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2002.2.11 | ||||||||||||||||||
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1 | 「有事」とか「有事法制」とはどんなことですか? |
2 | いままで有事法制が検討されたことがあるのですか? |
3 | 平和のための国際社会の動きはどうなのですか? |
4 | ところで、日本への武力攻撃はあり得るのですか? |
5 | 有事法制の具体的な内容や影響はどうなのですか? |
6 | 社民党はこれへの対案をどう考えているの? |
7 | 国民運動を強め、小泉「戦時法制」をぶっつぶそう! |
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小泉首相は、2月4日、第154回通常国会の施政方針演説で、「有事への対応に関する法制について、取りまとめを急ぎ、関連法案を今国会に提出します」と明言しました。 「有事」とは、政府の説明では、自衛隊法第76条にいう「外部からの武力攻撃(その恐れのある場合を含む)」に際して、首相が国会の承認を得て自衛隊に出動命令を出すような事態のことです。1961年4月21日、衆院内閣委員会での社会党(当時)の石橋議員の質問に対し、加藤防衛庁官房長は「他国のわが国に対する計画的・組織的な武力による攻撃」と答弁しています。 小泉首相は国民をだますために“不審船”の出没や外国人によるテロなどへの対処も含めていますが、これは犯罪であって、「他国の計画的・組織的な武力攻撃」に当たりませんから、この「有事」には該当しません。 したがって、「有事法制」とは、前述した「外部からの武力攻撃」に際しての自衛隊の防衛出動に備えた法令(戦時法制)ということになります。 具体的には、 (1)自衛隊の行動にかかわる法制 (2)米軍の行動にかかわる法制 (3)自衛隊や米軍の行動に直接かかわらないが国民の生命、財産保護などにかかわる法制 の3つに分ける、と言っています。 |
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1960年の安保・三池闘争から間もない63年、クーデター計画とも言うべき「三矢計画」(有事法制)を自衛隊制服組が極秘に練っていたことを社会党が暴露しました。政府はこれを破棄し、その後、表に出てきませんでした。 77年に、当時の福田首相が「立法準備ではない」との前提で、防衛庁に指示したのが公式な有事法制研究の始まりです。 その研究対象は上記(1)の「自衛隊の行動にかかわる法制」で、これがさらに、A.防衛庁所管の「第1分類」、B.防衛庁以外の省庁所管の「第2分類」、C.所管官庁が明確でない「第3分類」の法令に分けられています。この第1分類、第2分類は81年と84年に中間報告が公表されてきました。 90年代初頭に東西冷戦構造が崩壊し、世界的に軍縮が大きく進みました。しかし日米間においては、96年に「日米防衛指針」(ガイドライン)の見直し合意と97年に「新ガイドライン」(米国と共同で「戦争のできる国」を目指す内容)が決定され、そして99年に周辺事態法、01年にテロ対策特別措置法(参戦法)とPKO(平和維持活動)協力法改正が、それぞれ強行されました。 こうした流れの中で、昨年、森前首相、小泉首相が相次いで法制化の「検討」を表明し、そして今年2月4日の施政方針演説で小泉首相が、有事法制の国会提出を言明するに至ったのです。 |
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今日の国際社会は、人類史上「最も残酷な戦争の世紀」であった20世紀の反省の上に立って、「戦争禁止」を基礎にする国際秩序を築いてきました。それは、国家による「戦争を行う権利」を否定し、平和的手段―交渉、仲介、裁判などによる紛争解決へと大きく前進してきています。例えば、イラクのように侵略戦争を起こしたり、インドやパキスタンのように勝手気ままに核開発を進めたり、ユーゴの一部指導者のように人権を迫害する国に対しては、国連の場で非難決議を行い、次に勧告を出し、その上で集団的経済制裁などを行ってきました。そして緊急止むを得ない場合にのみ、最後的手段として(イラク、ユーゴの例のように)軍事的対応をとる場合がありますが、この場合でも「緊急にかつ国連の措置を待つ間の暫定的な自衛権」という制約が課されているのです。ですから、米国のアフガニスタン軍事報復も国連は決議していません。つまり認めていないのです。 99年5月にオランダのハーグにおいて100か国以上10,000万人以上の代表が集まった国際平和市民会議で10か条の宣言がなされましたが、「日本国憲法第9条のような条文をできるだけ早く各国議会で決議しよう」という内容が盛り込まれました。それほど平和の胎動が大きくなっているのです。 |
