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1. |
昨日、今年、全国の朝鮮高校を卒業する生徒の代表者9人が事務所を訪れた。
それぞれから、「これまで朝鮮高校への高校無償化法適用にご奮闘いただき、また私たちを激励いただいたことに感謝したい。未だに適用されていないのは残念だし悔しいが、引き続き後輩たちのためにも頑張っていくので、先生にもさらにお力添えいただきたい」旨が交々述べられた。
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2. |
私たちの長年の運動によって、2010年4月1日から高校無償化法が施行された。これは、1979年に日本も批准した国際人権A規約、高等教育無償化の理念を遅まきながら具体化したもので、日本の子どもたちが無償で高校教育を受けられるというだけでなく、「わが国の社会を構成する者について国籍を問わず支援対象とする」(又市質問への川端文科大臣答弁)画期的なものであった。
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3. |
ところが、この法律の成立当時から、朝鮮学校を対象外にすべきという動きが政府内外から起こされた。曰く、「北朝鮮は核開発や拉致問題で制裁しているのだから、それと密接な関係にある朝鮮学校を支援から外すべきだ」という主張である。そして、10年11月の北朝鮮による韓国延坪島砲撃事件で適用審査が中断された。しかしこれは、政治問題と関係のない子どもたちにも制裁せよと言うに等しい。
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4. |
よって私は、これまで再三にわたって国会で「万が一にも朝鮮高校を適用対象校から外すことになると、憲法26条あるいは憲法14条の理念に反する」「この法律が、大変良いことを一方でやりながら、一方では公権力による新たな差別法になり、日本のみならず、既に国連人種差別撤廃委員会から懸念が表明されているが、国際社会からも厳しい批判を受けることになる」と指摘し、善処を求めてきた。
これに対して政府は、「対象範囲について外交上の配慮などにより判断するというものではなく、客観的に高等学校に類する課程というもので判断する」としながらも、法施行から丸2年経ってもその判断を出そうとしていない。
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5. |
そもそも朝鮮学校は、戦後、在日朝鮮人たちが母国語を取り戻そうと各地で自発的に始めた学校が起源である。大半の授業は朝鮮語で行われているが、朝鮮史以外の科目は、日本の学習指導要領に準じたカリキュラムが組まれている。現在は、朝鮮学校生の半数以上が韓国籍である。父母の姿勢も北朝鮮の支持者から反発する人まで様々である。それでも、民族の文化や言葉を大事にしたいという気持ちは共通している。
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6. |
私は卒業生たちに「未だ無償化が適用されていないことに申し訳なさと憤りで一杯だ。だが、憲法の理念を実現しようとすれば様々な妨害や弾圧があったりする。そこでたじろぐことなく皆で団結しその輪を広げていけば、自分たちは正しかったと誇れる日が必ず来る。いまその途上にある。これからも力を合わせて頑張ろう。」と、自らの決意を込めて激励を送った。
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