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2月19日未明、千葉・野島崎沖で海上自衛隊のイージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船「清徳丸」の衝突事故が発生した。乗っていた58歳と23歳の漁師の親子は、未だ行方不明のままである。
防衛省は、当初、衝突2分前に漁船の灯火を視認し、「あたご」は自動操舵を手動に切り替えて回避行動をしたと発表していたが、その後、見張り員が衝突の12分前に灯火を視認していたと訂正した。この時直ちに対処していれば事故は回避できたであろう。イージス艦は、多数の敵目標を同時に探知し撃破する能力を持った最新鋭の戦闘艦である。だから12分前よりももっと前からレーダーが漁船団を捉えていたはずなのに、漫然と自動操舵を続けていたと言えよう。「そこのけそこのけ、イージス艦が通る」式のおごりの姿勢や緊張感のなさが厳しく問われて当然である。
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2.
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事故当日、海上自衛隊と防衛相が、「あたご」の航海長をヘリコプターで防衛省に呼んで事情を聴いていたことも明らかとなった。そのことを、捜査にあたる海上保安庁に事前連絡していなかった。そして、その事情聴取には石破防衛相が直接乗り出していたのに、当初その事実は伏せられ、防衛相には聴取した内容を後で報告したことにしていたのである。その上、大臣室での事情聴取に立ち会っていた増田事務次官は、自分は記録を取っていないので大臣室での聴取内容は「覚えていない」と平然と答えている。目や耳を覆いたくなるような防衛省・自衛隊の迷走と醜態である。これは隠蔽工作なのか、それとも対応のちぐはぐさなのか。いずれにせよこのような状況で文民統制が活かされているとは到底言えない。その政治責任は極めて重大だ。
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3. |
福田首相も、記者団に「もっとよく気を回して海上保安庁と連絡をとるとか、いうようなことができていれば良かったんですけどね」と語るなど、事態の深刻さへの認識がまったく欠けている。そして日増しに高まる石破防衛相の罷免要求をかわすことに腐心している。
自衛隊の最高指揮監督権が首相にあることを忘れているのではないか。守屋前事務次官の汚職事件も含めて防衛省・自衛隊の迷走と醜態を見ると、今こそ首相自らが前面に出て、事故の早急な解明と、事故後の防衛省・自衛隊の対応も含めた情報を国民に開示し、再発防止策を示すべきだ。その上で、直ちに防衛相を罷免し、防衛省を含めた関係者にも明確に責任をとらせることだ。
そうでなければ、防衛省・自衛隊は国民や国土を守る組織ではなく、防衛省・自衛隊そのものを衛ることに堕したままとなろう。
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