第190回通常国会 |
2016年5月10日 総務委員会 |
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■一般質疑 @文芸春秋に安倍首相のお母さんのインタビューが掲載されているが、そのインタビュアーがNHKの解説委員・岩田明子さんだ。NHKの職員が他社のインタビュアーになることはよくあることなのか。文芸春秋にもたくさんの記者がいるのに、なぜNHKの職員が行ったのか。この事実を会長は事前に知っていたのか。 A会長はNHK内部の災害対策本部で熊本地震の報道内容について意見を述べられたが、それまでの報道に何か問題があったのか。 B会長はこれまで、編集権は会長にあるが現場の編集については具体的に介入することはないと何度も答弁されていたが、今後は編集についても意見を言うのか。 C厚労省の資料によると、全職種平均の決まって支給する現金給与額が329,600円であるが、保育士が216,100円、福祉施設介護員が219,700円、ホームヘルパーが227,000円となっている。この賃金格差の原因を、厚労省はどのように分析しているのか。 Dいわゆる三位一体改革以来、地方交付税措置による一般財源化が行われ、公立保育所の運営費が全額を市町村負担になった。それ以降、公立保育所の民営化や非正規職員化が急増した。さらに、子ども・子育ての支援制度によって施設型給付は市町村の10割負担になっており、これで果たして保育士の処遇改善につながるのか。つながったとしても自治体ごとの格差が出るのではないかという危惧もある。一般財源化の見直しも一面では必要でないのか。この点どのように考えているのか。 E介護士は平成27年度に平均月額12,000円の上昇を見込んだが、配分は管理者が行うことや、給与体系が変更になり月額は増えたが、夏冬の一時金が削減されて結果的に年収が減収になったという例さえも出ている。処遇改善加算が本当に処遇改善につながったかどうか、この確認はどのように行うのか。また、加藤大臣が、しっかりした財源確保が必要だと会議後に発言されたようだが、現時点で恒久財源は定まっていないのか。 F保育所の質の確保も大きな課題になっている。自治体に責任を押し付けるのではなく、厚労省自身も調査を行い、助言もすることが重要だ。 |
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○又市征治君 社民党の又市です。 最初に、NHKにお伺いをしたいと思います。 本日発売の文芸春秋に安倍首相のお母さんに対するインタビュー記事が掲載をされておりますが、この記事の内容についてどうこう言うつもりは全くありませんけれども、そのインタビュアーがNHKの解説委員岩田明子さんとなっているわけですね。 そこで、会長、まず一つは、NHKの職員が他社のインタビュアーになることはよくあることなのかどうか、二つ目に、文芸春秋にもたくさんの記者がいるでしょうが、なぜNHKの職員が行ったのか、三つ目に、この事実を会長は事前に知っていたのかどうか、この3点、まず先に伺います。 ○参考人(籾井勝人君) 御指摘の記事につきましては、岩田氏が一人のジャーナリストとして時間外に対応したものと聞いております。職員就業規則に基づきまして、所定の手続に沿った許可申請が岩田氏から事前に提出されて許可されていると聞いております。 私が事前に知っていたかどうかということについては、私は個人的には存じ上げません。それは、局内のしかるべき手続に沿って処理されたものでございます。 ○又市征治君 NHKの番組ならばともかくも、他社の雑誌、しかも安倍総理のお母さんへのインタビューをNHK職員が行っている。規則上どうなっているかは知りませんが、会長がよく繰り返しておっしゃるが、公平公正、自主自律、これそのものが誤解をされてしまうんじゃありませんか。その点は何とも思いませんか。 ○参考人(籾井勝人君) あくまでも岩田氏が一人のジャーナリストとして、個人として、しかも時間外に対応したものであるということでございますから、基本的には問題ないことだと理解しております。 ○又市征治君 そういう認識が私は大変問題だと思いますよ。 今も申し上げたように、あなたが何度も繰り返す公平公正だとか自主自律ということを、NHKが他社のものにそういう格好でやるということ、たまにはそれはあるのかもしれません。しかし、そういうものが平然と許可されていました、知っていました、問題ありません、その認識に私は大変問題あると思う。 先ほど寺田さんがお聞きになった問題についてももう少しお聞きをしますが、NHK内部の災害対策本部で熊本地震の報道内容についてあなたが意見を述べられたそうですけれども、それまでの報道に何か問題があったから述べられたんですか。 ○参考人(籾井勝人君) これはあくまでNHKの内部での発言でございますけれども、今回の発言は、あくまで熊本地震、熊本における地震に関連した会議でございまして、原発報道全般のスタンスについて述べたものではございません。 大きな揺れがあった直後の原発への影響について当然皆さん大いなる関心があるわけでございますから、我々としましては住民の不安をいたずらにあおらないように、従来どおり事実に基づいて正確な情報を伝えてほしいという、こういう趣旨で述べたものでございます。 ○又市征治君 いたずらにあおるかどうか、少なくとも大変多くの人々が不安に思っているわけですよ。あの事故で、川内原発にまで活断層があるんではないのか、延長線あるんじゃないのかということについて、それぞれ現場の皆さん方が取材をなさって、そうした国民の声に応える報道をなさるということは全然問題ないんじゃないのか。それをあなたはいたずらにと、自分の先入観でもってそういうふうにおっしゃっているんじゃないのか。 そもそもあなた自身はこれまで、編集権は会長にあるけれども現場の編集については具体的に私が介入することはないと、この本委員会で何度も答弁をされてきた。そうすると、あなたは、今後は編集についても会長自身が物を申すんだ、こういう方針に変えられたんですか。 ○参考人(籾井勝人君) そういうことではございません。あくまでも編集権というのは会長に存在するわけでございますが、私、今委員がおっしゃったように、何回も申しておりますとおり、実際の編集におきましては、報道につきましては、放送総局長に分掌し、それを基に現場で実際の報道を行っているということでございます。 それから、私の先入観ということでございましたけれども、私はやはりこの場合、地震が起こっているところで近くに、比較的近くと申してもいいのかもしれませんが、川内というところに原発がありますから、ここについてはむしろ事実を伝えていくということで、我々はその報道もその事実に基づいて実行してまいりました。 ○又市征治君 事実に基づいてって、そこに原発があって、元々福島の原発も、政府事故調もいろんな民間事故調もいろいろとやったけれども、福島の原発事故の原因は決して津波だけであったというふうには断定していないんですよ。元々大きな地震のために破断したかもしれないから、配管が、そういうことも言っている。 そんなことを含めて考えたときに、言ってみれば、多くの国民の皆さんは、川内原発、ああいう格好で隣でどんどん事故が起こってくると、30年も経過をしているわけだから、これ幾つかの政党もそのことについては総理にも申入れをしているわけですけれども、一旦止めてやっぱり検査をすべきだ、そうしないと本当の意味で国民の声に応えたことにならないんじゃないか、やっているわけですよ。そのことを、あなたはそれがいたずらだと、いたずらに不安をあおる、どうしてそういうことになるんですか。 だから、どうもあなたのこの発言聞いていると、この今日の答弁聞いても、やはり会長自身が就任会見で披露した個人的見解、政府が右と言うものを我々左と言うわけにいかないとか、そういうことをまたここに、NHKに持ち込もうとしているなというふうに感じざるを得ないわけですよ。引き続き、会長の発言、姿勢というものについては我々としては注視をしていきたい。そのことを申し上げて、NHKの質問はこれで終わりますから、御退席いただいて結構です。 ○委員長(山本博司君) 籾井会長、退席されて結構でございます。 ○又市征治君 次に、福祉関係の労働者の賃金について伺っておきたいと思います。 厚労省が作成をした資料によりますと、全職種平均の決まって支給する現金給与額、これが329,600円であるのに対して、保育士が216,100円、福祉施設介護員が219,700円、ホームヘルパーが227,000円、こういうふうになっています。平均年齢、勤続年数が当然異なるわけで一概には言えないわけですが、しかしそれにしても100,000円余り差があるという格好になっているわけですが、このような賃金格差の原因、厚労省としてはどういうふうに分析をされていますか。 ○政府参考人(吉本明子君) 平成27年の賃金構造基本統計調査によりますと、決まって支給する現金給与額が月額で保育士が約219,000円……(発言する者あり)はい。約100,000円の乖離があるということでございます。 こうした乖離の要因につきましては、勤続年数の違いなど様々な要因があるというふうに考えておりますけれども、保育、介護の受皿の整備を進めていくためには、こうした職員の確保が何よりも重要でございますので、これらの処遇改善を図っていくことが重要だというふうに考えているところでございます。 ○又市征治君 勤続年数の違いは、それはあるのは当たり前なんですが、問題は、働き続けられる職場環境、労働条件がやっぱり整っているかどうかということが問われるわけで、その点にもっと着目をしてもらいたい、厚労省としては、そのことは是非求めておきたいと思う。 そこで、安倍総理は先月の1億総活躍国民会議において、保育士や介護職員を確保するため、来年度からの処遇改善策、保育士を新たに2%相当の処遇改善を行い、経験を積んだ保育士は競合他産業との賃金格差を解消するというふうに述べられた。介護職員についても賃金格差をなくすようにするということでありました。 保育士は、施設型給付金の中の処遇改善等加算で行おうということなんでしょうけれども、いわゆる三位一体改革以来、地方交付税措置による一般財源化が行われてきました。その結果、公立保育所の運営費というのが全額を市町村が負担する形になった、こういうことであって、公立保育所の民営化や非正規職員化というのは急増してきたことは御承知のとおりであります。さらに、子ども・子育ての支援制度によって施設型給付は市町村の10割負担に今なっているわけで、これで果たして保育士の処遇改善につながるのか、つながったとしても自治体ごとの格差が出るのではないかと、こう危惧もされている、現に起こっている。