2008.4. 2

1.  ガソリンの暫定税率が期限切れとなり、1g当たり25円下がることになった。画期的なことである。これは、道路整備の進展状況や時代の変化を踏まえた見直しも行わず、道路特定財源制度と暫定税率を今後10年間も維持し続けようとする政府・与党に対する国民の批判と参院での与野党逆転の成果である。朝日新聞の直近の世論調査では、72%の人々がこれを歓迎している。


2.
 しかし、政府・与党は、参院が政府案を否決しても4月末には衆院で政府案を再議決して再び値上げを強行する姿勢である。
 確かに福田首相は、期限切れ目前の3月27日に、(1)09年度から特定財源を一般財源化する、(2)10年間の道路中期計画を5年に短縮する、(3)与野党協議会を設置して一般財源の使途などを協議、決定する―と表明したが、その直後の31日に、「暫定税率がなくなって2.6兆円の歳入欠陥では予算が執行できない」と、道路特定財源の暫定税率を元に戻す強い意欲を表明した。つまり27日の提案は「何も中身のない1年先送り論」に他ならない。


3.  わが党は、租税特別措置法などの3月末期限切れに向けて、徹底した国会審議にあわせ、与野党協議で政府案を修正するようめざしてきた。
 そのために、1月31日、「道路特定財源問題についての考え方」を発表した。その概要は、(1)暫定税率は廃止する方向で見直す、(2)地方の財源は全額補てんする、(3)「道路の中期計画」は縮減する。(4)国直轄事業の地方負担金は廃止する、(5)特定財源は一般財源化をめざすが、当面、「総合交通特別会計」を設け使途を広げる、(6)財源の地方分権化を進める、(7)別途環境税を創設するが、その際、自動車の社会的費用の負担も考慮する―といった内容である。
 しかし、政府・与党にまったく修正の意思がなく、両院議長のあっせんも無視して「再議決ありき」の姿勢のため、国会審議が空転してきたのである。


4.  だが、もし衆院で再可決されると、政府案が無修正で成立し暫定税率分を含めた道路特定財源が向こう10年間そのまま存続することになる。
 私たちは、「一時でもガソリンが下がればよい」という態度ではなく、国民の関心が高い今こそ、福田提案を逆手にとって修正を実現すべきだと考える。そのためには、(1)道路中期計画の期間と総額を大幅に縮減する、(2)一般財源化の中身(暫定税率分の廃止か縮減、医療・社会福祉・教育などに回せる財源の幅など)を煮詰める、(3)「値下げ」の現実を踏まえ08年度から改革する―ことなどを与野党協議で煮詰め、成案を4月中に出すべきである。
  こうした観点から、私は、党方針を踏まえて「道路特定財源の修正に関する提案(私案)」を発表した(3月17日)。
 世論調査では、今日の政治混乱の責任は「与野党同じぐらい」と答えた人々が6割に上る。今こそ、社民党の建設的な主張を前面に出し、国民のこの政治不信に応えるべき時期である。

以 上