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麻生内閣は、88兆5千億円もの当初予算成立から間もない4月27日、15兆4千億円にも上る補正予算案を国会に提出した。出すにしても、過去最大の当初予算の執行効果を3〜4か月見極めてからにすべきである。これは、政府自ら当初予算の欠陥を認めたことに加え、当面する衆議院選挙対策のバラマキ支出を盛り込んだものである。
社民党は、昨年から一定の経済対策の必要性を訴え、昨年10月、いち早く『生活・地域の底上げ宣言』を発表した。それは、家計、雇用・社会保障、地域の立て直し等を図ろうとの提唱である。この観点から補正予算案を検証すると、問題だらけである。
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2.
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例えば、(1)雇用対策としての雇用調整助成金の積み増しや失業者の職業訓練・生活費支援は私たちの要求に一定応えたものだが、制度確立ではなく3年間の時限措置であり、また新たな雇用創出策に乏しい。
(2)派遣労働法の抜本改正や時給1000円以上の最低賃金制が必要だが、不安定かつ劣悪な状況に置かれた1700万人の非正規労働者の処遇底上げ策は皆無である。
(3)2年限りの妊産婦の検診無料化や土日祭日のマイカーの高速道路料金割引に続いて、1年限り3万6千円の「子育て応援特別手当」支給、10年は必要といわれる医師不足対策も3年限定など、世論受け・選挙向けの場当たり策である。
(4)低炭素社会づくりと称するエコカーや省エネ家電買換え補助は、環境対策よりも特定業界の要望に応えた要素が強く、マイカーに頼らぬ社会への展望がない。
(5)底力発揮・21世紀型インフラ整備と称して、抑制してきた道路や橋梁、港湾、新幹線など従来型公共事業を復活した。福祉や農林漁業支援策は付け足しである。
(6)政府が50兆円まで株式を買い取る保証策は株式の適正な価格形成を損なう恐れを内包し、株主・証券業界の利益擁護策である、…など。
したがってこれは、持続的内需拡大の観点も、将来を見据えた理念も展望もなく、選挙目当ての大盤振る舞いでしかない。
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3. |
こうした結果、今年度の一般会計総額は補正予算を含めて初めて102兆円を突破する。しかもその財源の大半は、税収を上回る44兆円が国債(借金)である。いかに深刻な経済危機だといっても、将来を見据えた理念も展望もない選挙目当てのバラ撒きをし、将来世代に莫大なツケを回すことは許されない。
しかし麻生内閣は、ツケ回しに3年後の消費税増税を狙っている。1%が約2兆5千億円、5%アップで毎年約13兆円の増収という、悪質サラ金的な手法で取り立てを目論んでいるのである。求められる格差是正・国民生活改善の観点はゼロであり、社民党はこの補正予算に断固反対する。
今日的に必要な財源対策の観点は、所得再分配の強化であり、具体的には、(1)不公平税制の是正(約4兆円)、(2)特別会計剰余金の活用(約5兆円)、(3)不要不急の公共事業費や防衛予算の削減(約2兆円)などである。
その実現のためにも、総選挙で「二桁議席獲得・与野党逆転」を勝ち取ろう!
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