2010.3.26

1.  23日の関係閣僚会議で、「沖縄の米軍普天間飛行場の移設先として、同県名護市の米軍キャンプ・シュワブ陸上部案と、同県うるま市の米軍ホワイトビーチ沖の埋め立て案の2案を正式に米側に提示する方針で一致した」と報道された。そして岡田外相が26日にルース駐日米大使にこの案を提示するとともに、28日に訪米し、クリントン国務長官らにも政府案を説明する、併せて北沢防衛相が25〜26日に沖縄を訪れ、仲井真知事と会談し、概要を説明したと報じられた。
 また、関係閣僚会議は、シュワブ陸上部案か、ホワイトビーチ沖の埋め立て案のどちらかに、鹿児島県の徳之島など沖縄県外の数か所(大村航空基地〔長崎県〕、航空自衛隊新田原基地〔宮崎県〕)などに訓練移転を組み合わせることで、「沖縄の負担が5割以上減った、と地元が実感できる案だ。基地の機能は沖縄に残すので、米国からも理解を得られるのではないか」との見方で一致したという。
 社民党は、断じてこれに与することはできない。


2.
 そもそも、普天間基地の移設問題は、「沖縄の負担軽減のため」であった。
 1995年の沖縄における反基地闘争の高まりに慌てた日米両政府は、翌96年、市街地の真ん中にある米軍普天間飛行場の全面返還・移設に合意した。しかしその移設先をめぐる協議が難航し、結局、米国の世界的な米軍再編方針の中の在日米軍再編の一環として、2006年に合意が成立した。その主要な中身は、普天間基地の海兵隊キャンプ・シュアブ(名護市辺野古)沿岸部への移設、在沖海兵隊1万8000人のうち8000人のグアム移転、嘉手納より南の基地返還などであった。しかも、この8000人のグアム移転に要する費用102.7億ドルのうち60.9億ドル(60%)を日本が負担するという気前の良さで自民党政権は合意したのである。
 つまり、「沖縄の負担軽減のため」が、米軍再編の一環に組み込まれ、「米国の都合」に従属することになったのである。では「米国の都合」とは何か。それは、在日米軍駐留経費の実に75%を日本が負担しており、多少の抵抗があっても、米軍はこんなに気前の良い国から出て行くつもりはないということである。


3.
 こう見てくると、普天間の移設問題は、「沖縄の負担軽減」が発端だが、本質は従前からの対米従属関係を続けるのか否かが問われている問題である。
 しかし民・社・国3党連立政権は、その「政策合意」で「自立的な外交」「対等な日米関係」を謳い、「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と公約した。その真価が問われている。
 沖縄の世論は、先の衆院選で鳩山首相(当時民主党代表)が「普天間基地は最低でも県外に移設する」との公約に期待を膨らませ、初めて県議会が全会派一致で「県内移設に反対し、国外、県外への移設」を求める決議を挙げた。これに違背する上記2案は、実現不可能であろう。沖縄の民意を踏みにじる案を米国に提示しても物笑いであり、鳩山内閣は国民と米国の信を失うだけだ。
 政権交代した今こそ、普天間基地のグアム等への移設を米国に強く求めるべきだ。





以 上