2003.2.18

1.  イラクは大量破壊兵器を廃棄したとしながらも具体的な証拠を示していないため、今も大量破壊兵器を隠匿している可能性はある。だから国連は査察団を派遣したのである。イラクはこれを無条件で受け入れて、全施設への自由な立ち入りを認め、米軍偵察機の飛行まで受け入れた。2月14日に開催された安保理事会で、国連査察団の追加報告に対して、米国、英国、スペインを除く12カ国は「査察の継続」を表明した。世界の良識を示したと言える。

2.  ブッシュ米政権は、大量破壊兵器の保有も、またイラクとテロ集団アルカイダを結び付ける確証もないのに、しかも仮に大量破壊兵器を隠匿していたとしても世界監視の下でその使用が不可能なのに、イラクへの「武力攻撃ありき」の態度を表明した。このように無法で傲慢な米政権の姿勢に世界の世論は沸騰し、かつての米国のベトナム侵略戦争反対を上回る反戦運動が澎湃として巻き起こっている。

3.  そもそも、大量破壊兵器の保有が攻撃の理由であるならば、NPT(核不拡散)条約に加盟もせず核兵器を確実に保有しているイスラエル、インド、パキスタンの方がより問題である。米政権の得手勝手な「二重基準」であり、認めることはできない。また国連憲章第2条は、あらゆる加盟国の武力行使を禁じている。唯一、「自衛」の場合に認めているが、これも「国連安保理が必要な措置をとるまでの間」である。国連憲章をも踏みにじる米国こそ「ならず者国家」と断ぜざるを得ない。

4.  米政権の真の目的は、大量破壊兵器を口実に攻撃し、イラクの石油利権と中東での覇権確立だと言われる。いずれにせよ、米軍がイラクを攻撃すれば、初期段階でイラク市民50万人の犠牲が推計されている。またアラブ諸国の反米感情・怨嗟は高まり、米国と同調国の国民にテロの危険が迫る。さらに原油の高騰や株の暴落など世界経済への甚大な影響も予想される。加えて莫大な戦費や戦後復興資金の負担も出てくる。差し迫った危険もないのに、かかるリスクを犯してまで武力攻撃を行う正当性は、断じてない。

5.  米政権は、世界の世論と平和への国際秩序を無視し、今週にも安保理へ武力攻撃容認決議案の提出を図り、通らなくても同調国と共に攻撃を開始しようとしている。小泉内閣は、平和憲法を無視し、ひたすら米政権に追従する姿勢である。我々は、今こそ世界の良識と連帯し、「査察継続による平和的解決と日本の戦争加担反対」の声を強く大きくするために立ち上がろう。


以  上