|
|
|
|
|
1. |
衆院から送付された高校無償化法案が、3月19日から参院で審議に入った。
これは、1979年に日本も批准した国際人権A規約、高等教育無償化の理念を遅まきながら具体化しようというもので、日本の子どもたちが無償で高校教育を受けられるというだけでなく、「我が国の社会を構成する者について国籍を問わず支援対象とする」(又市質問への川端大臣答弁)画期的なものである。
|
|
|
2.
|
ところが、この対象から朝鮮学校を除外しようという政府の一部の動きが大きな波紋を広げている。発端は、中井拉致問題担当相が、北朝鮮制裁を理由に除外を提起し、また鳩山首相が「国交のない国だから、教科内容を調べようがない」と漏らしたためだ。北朝鮮の核開発や拉致問題で制裁しているから、国交がないから朝鮮学校を支援から外すということは、そうした政治問題と関係のない子どもたちにも制裁を加えることになろう。この法案の目的は、国籍を問わずすべての「子どもの学ぶ権利」を保障することだ。国際人権A規約を理解しているのだろうか。
|
|
|
3.
|
こうした動きに対して私は、3月9日の参院予算委員会で、「今月3日、私ども社民党は東京十条にある朝鮮高級学校を視察し懇談をいたしました。カリキュラムは後期中等教育に遜色はないし、したがって、ほとんどの大学が朝鮮高校卒業生に受験資格を付与している。…朝鮮高校といっても朝鮮籍の子供だけが学んでいるというわけではない。…万が一にも朝鮮高校を適用対象校から外すようなことになりますと、憲法26条あるいは憲法14条の理念に反するし、この法律が、大変良いことを一方でやりながら、一方では公権力による新たな差別法になり、日本のみならず、既に国連人種差別撤廃委員会から懸念が表明されているわけでありますから、国際社会からも厳しい批判を受けることになる。」と指摘し、善処を求めた。
|
|
|
|
|
4.
|
これに対して川端大臣は、「各種学校の対象範囲について外交上の配慮などにより判断するというものではありません。」「客観的に高等学校に類する課程というものを判断する仕組みを国会の議論を踏まえながら考えてまいりたい」と答えている。その後、高等学校に類する課程か否かを判断する「第三者機関」の創設が検討されているようだ。
|
|
|
|
|
5.
|
朝鮮学校は、戦後、在日朝鮮人の人たちが母国語を取り戻そうと各地で自発的に始めた学校が起源である。大半の授業は朝鮮語で行われるが、朝鮮史以外の科目は、日本の学習指導要領に準じたカリキュラムが組まれている。現在は、朝鮮学校生の半数以上が韓国籍だ。父母の姿勢も北朝鮮の支持者から、反発する人まで様々である。それでも、民族の文化や言葉を大事にしたいという気持ちは共通している。朝鮮学校に通う生徒も、いうまでもなく日本社会の一員である。
この問題は、「子どもに必要な学びの保障」という観点から判断すべきであり、政治問題や排外主義、差別こそ排除すべきだ。
|
|
|
|
|
|
|
|
|