|
|
|
|
|
1. |
先の参院選で、多くの政党が国会議員の定数削減を公約に掲げた。例えば、民主党は「参院定数を40程度、衆院は比例代表を80削減」、自民党は「衆参の国会議員定数を3年後に1割、6年後に3割削減」、みんなの党は「衆院定数180、参院定数142削減」などである。これが「国権の最高機関」たる国会にどんな影響を及ぼすかを真剣に検討したものか、むしろ選挙目当ての人気取り施策ではないかとの疑念を持たざるを得ない。
そこで、参議院の定数削減が何をもたらすか、以下、検討してみる。
|
|
|
|
|
2.
|
官僚任せではなく、国民が選んだ議員によって政治を主導すべきと強調されているにも関わらず、議員自ら議員定数削減を主張するのは矛盾と言わざるを得ない。今議会に求められているのは、行政に対する強力な指導力である。議員定数の削減、それによる議会の弱体化は、官僚主導の行政を改革していくことに反する。そもそも議員一人あたりの人口を考えると、日本は各国と比較しても非常に少ない。G8で日本より少ないのはアメリカとロシアだけであり、両国は連邦制をとっているため各州に議員がおり、連邦議会の議員は少なくなる。
|
|
|
|
|
3.
|
また、定数削減は少数政党の発言を事実上奪う弊害もある。
第一種委員会は同日開催のため兼務ができず、議員数が11人未満の少数政党は参加委員会が限られる。例えば、議員数4人のわが党は、現状、内閣、外交防衛、厚生労働、国土交通の4委員会にしか出席できない。何か問題が発生しそれを所管する委員会で質疑しようにもできないのである。共産党、国民新党、立ち上がれ日本・新党改革なども同様である。その上定数削減が行われれば、少数政党の議席減は必至であり、さらに制限されることになる。これらの政党に意志を託した有権者の声はますます国政に反映されなくなる。
参院は「再考の府」とも呼ばれ衆院をチェックする機能と役割があるが、このことを考えれば、少数意見を現状よりも排除する定数削減は避けるべきである。
|
|
|
|
|
4.
|
一方、参院は、定数削減だけでなく、1対5にまで広がった「1票の格差是正」の観点から選挙制度を含む定数是正が迫られている。そこで、10月5日、西岡参院議長の下に各会派代表者をもって「選挙制度の改革に関する検討会」が設置された。ここでは、県単位の選挙区を11ブロックに変更し、比例区を中心に定数削減を図ろうとする動きが強まると見られる。定数削減の弊害は上記のとおりであるが、加えてこのような選挙制度改革の名によって少数政党(国民の少数意見)を排除することは断じて認めることはできない。参院は、民意を最も正確に議席に反映する比例代表選挙こそ重視すべきである。
|
|
|
|
|