2009.3.27

1.  最近の各種世論調査によると、次期衆議院選挙では与野党逆転の公算が高まっている。野党第一党の民主党が過半数又は比較第一党を握れば、政権交代が現実のものとなる。その場合、民主党は、参議院で過半数を有していないことから、与野党逆転・政権交代を共に訴え一定の選挙協力を進めてきた社民党及び国民新党などに連立政権を呼びかけることになるであろう。
  そのため、この連立政権に関わる社民党の態度が党内外から注目されている。2月28日の党全国代表者会議でもこれが論点に上がった。そこで、この問題に対する私の考えの概要を述べてみたい。



2.
 わが党は、単なる「政権交代」ではなくて「政治転換」を目指してきた。それは、「弱肉強食の競争社会」から「平和で高度な福祉社会」への転換である。
 それに向けた「政策大綱」は、次の3項目に要約できるのではないか。
 (1)  内需主導型経済に転換し、格差是正、国民の暮らしと社会保障の再建を図る。
 (2)  所得の再分配機能を強化し、財政支出の抜本的見直し・ムダの排除を進める。
 (3)  第25条(生活権)、27条(勤労権)、9条(戦争放棄)など憲法理念を活かす。

 したがって、政策が異なる政党同士の連立政権の第1の指標は、この「政策大綱」を基本とした「政権政策の合意」が前提であり、その実現を目指す。



3.  第2の指標は、連立政権に参画し得るだけの党の組織的力量の有無である。
 連立政権に参画すれば、大臣・副大臣等を送ってこれを支えるだけでなく、日常的に多分野にわたる与党協議でわが党の主張を反映させる必要がある。加えて、党の独自性と存在感を示すため、国会内外の論戦や運動も不可欠である。
 これをなし得るだけの国会議員の増大と事務局体制の拡充が当然求められる。政治を変えるために「二桁の議席確保」を強く訴えてきた所以でもある。



4.  第3の指標は、連立政権参画の有無と党前進の展望との関連である。
 今日ほど社会民主主義的政策が必要であり、社民党の存在と前進が必要な時期はないが、いかんせん議席不足である。多くの国民や労働組合が当面わが党に期待するのは、「民主党政権」との対立ではなく、「民主党には不安があるから、社民党がご意見番を果たしてほしい」という役割であろう。とすれば、野党を貫くという選択は国民のこの期待に反するゆえ、わが党への支持離れを加速し、次期参院選や統一自治体選での前進は容易でない。この点も勘案すべきである。



5.  以上を要約すれば、連立政権に関する対応は次のように整理できよう。

(1)  社民党は、次期総選挙での与野党逆転で政治・政策転換の実現を国民に訴えてきた。それは、連立政権による政策転換を目指してきたものといえる。

(2)  そのため、当面する総選挙で、上記「政策大綱」を基本としたわが党の政策を広く訴え、議席増を勝ち取ることによって連立政権の政策合意を目指す。

(3)  よって、連立政権参画か否かは、選挙結果を踏まえて最終的に判断する。政権政策の合意ができない場合は、当然、野党の立場を貫くことになる。


以 上