2010.3.23

1.  国鉄を分割・民営化するため、1986年11月に国鉄改革関連8法が成立し、翌87年4月1日に施行された。これに伴って、国鉄の分割・民営化に反対した国労・全動労所属組合員らに対して採用差別が惹き起こされた。しかも、その後3年間、JR不採用者に対する再就職促進法に基づく就職斡旋は形式的で誠意もなく、1990年4月に1047名が清算事業団からも解雇された。

2.
 この国家的不当労働行為に対して、国労や全動労は各地方労働委員会そして中央労働委員会に救済申し立てを行い、国鉄の不当労働行為を認定し、JRへの採用を命じる救済命令を勝ち取った。

3.
 ところが、これを不服としJR側は行政訴訟を提起した。裁判所側は、「(組合による差別があったとしても)名簿作成は国鉄が行ったことであり、JRは提出名簿によって社員を採用したにとどまるから、JRは不当労働行為責任を負わない」旨を判決した(2003.12.22最高裁)。つまり、国鉄改革法第23条は、厳然たる不当労働行為があるにも拘わらず、@JRの責任を否定し、A不当労働行為を行った国鉄に対しても、(組合差別と不採用の因果関係が不明として)責任を問わないよう仕組まれていたのである。

4.
 このように、国家的不当労働行為が明白であるにも拘わらず、国鉄改革法23条によって責任主体が曖昧にされたため、24年にもわたって長期間、被解雇者が法的救済をされてこなかったのである。

5.
政権交代後、私は、鳩山総理に「政治が犯した過ちは政治が正すということが大事だ」(2010.2.4参院決算委員会)と、鳩山内閣での早期解決を求めた。これに対して鳩山総理は、「与党三党が解決策を取りまとめるということになりました。是非、しっかりと取りまとめていただいて、それを与党三党でありますから政権の思いとして実現して解決をしてまいりたい」と前向きな答弁をした。これを受け、社民党は、民主党、国民新党及び公明党と共同で3月上旬に解決案をまとめた。内容について各党の承認手続きも終え、今月18日に与党三党と公明党の代表者(社民党は又市征治)が前原国交大臣と会い、解決案を手交し、年度内解決を強く求めた。

6.
 解決案は、和解金一人平均2406万5千円を支払い、JR各社に200名程度の採用を要請する。その際、JR三島会社、JR貨物には雇用調整助成金的なものを3年間支払う、被解雇者の事業体に10億円支払う等、を内容としています。解決案に合意後、裁判上の和解を行い、訴訟を取り下げる。
  政府には、是非これを「政権の思いとして実現して解決を」望みたい。


以 上