第190回通常国会

2016年5月11日 政府開発援助等に関する特別委員会



■アフリカ開発の今日的課題、日本及びTICADプロセスに期待される役割に関する参考人質疑
ソロモン・カランジャ・マイナ駐日ケニア共和国特命全権大使
エスティファノス・アフォワキ・ハイレ駐日エリトリア国特命全権大使

@昨年採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」をどのように評価をされているのか。とりわけ、その中で特に重視されている点は何か。
A第6回アフリカ開発会議(TICADY)に、両国が期待されるものは何か。


○又市征治君 社会民主党の又市征治です。
 本日は、両大使閣下から貴重な御報告をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。
 今後、日本と貴国との関係が発展する、このことを希望しながら、事前に幾つか質問を出させていただきましたので、それに従って進めたいと思いますが、これまでの同僚議員からの質問の関係から順序を変えて御質問をさせていただきます。
 まず第一に、昨年採択された持続可能な開発のための2030アジェンダをどのように評価をされているのか。とりわけ、その中で特に重視されている点は何かという点を両大使からお伺いしたいと思います。

○参考人(エスティファノス・アフォワキ・ハイレ君)(通訳) SDG開発目標ですけれども、大変包括的なものであり、様々な領域がアフリカ大陸にも関係しております、特に今の時代にあってということですが。
 特に具体的な問題というお話はいたしません。といいますのも、それぞれの国にはそれぞれの開発のプライオリティー、それから問題というのがあり、大陸は多様であるということですから、インフラ、それから工業化、エネルギー、それからその他の問題というのは、これはもちろん常にどの国にとっても重要であり、対応が必要であるというふうに考えております。
 そんな中で一つの要素、とても重要だと考えられる、SDG関連で、その点について話をさせていただきます。
 日本というのは漁業の伝統がある国だと考えます。アフリカというのは、もちろんその大陸に大変長大な海岸線を擁しております。地中海、インド洋、それから紅海の部分だけではなく、大西洋に面している海岸線もあります。それだけのリソースがある、しかし、それがまだ十分には活用されていないという状況があります。
 例えば食料の安全保障ということを考えたとき、ほとんどのこれらの領域は十分に活用されていない。日本が持っていらっしゃる海岸環境の開発におけるキャパシティーというのは大変巨大なものだと思いますので、是非ともこのブルーエコノミー、若しくは海洋、若しくは海岸線の開発というところに日本が力を入れてくだされば、これはアフリカ大陸にとって大きなプラスになるというふうに考えています。
 アフリカの食料安全保障というのはとても重要です。もし金を輸出し、小麦を輸入するならば、それは私たちの敗北です。こういったことによっては貧困や無学は解決されません。例えば私の国エリトリアにおきまして、エリトリアの国家開発大臣、それから丸山氏、日本の外務省のディレクタージェネラル、局長でいらっしゃいますけれども、お話をしたときに、やはり漁業がプライオリティーである、それから給水がプライオリティーである、医療がプライオリティーであり、教育がプライオリティーであり、そしてインフラもプライオリティーであるという話をしてまいりました。それから、スポーツもプライオリティーであるという話をしてまいりました。もし、そういったことが投資により十分に支えられたならば、そして補完されたならば、そして民間セクターのODAを通した、それから資本を通した形で参加に支えられたならば、エリトリア、アフリカの国は恩恵を受けることができるというふうに考えます。
 以上が私からの回答です。御質問に感謝いたします。

○参考人(ソロモン・カランジャ・マイナ君)(通訳) SDGsに関してですね。御質問に感謝いたします。
 大変重要です。途上国にとっては特にそうです。TICADというのは、これはマルチのプラットホームであるという話は既に申し上げたとおりです。SDGs、これはマルチのプラットホームにおいて署名されたものであります。そして、この実施に関しましては、常にそれ以外の活動と歩調を合わせた形で進められていかなければなりません。TICADにおいて、ですからこそ大変まれであり、ユニークな日本が関与するプラットホームが存在するというふうに考えているわけです。
 医療、インフラ、投資、開発、そしてブルー経済の開発の重要性ということで、既にエスティファノス大使からも話があったとおりです。日本には、ブルー経済の開発の能力、専門性、テクノロジー、仕組み、全て持っていらっしゃる、全て有していらっしゃるわけです。ですからこそ、是非日本にはお手伝いをいただきたい、支援をいただきたいと思います。アフリカがブルー経済を開発するに当たっての支援をいただきたいと思います。
 SDGsというのは、アフリカの2063年に向けたアジェンダと歩調を合わせる同期したものでなければならないというふうに考えております。そして、相互の協力、パートナーシップを通して目標を達成していかなければなりません。それに当たってTICADが前進し、そしてSDGsが完全な形で実施されることを担保していくことがとても重要だと考えます。
 ありがとうございます。以上です。

