2011.4.14

1.  菅首相は13日、松本内閣官房参与と東日本大震災の復興に関して意見交換した際、「原発周辺に当面住めない。10年、20年住めないとなると、そういう人を内陸部に住まわせるエコタウンのような都市を考えなければならない」と述べたと伝えられる。もしそうだとすれば、政府の原発推進政策に無理やり協力させられてきた避難区域の住民の皆さんの感情を顧みない誠に軽率な発言である。


2.  わが党は、今回の未曽有の大震災と原発事故に際し、その救援対策に全政党が全面的に政府に協力すべきだとして「政治休戦」を呼びかけ、この1カ月あまり政権批判を手控え、建設的な提言を積極的に行ってきた。
 例えば、(1)強力な震災救援・復興担当と原発事故対策担当大臣の新設、(2)政府と東京電力一体の対策本部の設置、(3)適時的確な情報公開、(4)福島第一原発から30キロ圏外への避難、(5)被災地・避難所と病院・介護施設等の「計画停電」からの除外、(6)被災者の住居・生活物資提供と雇用確保、(7)自治体機能の回復・支援体制、(8)国際的知見を結集した原発災害の早期収束、(9)全原発で東日本大震災を想定した安全点検、新増設計画の凍結、危険視される浜岡(静岡)や柏崎刈羽(新潟)などの原発の即時停止、エネルギー政策の転換、(10)震災対策への10兆円規模の補正予算編成―などである。


3.  しかし、政府の対策・対応はちぐはぐで、後手後手に回っている。
 例えば、(1)当初、3大臣新設方針を打ち出したが、これは震災対策よりも自民党との大連立が狙いだったため未だに実現せず、(2)1カ月経っても震災対策の基本法はじめ法案が未だ一本も提出されず、(3)補正予算の財源に年金の国庫負担分を2.5兆円を削って充てる案を打ち出し、(4)原発事故の重大さの認識が甘く【註】、対策が後手に回って次々に爆発事故を起こし、「低濃度」と称して高濃度の放射性物質が空と海に垂れ流され、周辺住民に混乱をもたらし、1カ月経ってようやく事故評価を最悪の「レベル7」と認定する―などといった状況である。首相のリーダーシップが改めて疑問視される。
 【註】内閣府設置の原子力安全委員会の斑目委員長は12日朝、菅総理の視察に同行し、「水素爆発などは起こらない」と助言した。


4.  このような政府の対応や冒頭の首相発言を見聞きするにつけ、菅内閣が本当に国民のいのち・暮らし・財産を守り得るのか、あらためて疑念を抱かざるを得ない。
 したがって私たちは、建設的提言とともに菅内閣の対応について批判も強め、大震災と原発事故対策に対処していかねばならない。


以 上