2002.4.22

1.  小泉首相は、昨年に続き、4月21日に再び靖国神社を公式参拝した。昨年8月13日の参拝は、国内の抗議や批判のみならず、中国や韓国はじめアジア諸国の強い反発と外交摩擦を惹き起こした。それをかわすために、今年は春季例大祭の日に抜き打ち参拝したものである。これは、この問題を真摯に解決しようとする姿勢を放棄した首相にあるまじき姑息な姿であり、厳しく抗議する。

2.  そもそも首相の靖国神社公式参拝は、次のような問題を有しており、あってはならないことである。


 靖国神社は、天皇の命によって明治2年に創設され、陸軍・海軍が第二次世界大戦敗戦まで管理してきた歴史的経過をもち、一貫して侵略戦争での戦没者を軍神として祭ってきた侵略戦争を美化する存在である(だからA級戦犯も合祀した)。それ故に、諸外国の元首は誰一人として参拝しないのである。


 かかる国家神道の過ちを繰り返さぬために憲法第20条に政教分離の原則が謳われ、戦後は靖国神社も一宗教団体となった。これを首相が公式参拝することは、首相自らが憲法を踏みにじる極めて重大な問題なのである。


 日本の植民地支配や侵略によって甚大な惨禍を蒙った朝鮮や中国をはじめとしたアジアの人々にとって、その中心であったA級戦犯への追悼も意味する首相の公式参拝は許しがたい問題であり、外交摩擦に発展するのである。

3.  戦後56年を経た今日まで、この問題を引きずってきたのは、歴代自民党政府の責任である。したがって私は、昨年、『いま政府が早急に取り組むべきは、沖縄の「平和の碑」のように、無宗教の慰霊施設を建設し(千鳥が淵墓苑の拡充を含む)、誰もがすべての戦没者を追悼し平和を誓い合えるようにすることである』と指摘した。しかし小泉首相は、この解決に取り組むどころか、有事法案を国会に提出した関連からも、再び靖国神社の公式参拝を強行したと言わざるを得ない。
首相としてあるまじき行為であることを厳しく批判し、糾弾するものである。


以  上