2011.11.21

1.  2年前の政権交代は、10年余にわたる自民党などの新自由主義「構造改革」によって社会のあらゆる分野に広がった格差への国民の不満や怒りが、「国民生活が第一」や「生活再建」を訴える民主党・社民党への期待となって実現したのである。
 しかし、菅内閣はこのことを忘れて新自由主義への回帰傾向を強めたために国民の信を失った。したがって、野田民主党内閣が政権を存続するにはこの政権交代の原点・「国民生活が第一」の理念に立ち返って党を挙げて政策大綱を確立し、現実政治に対応していくことが大事だと繰り返し主張し、働きかけてきた。


2.  8月30日に誕生した野田内閣の支持率は53〜65%に上った。菅内閣末期と比べ、何の実績もない内閣の40%余りの支持率アップは、「自民党はダメだ。民主党も期待外れだが、もう一度だけ」という国民の淡い期待の表れであろうか。
 だが、野田内閣の80日間を見てみると、結局、菅内閣と同じ道を辿っている。
 それは第1に、民主党の目玉政策であった「子ども手当、高校無償化、農家戸別所得補償」などの「見直し」ばかりか、「法人税減税を含む税制改正法案」「復興債財源」「年金財源」なども自民・公明両党と「検討」するという。つまり国民への公約を見直し自民・公明両党とのパーシャル(政策部分)連合を目指す姿である。
 第2に、この間、(1)依然、「日米合意」を盾に実現不能な米軍普天間基地の辺野古移設に固執し、(2)11月3日のG20サミットで「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」と国際公約し、加えて法人税減税実施の意向を示し、(3)国民に説明もないまま、しかも民主党内の多数意見も無視して11月14日にAPEC(アジア太平洋経済協力会議)でTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加を表明し、(4)国民の7〜8割が原発に依存しない社会の実現を求めているのにベトナムへの原発輸出を進めるなど、いずれも選挙公約や国民の期待に背を向け、新自由主義回帰を強めていると言わねばならない。
 すなわち、既に破綻した「外需主導による経済成長路線」へ転換することで財界や保守勢力に迎合して政権の延命を図ろうとしている。だから内閣支持率も11月中旬の世論調査は40%前後に急落した。


3.  社民党は、こうした野田内閣と民主党に対し、「2009年の民主・社民・国新三党の連立『政権政策合意』(10分類33個別政策)は4年かけてその実現を国民に公約したものであり、与・野党に分かれても三党の共同責任」であるから、引き続きその実現を強く求めていく。
 この『政策合意』は、いわば社会民主主義的政策であるから、これを「ムダだ、バラマキだ」と批判する財界・自民党などの抵抗があるが、わが党の要求の域を超えた国民への公約であり、民主党にとっても政権交代の原点であるから、野田内閣もこれを否定することはできない。したがって、政府への働き掛けはもとより、民主党内で同調できる勢力とも連携し、院内外の運動を喚起しつつ、共にその実現を目指していく。

   

以 上