2010.6.17

1.  以前、私たちは、自公政権の強権的な国会運営を厳しく批判してきた。しかし、今国会最終盤の民主党のそれは、自公政権以上にひどいものであった。
 首相が交代した以上、菅首相の所信表明演説に対する衆・参1日ずつの代表質問では不十分であり、従来どおり予算委員会を開いて、一定の審議をすべきだと、7野党はこぞって求めた。目前に参議院選挙を控えているだけに、国民の信を失った鳩山前内閣と菅内閣はどう違うのか、「強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現」の具体的方策はどういうものか、問題になった「政治とカネ」の問題にどう取り組むのか、沖縄・地元の同意抜きで普天間基地の辺野古沖移設はできるのか…など、菅内閣の目指す方向性を国会審議で明確にし、国民に政党選択の材料を提供するのが政治のあるべき当然の姿である。


2.
 しかし、民主党は、一旦約束した予算委員会の開催を撤回し、野党が求めた9日間の国会会期にも応ぜず、「逃げの一手」に終始した。
 それは、首相交代・看板の掛け替えで回復した内閣支持率が高いうちに参院選を戦った方が得策だということであろう。まさに「選挙至上主義」の姑息な党利党略である。「政治とカネ」の問題が政治不信をもたらし、鳩山・小沢両氏の辞任の要因ともなったのに、荒井国家戦略相の事務所費問題が浮上しても数を頼んで「臭いものにフタ」で逃げる姿は醜悪ですらある。これまでの自民党の金権体質批判は何だったのであろうか。


3.
 特に、数を頼んでの強引な国会運営は、参議院でひどかった。
 予算委員会を開かないばかりか、「決算審査重視」の参議院で決算委員会の締めくくり総括も行わず、参議院の存在意義を民主党は投げ捨てた。そればかりではない。驚くべきことに、各委員会の会期末処理(請願の処理)もさせず、また前代未聞の、閉会にあたっての本会議開催さえも拒否したのである。これにより、3年間かけて調査を積み上げてきた3調査会の報告が闇に葬られ、しかも引退議員へのねぎらいと謝辞さえもなされなかった。民主党議員の中からも「議会人として恥ずかしい」というささやきが漏れ聞こえてくる。


4.
 国会が終わり、一斉に参院選挙に走り出した。社民党は、昨年の「3党連立政権政策合意」(3党共同公約)を遵守するという菅首相の表明を受け、これらの政策実現のために一定の地域で民主党とも選挙協力を進めるが、このような民主党の強権的姿勢を見るにつけ、「参議院でも民主党に過半数を与えてよいのか」との声も上がっている。その答えは、「党の力量・議席不足」の克服しかない。参院ではわが党が野党に転じて与野党の差は2議席であり、逆転委員会で社民党はキャスチングボートを握っている。だからこそ、目前の参院選で改選議席の倍増を果たし、「政治の品質保証役」を担わなければならない。



以 上