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私は、去る7月10日の参議院予算委員会で、小泉首相に北東アジアの平和と安定のために、有事法制を撤回し、朝鮮民主主義人民共和国(以下「朝鮮」と略す)との国交正常化を最優先の政治課題にするよう求めた。
その観点から、遅きに失したとは言え、昨17日、小泉首相が訪朝し、金正日総書記と懸案問題を包括的に話し合い、その解決を図るため国交正常化交渉の再開に合意したことは喜ばしいことである。
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2. |
日本が190を超える国々と国交を樹立しながら、一衣帯水の朝鮮と「近くて遠い国」であることの大きな原因は、日本軍国主義による36年にも及ぶ植民地支配とその下での様々な蛮行・数十万人に上る強制連行など過去の過ちについて、戦後半世紀以上も清算してこなかったことにある。
今回の首相訪朝で、過去の植民地支配について「痛切な反省と心からのお詫び」を表明し、償い(経済協力)にも言及したことは、当然のことである。
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3. |
朝鮮側から、不正常な両国関係の下で生じた拉致問題の情報提供と謝罪、不審船問題と再発防止及びミサイル発射実験の無期限延期などについても表明がなされた。特に拉致問題については、ご本人たち並びにご家族の心情を思うと言葉を失い、憤りを覚える。引き続き徹底した調査・解明を求める。
一方で、果たすべき戦後処理もせず、逆に朝鮮を仮想敵国としてきた故の不幸な出来事であり、歴代政府の責任も重大であると言わねばならない。
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