2006.1.13

1.  政府の経済財政諮問会議は、11月14日、向こう5年間で国家公務員(郵政除く)を5%以上純減することを中心とした「総人件費改革基本指針」を決定した。その中で「定員の大幅な純減と給与制度改革の強力な推進により、…対GDP比で今後10年間で人件費を半減する」としている。また、地方公務員についても、5年で4.6%以上の純減確保とともに、教育、警察、消防、福祉などの国基準を「見直す」ことにより、一層の上積みを目指している。

2.  05年の人事院勧告の特徴は、年間0.01%の賃下げとともに、@06年度からの地域給制度導入(全国一律で基本給を4.8%引き下げ、都市部には3〜18%の地域手当を新設)、A昇給は勤務実績を反映した5段階制、B給与カーブのフラット化で年功分を抑制。これらを5年間で段階的に導入する―もので、同一価値労働=同一賃金の原則を放棄するものである。また人事院総裁は、経済財政諮問会議に出席し、「官民比較方法の見直し」検討を表明した。

3.  財政赤字を理由とする今日の「小さな政府」論は、先に総人件費削減の数値目標ありきで、公共サービスの質は無視されている。自治体の仕事はほとんどが住民サービスに直結しており、総人件費削減は自治体労働者の賃金・労働条件と住民サービスの低下・切り捨てをもたらす。この観点から、公共施設の運営管理を民間にも開放する「指定管理者制度」や、官業の担い手を行政側と民間が競争入札で決める「市場化テスト」も推進されている。

4.  結局、今日の公務員バッシングは、勤労者の3分の1に増大した非正規労働者を動員して、@給与引き下げに止まらず公務員同士の競争を煽る給与構造の変更に踏み込み、A市場化テスト導入で公共サービスの質と量を切り捨て、B地域給と市場化テストの導入で官民の賃金切下げ競争を煽り、C消費税などの大増税の地ならし―などを狙いとして強化されている。そしてこれは、公務員労働組合の弱体化をも狙いとしている。

5.  したがって、全ての公務員組合は、公共サービスの維持・確保と賃金・労働条件の切り下げに反対する統一闘争に全力を挙げる必要がある。
  そのためには、今日の「小さな政府」論・公務員バッシングの本質・狙いをまず公務員労働者の共通認識に広げ、公務員労働組合が中心となって広く国民に宣伝し、共通認識を作り出していく必要がある。そして民間労働者、非正規労働者の理解と共闘をつくり上げていくことが大事であろう。



以 上