2002.6.7

1.  福田官房長官は、5月31日の記者会見で、「憲法上、もしくは法理論的に(大陸間弾道ミサイルや原爆を)持ってはいけないとは書いてない。しかし、政治論としては、そういうことをしないという政策選択をしている」と述べ、また記者懇談で「最近は憲法も改正しようというぐらいになっているから、国際情勢(の変化)や国民が持つべきだっていうことになれば、非核三原則も変わることもあるかもしれない」と、暴言を吐いた。

2.  これは、「憲法上、人殺しや窃盗も禁止されていない。だから法理論上は殺人も窃盗も可能」と言うに等しい。首相不在の首相代理という立場にありながら、こうした不見識で、かつ「国益」に反する放言に対して、わが党はじめ野党4党が直ちに「罷免」を要求したことは、当然のことである。

3. わが国の核保有について、たしかに憲法に否定した条文こそはない。しかし

核兵器は無差別かつ世代を超えて被害を及ぼすなど非人道的兵器であり、憲法第13条の幸福追求権をはじめ国民の生命と財産を守る多くの条文に反することは明白である。


「原子力基本法」など国内法は原子力の軍事利用を禁止している。


日本は『核兵器の不拡散に関する条約(NPT)』に非核兵器保有国として加わっており、同条約から脱退しない限り保有はできない(憲法第98条の国際法規の遵守義務)。

「非核三原則」は国是(確定した国の方針)であり、国際公約である。

1996年に国際司法裁判所は「核兵器による威嚇とその使用が一般的には国際法に反する」と判断している。

 つまりわが国の核兵器保有は、憲法上も国内法でも、また国際法上も、さらに人道的にも、許されないことは明らかであり、政策選択の問題ではない。

4.  福田発言は、単なる「気の緩み」から出た失言ではない。これは、安倍官房副長官が5月13日に都内の大学の非公開の講義で「大陸間弾道ミサイルや小型の原爆を持つことは憲法上は問題でない」と語ったことへの援護発言なのである。つまり小泉政権の中枢部は、いま国論を二分している「有事法制」を成立させ、その延長線上に、憲法も非核三原則も変えて「大陸間弾道ミサイルや小型の原爆を持とう」という狙いなのである。
このことからも、「有事法制」が戦争準備法である本質は明らかである。全力を挙げて「有事法制」の息の根を止め、小泉内閣を打倒しよう!


以  上