2008.11. 18

1.  9月24日から11月30日まで第170回臨時国会が開かれている。わが党は、今国会の使命は、第1に、景気後退下での物価高などから国民生活を守る緊急対策、非正規労働者の正規化支援や派遣労働法の抜本改正、金融危機(予防)対策などの国民的諸課題をしっかり審議して対策を打ち出すこと、第2に、その上で、3代にわたる首相が国民の審判を受けていないために政治の求心力を失っている現状に鑑み、早期に衆議院解散(総選挙)を行うことだと主張し、対処してきた。


2.
 しかし、麻生首相は、当初、臨時国会冒頭(10月上旬)に解散する腹積もりで、福田内閣積み残しの1.8兆円の補正予算と補給支援法延長法案だけを国会に提出した。民主党はこれに乗って、両案件を衆・参2日程度の審議で上げる「協調」戦術を採ったが、9月下旬の自民党独自の全国調査では総選挙で過半数割れが濃厚であったため、麻生首相は解散を断念した。次に麻生首相は、支持率の高い内にと10月末解散・11月30日総選挙を模索したが、10月下旬には急激な株安・円高が起こり、正に「政局よりも政策」が求められたため、再び解散を断念するに至った。


3.  そこで麻生内閣は、解散に代えて5兆円規模の追加経済対策を打ち出した。だがそれは、「生活者の暮らしの不安を取り除くこと」が内容かと言えば、直面する医師不足による病院たらい回し、後期高齢者医療制度、毎年2200億円の社会保障費削減、非正規労働者の雇用・生活などの対策にはまったく触れず、選挙用に「2兆円の定額給付金」をばら撒き、「3年後には消費税増税」に言及するなど、まったくその名に値せず、しかもその補正予算案を今国会に提出できない迷走ぶりである。


4.  「協調」戦術を次々裏切られた民主党は、昨17日、麻生・小沢党首会談で「第二次補正予算案の臨時国会提出・審議協力」を申し入れた。つまり「早期解散を約束すれば、補給支援法や金融機能強化法に加え補正予算案にも協力するが、そうでなければ協力しない」という戦術であろう。しかしこれが実らず、民主党は突如18日の参議院の審議を全面ストップさせてしまった。政局優先で一党の独断で国会審議を止めてしまう民主党の手法は極めて遺憾である。


5.  政治の最大の使命は国民生活の維持・向上にある。しかし、政府・与党もまた民主党も、国民生活はそっちのけの党利党略優先で迷走し、国会を混乱させている。
 この後、政府は補正予算案を国会に提出せず、臨時国会を1月上旬までだらだら延長し、補給支援法と金融機能強化法の時間切れ成立を待つ態度を取るだろう。わが党が主張してきた、上記2法案をはじめ「各委員会で当面する国民的課題を徹底追及する中で解散に追い込む」姿勢が重要だったのである。
 結局、麻生内閣は通常国会に補正予算案と来年度予算案をセットで出し、冒頭解散を狙ってこようが、こう見ると総選挙でのわが党の前進がますます重要である。


以 上