一般財源化の見直しというのが一面では必要でないのか、あるいはもっと方策をいろいろと考えるべきじゃないのか、ここの点は総務省に伺いたいと思います。 介護士も平成27年度に平均月額12,000円の上昇を見込んでおりましたけれども、配分は管理者が行うということや、給与体系が変更になり月額は増えたけれども、夏冬の一時金が削減されて結果的に年収が減収になった、こういう例さえも出ている。今後、処遇改善加算が本当に処遇改善につながったかどうか、この確認はどのように行うのか、この点も伺いたいと思います。 また、加藤大臣が、しっかりした財源確保が必要だと会議後に発言されたようですけれども、現時点で恒久財源は定まっていないのではないのか、こう思いますが、この点はいかがでしょうか。 ○大臣政務官(森屋宏君) まず、先生から御質問ございました公立保育所の運営に関わる問題について回答をさせていただきたいと思います。 先生おっしゃいましたように、一般財源化されているところでございますけれども、一方におきまして、一般財源化によります影響が生じませんように適切に地方財政措置を講じているところでございます。 具体的には、地方交付税の算定に当たりまして、従来の国庫負担金分も含めました地方負担の全額につきまして基準財政需要額に適切に措置されますよう、各市町村の実際の公立保育所の入所児童数に応じた補正を今行っているところでございます。こうしたことから、公立保育所と私立保育所の交付税算定上の単価の比率はおおむね4対1となっておりまして、私立保育所の単価に合わせまして公立保育所もこれまで拡充を行っているところでございます。今後とも、公立保育所の運営につきましては、厚生労働省とよく相談をいたしまして適切に財政措置を講じてまいりたいというふうに考えております。 いずれにいたしましても、公立保育所におきます保育士の処遇につきましては、それぞれの地方団体におきまして、地域の実情等を踏まえまして適切に判断されるものと認識をしているところでございます。 以上です。 ○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。 介護職員の処遇改善につきましては、先生御指摘のとおり、平成27年度介護報酬改定におきまして1人当たり月額12,000円相当の処遇改善の加算の拡充を行ったところでございます。 この実態でございますけれども、本年3月に公表した平成27年度介護従事者処遇状況等調査の結果等によりますと、約7割の事業所がこの加算を取得しております。また、平成27年9月時点で前年と比べ月平均13,000円程度の賃上げがなされておりまして、事業所独自の自主努力も含めて加算額以上の処遇改善が進められているものと承知いたしております。 この加算をより多くの事業所に活用していただけるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ○政府参考人(木下賢志君) 保育士や介護職員の処遇改善のための財源についての御質問でございますけれども、まず保育、介護人材確保のために、ニッポン1億総活躍プランにおきまして、処遇改善、多様な人材の育成、高齢者等の活用、あるいは生産性の向上を通じた労働負担の軽減、やりがいを持って安心、快適に働ける環境の整備といった総合的な対策をまとめることとしております。 これらに必要となる財源につきましては、平成29年度から実施できますようしっかりと安定財源を確保してまいりたいと考えております。 ○又市征治君 それぞれ御努力をされているんですが、これは徹底がなかなかされていないというか、森屋さん、いろいろとおっしゃっていただいたんですが、現実問題としてはやはり給与表の適用などというものを随分と切り下げるみたいな形でというか、そういう格好でやられていたり、だから100,000円以上の格差が出ているということも現実です。 それから、厚労省も、この調査に応じていない施設が3割ほどあるわけだし、調査そのものに全然応ずる考えがないところもあるようでありますから、こういうところもしっかりと厚労省も取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。まだ何問か質問したかったんですが、もう時間が来てしまいましたので。 いずれにいたしましても、この保育所の、今大きな問題になっていますが、質の確保というのは社会的な課題に今日なっているということがあるわけで、厚労省は、自治体に責任を押し付けるだけではなくて、しっかりと調査もし、そしてまた助言もしっかりと行う、こういう努力を一層、今だからこそなおのことやらなきゃならぬ、こういうふうに思うわけでして、その努力について最後に決意だけお伺いをして、終わりたいと思います。 ○政府参考人(吉本明子君) 保育所に対する指導監査でございますけれども、原則、都道府県等が実施主体となりまして1年に1回以上ということで定めを置いているところでございますけれども、それに係る実態、今後とも把握をいたしまして、きちんと実施していただけますようにしてまいりたいというふうに考えております。 ○又市征治君 終わります。 |
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