのではないか、このように考えます。 こういった観点からも、開発協力大綱において国際社会の平和や安定や繁栄に貢献する、こういった姿勢を示すのと併せて国益にも資する、こういった考え方も併せて明記する、こうした取組を行った次第であります。 ○又市征治君 途上国支援や世界的発展、安定が国益の確保と矛盾しないというなら、あえてわざわざ国益の確保というのは書き込む必要はないんじゃないのかと、私などはそのように思います。 ところで、大綱の基本方針で非軍事的協力による平和と繁栄への貢献をうたいながら、実施上の原則において、開発協力の実質的意義に注目し、軍又は軍籍を有する者への支援は排除していないわけであります。 しかし、支援国内における軍事転用について、有効なチェック、歯止めの手段がないのが現状じゃないのかと。その点は一体全体チェックできるのかどうか、改めて大臣にお伺いをいたします。 ○国務大臣(岸田文雄君) まず確認しておかなければならないことは、開発協力大綱、これは、ODAを軍事目的に用いないというこれまでの原則、これは全く変えていないということであります。非軍事的協力による平和と繁栄への貢献、これを掲げて、平和国家としての日本にふさわしい開発協力を推進する方針、これは堅持している次第です。 ただ一方で、近年、感染症対策ですとか紛争後の復旧復興ですとか、さらには災害救援ですとか、こうした課題への取組、こうした非軍事目的の活動においても軍や軍籍を有する者が重要な役割を果たしている、これが現実であると思います。国際社会における重要な開発課題への対応に当たり、こうした軍や軍籍を有する者に対して非軍事目的の協力が必要になる場面、これはますます増えていると考えます。こういったことから、この開発協力大綱においては、これまで十分明確でなかった軍や軍籍を有する者に対する非軍事目的の開発協力に関する方針を明確にしたという次第であります。 ただ、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する原則に照らして、しっかりと協力の趣旨、目的、あるいは対象主体、あるいは内容、効果、こういった観点から具体的に検討を行って、こうした目的を逸脱していないかどうか、これはしっかり確認しなければなりません。 そのための仕掛けといたしまして、案件を承認する前に開発協力適正会議というものが設けられています。NGOの代表を始めとするこうした会議のメンバーによってしっかり今申し上げたような点を検討する、確認する。さらには、相手国と取り交わす文書の中で、軍事目的に使用しない、これを確認する。さらには、事後の在外公館を通じたモニタリング等を行ってしっかりこの目的とそれから実態を確認する。こういったことを通じて、こうした非軍事目的の協力であるということをしっかりと確保する、こうした取組を進めていきたいと考えています。 ○又市征治君 政府として今大臣がおっしゃったようなチェックをする努力は当然必要なんですが、一旦その国に入ってしまったら、どのように転用されているかというのはなかなか掌握は困難になるということは事実でしょう。何か表向きという感じがしてなりません。ましてをや、政府が巡視艇をODAで供与したり、さらには、ODAではないけれども、防衛装備移転3原則に基づいて軍用機をフィリピンに貸与するなどという動きを見ると、その危惧を私は強くせざるを得ないという点で批判を申し上げているわけであります。 ところで、時間がなくなってまいりましたが、今年度のODA予算は、G7伊勢志摩サミットやケニアで開催される第6回アフリカ開発会議の経費等が含まれて、17年ぶりの増額となるわけですけれども、しかし、昨年の第3回開発資金会議で採択されたアディスアベバ行動目標や、持続可能な開発のための2030アジェンダにおいて、ODAの数値目標が国民総所得、GNIの0.7%と設定をされたわけですが、この目標をクリアしている国は僅かですけれども、実現に向けた工程表の作成などについて、外務大臣のお考えを最後に伺っておきたいと思います。 ○委員長(小泉昭男君) 時間が参っておりますので、手短に。 ○国務大臣(岸田文雄君) まず結論から申し上げますと、委員おっしゃるように、ODAの対GNI比の0.7%の目標、我が国はコミットしています。 ただ、現下の財政状況に鑑みれば、その達成の目途を具体的に示すことは困難であると考えています。主要国でもこの0.7%の目標を達しているのは英国のみでありまして、ほかの主要国はほとんど達成できていない現状であります。どの国も苦労している中にありまして、我が国として具体的な目途は示すことは難しいですが、是非努力は続けたいと思います。 外務省のODA予算、これは私、在任中も毎年毎年増やし続けています。引き続き努力したいと考えます。 ○又市征治君 終わります。ありがとうございました。 |
||||