○又市征治君 時間がなくて詳しいことがお聞きできないんですが、今もありましたこのTICADY、それぞれ両国がこの会議に期待されるもの、一言ずつで言うとすればどういうことなのかということをお聞きして、終わりたいと思います。

○参考人(ソロモン・カランジャ・マイナ君)(通訳) ありがとうございます。
 もちろん期待することはたくさんございます。TICADYに関して最も重要なのは将来のエンゲージメントの場をつくる、構築するということだというふうに考えております。
 オーナーシップの話が出ましたが、この点もとても重要です。私たちは真剣に民間のセクターが十分にこのプロセスに組み入れられていくということを担保していきたいというふうに考えております。これは大変決定的な瞬間だと考えます。ビジネスコミュニティーにとりましてもアフリカの開発に関わるチャンスだというふうに考えます。
 最終的に、民間セクターのエンゲージメントというのはとても必要です。私たちはこれからも有償資金に頼っていくわけにはいかないわけです。民間セクターの協力を得て、そして日本ももちろんやってくださっていますけれども、インフラへの投資、それから環境への投資、地熱発電であれ何であれ、最終的工業化につながるような活動には民間を取り込んでいくということはとても重要です。いろんなことをですから期待しております。
 しかし、簡単に申し上げますと、民間セクターのアフリカの開発へのエンゲージメントというのを最も期待したい成果とさせていただきたいと思います。アフリカ、日本のビジネスアソシエーションというようなものを是非これから立ち上げていきたいというふうに考えております。
 ありがとうございます。

○参考人(エスティファノス・アフォワキ・ハイレ君)(通訳) 今、マイナ大使がおっしゃられたことに補完するだけになってしまいますが、簡単に申し上げます。
 私がTICADYに掛ける期待ですが、まず日本が真剣な形でアフリカの国とエンゲージしていただきたいと思います。平和に取り組んでいただきたいと思います。この地域に平和なくして開発はあり得ません。この点はとても重要です。もちろん、アフリカ連合を含めた対話、それから国連の改革、それからアフリカ連合のエンゲージメント、それからバイの取組というのがもちろん国家元首間でもとても必要になってきますし、重要な要素です。こういったことは明確な形で目標として日本も取り組んでいかなければならないことだと考えます。
 そして、それ以外にマイナ大使がおっしゃられたことで、また繰り返しになりますが、アフリカの戦略的な重要性というのは、もうこれは明白であると。これはヨーロッパにとってもアメリカにとっても、そして私たちの地域においても明白です。
 今、2億以上のリソースをインドに対して輸出をしているわけです。インドの経済というのは私たちの地域においてもそれを後押ししてくれるからです。
 そして、PPP、官民による工業化の取組というのがとても重要だと考えます。その面においてTICADYというのはスターティングポイント、出発点になることができると考えています。
 日本は、もしかすれば、ほかの経済と比較した経済力を過小評価していらっしゃるのではないでしょうか。とても謙虚でいらっしゃると思います。日本で使われている官民セクターにおけるその管理の仕組みというのはとても重要であり、そしてTICADプロセスを通してアフリカに移管することができるものだというふうに私は考えております。例えば、カイゼンプログラムですね。私たちの医療の制度において、エリトリアで既に採用しておりますカイゼンプログラムを通して私たちの医療サービスがかなり向上してまいりました。それから、セキュリティーのシステム、それ以外の法制度におきましても似たような仕組みを使っていくことができると思います。そして、TICADYのプロセスを通してアフリカの状況を更に改善することができると思っています。
 日本は共に協力していただきたいと思います。明白な政策を持って取り組んでいただきたいと思います。独立した政策を持って、そしてアフリカにおいて平和を構築していただきたい、そのことを私は期待したいと思います、TICADYにおいて期待したいと考えます。これはとても重要です。
 この地域において繰り返されてきた政治の代理戦争、こういったことはこの地域への助けになってきませんでした。それを繰り返すことがあってはならないと考えます。過去60年、70年、同じことが繰り返されてきました。ですからこそ、日本には新しい道を行っていただきたいと考えるわけです。また、別の形でこの地域のステークホルダーを関与させていただきたいと思います。
 中東の状況を今私たち目にしておりますが、シリア、イラクで起こっているようなことがアフリカでは起こっていただきたくないというふうに思っています。こういった状況からアフリカはできる限り早く守らなければならないというのが私のメッセージであり、この問題をTICADでは真剣に取り上げていただきたいと期待しております。
 ありがとうございます。

○又市征治君 ありがとうございました。