「テロ対策特措法」の強行可決に抗議する |
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2001.10.29. | ||
1. | 本日午後、参議院本会議において、小泉内閣と与党三党は、国論を二分する下で審議も十分尽くされないまま、米軍の「軍事報復」に自衛隊を派遣して後方支援させることを内容とした「テロ対策特別措置法」を強引に押し通しました。小数野党の非力さとともに憤慨に堪えません。 |
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2. | しかし、この法案が通ったから闘いが終わったわけでは決してありません。問題は何一つ解決しないどころか、むしろ深刻化しています。アフガンの罪なき多くの一般市民が飢えと寒さと爆撃の恐怖におののいています。テロ撲滅の美名の下で、何十万の人々を死の淵に追いやる権利は誰にもありません。座して軍事報復の加担者となってはなりません。世界で軍事報復に抗議する行動が広がっています。 |
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3. | テロ撲滅と、米国の「軍事報復」の即時中止と、自衛隊の海外派兵反対の闘いを継続しましょう。アフガンの一般市民に小麦粉と油と毛布を送ろう。 今、社民党は、全党挙げて平和センターや市民団体とともにその闘いの先頭に立っています。各地での協力を心から呼びかけます。 |
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4. | なお、私見『テロ撲滅への道』を下記のとおりまとめてみました。 |
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テロ撲滅への道 | ||
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9月11日の米国における同時多発テロ事件は、世界を震撼させた。何の罪もない市民約6000人の命を奪った蛮行に憤りを禁じえない。残虐非道なテロ行為の撲滅に向けて、国際社会がこぞって協力することは当然である。しかし、だからと言って、何をしてもよいというわけではない。テロは重大な犯罪であり、法と正義の下で裁くべきである。そのために全力を挙げるべきである。 だが米国は、これを「新たな戦争」と位置付け、「軍事報復」を10月8日から開始した。この「軍事報復」は、すでに周知のように、大干ばつによる飢えと寒波に打ち震えるアフガンの罪なき一般市民にさらに爆撃の恐怖をもたらし、何百万の難民を発生させ、向こう3か月の間に10〜15万人もの死者が出ると報じられている。こうした「暴力には暴力を」の対処は、高まったテロ撲滅の世界的世論を弱めるばかりか新たな憎悪を生み出し、世界各地で「報復テロ」を引き起こし始めており、なんら問題を解決する道ではないのである。 |
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A |
そもそも今日の国際社会は、2度の世界大戦の尊い犠牲を教訓に、「戦争禁止」を基礎にする国際秩序を築き上げてきた。それは、従来からの国家による「戦争を行う権利」を否定し、戦争によってではなく平和的手段―交渉、仲介、裁判などによる解決へと前進してきている。ただし、各国がまだ軍備を保有する現状の下では、侵略戦争を起こしたり核開発を進めたり国民の人権を迫害するような国に対しては、国連の場で非難決議がされたり勧告が出され、その上で集団的に経済制裁などの非軍事的措置をとり、最後的手段として軍事的対応をとってきている。この軍事行動にしても、「緊急にかつ国連の措置を待つ間の暫定的に認められる自衛権」という制約が課されているのである。 今回の米国の「軍事報復」とその支援は、こうした国際秩序を根底から崩壊させ、国家による「戦争を行う権利」を復活させる愚行のそしりを免れない。 |
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B |
テロ組織のような国家をもたない組織に対して、軍事力はもはや意味を持たなくなった。テロ対策に即効薬はないことを認識すべきである。テロを生み出す原因―貧困、差別、経済格差、大国の横暴、教育の欠如など―の克服に向けて国際的な粘り強い対応が不可欠であり、併せてテロ首謀者を突き止め、国際裁判にかけていく国際協力が必要である。 顧みれば、アウシュビッツへ何百万人も送り込んだナチスのアイヒマンは戦後15年を経てイスラエル法廷で裁かれ、また民族浄化で国家テロを行ったユーゴのミロシェビッチ元大統領はオランダの国際裁判所で裁かれた。そのような努力こそが、遅いようでも報復の連鎖を断ち切る有効な方策である。一時の激情に流されず冷静かつ理性的な対処こそが求められる。 |
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C |
では、日本はどうすべきか。平和憲法をもち、そして世界第二位の経済力を背景に世界最大のODA(政府開発援助)を行う国として、日本はこうした「戦争禁止」を基礎とする国際秩序をさらに前進させるリーダーとして、国際社会から大きく期待されている。特に昨年、アフガン和平の仲介役をかってタリバン勢力、反タリバン勢力の代表者を招いた実績もあり、信頼が厚い(その裏に日本人NGOの献身的努力もある)だけに、アジア諸国や反米でも親米でもない発展途上国などと結束して、タリバン政権との交渉・仲介役が求められた。 ところが小泉内閣と与党三党は、こうした期待を裏切っただけでなく、憲法と戦後築き上げてきた日本の安全保障政策(特に専守防衛)の枠組みをも踏み超えて、「軍事報復」に加担し後方支援する「テロ対策特別措置法案」−報復テロを受けても構わないという道を、まともな論議もかみ合わせないまま、20日足らずで強行した。「普通に戦争のできる国」へと舵を大きく切ったのである。歴史に残る反動内閣である。 |
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D |
しかし、この法案が通ったから闘いが終わったわけでは決してない。問題は何一つ解決しないどころか、むしろ深刻化している。アフガンの罪なき多くの一般市民が飢えと寒さと爆撃の恐怖におののいている。テロ撲滅の美名の下で、何十万の人々を死の淵に追いやる権利は誰にもない。世界で抗議の行動が広がっている。座して軍事報復の加担者となってはならない。 テロ撲滅と米国の「軍事報復」の即時中止と自衛隊の海外派兵反対の闘いを継続しよう。アフガンの一般市民に小麦粉と油と毛布を送ろう。 今、社民党は全党挙げてその闘いの先頭に立っている。各地での協力を心から呼びかける。 |
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以 上 |