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日本は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という平和憲法を持つ国として、世界に広く知られています。また世界最大のODA(政府開発援助)を行っている国として、高い評価も得てきました。それだけに、「戦争禁止」を基礎とする国際秩序を前進させるリーダーとしても、大きく期待されてきました。ですから、わが国は他国から「武力攻撃」を受ける恐れなどは皆無に近かったのです。(日米安保条約や自衛隊があったからではなく、戦争放棄の憲法があったからです!) しかし日本政府は、前述したように、「平和の21世紀」への世界の大きな流れ・努力に逆行して次々と憲法違反の法律を強行し、多国籍大企業の海外権益擁護のために米国に追従して「戦争のできる国」を目指し、自衛隊と米軍の共同行動を飛躍的に拡大しながら、ついにテロ対策を口実に米軍の後方支援に自衛隊をはじめて海外派兵したのです。そのため、今後アジアで米軍が戦争に入れば、沖縄をはじめ在日米軍基地とともに日本が武力攻撃を受ける危険性が増大してきたのです。原発52基を有するわが国への攻撃を想像するだけでも戦慄が走ります。 小泉内閣は、自ら有事(戦時)を招く愚かな選択をして、それで戦争準備法を整備し、国民に様々なガマン(憲法10条から40条の権利・義務の制限・剥奪)を強いようというのです。 |
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1.で述べたように、有事法制の全容は、(1)自衛隊の行動にかかわる法制、(2)米軍の行動にかかわる法制、(3)自衛隊や米軍の行動に直接かかわらないが国民の生命、財産保護などにかかわる法制―など膨大な内容になります。「戦争放棄」の法体系を「戦争をする」法体系に変えるのですから、ほとんどの法律の改正に及ぶでしょう。だから「憲法改正の是非」の論議が先なのです。 しかし政府・与党は、それを避け、国会に提出し一括処理を目論んでいるのは、「有事対応の基本理念や今後の法整備の手順などを包括的に盛り込んだ『基本法』と、自衛隊法改正案など『個別法』の一部」のようです(2月4日.朝日新聞)。つまり、「自衛隊法改正案など『個別法』の一部」は有事法制の数十分の一に過ぎないもので、そこから手をつけていこうというのです。 ですから全体像はいぜん不明ですが、第1(防衛庁所管の法令)・第2分類(他省庁所管の法令)の中間報告から見ますと、有事の際の「自衛隊による物資収用や土地使用、工作物の撤去、私有地・私道の通行、陣地構築のための土地使用、野戦病院の設置、電波制限など」であり、憲法に保障された個人の自由や権利が個別具体的に制限されます。 また共同行動(むしろ指揮)をとる「米軍の行動にかかわる法制」では、自衛隊に保証されるすべての権限は、当然米軍にも保証することになるでしょう。 |
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歴史の教訓は、「戦争の準備をすれば戦争になる」ということです。だから日本は、「武力による威嚇又は武力の行使は、…永久にこれを放棄する」と憲法に謳い、平和への努力を重ねてきたはずです。東西冷戦構造が終焉し、世界は多国間の信頼と協調に基づく新しい安全保障体制の構築に進んでいます。冷戦下では理想であった平和憲法の理念は、今日では現実的な課題なのです。 冷戦下でも「武力攻撃」を受ける恐れがなかったのに、こうした情勢変化の下で、どこの国が何のために攻撃してくるのでしょうか。 小泉内閣と与党は、自ら有事(戦争)を招く愚かな選択(米軍との共同行動の拡大)をして、それで戦争準備法制を整備し、(米軍の)戦争に巻き込まれる危険性を高め、国民に様々な権利制限やガマンを強いるのです。断じて容認できません。 社民党は、当面、
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最近の国会は、テロ特措法やPKO法改正、景気・雇用対策の補正予算などの重要法案さえ、十分な審議が尽くされず採決される異常な事態が続いています。野党第一党・民主党の責任も重大ですが、同時にこれらに対決する社民党が小さくなり労働運動も弱体化したことが、こうした政治反動を許しているのです。 世界に目を転じれば、伊、仏、英、独などヨーロッパを中心に、「平和・人権・雇用・環境・福祉」を重視する労働運動を基礎に、社会民主主義政権が続々と誕生しています。雇用や労働条件の悪化、年金・医療・福祉などの後退に毅然とストを含む抗議行動を起こす労働運動の高まりが社民政権を生み出したのです。 日本は、最大勢力であるこの労働運動の立ち上がりが決定的に遅れています。 国民生活擁護の大衆闘争の不十分さが今日の生活と憲法改悪の危機を招いているのです。 誰もが雇用・生活・将来の不安に怯えているこんな時期だからこそ、雇用・賃上げ・医療制度改悪反対をはじめとする国民生活擁護の闘いを、そして有事法制や戦争政策で平和と民主主義を壊そうとする政治に反対する闘いを強め、中央・地方で音の出る行動を起こさなければ、生活も政治も変わりません。 「歴史の大きな曲がり角」です。 今こそ、一人一人が様々な課題で一歩足を前に出す、仲間の輪を広げる、そして大きなうねりを作り出して、生活と政治を変えようではありませんか! |
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