2011.2.21

1.  わが党は、年末の民主・社民両党の党首会談を踏まえ、一昨年の三党連立政権の「政策合意」を実現する立場から、2011年度予算についても政府・民主党と編成協議を行い、わが党の提言を相当盛り込むことができた。国民の「生活再建」に一定の成果を上げることができたと自負するものである。(※別記A)
 しかし、格差是正に逆行する法人税5%減税、成年扶養控除の縮減、国民健康保険料の負担増や沖縄の基地関連事業などは問題であり、修正を求めることとしてきた。


2.
 ところが菅内閣は、年が明けてこうした努力に逆行する動きを強めてきた。
 菅首相は、民主党のマニフェストを攻撃してきた与謝野馨氏を経済財政担当特命大臣に任命(その後、柳沢元金融相も登用)したことに加え、通常国会の施政方針演説で(1)消費税増税前のめりの税と社会保障の一体改革、(2)輸出関連大企業優先のTPP(環太平洋経済連携協定)への参加、(3)日米同盟の深化、米軍普天間基地の辺野古移設堅持、(4)デフレ脱却政策と矛盾する公務員給与の2割削減―を表明するなど、勤労国民が「政権交代」に寄せた期待に反する自公政権時代の新自由主義政治への回帰傾向をさらに強めてきたのである。


3.
 だから、わが党が今月14日に求めた6項目の修正要求(※別記B)に未だに応えずに、予算案及び関連法案成立への協力を求めるという不誠実な態度である。
 他方、政府・民主党は、「国民生活が第一」という政権交代の原点からかけ離れた政策展開や小沢元代表の処分をめぐって16人の「造反者」を出すなど党内対立・亀裂を深め、今や政権政党としての体をなしていない。それ故、最近の内閣支持率の低迷に見るように、今や菅内閣は国民の支持を失っている。


4.
 わが党は、政権交代に託された三党「政策合意」を守るのか否かを判断基準として菅内閣とその予算案に対応することとしてきた。前述のように政府予算案にわが党の提言が相当程度盛り込まれはしたが、全体として新自由主義回帰を強める菅内閣の姿勢を認めることはできない。
 したがって、2011年度政府予算案には反対することとする。
 また、26本の予算関連法案については、国民生活や景気への影響等を考慮して、地方交付税法や関税定率法改正案などには賛成するが、現状のままでは所得税法、地方税法の改正案、公債特例法案などには反対せざるを得ない。
 なお、菅内閣が国民生活等への影響を真剣に考えるのであれば、政権交代の原点に立ち戻った対応を速やかにとるべきである。


《2011年度政府予算案関係資料》

※別記A(2010年度補正予算及び2011年度予算案での成果)
(1) 基礎年金の国庫負担割合は2分の1(2.5兆円)を確保、
(2) 高齢者医療制度の1割負担を継続、
(3) 介護施設整備を10万人分追加し、介護従事者の処遇改善、
(4) 待機児童の解消緊急対策10万人分を追加、
(5) 求職者支援、新卒者・若年者支援、正規化支援強化など雇用対策を重視、
(6) 地方交付税総額は今年度を0.5兆円上回る17.4兆円を確保、
(7) 地域医療の再生など臨時特例交付金を拡充、
(8) 自治体独自の雇用対策・中小企業対策への支援を強化、
(9) 身近な公共事業や、公立の小中学校・高校、病院の耐震化・太陽光発電化・脱アスベスト化の促進に向け地域活性化交付金を創設、
(10) 児童虐待対策、DV対策、安心子ども基金を拡充、
(11) 鉄建機構の利益剰余金の活用は本来目的に十分留意、
(12) 普天間基地移設本体の経費は計上しない、
(13) 小学1年生の35人以下学級実施―など。

※別記B(2011年度予算修正要求項目)
(1) 法人税5%減税は、雇用増・賃金引き上げなどの保証もなく、企業の内部留保が積み増される可能性が高いので、格差是正の観点からも反対である。
(2) 成年扶養控除の縮減(「年収568万円(課税所得400万円)以下を除いて廃止」)は、当分の間、控除の存続を求める。
(3) 沖縄の基地移設関連予算、沖縄防衛局名護事務所設置及び高江ヘリパッド建設の予算は計上しない。
(4) 消費税問題については、「2013年度までは消費税率引き上げは行わない」旨を明確にした上で、1)徹底した行財政の無駄の排除(例えば、高額天下り役員の削減、不要不急の公共事業の削減等に向けた年次計画や、一般会計・特別会計全般の見直しなど)、2)不公平税制の徹底是正(例えば、法人間配当無税制度や租税特別措置の一層の切り込み、法人税・所得税の累進制や資産課税の強化に向けた年次計画提示)―などで財源確保を図る努力を明確にすべきである。
(5) 国民健康保険料は低所得者層に重い負担となっている現状に照らし、国庫負担を1000億円増やすことを求める。
(6) 子ども手当の給付額は一律1万3000円で据え置き、増額予定の財源は保育所増設などの現物サービスの拡充等に充てる。所得制限は行わない。


以 上