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本日、第176回臨時国会が、12月3日まで64日間の会期で召集された。
リーマンショック以降の二番底の危険性をはらむ現在の日本経済の状況の下、国民生活改善・雇用拡大・社会保障制度改革を中心に、いかに内需拡大・景気回復を図っていくかが課題である。わが党は、こうした観点に立って5兆円前後の補正予算編成を提言するとともに、国会論戦の中で奮闘する決意である。
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2.
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しかし、菅内閣がこうした認識に乏しいのではないかと疑念を持たざるを得ない事例がいくつか見られる。その一つが、長年にわたる自民党政権時代にもなかった「人事院勧告以上の公務員給与の引き下げ」の動きである。菅首相が本日の所信表明で「総人件費2割削減」と言い、片山総務大臣、玄葉特命大臣(民主党政調会長)、蓮舫特命大臣(行政刷新担当)らがこのことに言及している。
まず指摘すべきは、内閣は人事院勧告尊重の義務を負っていることを理解していないのではないかということである。あまりにも軽々しい発言である。
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3.
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第2に指摘すべきは、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を理解していないのではないかということである。
労働基本権が制約されている公務員の給与については、@国や自治体は民間企業と異なり、市場原理による給与水準の決定が困難であること、A公務員も勤労者として社会一般の情勢に適応した適正な給与の確保が必要であること、B民間給与は雇用情勢や生計費・物価などを反映して労資交渉で決定されるものであり、この労資交渉に代わる方策として、民間賃金に準拠してこれを決定することが、労使双方及び納税者である国民の理解を広く得られ、定着してきたのである。
もし、1960年以来50年間にわたり定着してきた民間賃金準拠方式の人事院勧告を守らない、変更するというのであれば、新たにどのような給与決定方式をとるかを示し、労使双方と国民の理解を得ることから始めるべきであり、「2割削減ありき」はあまりにも乱暴である。裁判となれば到底通らない主張である。
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4.
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第3に指摘すべきは、デフレ脱却、雇用創出、個人所得の増などを重要課題としながら、公務員の「総人件費2割削減」はこれに逆行するということである。
民間賃金準拠である国家公務員の給与(40歳で配偶者と子供2人のモデル世帯)は、この12年間で約19%=120万円(年10万円ずつ)の年収減となっている。こうした官民労働者の所得減がこの間の消費減退とデフレを招き、経済成長を停滞させてきたのである。何の根拠もない民主党の人気取りである公務員「総人件費2割削減」策は、さらにこれを加速するだけではないか。
公務関係労働者・労働組合も、労働運動の原点に立ち返って、かかる理不尽な動向に毅然と対処すべきではないか。
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