2003.5.15

1.  本日午後、衆議院本会議において有事法制関連3法案の採決が強行された。満身の怒りを込めて抗議するものである。
 それは、国会審議でまだ多くの問題点の解明が求められていた最中であること、政府と与党が22日からの小泉訪米の手土産としてこの法案の衆議院可決を位置付けてきたこと、しかも与党のかかる対応を厳しくチェックすべき野党第一党の民主党と自民党が委員会の場外で修正協議(談合)し、その内容を全く審議なしで採決に付したこと―などからである。与・野党第一党のこのあり様は、与党幹部が懸念するように、国会の大政翼賛化であり、日本政治史の一大汚点と言わねばならない。

2.  われわれは、自民党と民主党の修正法案に断じて与することはできない。
 なぜなら、有事関連3法案は、平和憲法を踏みにじり、憲法が保障する国民主権や基本的人権を制約し、言論の自由も制限して民主主義を否定する、国家総動員体制づくりをめざす戦時法制であり、修正法案はこの本質をなんら変えるものではない。例えば、自衛隊が土地や家屋を接収したり、国民が物資の保管命令に反した場合に罰則が科されたり、報道機関が「指定公共機関」として規制されたり、自治体が協力を拒否した場合に国がその業務を直接執行するなど戦争への協力を強制することに変わりはないからである。むしろ、野党第一党が修正に応じたことによって、このあと「国民保護法制」や「米軍支援法制」をはじめとして100本にも及ぶと言われる法案や法改正に歯止めがかからなくなった事態は、重大である。

3.  今日為すべきことは、平和憲法の理念を活かした平和政策と平和外交の推進である。
 そもそもわが国憲法は、過去の侵略戦争によって国内外に甚大な犠牲と被害をもたらした深い反省の上に、前文で「日本国民は、恒久の平和を念願し、…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と謳い、第9条で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と不戦・平和を宣言した。そしてこれに基づく平和外交によって、冷戦時代でさえ有事法制を持たず「安全と生存を保持」してきたのである。今日もこの条件や環境はなんら変わっていない。

4.  「有事法制」の真の狙いは、経済のグローバル化の下で多国籍大企業の海外権益を広げ擁護するために、米軍と共に自衛隊を海外派兵できるようにすることにある。だがこれは、自らの意に沿わぬ国を力でねじ伏せる米国に追随し、米国が惹き起こす戦争にどこまでも付き従うことになる。それは、いたずらに北朝鮮はじめ近隣諸国へ脅威を与え、不安と不信を募らせ、日本に「有事」を招き寄せる危険な愚策と言わねばならない。
 わが党は、引き続き有事関連3法案の廃案に向けて全力で闘う。「歴史の曲がり角」とも言うべきこの事態に、国民の皆さんが共に闘われんことを訴える!

以  上